○プラシーヴォ○
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2001年08月26日(日) サラバ和歌山

昨日、セックスをしたまま
グースカ眠りこけてしまった

朝風呂に入ろう!と思ったら

ホテル全体が
改装工事中につき内風呂が使用できないとのこと

こりゃ、大浴場までいかねば

8時に起きて、浴衣を着ていると、
ハム男ものそのそと起き出してついてきた。

病的な寝過ごしやさんなのに、やっぱし怖かったのかな
この部屋に1人でいるのが…。

チェックアウトぎりぎりに外に出て
ホテルの真ん前にある
戦争資料館を一巡した

それから車でしばらく走り、
グラスボート乗り場にたどり着いた

これは昨晩、散歩していた時に見つけたもので
海大好きハム男君がうるさいくらい
乗りたがっていたもの

船の中に、下向きののぞき窓があって、
お魚さんが見えるというもの。

『海女さんショー』というのがあるということで、
ハム男は興奮しっぱなしだった。

故郷で自分があわびやサザエを獲っていたこともあり、

「プロの技が見れる〜!!」

と首を長くしていた。



すうっ。

あれ?

すうっ すうっ。

あれれ?

窓の下を海女さんが笑顔で通りすぎて行く。
一回転したりもする。

それだけ。

ハム男のへこみ具合といったら、半端じゃなかった。
可哀想に。ぷぷっ。

ずっと下を向いていたので酔い気味の二人

アドベンチャーワールドに行って、ぷりぷりのお尻の
パンダの子供に見とれる。

大きなボールの上にのって、すべり台に乗り移ろうとして
案の定すべってこけて頭打ってた。
しばらくボー然としてたけど大丈夫なんかいな。

遠くにつれてきてもらっちゃった。
いっぱい遊んでもらっちゃった。

これでしばらく、文句がいえない。

ハム男がサッカーに行っても
私は笑ってひらひらと手を振って見送ろう。

夜、私をぎゅうっと抱きしめて
「寂しい?」
とハム男が聞く。

いいや、全然。
・・・でもちゃんと毎日電話ちょうだい。

ハム男が笑う。

そういうのを寂しいって言うんだよ。



2001年08月25日(土) 二人で和歌山

iモードと観光案内所を駆使して、
本日の宿がなんとか決定した。


本来なら、素泊まりでも一万円以上するらしいが、
現在改装中で、食事の用意が出来ず、
ホテルの設備も十分に稼動していないということで、

1人6千円で泊まれることになった!!


別に食事は外でするつもりだし、
雨風をしのげさえすればいいと思っていたので、
ラッキーだった。
ちょっと古い感じの大きな観光ホテル

目の前には
有名ホテルがそびえたっている



温泉があるらしく、早速入る。
脱衣所からもうすでにプンと硫黄の匂いがする。



こりゃあ、本気の温泉だなあ、と
ウッキウキで入ると、やっぱりお湯がでているところには
びっちりと湯の花が固まっていた。
入った途端、肌がつるつるの手触りになる。


しかも
人は私だけ(それはちょっと怖い)


本当は13種類のお風呂があるらしいのだが、
改装中で2種類のお風呂しかお湯が入っていなかった。
残念。

それでもとても広くて、とりあえずご満悦。



飯を食いにいくぞ〜!とハム男と外に出ようとすると、

フロントの人がパンフレットをくれた。


そこには、
夜の砂浜がオレンジ色の光でうめつくされている
とても不思議な光景の写真があった。

「ああ、この浜知ってる。後で行く?」
「行きたい行きたい!」

魚介類の食事をたらふく食べてから、
浜へと向かう。

そこには、パンフレットと同じ光景があった。
ひんやりする砂を踏みながら、灯ろうの間を縫うように歩く。
願い事が張られている灯ろうもある。



部屋に戻ると、十畳近くある部屋に二人。
ガランとしてて、ちょっと怖い

そして
何故か部屋についているお風呂が
赤と青のタイルで埋めつくされていて
シュールでキッチュで


超怖い


外から
ホテルを眺めて、
私たちの部屋の隣が明かりが点いていて


「あ…泊まってるの俺たちだけじゃなかった…」

と死ぬほど嬉しかった


トイレにいこうと部屋を出て襖をしめると、

「閉めなくていい!
なんならトイレのドアも開けとけ!」

・・・怖いの?ハム男。



浴衣も布団も四人分用意されていたので、
贅沢に布団を二枚重ねてフカフカにして眠る。
お揃いの浴衣。

「きっと、付き合い出したばっかりの頃に
こうやって二人で旅行したら、
超ドキドキしただろうね〜
今夜・・・ついに結ばれちゃうのかしらん、とかさ!」

「そうだね、きっとがちゃ子もお風呂あがりに
もう一回化粧したりするんだろうね」

・・・悪かったわね眉無しで。


2001年08月24日(金) いいの?

