宿題

目次(最近)目次(一覧)pastnext

2001年10月31日(水) 鍵のかたち 錠のふしぎ/INAXギャラリー名古屋企画委員会
とんぼ、せみ、かぶとむし、鯉、なす、きゅうり、柿・・・・・・。

工芸品のように見えるが、これらも立派な錠である。

いずれも長さ5センチ前後の小さなもので、手箱や文箱などに使われていたのではないだろうか。

とんぼやせみが部屋の中に迷いこんできたかのように錯覚させる風雅な遊びの演出は、

自然を空間にうまく取りこんできた日本独自の美意識なのかもしれない。


・・・とんぼ。 腰の部分から鍵をさしこむと頭のところから錠がはずれる。

目や腰の一部は真鍮、羽の模様は象嵌。

本物のとんぼが止まっているかのようにタテにつけたらしい。

・・・せみ。 尻の部分に鍵をさしこむと頭が抜ける。羽の筋や胴の凸凹などが非常に精巧。

・・・ふぐ。 口から鍵をさしこむと尾びれが抜ける。

・・・鯉。 鍵穴は目立たないようにエラの下に隠されている。

・・・海老。 鍵を使わないであける「空錠」で目玉の突起を押して引き抜くとあく。

・・・きゅうり。 葉の部分を押すとへたのところからはずれる。

・・・柿。 左の葉を押すとはずれる。柿の実は銅版の打ち出しで、葉、枝、へたは真鍮。


★鍵のかたち 錠のふしぎ/INAXギャラリー名古屋企画委員会★ 

2001年10月30日(火) 皆川明の旅のかけら vol.12
作り手に喜びのない物はやっぱり魅力がない。

そういう気持ちのない、情報からでき上がってしまった物や

オリジナルを複製したような物は何だか淋しそうにみえてくる。

人が作った物が単なる物質ではなく「大切な物」になるために

デザイナーの仕事があるように思う。


★皆川明の旅のかけら vol.12★

2001年10月29日(月) CUSTOM/奥田民生
伝えたい事がそりゃ僕にだってあるんだ 

ただ笑ってるけれど

伝えたい事は言葉にしたくはないんだ そしたら

どうしたらいいのさ


そこで 目を閉じて 黙って 閃いて 気持ち込めて

適当なタイトルで ギターを弾いてみました


頭の中が見せられるなら 見せるんだ

ただ笑ってるだけで 済むのさ


だから 目を閉じて 気取って 間違えて 汗をかいて

あやふやなハミングで 歌を歌ってみました 叫びました


★CUSTOM/奥田民生★

2001年10月28日(日) spring madness/HERMANN H.&THE PACEMAKERS
宇宙飛行士達の大ジャンプが 

今の僕らの生活をとても素晴らしいものにしてくれた

自分の愛こそが最高なものだと信じて 

それもそのはず、今日は晴れ切った春の日


新しい靴が公園を走る

彼だけが忘れることの出来ない何かを追いかけて

そして叫ぶ、愛こそが世界で一番素敵なものさ!

