宿題

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2004年05月31日(月) こおろぎ嬢/尾崎翠
話はいくらか飛ぶけれど、私たちはかつて分裂心理病院という病院の一医員

幸田当八氏を知っていた。

幸田当八氏は、かつて、分裂心理研究に熱心するあまり、

ひと抱えの戯曲全集とノオト一冊を持って各地遍歴の旅に発ち、

そして到着さきの一人の若い女の子に、とても烈しい恋の戯曲をいくつでも朗読させ、

その発音やら心理変化のありさまをノオトに取るなど、

神秘の神に多少の冒涜をはたらいてきた医者であった。


★こおろぎ嬢/尾崎翠★

2004年05月30日(日) 競争/村野四郎
あなたは不思議だ

あなたの胸のナンバーは

すばやく空間を行きすぎた

おお一枚の白い速力だった

だが今あなたは

笑ってぼくと握手をする

あなたにはもう速力はなく

言葉は唸り

思想のタオルを肩から垂らしている


★競争/村野四郎★



■『村野四郎詩集』から。
自分で読んだ訳ではなくて、流行通信の豊崎由美さんの連載から。

2004年05月29日(土) 美しき人間の日々/サンボマスター
それでも 本当の事は それでも わからないの

それでも あなたの事だけは 近くに感じていたいのよ


★美しき人間の日々/サンボマスター★

2004年05月28日(金) 読書は怠惰な娯楽である/佐野洋子
私は寝っころがったまんま、

目だけキョロキョロさせて心の中でキャーキャー喜びたいのである。


★読書は怠惰な娯楽である/佐野洋子★

2004年05月27日(木) やらしい本のことなんか/佐野洋子
しばらくすると、「りべらる」という本を母親が、

村の時計屋さんの小父さんから借りて、押し入れの中にかくしていた。

かくしてあるものはやらしいものだから、

私は母親が裏の畑でなすびなどを作っている間に、隠れて読んだ。

やらしいことが沢山書いてあったにちがいなく、

やらしいさし絵が沢山あったけど、私は、やらしいことなど何も知らないから、

やらしい雰囲気だけが、押し入れの中に充満し、物音がした時の、

グビッグビッと汗がふき出て、体が大きく二度ばかり起き上がる

真昼の驚愕は一体何だったのだろう。

「りべらる」は戦後のいわゆるカストリ雑誌の大御所だったと、

月日が夢のように流れたあとに知った。

山梨の山また山の山奥に、「りべらる」がしのび込み、太宰治はしのび込まないという、

文化の伝播経路に私は大変興味をおぼえる。

やらしいことだけが韋駄天の様にかけめぐったということが、

日本の戦後復興に大きく貢献したのよね。

きっとやらしいことだけが真の人間再生のエネルギー源なのだから、

私の「きょうだい」はまた一人増殖した。


★やらしい本のことなんか/佐野洋子★

2004年05月26日(水) 人格者はウツ病です/佐野洋子
ちがう電話がかかってくる。

「ウフフ!」笑っているのに実に陰気である。

「何してるの」「洗濯」「私ねェー、朝ごはん食べてから、

そのまんまじいーっと海見ているの。もう四時間よ、天気がいいと滅入るのよね、

子供って何だろうね、母親って何だろうね。ただ産んだだけなのよね、

この年まで、私何もしてないのよ、ウフフフフ」

陰気な声は明るい海辺の町から電話線をはいずってここまでやってくる。

「生きてるって何かしら」

「死ぬまでどうにかこうにかやるってことよ。別にたいしたことしなくてもいいのよ」

「そうかしらねェー、アヤがね、あの子サービスの子だから、

私がボケーッとしてると、やたらはしゃいで私を笑わせようとするの。

笑ってやるんだけどね、ウフフフッ」

「何もしたくないんなら、何もしなくていいじゃない、海見てれば」

私は人格者である。私は云う。

「私あなたが好きよ、あなた勝手で一生懸命で、

あー私あなたのこと好きだなぁって時々、ガバッて思うことあるの。

