宿題

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2003年09月30日(火) ぐりとぐらとくるりくら/なかがわりえこ
はるのひのあさ、のねずみのぐりとぐらがまどをあけると、

おひさまがへやいっぱいにはいってきました。

「なんだかわくわくする」と、ぐりがいうと、ぐらも

「なんだかうれしくて、じっとしていられない」といって、

にひきは「あさごはんは、はらっぱで」ときめました。

にんじん ピーマン ゆでたまご

チーズ たまねぎ ほうれんそう

キャベツ じゃがいも

ぐりぐらサラダ


ピーナツバター ママレード

たんぽぽ クローバ パセリとセロリ

パンに はさんで 

ぐりぐらサンド


★ぐりとぐらとくるりくら/なかがわりえこ★

2003年09月29日(月) ポケットの中/どんと
さあさあ みんなきいとくれ

今の世の中に 飽きたらず

恵まれたうちを飛び出した

プータローが増えている

なんにも苦労はないくせに

このまま死ぬのもいやだとか

理想は高くて夢を追う

プータローが増えている

ヤワなからだで 何が できる

つよくなろう もう うじうじするなー


もらえるものは何もかも

ポケットの中にねじこんで

自分ひとりが味方だぜ

楽しくやらんかい


女が欲しいプータロー

つよーい体が必要さ

あーだこーだと口説くより いきなりやっちまおう


サイケデリックなプータローも

つよーい体がいるんだよ

何をどれだけキメたって たおれちゃ情けない

ヤワなからだで どこまで飛べる

つよくなろう もう うじうじするなー


もらえるものは何もかも

ポケットの中にねじこんで

自分ひとりが味方だぜ 楽しくやらんかい


★ポケットの中◇ボ・ガンボス/どんと★

2003年09月28日(日) 行くZYX! FLY HIGH/ZYX
U CAN DO DA!

宇宙みたく Wow Yeah

TIME TO DO IT!

耀こう!行くZYX BABY!


蜜のように 羽のように

夢のように 胸のように

やわらかく 美しく YES! FLY HIGH


ビルみたいに 街みたいに

奴みたいに パパみたいに

優しくって いつも在って HOLD ME TIGHT!


★行くZYX! FLY HIGH/ZYX★

2003年09月27日(土) 抱いてよ!PLEASE GO ON/後藤真希
GO GIRL BABY YOU DON'T STOP

GO GIRL BABY CRAZY FOR YOU

胸がときめく 気すんの!

愛が振り向く PLEASE GO ON

一生後悔 するつもるかい? 楽勝ゼロ敗 自分次第

ALL RIGHT このまま行こうぜ!

LET'S GO 最高なMiracle


★抱いてよ!PLEASE GO ON/後藤真希★

2003年09月26日(金) 「スペインの宇宙食」発刊記念イベント/菊地成孔
(ジャンクフードの話が好きなんですか?と聞かれて)

好きです。食べられないから。

アメリカの派手なお菓子とか、食べても吐いてしまったり、

身体が受け付けない。

アメリカが好きなんですよ。


(アメリカのどういうところが?)

大嫌いなんだよ、アメリカ(笑)。

この間行った時も、音楽が合わない、

食事が合わない、文化が合わないで、

帰りたくて帰りたくてたまらなかった。

全部最高なんですけどね。

今はいい思い出です(笑)。


(菊地さんの文章は本当か嘘かの裏付けが大変だったと言われて)

全部嘘にしてしまうと、それは全部本当なのと一緒だから、

半分半分にするのがいい。


ゴダールにイレブンPMを撮って欲しくて、

でもそれは無理だから、自分でそういうものをやってる。


自分にとってのアイドル作家はヘミングウェイと筒井康隆。


ゴダールを先生にしてるということは、

退屈で眠くなる部分がなくては駄目。

今回の本でも最後の小説はかなりそうできてると思うよ。


(でも菊地さんの書くものは退屈できないものになってるのでは、と言われて)