それもそのはず、きっと今日は彼にとって輝く春の日


限り無く青々と茂る木々を 眺める男はその美しさにニヤついている

虫達にほのぼのと餌付けする 彼は明らかに天気にやられてしまった

こじんまりと吹き出す噴水のてっぺんでは 大勢の白いゴーストが踊ってる


約束された地に住む疲れ切った子供らは

ビタミン補給のために花を殺している

そして踊り続ける、次の世紀がやってくるまで

それもそのはず、今日は晴れ切った春の日


ダンディな知らせがあるよ

天国への近道は自分の暗い部分をいつも愛するところにあるらしい

そして幾人かはそれを完璧にこなせるんだ

それもそのはず、きっと今日は輝く春の日


限り無く青々と茂る木々を 眺める男はその美しさにニヤついている

虫達にほのぼのと餌付けする 彼は明らかに天気にやられてしまった

こじんまりと吹き出す噴水のてっぺんでは 大勢の白いゴーストが踊ってる


宇宙飛行士達の大ジャンプが 

今の僕らの生活をとても素晴らしいものにしてくれた

自分の愛こそが最高なものだと信じて 

それもそのはず、今日は晴れ切った春の日


そして今気付く、昼の光を瓶に詰め込んでいる自分に

それはいつでも笑っていたいからさ

その笑みが君に届くように祈ってるよ


限り無く青々と茂る木々を 眺める男はその美しさにニヤついている

虫達にほのぼのと餌付けする 彼は明らかに天気にやられてしまった

彼女の為にヘアカットを一新 もうあの女も時間の問題だ

造られたファンタジーで溢れた 人口成分こそが僕らをカラフルに彩ってくれる


★spring madness/HERMANN H.&THE PACEMAKERS★ 

2001年10月27日(土) Pict-up #13/鈴木清順
――作家性なんて、そんな大袈裟なもん無いよ。娯楽映画撮ってんだからね。

面白くありさえすればいいんだよね。

――アングラなんて貧乏臭くって嫌だよ。映画っていうのは絢爛豪華じゃなくちゃダメ。

――(ロケーションがいいのは)商売だからね。

やっぱりいいところを探してこないと成り立たないからね。

――観る人が『面白い』って言えば面白いんだし、『つまらない』っていえばつまらない。

結局映画なんてものはね、俳優さんを観りゃいいんだよ。

――面白い映画をつくること。それが仕事だよね。

あまり責任を感じないように、『人生かくあるべし』なんてことしちゃいけない。

やる監督もいるよ、その人はその人でいいけど『人生かく〜』なんて入れちゃったら

責任持たなきゃいけない。だからそういうことは一切しない。面白くみてもらえばいい。

1時間52分を娯楽として愉しんでもらえればいい。


★Pict-up #13/鈴木清順★

2001年10月26日(金) 人生を救え!サイン会/町田康 いしいしんじ
「ごはん、たべてますか?」


★人生を救え!サイン会/町田康 いしいしんじ★

2001年10月25日(木) アメリ/ジャン・ピエール・ジュネ
人それぞれに心を癒す方法がある

アメリの場合 クレーム・ブリュレのお焦げを潰すこと


★アメリ/ジャン・ピエール・ジュネ★

2001年10月24日(水) 言葉の果てに雨が降る/HERMANN H&THE PACEMAKERS
瞳は空を吸い込んで 涙の色は水色に

あなたはまだ同じ場所で 空を見上げ 言葉はない

昨日が滲んだ絡まった足取りに 誓える言葉で傷ついた足跡に

去れば許されてしまう あてにならぬ時間に

涙も拭えぬ凍てついた言葉だけ

瞳は空を吸い込んで 涙の色は水色に

あなたはまだ同じ場所で 本当は明日を知りながら

昨日が滲んだ絡まった足取りに 誓える言葉で傷ついた足跡に

去れば許されてしまう あてにならぬ時間に

形もつかめぬ嵩張った心だけ

泣かないで空は青い 僕のみてる夢なら幻

行かないで風は吹いた 声になれば夢さえ幻

僕は

僕の心の果てに怯えて

やがて何も探せぬわけに ためにはならぬ涙を刻みこめ

瞳は空を吸い込んで 涙の色は水色に

言葉のはてに雨が降る 言葉の果てに雨が降る

空から落ちる雨はまるで

瞳を滑る 涙のよう


★言葉の果てに雨が降る/HERMANN H&THE PACEMAKERS★

2001年10月23日(火) Pict-up #13/ミト
言葉はツールってことなんですよ。意味があるとかじゃなくて。

すごいいろんなものが見える鍵のようなものなんですよ。


★Pict-up #13◇ミト★

2001年10月22日(月) 空も飛べるはず/スピッツ
幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて

隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた

色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて


夢を濡らした涙が 海原へ流れたら ずっとそばで笑っていてほしい

切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた

はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて


ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも ずっとそばで笑っていてほしい


君と出会った奇跡が この胸にあふれてる

きっと今は自由に空も飛べるはず


★空も飛べるはず/スピッツ★

2001年10月21日(日) キラークイーン666/宮藤官九郎
あ、お父さん全裸で日光浴してますねぇ。

ん?!ちがった。コンタクトのゴミだった。


★キラークイーン666/宮藤官九郎★

2001年10月20日(土) 100%ORANGE
曖昧はだめよ、でもテキトウは素敵じゃないか!!