あなたが生きているから、私も生きてるのうれしいって思うことあるのよ」

相手間違えているわけではない。人格者だから男女の区別などつけない。

「あらそう、ありがとう、うれしいわ・・・ウフフ・・・生きるのって疲れるわ」

「待っててね、おしっこ行って来る」・・・「あーごめん、さっぱりした。それで?」

私は人格者であるから、おしっこを理由に電話を切ったりしないのである。

「待ってて、今、たばこ持って来る」海辺の女も長期戦のかまえである。

私は相手の電話代のことを考える。

仕方がない。生きてるって金がかかることなのだ。


★人格者はウツ病です/佐野洋子★

2004年05月25日(火) いろんな人と一緒に映画を見た/佐野洋子
「E.T.」を観た。

私は子供達の母親が現れると涙が出て来た。

母親は殺気だって朝勤めに出るために子供をせき立てる。

母親があたふたと勤めから帰り紙袋をテーブルの上に置く、

そして母親が子供達と一緒にお祭り騒ぎにはしゃぐともう顔をそむけたくなった。

E.T.がシンプルすぎる程のメルヘン仕立てになっていることが不気味であった。

「人間はことばを持ってのコミュニケーションに絶望して

ことばを持たないものを求めてしまったんだね」

一緒に映画を観た人が云った。

本当にそうなのだろうか、私は世界中の人がかわいそうになった。

ことばを持たないE.T.に心を通じさせようとすることばを持つ人間の

日々の暮しが、「黄昏」を観て「フン」と云った女友達の暮しが。

「あなたがどこで泣いたかわかったよ」

私は声をあげて泣きたかった。ことばはまだ通じるじゃないの。


★いろんな人と一緒に映画を見た/佐野洋子★

2004年05月24日(月) インテリア雑誌を買った日/佐野洋子
私は一人の友人を思い出した。彼女はオペラのソプラノ歌手だった。

豊満な肉体を派手なプリント模様のワンピースに包み

手のひら位のブローチをつけていた。

ものすごい大食いで、彼女が肉を食う時、ライオンとか虎とかを思い出した。

口のまわりにあぶらなんか光らせて。

街を歩いていてアメリカのでっかい赤いオープンカーが走って来た。

彼女は両手をひろげて、「あー欲しい。いつか乗ってやる」と叫んだ。

その時私は悟ったのだ。これは悪趣味というものではない。

エネルギーと勇気と、性質の真っすぐさなのだ。


★インテリア雑誌を買った日/佐野洋子★

2004年05月23日(日) 下妻物語/嶽本野ばら
自分が一番大事にしてるものは、どんなに頼まれても、

どんな人からいわれても貸したくないんだよ。

だから貸しちゃいけないの。

貸していいのは、どうでもいいものだけ。

だから私は借りたものを返さない主義なの。

その代わり、貸す時は戻ってこないことを覚悟で貸すの。


★下妻物語/嶽本野ばら★

2004年05月22日(土) 下妻物語/嶽本野ばら
だってどんなに最愛の人と巡り合ったとしても、

人は一人で生まれ、一人で思考し、一人で最後は死んでいくのです。

自分が見つけ出した自分の価値観を尊重せずして何になるというのでしょう。

人という字は一人では成り立たない、誰かと誰かが寄り添い合い、

支え合うことにとって人という字は出来上がる、

だから人は一人でなんて生きていけないのだなんて

しかつめらしく語る人達がいますが、

それなら私は人でなくてもよい、人でなしでも構わないと思うのです。

固体として自らの本能のまま生きていくミジンコでいい、プラナリアでいい、

そちらの方が寄り添い合ってしか生きられない人間よりも、

遥かに生物として自立していると思うのです。


★下妻物語/嶽本野ばら★

2004年05月21日(金) 下妻物語/嶽本野ばら
「新しく結婚するそのお医者さんと、幸せになって下さい。

その人が私と一緒に暮らしてくれるという気持ちは嬉しいけれど、

やっぱり離婚経験有りで尚且、こぶつきというのは結婚するにあたって、

