○プラシーヴォ○
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2001年11月26日(月) エスパー

人の気持ちが、分かりすぎる時ってないですか?
私は…ずっとずっとそうだった

だから私は、会話の中で
相手が言って欲しい言葉を織り交ぜる

多少キツイ言葉
卑猥な言葉
母のように優しい言葉

相手が気づいていないくらいの
心の底にうずくまっている真実を
私がズバリと言ってのける

だから相手は

『私の気持ちを分かってくれるのは
 がちゃ子だけだよ』

と言って、潤んだ瞳で私にすり寄ってくる


違う 違うよ

あなたが言って欲しいことを言っただけだよ

私が思っていることを
言ったわけじゃない

私はカラッポなんだよ

何も考えていないんだよ

−鈍感−

って悪い言葉じゃないと思う


鈍感になりたい




波が海底の砂を揺り動かす程の速度で
ゆっくりゆっくりと

でも確実に

私から心が離れていっているハム男に


気づきたくなかったよ


2001年11月20日(火) 隠しアイテム

9年前、私は人を殺しかけた

私が投げた円盤が、
防護用ネットの3センチ程の隙間をすりぬけて
たまたまそこを歩いていた他校の陸上部員に当たりかけたのだ

投げた手から、2メートルくらいしか離れていない場所で
目の前を円盤がすさまじい勢いで飛んでいき、
その子は腰を抜かした

あと1歩、その子が前に進んでいたら
その子の頭はカチ割れていたはずだ

もともとあまり部活動に熱心でなかった…というか
幽霊部員同様だった私は
その子にひとしきり謝った後、
まだ恐怖で震える足で、顧問の方へと歩いていった

もうこれ以上投げられない
部活動を辞めるしかない

すると、目の端を白いものがかすめた

私が陸上部に在籍する唯一の理由
大好きで大好きで大好きな鬼塚くんだった

白いシャツに白のランニングパンツで
400メートルのトラックをすいすいと走る彼は
鳥か、天使か、山肌を流れる霧のようだった

走り終えて、勢いをゆるめた彼は
スタート地点へと再び体を向け
ゆっくりと走ってきた

私とすれ違う…

と思ったら、私の前にたちふさがった

汗がポタポタと顎から落ちている
綺麗だった

「下手だね」

体中の温度が下がった気がした
でもこれで、本当の本当に陸上部に未練は無いと思った

うちの陸上部の最速スーパースターの前で
私はなんてみじめなんだろう
震えが増した足を、必死に押さえ込む
赤いタータンがぐにゃりと歪む

口を開けると泣いてしまいそうなので
私は無言で「悪かったわね」
というふざけた表情をつくって、鬼塚くんの横をすりぬけた

私の背中を、鬼塚くんの言葉がむんずと掴まえる

「下手だから、練習しなきゃだめだよ
 辞めちゃ、だめだ」

一直線に顧問へと向かっていた足先を、
ゆっくりと鬼塚くんの方へと向ける

頭の真上でギラギラと光る太陽を
片手で遮りながら、鬼塚くんが私に円盤を渡す
笑ってる

「オリンピック選手でも真後ろに飛ばす人がいるんだもんな
 集中しろよ、集中」

クールで、シュールで、個人主義者で
他人の生き死にに興味のなさそうな鬼塚くんが
私を引き止めてくれた

私は呆然と円盤を受け取った
そして陸上部を辞めることなく
時間は過ぎた

高校を卒業する時に、たまらず思いを伝えた

「あの…付き合って欲しいんだけど
 だめだよね?
 今、誰とも付き合う気、ないんだよね?」

という超ネガティブな告白に、
鬼塚くんは

「う…うん」
と頷いた

それでも私は鬼塚くんを愛し続けた
今はどこで何をしているのかも分からないけれど

今もし目の前に現れたら
私はきっともう一度恋をしてしまう

たぶん、とか、きっとじゃなくて

絶対、もう一度片思いをする
ハム男と別れる


あまりにも迷惑メールが鬱陶しいので
携帯のアドレスを変えようと思った

三日三晩考えて

そっと、鬼塚くんの名前を組み込んだ

誰にも分からないように

久しぶりに、心臓から出る血の温度が
若干上がった


2001年11月19日(月) 距離を教えて

私は面白かったよ

少々、難ありげなハム男の表情を無視して