それはゴダール大学の生徒としては失格。

ゴダールって嫌いな人が多いじゃないですか。

あとはものすごく好きで、もう愛憎いりまじってるか。

僕の尊敬する中原昌也くんなんかはゴダール嫌いの最右翼ですけど、

彼のはもう、あれ好きなんだと思うな。

嫌うことでしか愛せないのがゴダール。


アムステルダムに行った時に俺の街だと思ったもん。

俺、治安が悪いとこに行くと良く眠れるの。

スイスの山奥とか行くと寝れないんだよな。


(岩澤さんに)今日のおまえはかわいいなぁ。


★「スペインの宇宙食」発刊記念イベント/菊地成孔★



■あと、一緒に話していた小学館の人の話も。

「神保町の三省堂では「世界事情」のコーナーに置かれてた」
「(各章にフランス語の題がついてますよね。
自分なりに訳してみたんですが、泣きそうになりましたよ(恥ずかしそうに)」

2003年09月25日(木) 母・武田百合子と富士山荘の思い出/武田花
『富士日記』は母の生前、一度だけ通読しましたが、母がいなくなってからは、

どうしても読めない、読みたくないんです。

どのページを開いても、ダメなの。

たとえば朝食の献立を見ただけで涙が出そうになっちゃって、

情けないけど、親が死んで、こんなにがっくりくるとは思わなかった。

あんなに頼りがいのある、おもしろい母親が死んじゃうなんて、

ああ、本当にイヤになっちゃうって、ずーっと不安定な状態でしたね。


ある日、いきなり、母に『花子は明日から寄宿舎に入るんだよ』と言われ、

呆然としているところに大きな犬だか熊だかのぬいぐるみを買い与えられ、

翌日には車で運ばれ寄宿舎に入れられたんです。

当時の私って、自閉症を疑われるほど内向的でね、

泣いても喚いてもしょうがない、とすぐ諦めました。


食べ物のことでも汚いからやめなさい、とか身体に悪いから食べてはいけませんとか

そういうことをうちの母は全く言わなかったので、子ども心に

”うちのかあちゃんの子どもでよかった”と思ってました。


実はね、写真なんて、ぜーんぜん興味なかったんですよ。

でもあまりに成績が悪かった私を心配した父が知人に相談したところ、

”何か道具でも持たせろ、カメラなんてどうだ”

って忠告されたらしく、いきなり買い与えられたんです。

で、ほらその頃の私って聞き分けがいいから(笑)、黙って受け入れた。

最初のうちはつまらなかったけれど、猫を取り出してからかな、次第におもしろくなってきて。


あけっぴろげで明るくて、というイメージだけを抱いている方もいるみたいですが、

なんかニヒルな侍みたいなとこもあった、『大菩薩峠』の机竜之助みたいな。


★母・武田百合子と富士山荘の思い出/武田花★



■クウネル創刊号から。

2003年09月24日(水) 歩みつつ垣間見た美しい時の数々/ジョナス・メカス
目を覚まし窓を見ると、外は朝。

大人になってから、これほど牧歌的で静かな朝は見たことがない。

あの静けさはもう帰ってこない。

再び眠りに落ちる。思い出のかけらが蘇る。

苦悩と苦痛に満ちた眠りが訪れる。



静かな場所にひきこもり、ひとりきりですべてを解決すべきなのだろうか。

いいや、そうではないという声がした。

ここにとどまり、これまで通り仕事をつづけながら、別の方法をみつけたまえとその声は言った。


★歩みつつ垣間見た美しい時の数々/ジョナス・メカス★



■唄だけと思ったけどやっぱり。
字幕の文章から。

2003年09月23日(火) 歩みつつ垣間見た美しい時の数々/ジョナス・メカス
わたしには人生のことは何1つわからない


でもわたしは美しいものを見たことがある

美しいもの、そして幸せをほんのわずか垣間見たことがある

そう、わたしは見たことがある、美しいものと幸せを


自分がどこにいるのかわからない

自分がどこにいるのかわからない

自分がどこにいるのかわからない


でも歩みながら、美しい時、幸せな時を、

ほんの一瞬ながら経験したことは知っている、友よ!