お母さんにとって不利だと思います。

お父さんが離婚に応じないとか駄々をこねれば、私がきちんと説得しますから」

私はわざと敬語で、他人行儀な口調でそういうと、母親は泣き出しました。

「やっぱり離婚、しんとこか。新しい結婚、諦めようか。

お前と別れて暮らして、勝手に自分だけいい思いするなんて赦されへんわ」

不安げにしくしくと涙を零し続ける母親に私は返しました。

「山を歩いてて、金の鉱脈を発見して、

そこを掘らずにみすみす見逃して通り過ぎるのは、只のアホだと思う。

偶然、そんなラッキーが自分の目の前に現れた時、

自分だけが楽をして得するなんて狡いと考える、

そういうのは欲がないというんじゃないと思う。

突然の大きな幸せが舞い込んできた時、

人はその幸せを前にして、急に臆病になる。

幸せを勝ち取ることは不幸に耐えることより勇気がいるの。

大切なものを見つけたら、それを絶対に手放さない、守り抜く、

たとえ他の大きなものを失うことになろうと。

だって、本当に大切なものに巡り合えずに死んでいく人だって、

沢山いるんだからね。甘えてちゃ、駄目だよ」


★下妻物語/嶽本野ばら★

2004年05月20日(木) 気まぐれ美術館(田畑あきら子さんの詩)/洲之内徹
その田畑あきら子は、ある日、吉祥寺の喫茶店でモダンジャズのレコードを聞きながら、

こんな詩を作る。


ココハ 吉祥寺ノ ファンキーデス

大変久シ振リニ来マシタ

不思議ナコトハ サウンドノ中デハ

自分ガ モノ ミタイ二ナルノデハナク・・・・・・

タダモウ 日常ガ遠ノイテ見エマセン

ナニモカモ ワカンナイ ト言ウノハ

嘘デアッテ ト 言ウコトガ 解リマス

コレガワタシノ オボロ線 デアッテ

オボロニ変身スルコト ト 絵ヲ

創ラナケレバナラナイコトノ関係

ガ スナワチ 現実ガ現実を見失ウ

コトナノデショウ ソノヨウニ解ルト

言ウコトハ ソノヨウニ 生キテイル・・・・・・?

ト言ウコトナノダトスルト ソコヲモット

ゲンミツニ シテイクコトガ・・・・・・

ト言ッテモ ワタシニハ 出来ナイコトデス


詩集の部に入っているが、田畑あきら子がこれを詩のつもりで

書いたかどうかは判らない。

彼女はよくデッサンの余白に、こういう、詩のような、独白のようなものを

書きつけているからである。


★気まぐれ美術館(田畑あきら子さんの詩)/洲之内徹★

2004年05月19日(水) 気まぐれ美術館(柏木弘子さんからの手紙)/洲之内徹
東京へ戻って十日ほどすると、柏木さんから手紙が来た。

三枚の便箋の、最後の一枚はこうなっている。


──あなたが汁かけごはんがすきと分かってから、どういうんかしら、

しきりに牛丼を思いうかべるのよ。もっとも、牛丼といってもしってる訳じゃない。

食べたことも見たこともないのに、どうして牛丼がうかぶのかわかんないのよ。

どうしてかなあ、どうしてかなあ、と思うと気になるでしょう。ヘンでしょう。

気になるわあ、気になるわあ、と思うんなら、そんなもの食っちゃえばいいのだと、

とにかく勝手に作ってやろうと肉屋へ出かけていったの。

そのとき万松堂の前をとおり、そこへはいり、

本だなのあなたにちょっとアイサツしてから、そこらのものを立ちよみなどして、

どれも買わず、何か鬼の本でもないかなあと思ったけどそんなものある訳もなくて・・・・・。

さらば鬼よ、っていいわねえ。言葉っていうの?文句っていうの?いいわねえ。

あんな言葉でかかれりゃ、鬼だって花みたいなものよ。

鬼ってなあに?鬼って鬼だと思う?

鬼って何だか分かんないけど、あたし、鬼って人なんだと思うのよ。

鬼って鬼じゃなく人なんだと思うのよ。

このごろ、あたしって鬼なんじゃないかなあなんて思うのよ。

そんな思いながらコーヒーのんでうちに帰ったら、牛肉なんて全然買ってきてなかった。

さらば鬼よ。さらば徹よ。さらばっていい響きね。ではさらば、さらば!


