息子が私を嫌っていることも、恐ろしいほどの数の原因を探りあてることができ、
実際三ヶ月ホテルで必死に考えたのですが、ある日その追求をスパッとやめることにしました。
どう努力しても、私が彼の父親であるかぎり、
彼に嫌われるということがなんとなく体感としてわかった。
そして、もうこれ以上自分を責めつづけると、もうもたないなあと思った。
(ぼんやり歩いていて二度ほど市電に轢かれそうになりました)。
自尊心を保たねば生きていけないと思い、
そして私はやはり生きなければならないと思った。
こういう場合は、相手が「何しろ私が嫌いなんだなあ」と確認しながら、
その人と冷たい関係を保ってゆくしかない。
それしか方法はないのです。
★ひとを<嫌う>ということ/中島義道★
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