★100%ORANGE★

2001年10月19日(金) 同姓同名小説/松尾スズキ
恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい

腰が痛い 腰が痛い 腰が痛い

鰐が怖い 鰐が怖い 鰐が怖い

変死体 変死体 変死体

タイが暑い タイが暑い タイが暑い


★同姓同名小説/松尾スズキ★

2001年10月18日(木) メロン牧場/石野卓球
でも、もう終わったパーティの話はいいよ、基本的に。

やっぱり終わったパーティの話をすることほど、バカな話はないよね。

まあそれで、楽しかったねえとか、友達レベルだったらいいんだけど、

そうじゃなくて、あれはどういう意味?とか言われても。


★電気グルーヴのメロン牧場 花嫁は死神◇BUZZ vol.29/石野卓球★

2001年10月17日(水) 夢追い虫/草野正宗
命短き ちっぽけな虫です 

うれしくて 悲しくて 君と踊る

上見るな 下見るな 誰もがそう言うけれど

憧れ 裏切られ 傷つかない方法も身につけ 乗り越え

どこへ行こうか?

ユメで見たあの場所に立つ日まで 削れて減りながら 進む

あくまでも あくまでも


★夢追い虫/草野正宗★

2001年10月16日(火) グレートピープル。ストレンジ。/いしいしんじ
しかし一生着ぐるみを着つづけ、死ぬまでめくらましに成功したとしたら、それはみじめというより、

「ちゃんと孤独」

であることではないか。

責任もって極限までこの世にひとり、ということではないだろうか。


★グレートピープル。ストレンジ。/いしいしんじ★

2001年10月15日(月) 三人姉妹/緒川たまき
限られた範囲内で会うんだったらいいけれど、会いたくもない出会いがあるのは絶対イヤ。

今何時だかわからないぐらい、一日中家にいられる仕事がしたい。

それで、とにかく突き詰めて突き詰めて衰えていきたい。


★三人姉妹◇パンフレットより/緒川たまき★

2001年10月14日(日) カウボーイ疾走/小沢健二
もう紫陽花の風景や もう丘を歩く彼女の姿 飛ばされていっちまった

もう間違いが無いことや もう隙を見せないやりとりには 嫌気がさしちまった

カウボーイはスペードのエースとか言って 草笛がひどく上手い奴だった

錠剤を噛みしめ 蛇口をひねり 高く高く星を見上げていた

熱がならされてゆき 霧が覆う広告

海から撫でる風にしらけっちまった  純情を帰し 本当のことへと動きつづけては 

戸惑うだけの人たちを笑う

舗道まで散らばって戻らない砂 淋しげにかきならされてるギター

新しい1日がまた始まるだろう 夜明け前の弱すぎる光

日射しが強い真昼 まばたきをかすめとり

陽炎の中に立つ 消えてっちまうものを探して 本当のことへと動きつづけては 

戸惑うだけの人たちを笑う

すれちがう早起きのマラソンランナー にぎやかな時代に落ちてくる朝

新しい1日がまた始まるだろう 夜明け前の弱すぎる光


★カウボーイ疾走/小沢健二★

2001年10月13日(土) 熊谷守一
二科の研究所の書生さんに「どうしたらいい絵がかけるか」と聞かれたときなど、

私は「自分を生かす自然な絵をかけばいい」と答えていました。

下品な人は下品な絵をかきなさい、ばかな人はばかな絵をかきなさい、と、そういっていました。

結局、絵などは自分を出して自分を生かすしかないのだと思います。

自分にないものを無理になんとかしようとしても、ロクなことにはなりません。

だから、私はよく二科の仲間に下手な絵も認めよといっていました。


★熊谷守一★

2001年10月12日(金) 封印再度/森博嗣
門松の三本の竹はね、長さが七対五対三なんだ。

日本の美は、だいたいその七五三のバランスだ。シンメトリィではない。

バランスを崩すところに美がある。もっと崇高なバランスがある。

法隆寺の伽藍配置、それに漢字の森という字もだいたい、三つの木の大きさが七五三だね。

東西南北という文字だって、左右対称を全部、微妙に崩している・・・。

最初からまったく非対称というのでは駄目なんだ。対称にできるのに、わざとちょっと崩す。

完璧になれるのに、一部だけ欠けている。

その微小な破壊行為が、より完璧な美を造詣するんだよ。


★封印再度/森博嗣★

2001年10月11日(木) 詩的私的ジャック/森博嗣
どうして、人が死ぬと悲しいのだろう?