★気まぐれ美術館(柏木弘子さんからの手紙)/洲之内徹★

2004年05月18日(火) 気まぐれ美術館/洲之内徹
どれほど強靭で密度の高い(例えば土井さんのような人の)思考でも、

思考は視覚的把握の持つ直截性は持てないのではないかということ、

そのことで哲学者にフラストレーションは生じないのかということ、

哲学者は、哲学者としてはカワイコちゃんを抱けないのではないかということ、

そして、絵をかくとき、土井さんは哲学者にとって宿命的な思考からの解放を、

鉛筆を握る自分の手で確かめたのであろうかということ、e.t.cである。


★気まぐれ美術館/洲之内徹★

2004年05月17日(月) 気まぐれ美術館/洲之内徹
私はいつも、不思議に、(長谷川)利行の作品に勇気づけられる。

利行の作品を数品並べると、たちまちそこは、自由で澄明な、

きらきらするような美の世界が出現する。

猥雑な市井の中にも、人間のこのような美を見出すことができると思うそのことによって、

また、そのような美に憑かれて、

「痴愚な人生」の底辺まで恐れることなく沈潜して行った画家の勇気によって、

私も勇気づけられるのである。


★気まぐれ美術館/洲之内徹★

2004年05月16日(日) 悪童日記(6月12日)/水道橋博士
16時、

『ヒロトがやってきた、ヤァ!ヤァ!ヤァ!』


前回の来宅は、昨年6月13日だったので、丁度1年ぶり。

今回も、井上きびだんご夫妻と一緒に、の予定であったのだが、

井上くん、親族に訃報ありで欠席に。


ヒロト、スポーツカーを自分で運転して到着。免許とったのだな。

奥さんから、ケーキをお土産に。

子供、出産のとき、ヒロトに貰った、ロックTシャツを着込んで、お迎え。

カリスマロックンローラーに抱かれて、ツーショット写真。

そこから、ノンストップで話し込む。


仕事と重なってPRIDEは観に行けないのが残念、の話から、いつもは、

俺がヒロトを絶賛するばかりだが、夫妻で見に来た、「高田笑学校」の話やら。

『お笑い男の星座2』の話など、俺の仕事が認知され、褒められるのは、

面映いが嬉しいことだ。

「ぼちぼち」の納豆焼きソバがいかに美味しいかやら。

ヒロトも、毎週、見ている「新選組!」と、三谷幸喜の話やら。

生まれて初めて見た映画が、『チキチキバンバン』で、二人共に共通。

そして、親に初めてねだって買ってもらったレコードが

その主題歌なのだが、買ったものが、日本語版で山本リンダが歌っていた話やら。

子供の時にみた『妖怪大戦争』の話やら。なぜか岡山に多い妖怪話やら。

中学時代に『未知との遭遇』や、『天国からきたチャンピオン』に感動した話やら。

ヒロトがバイト先で気がついた、

「河合奈保子のレコードを回転を遅して聴くと西城秀樹の声に聞こえる」話やら。

コウモリの中には、逆さコウモリがいる話やら。

スズキ秘書と北郷が、昨日のギグに行き、スズキ秘書は、明日も行くことを告げると、

「よく、当たったね〜俺の周りでも当たらんのに」と。

マキタスポーツが、「ヒロトは、釈迦の時代だったら、釈迦だった人」

〜と言っていたが、まさに、言いえて妙。その「釈迦に説法」が、俺だ。

俄然、俺が張り切ってトークしたのは、、

『ロード・オブ・ザ・リング』のメーキングがいかに素晴らしいか。

ヒロトは『24』に絶対はまる、との予言やら。岡山の万歩書店はいかに凄いかやら。

ヒロトも興味津々になるほど、力説。

ヒロトも負けじと、ヤコペッティBOXの素晴らしさを語り、

『ビッグ・フィッシュ』を機内で見たが、あまり面白いので途中でやめた話やら。

そして。

我が家のロボコンを見て、「誰が買うんだ?」って話に。

プロピアの育毛マシンを頭にかぶって、試して、笑う。

ライブ後の打ち上げは、ほとんどしない話や、永ちゃんと会ったときの話など。

2時間だけのはずだったが、一度は立ちかけても、

『ロック・オデッセー』のフーについて、話をしだしたら、止まらず。

話が尽きないね〜と言いつつ。

帰り際、俺が『24』のDVDボックスを貸すよ〜と言うと

「いいかな?ヤバイよ、俺、見てる暇ないのに……」

悩みつつ、結局、持ち帰る。


ガレージから、切り替えしで、ぶつけそうになりながら、

若葉マークをつけたスポーツカーが飛び出した。


18時半、終了。

余韻とともに、俺以外、

皆の目がハートマークになっているのだ、これが。


★悪童日記(6月12日)/水道橋博士★

2004年05月15日(土) ぼく、ドラえファン/錣山親方
弟子時代に、『コロコロコミック』で読んだのをきっかけに、

単行本はもちろん、映画も、ほとんど全部見ました。

難しいモノとか見ると、かえって暗くなっちゃうんでね。

現役中はずいぶんと助けられましたね。


(のび太が自分の子供だったら)