私はにっこりと笑う

『ムーランルージュ』
ニコール=キッドマンと
ユアン=マクレガーの豪華絢爛な映画

タモリばりにミュージカルが苦手なハム男は
「感情移入できなかった」
と、ぶうぶう言っている

アクション映画好きなハム男
精神的で地味な映画が好きな私

白いご飯がないと不満なハム男
別に夕食がピザでもスパゲッティでも構わない私

出不精なハム男
家にいると息がつまる私

こんなに意見が一致しない人と
この先やっていけるのだろうかと
下りのエスカレーターで、ハム男の後頭部を眺めながら思う

3段分、前にいるハム男

手が届かないところにいるハム男

きっと付き合っていなかったら
これぐらいの距離で普通なんだろう

少し胸がうずいた

そろり、と
もう1段後ろに下がってみる

他人の距離

愛しく思った

どうして側にいると
血が静まってしまうんだろう
片思いのような
狂おしいほどの動悸を
取り戻したいのに

すうすうする背中を不思議に思って
ハム男がこっちを振り返った

手をこっちへ伸ばす

それにつられて
とととと、と私はハム男のすぐ後ろへ移動する

私はハム男に触っていいんだね


2001年11月16日(金) それは秘密

20時30分

カスミちゃんの2次会の司会をする件で
打合せをするため、ファミレスに集合した

初めてカスミちゃんの旦那さんを見た
本当に優しそうな、23歳の青年

愛されているカスミちゃん

「がちゃ子ちゃんも、ハム男君とどうなの?
 今なら私の子と同級生にできるよ!
 産んじゃえ、産んじゃえ!」

あははは
そうだね、いっちょ頑張ってみようかしら

と私は
油の浮いたマカロニグラタンをつついて笑う

私が中絶したことを知っていたら
カスミちゃんは私に司会を頼んだかしら

結婚式に招待したかしら

中絶を決意した時、
私は唯一、youちゃんにだけ事実を話した

youちゃんは声をひそめて、
「他の子達には言わない方がいいよ
 みんな気をつかうだろうし、
 がちゃ子ちゃん自身のためにも…
 言わない方がいいと思う」
と、やんわりと私を押さえた

迷惑だったの?
知りたくもないことを
知ってしまって
迷惑だった?


2001年11月15日(木) 連名

オレンジ色をしたかわいいハガキが
郵便受けに入っていた。

よくよく見ると、カスミちゃんからの
結婚式の2次会の案内状だった。

私はどっちみち司会の手伝いをするから出席するんだけど…
と思いつつ、しげしげと眺める。

『出欠のお返事を、どちらかのメールアドレスへ
 送ってください!』

新郎新婦の名前の横に、
それぞれのドコモの携帯のアドレスが書いてある。

そっかあ、往復ハガキじゃないんだ
メールで返事するのかあ。
時代は変わったねえ。

お互いの名前の頭文字のイニシャルと
生年月日を組み合わせたアドレス
うらやまし〜
可愛い〜

そしてハガキの表には
新郎新婦の二人の名前が書いてある

カスミちゃんの文字で
ぴったりと寄り添う名前達

私が私の文字で
ハム男の名前を書くことなんて
滅多にない

ああ、カスミちゃん結婚しちゃうんだ
と初めて実感した

その夜

『今から入籍だ〜!
 もうすぐ人妻になるよ〜』
とメールが

ひらり、と紙を役所に提出すると
二人の名字が同じになる

不思議 不思議


2001年11月14日(水) ドロー

月、火とハム男から電話がこず、
死んでたらどうしようと
ちょっと本気で考えはじめたころ
電話が鳴った

「はあ〜…風邪で体が…動かないよう
 昨日は会社…休んだし…」

だからどーして連絡くれないんだっつーの
私が見舞いに行くとそんなに邪魔なのかい?

「がちゃ子…最近遊べてないからなあ
 近々温泉行こうな!蟹も食べよう!」

「ちょうどいいね、来週、連休だしね」

沈黙

「…なんで黙るの?」

「がちゃ子…ごめん…来週は友達の誕生祝いを
 しなくちゃいけなくて…」

でたーーーー!
確か7月ごろの連休もこれでやられたんだよ、あたしゃ!
(ハム男を入れた仲良し3人グループは
それぞれ入れ替わり立ち替わり誕生日には
きっちりとお祝いをする
もう30歳手前のオッサン達が!)