もう二度と会うことができないという理由、ではない。そんなこと日常茶飯事なのだ。

死がそんなに特別な状況とも思えない。誰にでも身近なものではないか。

花が枯れても、人は泣かない。花はまた咲くからか。いや、人間だってまた生まれる。

失われるのは、躰ではない。死んだ者の記憶だ。だが、記憶でさえ電子的に保存することができる。

再生できないのは、人間の思考だ。思考だけが今の技術では再現できない。

けれど、思考が失われるということが、何故悲しいのだろう。


★詩的私的ジャック/森博嗣★

2001年10月10日(水) 科学と抒情/赤瀬川源平
それまで、戦争とは敵を殲滅することであり、敵を外に追いやることであった。

追いやる外部があった時代は、敵を地獄の外に追いやることもできていた。

ところが第二次大戦末に製造された原爆は、その威力の巨大さによって外側をなくしてしまった。

そうでしょう。地球上で原爆を使用すれば、それは、いずれ自分の身にもふりかかる。

自分のスペースが地獄になってしまう。

互いが敵として争えば、その地球規模の破壊力で双方が殲滅される。

こうして地球上の人類には敵を追い散らすべき外側というものがなくなったのだ。

この地球上のすべては自分たちの内側のスペースであり、

そのところで絶対悪の敵というものは縮んでしまった。

結果、戦いに自身をもつことができなくなった。


★科学と抒情/赤瀬川源平★

2001年10月09日(火) 宇多田ヒカル/10月9日の日記
一人の子供が深く傷ついて、泣いてるところを見ると、

なんだか「人類」っていうもの全部が泣いてるような気がするのね。

そして全人類でその子を守ってあげなきゃいけないような気がするの。

守ってくれるはずだった人に裏切られた時って、世界のもの全てに裏切られたような感じ、

するじゃない?

だから九月十一日に起きた突然のテロ攻撃をアメリカだけではなく、

「全人類に対する攻撃」だって言うアメリカ政府の気持ちってちょっと分かる。

でもね、今この瞬間にも行われてるアメリカによる報復の爆撃も、「テロに対する戦争」だって言ってるけど、

どうしてもそれもまた全人類に対する攻撃のようにしか思えないの。

だってどこかでその子がもっと泣いてるような気がするんだもん。


★宇多田ヒカル 10月9日の日記より★

2001年10月08日(月) 世にも素敵なネバーエンディングストーリー/岸潤一郎
小学2年生の時でした。

真夏・真昼の炎天下、坂道の真ん中でガマガエルを喰らう青大将を目撃しました。

実際、目の当たりにしたら、一生目に焼き付く程、これミラクルな現場なんですよ。

先ず睨み合う時間の永さ。恋人同士がキスする寸前みたい。

蛇が蛙に飛びついて絡みつく様は、まるでレイプ。何より蛙を飲み込む蛇の目がなんだか悲しそう。

大人の拳程もある蛙を、子供の手首程しかない太さの蛇が一生懸命飲み込む。

“生きる為”なんて思いたくない。蛇は蛙に恋してたんだと思う。


★世にも素敵なネバーエンディングストーリー◇配布物より/岸潤一郎★

2001年10月07日(日) 大パーティの準備/トーベ・ヤンソン
ただ、しんせつなだけで、人のことが、ほんとうにすきではないような友だちなら、ほしくないや。

それに、自分がいやな思いをしたくないから、しんせつにしているだけの人もいらないや。

こわがる人もいやだ。ちっともこわがらない人、人のことをこころから心配してくれる人、

そうだ、ぼくは、ママがほしいんだ。


★大パーティの準備◇ムーミン谷の11月 /トーベ・ヤンソン★

2001年10月06日(土) ちびちび虫は、むくむくむく/トーベ・ヤンソン
スナフキンに、どんな手紙を書けばいいのかを知っているのは、ムーミントロールだけでした。