会社が終わってから、パン教室に行き、
21時ころハム男の家へ着いた。

明日、明後日と二人とも予定が無く、
ぽっかりと自由な時間を手に入れた。

缶のチューハイを飲んでウトウトするハム男。
その耳元で、
「アドベンチャーワールド行きたいな〜
ライオンとかパンダが見たいな〜」
と繰り返しつぶやく。

うん、うん。
うなずきながら、ハム男の目は閉じていく。

よし、確かにうなずいたからね。
約束だよ。

ハム男と旅行するのは初めてじゃない。

私は、家族と一緒によく旅行に行くのだが、
ハム男がとても自然にそれにくっついてきて、
付き合って1ヶ月目にして
家族と同じ部屋で寝たりしてた。

そういうのが4、5回あったのだが、
二人きりでお泊りするのは初めて。

付き合い出して1年半。
やっと二人きり。
どきどきするね。
ねえ、ハム男。


2001年08月22日(水) 永遠に美しく

今日購入したジェルを使って、マッサージでもしよう、と
パジャマを脱いで鏡の前へ立ってみた。

なにこれ?

お尻や、腕と足の付け根の皮膚が、ボコボコと浮き上がっている。
部屋の白熱灯に浮かび上がった私の体は
凹凸だらけでとても醜かった。

セルライトだ!!
血行が悪いところの毛細血管から老廃物がにじみだし、
脂肪細胞と結合してできた大きな固まりだ!

嘘だあ。
こんなのって、おばちゃんになってからできるんじゃないの?

インターネットで検索してみると、
セルライトができやすい条件として

『妊娠している人やピルを飲用している人』

ショック。

でも、今からコンドームだけの避妊にするのは
怖すぎる。

これって、一度できると
ダイエットしようが筋トレしようが
なかなかとれないらしい。

こんな体でハム男と会いたくない。

無駄だと思いつつも、
痛いほどマッサージをした。

並外れたプロポーションになりたいわけじゃない。
ただ、普通でいたいのに。


2001年08月20日(月) あなたは誰ですか

10日ぶりにハム男の顔を見た。

里帰りしている期間中、ほぼ毎日
海に潜って魚や貝を獲っていたせいか、
肌はまるでアーモンドのような色

潮で焼けて髪も全体的に色素が抜けていた。
別人のようで緊張する。

「蓋のところがこんなにでっかいサザエがいてさあ、
がちゃ子にも見せてやりたかったよ」
と人差し指と親指で輪をつくり、私の目の前へ出す。

きっと、18歳で大阪にでてくるまでは
ずっとずっとこんな肌の色で、
スコーンとした笑顔で、
波で岩にぶつかったときの傷なんて絶えることなく
のびのびとしていたんだろうなあ。

お気に入りの焼き鳥屋で、
高菜入りの鳥雑炊を食べるハム男の横顔に言ってみた。

「ハム男、実家にいる方が調子良さそうだね。
なんだか電話の声も元気そうだったし・・・」

本当はずっといたかったんじゃないの?

ハム男は、雑炊についてきた小皿に入った漬物を
私の方へ差し出しながら、
「そりゃあ、こっちにいる時と違って
おふくろが食事を用意してくれるし、
仕事に行くわけでもなし・・・
心身共に、楽ちんだったけど、とにかく退屈だった。
雨が降って海に行けない日なんて、
1日中、うちのワンコとしゃべってたもん
それに・・・」

お茶碗をぐっと傾けて、最後まで飲み干すと
ハム男は鳥スープのせいで少し湿った声で続けた
「それに、あっちにはがちゃ子がいない。
それが嫌だな」

飲み込もうとしていたキムチが気管に入りそうになった。
驚いた。
なんて可愛いセリフを言ってくれるのかしら。

目を丸くする私を見て、ハム男が笑った。
「うちのワンコ・・・シーズーっていう鼻がぺちゃんこの・・・
あ、がちゃ子が飼ってたのと同じワンコがさ、
イビキががちゃ子にそっくりでさあ〜」

は?

「んごっ!んごごっ!って言うんだよ〜
それ聞くたびに、がちゃ子を思い出したなあ」

ワンコのイビキを聞かないと、
思い出されないような女なんスか?アタイって。

車にのると、肩を抱いてキスをした。
そ・・・そんなことしたことないのにっ!
どうしたのお?!
あんた、誰?
まさか双子の兄弟ですごいジゴロ(死語)・・・?