どつき回しますよ(笑)。ワガママでしょう、スゴく。

依存型だし、すぐ諦めるし・・・。ジャイアンの方が好きですもん。

自分も、子どものころは、男兄弟3人で、ワルさばっかして、

近所で"ちびっ子ギャング"って呼ばれてましたから。


(欲しいひみつ道具は?)

今、新弟子勧誘とかで、地方ばっかり行くんですよ。

でも"どこでもドア"があれば、1日に何か所も回れますからね。

からだが3つも4つも欲しいなってときに、欲しくてたまらないです。

あ、でも、散歩好きなんで、都内では使わないかもしれないな。

(他には?)

今の立場だと、"ほん訳コンニャク"。外国のお客さんが多いので、

何でも通訳できれば、もっと相撲のことを知ってもらえるでしょ。

あとは"雲かためガス"が、いいですね。雲に乗るのが、昔っから夢なんです。

あと"スモールライト"も(笑)。

(えっ!?何で?)

更衣室とか、いろいろ・・・。

とうめいマントより、"見つかるかもしれない"ってドキドキ感があって、

いいじゃないですか(笑)。あっ、これ冗談ですよ!

冗談ですから、(書くの)やめてください!『ドラえもん』にふさわしくないからっ!!


★ぼく、ドラえファン◇ぼく、ドラえもん09/錣山親方★

2004年05月14日(金) 留学生に聞く!あなたの国のドラえもん/ぼく、ドラえもん09
日本学校でひらがなを勉強しています。

勉強で困った時は、ドラえもんをよびたくなりますよ。

両親がきびしかったので、夜遅くまで勉強するふりをして

隠れて『ドラえもん』を読んでました。

貸し本屋さんで毎日5冊ずつ借りましたね。

おじいさんもドラえもんが好きなので、テレビはおじいさんと一緒に観ました。

そうすれば両親にも怒られないんです。

──徐 琳琳(中国)


どこでもドアがあったら、200年前のサムライの世界に行きたい!

ペルーには押入れも畳もないけど、小さいころからアニメで観ていたので、

まったく気にならなかった。

留学してはじめて本物を見た。

放送がないので、アニメはビデオで。

とても高かったので『ドラえもん』のビデオは宝物だったよ。

──高田ジャイル(リマ)