そうだ、歩みながら、美しい時をほんの一瞬ながら、

経験したことは知っている、友よ!


★歩みつつ垣間見た美しい時の数々/ジョナス・メカス★



■横須賀ヨコビル5F(元横須賀劇場)
ヨコスカ・シネクラブ30th Anniversary

いいなぁと思うところを抜き出すと、
全部書かなくちゃならなそうなので、最後の唄の一部だけを。

訳者は木下哲夫さん。

2003年09月22日(月) カンバセイション・ピース/保坂和志
ここに住むようになってから「家」のことをしょっちゅう考えているけれど、

ところでアウグスティヌスとかトマス・アクィナスとかスピノザとかが書いた

神の存在証明を読みかじっていると、どれも共通していることに彼らはまず

「神は存在するのだ」という大前提を立ててから、

「神は直接に見たり聴いたりする仕方で感じることはできないのだ」

としてひじょうに抽象的な論議を尽くすことによって神が存在することを証明するという、

とても奇妙な、科学的な論証とかけ離れた論証の仕方をしているのだけど、

それを読む私はなんだか別種のリアリティを感じていて、何と言えばいいのか、

つまり一種興奮している。

引越しした次の朝にこの家の匂いを嗅いで回っていた猫たちの行動や、

はじめて英樹兄が来たときのポッコの態度から、

私はかつての住人がこの家に残した匂いという痕跡を集めるところからはじめるという、

まあ科学的に納得できることを考えているけれど、アウグスティヌス式の論証方法を使えば、

「家にはかつてそこに住んだ人たちの気配がいつまでも残るものなのだ」

という前提をいきなり立ててしまってかまわないのかもしれないなんて思う。


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月21日(日) カンバセイション・ピース/保坂和志
窓の外の手摺りは暗さに紛れていて、そこにいまポッコやミケがいて、

夜風にあたりながら庭の虫の鳴き声や外の猫が立てる物音に耳をすましていたとしても

私には見えなかったけれど、私が空き地を隔てて見ているこのときに

手摺りにポッコがいたとしてもいなかったとしても同じことなのかもしれないという思いが、

強いリアリティを持って生まれてきた。


たとえば一枚の絵に猫が描かれているとき、

その描かれた猫という個別性の向こうに作者が思い浮かべている個別の猫の系統があり、

その絵を見る者にも個別の猫の系統があり、それらは別々のものなのだが、

見る側がその絵に対してある思いを抱くなら、

その描かれた猫は作者と見る側それぞれの個別の猫の系統の一端でなく

普遍性を媒介する機能を担っているはずで、

夜の暗さが窓の手摺りという知覚の直接性を隠しているということは

空間が認識の普遍性に移行したということで、

普遍性が本来持つ相反する二つの事象を共に浮びあがらせているのだから、

ポッコがあそこの手摺りにいることもいないことも同じになる……というようなことなのだが、

このとき私が感じたリアリティを説明するには私の言葉は、

─中略─

弱く、ポッコが手摺りにいるかいないかを同じにできるとしても、

チャーちゃんがいないことまでは救わないようだった。


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月20日(土) STAR FRUITS SURF RIDER/CORNELIUS
まちを歩いていた

軽いめまいがした

僕の頭のまわり

星がひかってた 


僕のそばに居る

猫が僕を見る

猫の目の奥に

星が光ってた


海のそばにいた

少し寒かった

星が凄かった

誰もいなかった


★STAR FRUITS SURF RIDER/CORNELIUS★



■コンドルズ「Stardust Memory」の中で印象的に使われてた曲。

他に
小泉今日子「スターダストメモリー」
光GENJI「スターライト」
ブルーハーツ「星をください」
ユニコーン「スターな男」
なんかもかかってました(他にもいっぱい)。

