とんぼ、せみ、かぶとむし、鯉、なす、きゅうり、柿・・・・・・。
工芸品のように見えるが、これらも立派な錠である。
いずれも長さ5センチ前後の小さなもので、手箱や文箱などに使われていたのではないだろうか。
とんぼやせみが部屋の中に迷いこんできたかのように錯覚させる風雅な遊びの演出は、
自然を空間にうまく取りこんできた日本独自の美意識なのかもしれない。
・・・とんぼ。 腰の部分から鍵をさしこむと頭のところから錠がはずれる。
目や腰の一部は真鍮、羽の模様は象嵌。
本物のとんぼが止まっているかのようにタテにつけたらしい。
・・・せみ。 尻の部分に鍵をさしこむと頭が抜ける。羽の筋や胴の凸凹などが非常に精巧。
・・・ふぐ。 口から鍵をさしこむと尾びれが抜ける。
・・・鯉。 鍵穴は目立たないようにエラの下に隠されている。
・・・海老。 鍵を使わないであける「空錠」で目玉の突起を押して引き抜くとあく。
・・・きゅうり。 葉の部分を押すとへたのところからはずれる。
・・・柿。 左の葉を押すとはずれる。柿の実は銅版の打ち出しで、葉、枝、へたは真鍮。
★鍵のかたち 錠のふしぎ/INAXギャラリー名古屋企画委員会★
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