★留学生に聞く!あなたの国のドラえもん/ぼく、ドラえもん09★

2004年05月13日(木) 下妻物語/中島哲也
この映画「こんなに主役が出っぱなしの映画って無いんじゃないか?」

っていうくらい、彼女がずーっと出てるんだよね。

深田恭子さんは本当に大変だったと思います。

あの暑い中、あの重い衣装で。しかもものすごいアクションとかあるしね。

主役として、彼女がずいぶん共演者を支えたっていうところもあって…。


でも、まったく愚痴とか言いませんでしたから…。

ロリータのメイクを含めて、準備からすごい時間がかかるんですよ。

朝の3時くらいから夜中まで撮影続くし。

でも、完璧に演じてくれて。20歳だけどプロっていうか、ベテランっていうか。

それには僕は感心したし、びっくりもしました。ものすごいな、と思いましたよ。

深田さんは。


きっとそういうことは、ご本人はプロの俳優さんだから何も言わないでしょうけどね、

でも、端から見てても「よくヘコたれねぇな!」

ていうくらいに頑張ってらっしゃいましたよ。涙が出そうになるくらい。

感動しましたよ。深田恭子のプロ根性に。


★下妻物語/中島哲也★

2004年05月12日(水) 駄作の大海/都築響一
街にも山にも海にも、アマチュア・カメラマンは生息する。

少々お歳を召したからだにカメラマン・ベスト

(ポケットのたくさんついたやつ)をまとい、帽子にループタイ、

首からも肩からも見るからに高そうなカメラをたくさん下げたアマチュアさんたちを、

君もしばしば目撃するだろう。

 
こういうマニアたちが、実は日本のカメラ業界、フィルム業界、

中古カメラ屋業界を下支えしてきたわけだが、

しかしアマチュアが写真メディアの前面にフィーチャーされることはほとんどない。

写真美術館で彼らの作品を見ることはできないし、

お洒落な写真集となって出版されることもない。

彼らの写真に接することができる機会は、

アサヒカメラや日本カメラといったカメラ雑誌

(これも日本だけにしかないユニークなメディアである)か、

書店の自費出版コーナーに細々と並べられる薄っぺらな「写真集」くらいのものである。

そして僕にはこういうアマチュア・カメラマンたちの写真が、

いま愛おしいといえるほどに興味深いのだ。


 
数年前に出会った、大阪のアマチュア写真家がいる。

七十歳を越えた彼はありあまる財産を武器にもう四十年近くも、

素人の女の子をモデルに雇い、奇妙なヌード写真を撮りつづけて飽くことがない。

彼のあまりにユニークな画面構成に惚れ込んだ僕は、

お願いして文庫版の写真集を三年前に自費出版させてもらったほどなのだが、

彼は一九七〇年代の初め頃にちょくちょく東京を訪れては、

当時の有名カメラマンに作品を見てもらっていたという。

そのひとりに

「君はたくさん写真を撮ってるみたいだが、たくさんの中から一枚の傑作を生み出す、

一点傑作主義を目指しなさい」

と、至極まっとうなアドバイスを受けたことがあるそうだ。

そこで彼が一点の傑作を目指したのかというと、そうではなくて、

「そんなのはプロの考えることだ。アマチュアである自分は、世間に作品を発表する必要も、

それを評価される必要もない。だから自分は一点傑作主義を排し、

駄作の海に沈没する、駄作羅列主義に生きよう!」

と決心したのだという。


★駄作の大海/都築響一★

2004年05月11日(火) 17才/有馬三恵子
走る水辺のまぶしさ

息も出来ないくらい


★17才◇森高千里/有馬三恵子★

2004年05月10日(月) 女一人・日記(3月4日)/辛酸なめ子
私は霊能者よりも、自分を信じます。

私は霊能者よりも、井上和香を信じます。

私は霊能者よりも、ブリトニー・スピアーズを信じます。

私は霊能者よりも、グーグルの検索結果を信じます。

私は霊能者よりも、天気予報を信じます。

私は霊能者よりも、胃袋を信じます。

私は霊能者よりも、自分のまつ毛を信じます。

私は霊能者よりも、神様を信じます。

私は霊能者よりも、PHSを信じます。

私は霊能者よりも、ハーブの効能を信じます。

私は霊能者よりも、ヨークシャ・テリアを信じます……


★女一人・日記(3月4日)/辛酸なめ子★

2004年05月09日(日) 勇気100%/光GENJI
がっかりしてめそめそして どうしたんだい

太陽みたいに笑う きみはどこだい

やりたいこと やったもん勝ち 青春なら

つらいときはいつだって そばにいるから

夢はでかくなけりゃ つまらないだろう

胸をたたいて 冒険しよう


そうさ100%勇気 もうがんばるしかないさ

この世界中の元気 抱きしめながら

そうさ100%勇気 もうやりきるしかないさ

ぼくたちが持てる輝き 永遠に忘れないでね


ぶつかったり 傷ついたり すればいいさ

HEARTが燃えているなら 後悔しない

じっとしてちゃ はじまらない このときめき

きみと追いかけてゆける 風が好きだよ


昨日 飛べなかった 空があるなら

いまあるチャンス つかんでみよう


そうさ100%勇気 さぁ飛び込むしかないさ

まだ涙だけで終わる ときじゃないだろう

そうさ100%勇気 もう ふりむいちゃいけない

ぼくたちはぼくたちらしく どこまでも駆けてゆくのさ


たとえさみしすぎる 夜がきたって

新しい朝 かならずくるさ


そうさ100%勇気 もうがんばるしかないさ

この世界中の元気 抱きしめながら

そうさ100%勇気 もうやりきるしかないさ

ぼくたちが持てる輝き 永遠に忘れないでね


★勇気100%/光GENJI★

2004年05月08日(土) 吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×滝田ゆう
滝田 絶えず地べたに倒れていたという感じですね。

いまも、倒れてみないとわからないですね。

やはり目の位置があるから、あのへんで地べたにぴったり倒れて見ると

あのころの気分がよみがえってくるんです(笑)。

まだ、新宿の中央口のほうにトイレがあったころですけれどもね。

あのころは道がすごく悪くて、倒れたらそれっきりという感じでね。



吉行 玉の井というのは、外の人間にとっては、飾り窓であって、

抜けられますという迷路で、陰気な、陰惨な代名詞みたいなもので、

それがまたよくていくというのがいて……。

住んでいる人にとってはどんな感じでしたか?