曲がこんなだったせいか、舞台の作りがそうだったのか、
一緒に行った子が、そういえば私にコーネリアスを教えてくれた子で、
その頃私は小沢健二が大好きで、TVKで録画した「ラブリー」の
ビデオクリップと、小山田圭吾がラジオでしゃべってるのをとった
カセットテープを交換したりしたことを思い出したり。
(フリッパーズギターのことはその後しばらく気付かなかった)

2003年09月19日(金) カンバセイション・ピース/保坂和志
私と妻が同じことを憶えているということは、同じことを見たということでもあった。

人が二人いればアングルは当然二人だけれど、妻が思い出す言葉で私の記憶が強められ、

私が思い出す言葉で妻の記憶が強められるのだから、いまでは私の視線が妻の視線で、

妻の視線が私の視線になっている。

しかしそんな記憶のやりとりをする以前に、チャーちゃんのいたずらを見つけたそのときに、

二人は素早くお互いのアングルを使って、

目の前で起こっていることをいっぱいに楽しんでいたのだ。


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月18日(木) カンバセイション・ピース/保坂和志
解散するまで従姉兄たちがビートルズのレコードを買いつづけていたことは間違いないけれど、

ただの記憶というのを超えて全身が反応するくらいの深さで私が憶えてるのは

手のこんだ音楽に移っていく前のビートルズの方だった。

歌を作って歌うことを通してどんどん内面的に成長して

世界の出来事とも関わるようになっていったビートルズのファンにふさわしい政治的な関心を

従姉兄たちが持っていなかったことは知っていたけれど、その理由を私は、

自分の親の葬式の席でまわりの人たちに聞こえるような声でわざとバカバカしい話をして

笑わなければ気がすまないような従姉兄たちの性分によるもので、

レコードを出すごとに内面化の度合いを増すビートルズの変化を「疑わしい」

と感じていたという風に漠然と想像していたのだけれど、

もっとずっと単純に、音楽の趣味の問題だったのではないかと思った。


だから私にとってビートルズといったら初期ビートルズのことで、

「あの娘おまえのこと好きなんだぜ。イェーイェーイェー」

みたいな歌が、みんな揃って賑やかにしていたこの家のことだった。


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月17日(水) カンバセイション・ピース/保坂和志
それで最初の怖い怖くないの話に戻って、私自身はどうなのかと言うと、

奈緒子姉や幸子姉と同じように怖がってもよさそうなものだけれど、

実際は怖くなくて、たぶん三匹の猫たちがこの家の中を歩き回っていることが

私の体の延長のような役割を果たしてくれているかららしい。


夜、私一人で一階の居間にいるときに、二階でミケが窓から外を眺めているとか

窓の敷居に寝そべっているとか、南の縁側をジョジョがとってんとってん歩いて

風呂場まで行ったというようなイメージが浮かんでくるだけで、

この古い家の夜が子どもの頃に感じた物陰に何かが潜んでいるようなのと違った

見通しがいい家のように思えてくる。


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月16日(火) カンバセイション・ピース/保坂和志
「鎌倉と東京湾以外は見たことないから、知らない」