「また、連休が連休にならないじゃんかーーー!
 先月の連休はあんたのお姉ちゃんのせいで
 つぶれたしさーーーー!」

「土、日で行こうぜ!…あ、日曜日はサッカーの練習…
 あああ、嘘嘘、休むからさ!」

「だめだよ。日曜日、バックストリートボーイズの
 コンサートだもん」

沈黙
ハム男、シンキングタイム
考えるハム男

チーン!


「お前だって、最初っから連休になってないじゃないかよ!」


バレました〜?


2001年11月13日(火) 優先順位

「あなたはいつだって素敵よ」

末期ガンに犯されてガリガリに痩せた旦那さんが
「こんな体になっちまった」と
自嘲的に笑いながらヨロヨロと階段を降りる

その手助けをしながら
奥さんが本当に自然に言った一言だった


家族が突然、末期ガンだと宣告されたら…?

その番組では
旦那さんが息を引き取る瞬間までもを撮影していた
バルコニーにベッドを出して、太陽の下で家族全員と話をしながら
旦那さんは天国へ行った。


泣いている声が聞こえた。
私の声だった。
私は、目が熔けるほど泣いていた。

最近体の調子が良くないハム男。
半年ほど前に病院に行った時には
特に異常は見つからなかった。

一度、NHKの特集で見た、喉頭ガンの症状が
まさしくハム男の今の状態とぴったりで
私はそれを思い出してまた泣いた

もし今ハム男が倒れたら
関西に身よりの無いハム男は
きっと、九州の実家に連れ戻される

ハム男の家族と一度も会ったことのない私

もし、ハム男の意識が無くなったら
どうやって会いにいけばいいの?
私も九州にずっと泊まりこむの?
それよりなにより、家族の方が私に連絡してくれるの?

私はなんて弱い立場なんだろう

結婚していないと
他人なんだ


2001年11月11日(日) 近親相姦

「おい、なんだこれ?」
ハム男が、私のパジャマの胸元を
片手で大きく開いた。

「鏡、見てみろよ!」

ハム男が手渡してくれた手鏡を恐る恐る覗き込む。
首から胸もとにかけて
赤い斑点が広がっていた。

「顔もすごく赤いし…その酎ハイが体に合ってないんじゃないのか?」

ハム男はそう言って、
私がさっき飲み干した500ミリリットルの
酎ハイの缶を持ち、成分表のところをしげしげと読む

確かにさっきから異常なほど息苦しい。
喉が腫れてふさがっているように、呼吸がしにくい

酎ハイは止めて、
冷蔵庫からビールをとってきて
再び飲み始める。
心なしかマシになったような…?

ハム男がそんな私の胸元を何度も何度も覗く。

そして
「よしよしだいぶ治まってきたな」
と確認する。
それはまさしく、お父さんが娘のケガを心配するそれだった。
欲望や下心とは無縁の動作。

うう…
と、喉が鳴ってしまった
物欲しそうな、性欲の唸り声

ハム男が気づいて、私の顔を見る

金、土、そして今日と
まったく私に触ってくれないハム男。
それと反比例するように
自分が性欲だけの女になってしまったように思うほど
私はハム男が欲しかった。

よしよし、と私の頭を撫でて、ハム男が手早くカーテンを閉める。
そしてテレビの音量を少し上げる。

もうすぐ終わりそうとはいえ、生理中の私を
そっと愛撫するハム男

ハム男の下半身に伸ばそうとする私の手を、
空いている片手でハム男が阻止する

不思議に思いながらも、私は手を引っ込めない。
そして、なんとか触れることができたが
ハム男のそれは無反応だった

驚く私の顔を見ずに
ハム男は私を一人で送り出した

「…ありがとう、気持ちよかった」
ハム男の首にぴったりと張り付き、
お礼を言う。

「俺、もう歳なのかなあ。ごめんな」

ハム男が愛し合う形になれないのは
私への愛が薄れたからだろうか とか
カスミちゃんができちゃった結婚することを
心のどこかでハム男も自分と対比させて苦しいのかな とか
いろいろ考えてしまうけれど