滝田 やっぱり開けっぴろげなところがあったんじゃないですか。

陰気じゃないですね。だから、下町人情どうのこうのより、

エゴ丸出しみたいな部分があったように思います。おふくろがとくにそうでした。

吉行 そうとうすごいおふくろさんがいて、お灸ばかりすえられていりゃ、

町の陰気も陰惨もないんだね、これは。

滝田 明けても暮れても怯えていて、蒲団に入って寝るときが楽しいのと・・・。

吉行 まるで軍隊生活ですね。



吉行 今日は玉の井の話を聞こうと思ったけど、おふくろさんが前に立ちふさがっちゃって。

玉の井を滝田さんは地べたに寝てながめているのかと思ったら、

上から鳥瞰的でなければ見れない形になっていたわけだなぁ。


★吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×滝田ゆう★

2004年05月07日(金) 吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×今東光
今 教会の牧師は坊主よりわりがいいというんだ。

坊主のほうは後家ばばあばっかりだけど、ヤソはきれいなお嬢なんてのが来るから、

選び取りで結婚しやがる。けしからんよ。



今 いまの若いチクショウはしあわせだ。

おれらの時分は、往来で拾う女はゴミみたいな女でな。



今 きみのお父さんと一緒にいた内藤辰雄なんてのは、アイヌの末孫と称して、

顔の長さが一尺くらいあるような馬づらのヤロウだったけど、

あれなんかどうやって生きてたんだか・・・。きみのうちは、名門か、金持ちか。

吉行 じじいが土建屋をやっていましたから、カネはあったんでしょうね。

今 きみのおとうさんは、われわれのあいだでは、いいうちのぼんぼんということになっていた。

だから吉行エイスケはたかられたよ。

いちばんたかったのが内藤だ。


★吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×今東光★

2004年05月06日(木) 吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×色川武大
色川 だって治しようがわからないんじゃ、あなたは確かにナルコレプシーですと言われただけじゃ、

(病院に)行ったって行かなくたって・・・。

それで、自分が特徴だと思ってたものが単なる症状じゃないかという気が、

今してるわけです。

吉行 ただ、特徴と症状は非常に密接に絡み合ってるでしょう。

色川 絡み合ってますけれど、単なる症状なんで、この病気が治ったら

まったく特徴のない男になっちゃうじゃないかと思って(笑)。



色川 映画館とかそういうところは普通の日は午前中やってないんですよ。

ですから上野公園の草むらなんかでやっぱりうずくまってるんですけれど、

相撲がはじまるとそっちへ行って、出世しそうもない悲しいのを自分とだぶらせて一生懸命・・・。

吉行 それは小学校の時ですか。

色川 小学校から中学にかけて。

吉行 その年齢で、出世しないという感覚というのはどういうんだろうね。

はみ出しているということですか・

色川 とにかくどうするんだろうと思ってドキドキしちゃうんです。

自分もどうするんだろうと思ってるわけですからね。


★吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×色川武大★

2004年05月05日(水) 吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×殿山泰司
吉行 そろそろ、結論にいくと、女になまじ脳味噌があるというのは、

造物主がまちがいましたね。

もし、お脳がなくて、あちらだけおありになったら、

人生はどんなにすばらしいかと思う(笑)。

女というのは、たとえば、まちがっていることを説得しようと思っても、

絶対不可能でしょう。

殿山 だから、ぼくは女とまだはなししたことがない(笑)。


★吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×殿山泰司★

2004年05月04日(火) 吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×立川談志
立川 ぼくらがそのひとの噺を聞きたいと思って、