と私は言った。

「エーッ!じゃあ、昔はずうっと鎌倉の花火しか知らなかったっていうことじゃないですか。

鎌倉しか知らないのに、『鎌倉が日本一だ』とかなんとか言ってたんですかァ」

「当然」

と私が言うと、「そういう人じゃないか」と浩介が言った。

「そうじゃなかったら、横浜ベイスターズなんか応援するわけないじゃないか。

この人は何でもかんでも自分がたまたま知ってることが一番なんだよ」


★カンバセイション・ピース/保坂和志★

2003年09月15日(月) すいか/木皿泉
「お墓って人類の発明よね、死んだ人を忘れないように。

でも、安心して忘れなさいっていうために、作られたものだと思うわ」


「出張で帰ってきたの?」

「え。あ、いやー」

「あ、休みとって?」

「ええ、まぁ…」

「そんな勤め始めたばっかなのに、休んで大丈夫なの?」

「ちゃんとワケを話してきましたから」

「ワケって?」

「僕の大事な人の猫がいなくなったんで、あの、休みます、って」

「え?え、それだけで休みとって帰ってきたの?わざわざ札幌から」

「それだけでって言うけど、大変な事じゃないですか。

ツナヨシがいなくなったなんて、僕にとったら一大事ですよ」

「……よく休みとれたね」

「社長が、それは大変だから行ってやれって」

「うそだ」

「いや、本当ですって」

「そんな。そんな会社の社長さんがそんなこと言うわけないじゃん。

たかが……猫のことで。そんなのありえない」

「いや、本当なんです。行ってやれって。僕もびっくりしたんです」


「うわー、ね、これってお母さんの手作りっすか?」

「もーこればっか。他に作るもんないのよ、オフクロ」

「そんな貴重なもの、うちで食べちゃっていいんすか?」

「いいのいいの。うちのやつ、全然食べないから」

「なんで?んまい!んー」

「なんかね、魚の目が怖い!とかってぶりっこすんのよ、うちの奥さんは」

「ふーん」

「誰も食べないから送ってくんな、なんて言えないしさ、オフクロに」

「ん?間々田さんも食べないんすか」

「いや、うちのやつがね、キモチワルーイとか言い続けるもんだから、

食べられなくなっちゃってさ」

「こんなにおいしいのに」

「や、昔はね、大好物だったのよ。家族が変わると好みも変わるもんなのよ」

「いやしかしうまいなこれ」


お父さん、人の縁て誰が作ってるんでしょうね。

聞いた話では、神様があっちのひもとこっちのひもを持ってきては、

テキトウに結んだりしているらしいです。

昨日会うこともなかった人が、今日なくてはならない人になってるなんて、

他に説明のしようがないんですから。

ちょっとしたことですぐにほどけて傷ついたり、なかなかほどけなくてイライラしたり。

そしてどんなに親しくなっても、最後は必ずほどけて終わりがくるのです。


★すいか/木皿泉★

2003年09月14日(日) ジャズ大名/岡本喜八
「ごくろう。して、本家では何と申しておった?」

「は。かかる時期、このような黒き者など助けるとは迷惑至極。

人知れず処分するなりなんなり、良きにはからえ、とのこと」

「処分?するなり……なんなり。ん……、余はなんなりでいくぞ」


★ジャズ大名/岡本喜八★

2003年09月13日(土) ノクターン 月下の歩行者/維新派
アメアガリ ミズタマリ ツキアカリ ヒトリキリ


★ノクターン 月下の歩行者/維新派★

2003年09月12日(金) サザエさん うちあけ話/長谷川町子
母は日によって、コドモのカオをわすれ、よその人だと思いこみます。

「わたくしも、昔はやりてだなんていわれたこともあります」

こちらもちょうしを合わせて、

「ハーさようですか」

「しかしそんなことはことばみんなむなしくくだらないことばかりです」

「フーン、すると、人生なにが一ばん大切なのでしょう?」

「ハイ、それはけんそんでございます」

すると、きおく力は死んでも、思想思考のさいぼうは別なのかな?……


(反抗期を過ぎて、おばあちゃんをとても大事にしていた姪が結婚し、海外に)

タカコは、母とのわかれが一ばんつらかったらしく、

「おバアちゃまがなつかしいあまり思わずこちらのお年よりに声をかけたり、

にもつをもってあげたりします」

という便りがきます。

母はマゴの名を一度もよびません。

「わたくしは、父も母も島津はん士の家でして、

母は、おヒメさまのおあそび相手に、ごてんにあがったことも、ありました……」

としきりに親を恋いしたうのです。

姉は

「一しょに昔話もできないなんて…もうお母さんはいないも同じだ……」

と、こぼします。

諸行無常です!