本当のことはハム男にしか分からない

「愛してるよ、ハム男」
これも初めて口に出した。
あいしてる って字数が多すぎて
言ってるうちに嘘っぽくなりそうで言えなかった

言ってみると
なんて力のある言葉なんだろうと
初めて知った

「俺も愛してるよ
 がちゃ子の体の斑点を見て怖かった
 このままがちゃ子がどうにかなってしまったらと思うと
 怖かったよ」

父のような静かな愛

これもまた 愛のカタチ


2001年11月09日(金) フォロー

ハム男は、何か楽しいことがあると
私に電話をしてくれない。

案の定、一昨日は
日本対イタリアのサッカーのせいで
電話はならなかった。

昨晩、言うつもりはなかったのに
口からふと言葉が漏れてしまった。

「ハム男は、私をあまり優先しないね」

一旦そこで会話は終わり、
私は風呂にでも入ろうかと腰をあげた。

その瞬間、再び電話が鳴る。

「ハム男?どうしたの」

「がちゃ子、誕生日プレゼントに買ってあげるって言ってた
MDウォークマン、絶対買ってあげるからな
待ちきれずに自分で買ったらあかんで」

かちゃん
それだけ言って電話は終わりました。

もう2ヶ月も前に過ぎてしまった私の誕生日。
ハム男の貧乏っぷりを見ていると
とてもじゃないけれど胸が痛んで
プレゼントの催促をすることができず、
あきらめていたのですが…

買ってくれるのかい?


2001年11月08日(木) 盛大な拍手を

12月の初めに
できちゃった結婚をするカスミちゃんの
2次会の司会を頼まれた。

動いていれば気がまぎれるかもしれない。

幸せそうなカスミちゃんの顔をあまり見なくても
すむかもしれない。

25歳で中絶した女が
25歳でできちゃった結婚をする女を祝う

同じ質問をだされて
まったく違う答えを出した2人


どうかどうか
きちんと事が運びますように


2001年11月07日(水) ノーサンキュー

寒い。
寒すぎて…

ハム男に逢いたくなった

金曜日の夜まで我慢できない

『今日、家に行ってもいいですか?』

メールを打った。

メールの打ち方をしらないハム男から
5分後、携帯に電話がかかってくる。

ぶるぶる震える携帯を、そっとハンカチで包んで、
オフィスを出て非常階段へと駆け込む。

「あー、ばちゃ子?おべ、はぶ男」

ばんどうえいじ?

すっごい鼻づまり
2〜3日まえから風邪ぎみだと言っていたのが
いよいよ大詰めを迎えているみたい

「ハム男…風邪、ひどくなってるね」

だから今日、行くよ
何かつくってあげるよ 鍋?おじや?

と、言おうと思った瞬間、

「うん、そおなんだよー
 だから今日はゆっくり寝るよ
 今度、金曜日にでもおいで」

静かな静かな非常階段で
私の鼓動が、よりいっそう耳の近くにあるように感じた

病気で辛い時に、私の顔を見たいのではなく、
静かにしたいから来ないでくれと言われるのは

意外と胸にグッサリくるもんなんだと
知った

私は役に立たないのね

側にいないことが
一番あなたにとって安らぐことなんだね

なんというか
暗くて大きい穴の底にヒョイと突然置かれたように
心が沈む


2001年11月05日(月) 本末転倒?

『ガールズガード』

という、保証つきのコンドームが発売された。

装着していたにもかかわらず妊娠してしまった場合、
中絶の費用を発売元が負担するというものだ。

出産費用ではなく
中絶費用を

ひとつひとつを、マッチのような
堅い紙でラッピングしていて
ぱっと見た感じコンドームっぽくないので
購入時や携帯時に恥ずかしくない
(恥ずかしいことじゃないんだけどね)

それはいいと思う

でも

中絶費用を無料にする


それって…

何かの解決になってるんだろうか


2001年11月02日(金) いつも見えてて

ハム男は昨日から千葉へ出張に行っている。

千葉といえば
ハム男と付き合い出してすぐに私は千葉へ
泊りがけの撮影に行った。

そこの撮影で大きな大きなミスをして
私はマスコミ業界にいる自信を無くした。
(そして2か月後に辞めた)

ハム男は無事に帰ってくればいいんだけど
(千葉が悪いわけじゃないけどね)