そういう噺家になりたいと思っている師匠が出てるのに、帰る客がいる。

ほんとうに胸ぐらつかまえて「おまえ、ここになにしに来たんだ」といいたくなるくらいですね。

文楽師匠が出ると帰る客がいるわけですよ。ほんとに、そういいたいですね。

「なにしに来たの。落語聞きに来たんじゃないの。これが落語ってもんだよ。

これが落語だよ」って。

吉行 あなたはほんとうに落語が好きなんだな。

立川 好きですね。ぼくがいちばん好きなんじゃないかと思う。

ときどき寄席の外に出て、看板を見上げるんですよ。

桂文楽、古今亭志ん生、三遊亭圓生、柳家小さん・・・と名前が並んでて、

あとのほうに立川談志と書いてあるでしょう。

心の底から嬉しさがこみあげてきて、ああ、おれはいい商売を選んだと思いますね。


★吉行淳之介エッセイ・コレクション4/吉行淳之介×立川談志★

2004年05月03日(月) ドライブイン・カルフォルニア/松尾スズキ
思われても、やるけれど。気を使ってやってるわけじゃない。

俺はただ、無邪気に兄として、うん。

無邪気な挨拶として、やってるんだ。



私はね、たいていのトラブルは花を見ることで乗り切ってる。

だから他人にも一つ、乗り切ってほしい、とそう思ってさ。



おまえを叩こうとも思ったが、その気もなくなった。

頭に花乗っけて、人は叩けない。

頭に花を乗っけて叩きたいのは、太鼓だろう。太鼓だろう?



暴れてくれて 

ごくろうさん


★ドライブイン・カルフォルニア/松尾スズキ★

2004年05月02日(日) ドライブイン・カルフォルニア/松尾スズキ×辛酸なめ子
松尾 うちの奥さんが辛酸さんのすごいファンで、「知り合いになれ!」

という命令を受けまして。



松尾 (横尾忠則さんの話)7年ぶりに映画を見たら、音の大きさがすごくて、

「これはホラーだ」って解釈して出てきたらしい。
   
7年間映画を見なかった理由が「とくにない」っていうのがスゴイよね。

普通意味が出る時間じゃない。

辛酸 何を見たんですか?

松尾 『ハルク』(笑)。7年前は『寅さん』だったらしい。

これは『ハルク』だけの現象かと思って、もう一本『赤い月』を見たら

「やっぱりホラーだ」って。「普通の話し声がデカいのが怖い」って。

とりあえず「映画はホラー」で「もう2度と映画館にはいかない」って。

「音さえ下げてくれれば・・・」みたいな話になってた。



辛酸 (芥川賞の取材で)金原さんを見ました。

まわりには金原さんの友達がいたんですけど、

みんな細くてモデルみたいなすごい美少女揃いで。

松尾 どういうコミュニティを作ってるんだろうなあ。金原派ですか?綿矢派ですか?

辛酸 外見は綿矢派なんですけど、綿矢さんに「その服はどこで買ったんですか?」

って質問したら、「百貨店でお母さんと買った」って言ってて、あと、

急にショートケーキを食べだしたりして、自分を完璧に演出してたんで、

手に負えないなあという感じがしました。

松尾 食えない感じしますよね。綿矢さんの本名は・・・山田かぁ。

きっと山田じゃ耐えられないんだよね。

辛酸 でも金原さんも、お酒をたくさん飲んで、足を組んでタバコを吸ってて、

ちょっと近づけない雰囲気でした。それを男性たちが遠巻きに見ていて。

北方謙三と渡辺淳一のふたりが、綿矢さんを指さして「ほら、あの子だよ、あの子」

って言って近づいていって、「私の作品なんて読んでないでしょう」とか話しかけてました。


★ドライブイン・カルフォルニア/松尾スズキ×辛酸なめ子★

2004年05月01日(土) ドライブイン・カルフォルニア/松尾スズキ
世の中がどうということとは関係なく、自分の中で動いてる話を書いている

だけなんです。

まあ順番はありますけどね。今回は「死」をテーマに書いたから、

次は「神様ってなんだろう」ということにしようかとか。

ちなみに、次回作は食べることについて書こうと思ってるんですよ。

今まで死ぬことばっかり書いてきたんで、その対極にある「食べる」とか

「生きる」とかがいいかなと。



「人に伝わることを、ちゃんと書こうよ」っていう姿勢でいるんです。

べつに気持ち悪いことだけをやろうとは、思っていないんですよ。

おかしいものとか、かわいいものとか好きですしね。


★ドライブイン・カルフォルニア◇パンフレット/松尾スズキ★

マリ |MAIL






















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