「キミ、なげきたもうな、すべてこの世はうたかただよ、絵のてんらん会でも見にいこう!」

「ウン、いこういこう!!」

かくしてよそおいをこらした姉妹は、つかの間の楽しみをもとめ、

まちにくり出すのでありました。


★サザエさん うちあけ話/長谷川町子★

2003年09月11日(木) サザエさん うちあけ話/長谷川町子
まァ、二年に一回くらいの周期でしんこくな迷いが生じるのです。

思いたつと、直ちに実行にうつす、軽はずみな、性格で、

「あたしマンガやめたッ!!」

紙、ペン、ふで、物さし、ハケ、参考書をズタズタにして、火をつけます。

このケムリがあがるや、インディアンがのろしをみとめたごとく、家中おどってよろこびます。

だれ一人としていさめる者はいないのです。

私が八の字をよせて案を考えているうしろ姿が、いやだと皆で叫ぶのです。

母「やりたい!と思うことをドンドンやってごらん、大さんせいヨ」

「でもサ、あたしがやめたら姉妹社どうなる?」

姉「コセコセすんな!あんなもなァ明日やめたっていいんだ!

ヤタイでも引けば何とかたべていけるよ」


そこで、自由の身となった私は、紙ネンドを買ってきて、くる日もくる日も

人形やどうぶつをつくります。

「上手ねー!マンガよりいいよ」

「ほんと!」

ししゅうをします。

「くろうとハダシだわ」

ぬいぐるみの動物をつくります。

「なにをやらせてもこのこはうまいヨ!」

バカじゃないかしら、うちの家族!!