かいつまんで短く。約束するだの、こいしいだの、かなしいだの、ということは

いっさい、これっぽっちも書きません。

そしておしまいには、げらげらわらいだすようなことでむすぶんです。


★ちびちび虫は、むくむくむく◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

2001年10月05日(金) さびしい心は、おしゃべりになる/トーベ・ヤンソン
「こいつはわしの小川だ。さかながいっぱいいるんだ」

スクルッタおじさんがどなりました。

「あのねえ、スクルッタおじさん」

と、ミムラねえさんはおちついた声でいいました。

「これはね、川でもないし、小川でもないのよ。さんずい河なのよ。

 どうしてあなたは、ほんとうはないものや、ほんとうはおきなかったことばかり、わあわあいうの」

スクルッタおじさんは、立ちあがりながら、さもえらそうにいいました。

「もし、おまえさんが、これを河だとわかったとしてもだな。

 なんでそれを口に出していう必要があるんだい。いや、おそろしい子どもだよ。

 なんで、わしをかなしませるんだい。」


★さびしい心は、おしゃべりになる◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

2001年10月04日(木) ご先祖様は冬眠中/トーベ・ヤンソン
はじめっからずっと、フィリフヨンカは食事の支度をするのは、わたしだと思っていました。

ベランダには、ムーミンのうちの、大きなどらがつるしてありました。

フィリフヨンカは、あのしんちゅうの鳴りもので、食事時を知らせるようになれたらいいなあと、

いつも思っていました。

ジャラン、ジャラン、ジャランというどらの音が、谷間いっぱいにひびきわたると、みんなが口々に

「食事だ!食事だ!きょうのおかずはなんだろう。ああ、おなかがぺこぺこだ!」

なんてさけびながら、かけだしてくるのです。

フィリフヨンカの目に、なみだがうかびました。

そんなたのしみを、ヘムレンさんがうばってしまったのです。

あとかたずけだって、わたしがするわよ。よろこんで。

ただ、人からいわれてるすのでさえなければね。


★ご先祖様は冬眠中◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

2001年10月03日(水) たまねぎまげのミムラねえさん/トーベ・ヤンソン
なにがすてきだといったって、たのしくすごすことぐらいすてきなことは、ほかにないし

また、わけもないことなんです。

ミムラねえさんは、だれかと出会って、すぐあとでその人のことをわすれたからといって、

ちっとも気にしませんでした。その人たちといっしょになって、なにかをしようともしませんでした。

みんなのことも、みんなのいざこざも、人ごとと思って、ただ、びっくりしてるだけでした。

橋の上にねそべって、流れていく水をながめるのもいいものだわ。

思いっきり走ってみるのも、赤い長ぐつをはいて、ジャブジャブ沼をわたるのも気持ちがいいわ。

からだをまるめて、屋根の上の雨の音に、じっと耳をすますのもいいものよ。

たのしくすごすって、ほんとにわけないことよ。


★たまねぎまげのミムラねえさん◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

2001年10月02日(火) ヘムレンさんは自分がきらい/トーベ・ヤンソン
ふと、自分がなんにもしなくなったらどうなるんだろう、という気がしました。

「たぶん、いまとちっともかわりやしないさ。ほかのやつがまた、だれかせわをやきはじめるだけさ。」

そうひとりごとをいって、ヘムレンさんは、歯ブラシをコップの中にもどしました。

と、いま、自分のつぶやいたことに、自分で気がついてぎょっとしました。

どうしてぼくって、こんなことを口に出しちまうんだろう。

考えてはいけないことだってあるんだ。根ほり葉ほり、ほじくって考えるのは、いけないことなんだ。


★ヘムレンさんは自分がきらい◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

2001年10月01日(月) スナフキン旅に出る/トーベ・ヤンソン
夏なら、うちのまわりにはよく、しまいわすれたくまでとか、

ばけつ、うっかりおいたままのぼうし、ねこにやるミルクのおさらなど、

とりとめもなくちらかっていて、見るからに楽しくなってしまうものなのに。

なにもかもがほうりだされたまま、あしたになるのを待ってるなんて、

のどかで、人のすんでいる家らしくて、いい気持ちのものなのに。


★スナフキン旅に出る◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★

マリ |MAIL






















My追加