昔、ハム男が一泊二日の慰安旅行に行くというだけで
号泣したことがある。

ハム男が、吐いた息も到底届かないような場所に
行ってしまうのが悲しくて悲しくてたまらなかったのだ。

今回の出張のことを聞いた時、
そこまでは悲しくなかったけれども
やっぱり気持ちが落ち着かない

ハム男に何かあったらと思うと
胸がざわざわする。

すぐに駆けつけられないようなところで
どうにかなって欲しくない。

ハム男は今日の夜中に帰ってくる。
私はそれをハム男の家で待つ。

早く、早く、京葉線、頑張って


2001年11月01日(木) なにが安さ追求じゃ

苦節26年。

ようやく我が家にパソコン購入の許可が出た。

というより、母が最近異常なほどに
パソコンに恋焦がれだしたのだ。

まさか不倫相手でも探す気じゃ・・・と
一抹の不安を抱きつつ、スポンサーである母を連れ
最近近所にオープンした、電機店へ向かった。

太陽のマークでおなじみのコ○マに入ると
入り口のすぐそばがパソコン売り場だった。

評判の悪いメーカーを消去法で考えて
店に入って5分で、購入するブツを決定した。

浮遊霊のように無言でたたずむ店員に、声をかける。

バカボンとムーミンを足して、さらにモザイクをかけたような
ボウッとした男がふらふらと近づいてくる。

こいつが最悪だった。

ADSLの説明も、必要最小限のことしか話さず、
こちらが考える材料がまったくない。
(これは私が会社のパソコンで調べることにする)

コジマカードというのをつくると
5000円分キャッシュバックされるというので
カードカウンターに行くと
印鑑やら、今使用しているキャッシュカード2枚だとか
結構、必要なものがあった。
(店員は、あたかもすぐ発行できるように言っていた)
しかも5000円分の商品券がもらえるのは数ヶ月後らしい。

コ○マから歩いて15分のところに家があるので
手荷物にしてもらうつもりだった。

「これ、手で持って帰れますよね!」
(もうこの時点で腹がたっていたのでケンカごし)

「あー、そーですね…液晶ディスプレイで軽いですから…
大丈夫ですよ…」

おい!生きてるか?!

このあとプリンター売り場に連れていってもらうが

店員、一言もしゃべらず!

「…いっぱいあるんですけど
どう違うんですかねえ」
(声がさらに低くなる私)

「あー、キャノンが高性能ですね」

終了

もういい。お前には頼まん

ぼーっと空中を見つめる店員を捨てて(なんか見えてたのか?)
私は独自で説明書をむさぼりあさった。

15分後決定。

さあ、持って帰るぞ!と思ってレジに行くと
レジの中から、下の方においてあるパソコンの箱に
バーコードを読む機械が届かなかったらしく

「手で番号うつのかよ…面倒くさいなあ…」

とレジの女がつぶやいた。

声に出すなよ!
それがテメエの仕事だよ!

怒り疲れた私がふと出口に目を向けると
台車に載せたパソコン一式を
ボンクラ店員が駐車場に運ぼうとしてる

「何してんねん!手で持って帰るっていったやろ!」
(敬語使用スイッチオフ)

「手…って車のことじゃないんですかあ?」

あー、そうだよね
中国ではスープのことを湯っていうものね

あんたの国では車のことを手って言うのかよ!

「手は無理ですよう。重たいですよー」

あんたさっき、軽いから大丈夫って言ったやんかああああ

「じゃ、宅配して」
(必要以上にしゃべるスイッチもオフ)

すると、店員は返事もせずにどこかへ歩いていった

あれ?超音波で喋ったのかな?
人間には聞こえない声で?

待つこと30分
近くにいた違う店員をひっつかまえる
「これを宅配して欲しいんだけど
それを頼んだ店員がちっとも帰ってこないんだけど
おたく、宅配システムが無いわけ?」

と言った瞬間、ボンクラ店員が戻ってきた

「あの〜、今から宅配にすると
伝票をイチから書きなおさないといけないんですよ
あと10分くらい待っていただいて〜
できた伝票にもういちどサインをいただきたいんです〜」

私の中で何かがくずれた。

「サイン?」

「は…はい、してもしなくてもいいんですけど」

なんぢゃ、そりゃ!

「しなくてもいいの?」
「はあ、まあ…確認のためのものですから
絶対必要というわけ…じゃ…」

「もう1秒も待てない
とにかくキッチリ届くように手配しといて
あと、すいませんの一言ぐらい言えへんのか!」

店内が一瞬静寂につつまれ、BGMさえも止まったように
感じました。

妊娠している人は絶対行かないで欲しい。
胎教に悪すぎる!


がちゃ子 |偽写bbs

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