「いじわるじいさん」という外国マンガが、文春のマンガ読本に、レンサイされていました。

主人公はおバアさんのほうが、グッと迫力あるのになぁと、思いながら見ていました。


サザエさんとて、コドモさんに無害のホームマンガ。

読まれる方は、無害でもかくほうは、取材はんいが、かぎられているから、四苦八苦です。

ザッシ、エホンもふくめると七千回以上かいたのですから。

ヒューマニズムに、あきていたところに、サンデー毎日しんねん号8ページをたのまれ、

「いじわるばあさん」をかきました。



妹の主人が読売しんぶん社の記者なので、ぎりの姉のヘンクツぶりにおどろいて、

「おねえさん、もっとどんどん知しき人や文化人とつき合いなさい。必ず得るところがありますヨ」。

たとえ得るところがなくとも、私は犬とねころんでいるほうをえらぶナマケモノ。


★サザエさん うちあけ話/長谷川町子★

2003年09月10日(水) サザエさん うちあけ話/長谷川町子
久留米のれんたい、そして中支からラブレターが届きます。

と、いっても軍りつきびしいから、内容は暑中見まいとさしてかわりません。

「早くへんじをあげなさい」りちぎな母はうるさく姉をせっつきます。

ところが無類のフデぶしょうでため息と共に、

やたらとびんせんのかき損じの山をきずくだけで一日のばしです。

ついに見かねてヒットラー(※家族内でのお母さんのあだ名)が代返を決行。

アズマ(※お姉さんの旦那さん)と母との間にラブレターが、せわしく往復し、

やがて彼はヒシと母のレターの束をむねにビルマに発って行くことになります。

─中略─

その頃です。義兄がインパール作戦で玉砕したのは。

もどってきた姉の顔。とっても見られません。

「いや信じないワ。ぜったい帰ってくる。かく信があるもの。あたしいつまでも待ってる!」

朝日新聞からの内報ですからまさかまちがい無いと思うけど

本人がああ言ってるのにまわりで余りなげくのも変なので、

この件はひとまずおあずけとなりました。


★サザエさん うちあけ話/長谷川町子★

2003年09月09日(火) くらしの手帖/大森克己
まずカメラを持つ前に、何故、何のために写真を撮るかよく考えましょう。

写真を撮るには大きな覚悟が必要です。

被写体の気持ちを考えろ。そして裏切ることを忘れるな。

絶交を覚悟せよ。独りになれ。

現在の自分というものを簡単に信じるな。

しょせんあなたの理解はあなたを超えられない。

世界はあなたの友達ではない。

直感は大切だ。ことばで説明できることは写真に撮るな。

未来の記憶を思い出せ。

そして世の中には写真に写らないものがたくさんある。


★くらしの手帖/大森克己★

2003年09月08日(月) 点子ちゃんとアントン/エーリヒ・ケストナー
「ねえ、笑いごっこしない?」

点子ちゃんは、アントンがやりたいか、やりたくないか、まるでおかまいなしに、

アントンの手を取って、つぶやいた。

「ああ、ああ、笑う気分じゃぜんぜんないわ。あたし、とっても悲しいの」

アントンは、きょとんとして点子ちゃんを見た。

点子ちゃんは、目を見ひらいて、おでこにしわを寄せている。

「ああ、ああ。笑う気分じゃぜんぜんないわ。あたし、とっても悲しいの」

点子ちゃんはくりかえした。それから、アントンをつねって、ささやいた。

「あんたもやるのよ!」

アントンは点子ちゃんの言うとおりにした。

「ああ、ああ、笑う気分じゃぜんぜんないわ。あたし、とっても悲しいの」

「あたしこそ」

点子ちゃんは、ぐっと気持ちをこめて、つぶやいた。

「ああ、ああ、笑う気分じゃぜんぜんないわ。あたし、とっても悲しいの」

そして、ふたりの目が合うと、ふたりともわざとらしい悲しげな顔つきをしていたので、

げたげたと笑いころげた。

「ああ、ああ、笑う気分じゃぜんぜんないわ。あたし、とっても悲しいの」

こんどはアントンがやり始めて、ふたりはますます笑いころげた。

しまいには、目をあわせることもできなくなってしまった。

ふたりは笑って笑って、とめどがなくなり、息もつけないほどだった。

人間のほうが、立ち止まっている。ピーフケは、おすわりをした。

このふたりも、とうとうおかしくなったか、とダックスフントは考えた。

点子ちゃんはピーフケをだきあげた。そして、子どもたちは歩いていった。

けれども、ふたりともそっぽを向いていた。

そして、点子ちゃんが何度かくくっと笑って、笑いごっごはおしまいになった。

「あーあ!」

アントンが言った。

「くたびれた。完全に笑いすぎだ」

アントンは、笑い涙をぬぐった。


★点子ちゃんとアントン/エーリヒ・ケストナー★

2003年09月07日(日) ナイト・オンザ・プラネット/ジム・ジャームッシュ
”ファック・ユー””ファック・ユー”