車から降りて歩いている最中にも
私の腰を引き寄せてキスをする。
おかしい。
おかしいよハム男。

ハム男の部屋に戻って、キスをする。
セックスの間も絶え間無くキスをする。
私の顔を両手ではさみ、キスをする。
初めて見たとてもとても感情的なハム男。

私と久しぶりに会えて嬉しいということを
無言で言ってくれているのだと
そう、解釈しよう。


2001年08月18日(土) 心配せよ

青春18切符ください。

とっくに18歳も青春も過ぎた私が
ディスカウントストアで言うのは
少し勇気が必要だった。

去年、ハム男をめぐって恋敵になったMちゃんと
岐阜に住む短大時代の友人を訪ねて
ふらりと電車旅をすることにした。

旅といっても、2時間と少しで大阪から岐阜駅に着いてしまう。

車で駅まで迎えにきてくれたヨッコちゃんは、
前回いつ会ったのか覚えてないくらい久しぶりなのに
ちっとも記憶と違わない姿形をしていて
ホッとした。

ヨッコちゃんの家まで移動していると、
ハム男から電話が。
「台風がくるから、フェリーが欠航になるよ〜。
実家におきっぱなしだった俺の車を
大阪に持って帰ろうと思ったのにい!ちくしょお!
とりあえず、日曜日に飛行機で帰ることにしたよ」

1時間後、再び電話。
「車が壊れたー!火ィ吹きそうだあああ!」
とことんついてないやつ。

横で運転しながら聞いていたヨッコちゃんが
小首をかしげて私に言った。
「がちゃ子ちゃん、今、岐阜にいるってこと
言わないんだね」
「え・・・だって聞かれなかったんだもん」
「彼氏、聞かないのお?今どこにいるのかとか
今なにしてるのかとか、普通聞くと思うんだけど」

ホントだ。

ハム男は滅多に私の所在地や行動を聞かない。
自分のことをダーッと話して電話が終わることが多い。
心配じゃないのかな。

少し寂しいな。


2001年08月16日(木) 16万人に送られて

水につけると文字が浮かぶおみくじ。
それは恋みくじ。

最寄の駅から2キロも歩かなくてはいけない神社に、
それが目当てで来た。

巫女さんに一礼して、三宝に二百円を置く。
折りたたまれずに置いてあるおみくじを一枚とる。
そして、湧き水がたまっている水路にそっと浮かべる。
指先に水の冷たい感触。

ふわっと浮かんだ文字を見て、声もでなかった。

youちゃんが、横から覗き込んで声をあげる。
「凶って・・・。ひこうと思ってもなかなか引けないもんよね!」

そういうyouちゃんの手には
濡れた『中吉』のおみくじ。

youちゃんが続けて私のおみくじを読み上げる。
「えーっと、想い人には裏切られる・・・だって!
ハム男くん、今ごろ故郷で浮気してるんじゃないのお?」

ありえる。
境内のおみくじを縛っておく場所に、
きつくきつく濡れたおみくじを巻いておく。

温泉玉子がのっていて、
とろろをかけて食べるざるそばを昼食にして、再度歩く。

神社から出発して、
半端じゃない山道を登ったり下ったりすること
ゆうに1時間半。
二人とも足が勝手に震え出すという非常事態。
声もでない

目的地は温泉。

夏のお昼に入る露天風呂。
緑がパシッと明るくて、それでも風は涼しくて
疲れがさらさらと白っぽい色の湯に溶けていく。

体が熱くなると、檜の湯船のフチに腰をかけて
いつまででも景色を眺める。

湯上りはもちろんビール。
3時間ほど歩いて流れた汗と
温泉で流れた汗を補充すべく、缶を開けるのももどかしく
口をつける。
キューン、ぱちぱちぱち、と喉が刺激でいっぱいになる。

帰る途中、「五山の送り火」を見ることにする。
観覧ポイントのひとつである橋の上で、人ゴミに混じる。

送り火を見るのは初めてで、
いったいどこにあるのかさっぱり分からず、
視線をくるくると四方へ走らせる。

火がともされる時間がきて、山にぼんやりと浮かび上がる。
後日テレビで言っていたのだが、
16万人の人出があったそうだ。

私の子も、大きな炎を見ながら帰っていっただろうか。
炎からふきだされる暖かい風にのって、
どんどん登っていってるのだろうか。

ねえ、私はここだよ。
見える?


2001年08月09日(木) 知ってるよ

会社が終わってから、ハム男の家に行った。
そして、二人で小さな中華料理屋へ。

食事をしながら、ハム男がふと私に言った。
「俺・・・明日の夜から九州に帰るよ?」

ちゅるん、ラーメンを飲み込みながら私はうなずく。

10日の夜から出発して20日の早朝に帰ってくるんでしょ。
ずいぶん前に聞いたよ。
私のことをちっとも話を聞かない女だと
思ってるみたいだけど。

丸々お盆の間会えないのは
笑ってしまうくらいイヤだけど、
ハム男のお母さんの具合がよくないらしいからしょうがない。

なるべく
平気そうなフリをしよう

あなたのために


がちゃ子 |偽写bbs

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