いい家族だ。


★ナイト・オンザ・プラネット/ジム・ジャームッシュ★

2003年09月06日(土) I LOVE ペッカー/ジョン・ウォーターズ
「市の児童福祉課のデボラ・クロンブスと申します。クリッシーね?」

父「何のご用で?」

「お助けに参りましたの」

父「頼んだ覚えはないが」

「新聞でお嬢さんの写真を拝見しました」

ペッカー「妹は別に何も」  

姉「すごく元気よ」

母「ちょっと砂糖に目がないだけです」


おばあちゃん「すぐキレるわ」

「お嬢さんは愛情不足による過敏反応症です。直すには──このお薬を」


姉「あの子すぐ興奮するわ」

ペッカー(あきれぎみに)「偏食も直る?」

「この薬を飲めばきっとよくなりますわ」

ペッカー「大げさだよ」


★I LOVE ペッカー/ジョン・ウォーターズ★



■それまでそんなに気にしてなかったのに、
児童福祉課の人に言われて突然深刻になって、
クリッシーに薬を飲ませる家族、という場面で。

お父さんなんて「家族の危機だ」とかまで言い出すのですが、
こういう時に「大げさだよ」って普通に言えるのって、とか。

2003年09月05日(金) エレクトリック・サーカス/thee michelle gun elephant
昼間の街は 平らな庭で 

夜になってから 花が咲く

赤いサイレン ライトの群れ 

クラクションの中 キスをした


俺達に明日がないってこと 

はじめから そんなの わかってたよ

この鳥たちが どこから来て どこへ行くのかと同じさ


エレクトリック・サーカス 燃えあがる空

澄みきった色の その先に散る


きらめくタイヤ 火花散らして 

地鳴りのエンジンが踊ってる

そこにいるはずの 星と月 

やわらかに通る 彼女の声


エレクトリック・サーカス 燃えあがる空

澄みきった色の その先に行く


俺達に明日がないってこと 

はじめから そんなの わかってたよ

この鳥たちが どこから来て どこへ行くのかと同じさ


エレクトリック・サーカス 燃えあがる空

澄みきった色の その先に散る


エレクトリック・サーカス その先に行く

夜になってから 花は咲く


★エレクトリック・サーカス/thee michelle gun elephant★

2003年09月04日(木) 点子ちゃんとアントン/エーリヒ・ケストナー
ポッゲ夫人がうめいた。

「わたしもう、頭がへんになりそう」

点子ちゃんは、母さんの前に立って、せがんだ。

「それ、いい、ママ、頭へんになってみて!」

「これ以上へんになる必要なんて、ありませんよ!」

ベルタさんがどなった。

これは、本来ならちょっと出過ぎたものの言い方だったのだが、

ポッゲ夫人はそんなこと、これっぽっちも気づかなかった。


★点子ちゃんとアントン/エーリヒ・ケストナー★

2003年09月03日(水) 好きでたまらニャい/藤子F不二雄
「どうせぼくなんか…だめだい」

だからなにがどうしてだめなんだよ。聞かせろよ。

あのネコになんていったんだ。

「あけましておもでとう、と」

ちょっと気がはやいみたい。

「きょうは中ぐらいのお天気ですね…と。

なぜ中ぐらいかといえば、とくにいい天気でもなく、さりとて悪くもないです」

りくつっぽすぎる。

「そしたらあの子、じいっとぼくの顔をみて…」

うん、なんていった?

「デブはいやだって(のこぎりで自分の体を切る)」

「風船みたいな顔は、きらいだって(でっかいかなづちで頭をたたく)」

(あわてて止めて)あいつがそんなことをいったのか。

「そういう目つきで、じいっと見たんだ」

「ぼくはもうこわれてしまいたい」


★好きでたまらニャい/藤子F不二雄★



■9月3日なのでドラえもん。

頼もしいのび太とダメなドラえもん。

2003年09月02日(火) 座頭市/北野武
お座敷で。

「いや楽しいなぁ、ちゃんと見てるか?」

「見えねえよ」


★座頭市/北野武★



■東京厚生年金会館大ホール

2003年09月01日(月) 笑っていいとも/タモリ×小沢健二
「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも」

という歌詞について。


小沢「今ここでウキウキウォッチングしてるのと、

人生とはとか生命の神秘とかってピュってつながると思うんですよ」

タモリ「それこそがあの歌詞なんだよ」

小沢「そうですか?」

タモリ「それって最大の生命の肯定なんだよね」

小沢「なんだか堅い話になってしまいましたね。すいません。おもしろい話できなくて」

タモリ「いやいや。あんなすごいことを何の嫌味もなくサラッと言えるのが一番すごいね」

小沢「(笑)」

タモリ「人間の能力で一番すごいことは、複雑なものを簡単にするっていうことだね」


★笑っていいとも/タモリ×小沢健二★

マリ |MAIL






















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