Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年10月27日(月) 解散先送りで、麻生 内閣 に 「 レームダック化 」 の不安



「 人生は解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である 」

               セーレン・キルケゴール ( デンマークの哲学者 )

Life is not a problem to be solved but a reality to be experienced.

                              Soren Kierkegaard



早ければ 11月上旬 と言われた 「 次期衆院選 」 が、年を越しそうである。

週末までに、首相の口から、明確に 「 解散先送り 」 が発表されるらしい。


アメリカ で 「 レームダック [ lame duck ] 」 といえば、直訳の ( 足が不自由なアヒル ) ではなく、慣用句の 「 役立たず 」 を思い浮かべる人が多い。

これが [ lame duck president ] になると、政治用語で、まさに現時点のような 「 任期切れを目前に控えた大統領 」 のことを指す。

任期切れを目前に控えた大統領の政権下では、多くの決定が先送りされ、行政府全体に無気力感が漂い、大方の場合、政治が停滞する。

法案や決議案などの議題もなく、単に日程を消化するにすぎない 連邦議会 のことは、レームダック・セッション [ lame duck session ] と呼ぶ。

日本では、レームダック を ( 死に体 ) と訳して、あまり任期には関係なく、概ね、「 政治基盤が弱体化した内閣 」 の意味で、よく使われる。


解散を先送りする理由として、首相は 「 国際金融情勢が深刻な折に際し、政治空白は作れない 」 と抗弁するが、野党は、それを認めないだろう。

このところ、補正予算案などで与野党の合意が果たせていたのは、政権を奪取したい 民主党 が、早期解散を当て込んでいたからである。

解散を先送りするとなれば、再び与党との対決姿勢を露にし、新テロ対策特別措置法改正案など、重要法案の審議に 「 反対 」 することは必至だ。

そうなると 麻生 内閣 は、せっかく解散を先送りしても、「 ねじれ国会 」 に翻弄され、何もできない レームダック状態 に陥る危険が高い。

まさに、“ 足の不自由なアヒル ” の如く、ぎこちなく地を這うだけで、進展のない 「 死に体 内閣 」 となり、国民は、政治遅延の巻き添えを喰う。


当初、臨時国会冒頭の解散を念頭に置いていたが、金融危機だけでなく、与党の選挙情勢調査が厳しい結果だったことも、先送りに影響したらしい。

そうした邪心が無かったとしても、なりふりかまず政権を手にしたい 民主党 が、国家の非常時だからといって 「 大人の対応 」 をするとは思えない。

すなわち、理由はどうあれ、解散を先送りすることへの反撥は避けられないわけで、それは 「 政治の空白 」 より不具合な 「 政治の混迷 」 に繋がる。

経済の非常時に 「 選挙をしている場合じゃない 」 という理屈もわかるが、それ以上に 「 内輪もめしている場合じゃない 」 ことを心得たほうがよい。

この折、頼りない 民主党 が政権を握るのは不安だが、自民党 としては、いちかばちか、潔く解散総選挙に応じるしか手がないように思う。






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2008年10月26日(日) 「 橋下 知事 」 VS 「 クソ教育委員会 」



「 悪化は良貨を駆逐する ( あっかはりょうかをくちくする ) 」

              トーマス・グレシャム ( イギリスの財政家、貿易商 )

Bad money drives out good money.

                                Thomas Gresham



質の悪いものが、質の良いものを圧倒したり、締め出したりすること。

悪い人物に関わると、「 良い人までも悪くなる 」 という意味に使われる。


橋下 徹 知事 と、大阪府教育委員 らが、教育行政について一般参加者と意見を交わす 「 大阪の教育を考える府民討論会 」 が、26日、開かれた。

この討論会は、府教育委員会と府が主催し、約 700人の府民が参加したが、代表者15人が意見や質問を述べ、知事や教育委員長らが応じた。

会場では、知事が発言するたびに、現場教員らから 「 『 くそ教育委員会 』 発言を撤回しろ 」 などの野次が飛び、終始騒然とした雰囲気だった。

その様子に、たまりかねた知事からは 「 こういう教師に、子供たちを任せられない 」 という発言が飛び出し、対立は、さらに エスカレート したという。

会場の中、知事批判をしているのは教職員だけで、一般参加者の大半は、橋下 知事 を支持する声が多く、府民の 「 民意 」 は明らかだった。


日教組の組合員からは、「 中山 前国交相 の “ 日教組の強いところでは、学力が低い ” との発言を、知事が賛同した 」 ことについて質問があった。

おそらく、彼らは、「 中山 氏 や、橋下 知事 だけでなく、日本国民の大半が “ 日教組は問題あり ” と認識している 」 ことに気付いていないのだろう。

また、橋下 知事 は 「 9割の先生は、一生懸命にやっている 」 とした上で、「 地域や家庭が学校運営に関わり、1割を排除してください 」 と訴えた。

無能な教師が 「 全体の1割 」 という分析には疑問を感じるが、たしかに、どうしようもない輩を排除することは、急務といえるだろう。

ただし、「 悪化は良貨を駆逐する 」 の通り、日教組という “ 悪いもの ” を解体しないかぎり、せっかく良い新人を採用しても、いづれは悪く染まる。


どんな組織でも、組織内の 「 悪 」 を放置すると、やがては勢力を拡大し、良識派が自浄しようとしても、それを締め出し、追放する危険が高い。

企業ぐるみの食品偽装なども同じだが、誰かが良心に目覚め、改善しようとしても、はじき飛ばされるのが世の常である。

教育現場に口を挟まず、いわゆる 「 プロ 」 に任せろという意見もあるが、組織に自浄能力が無いのなら、外部が干渉するしか打つ手はない。

身内の待遇改善しか頭にない日教組は解体し、教育委員会には、教職員や公務員、その OB だけでなく、客観的な立場の有識者を交えるべきだ。

学力向上も重要だが、世間一般の 「 常識 」 を持ち合わせず、市民の前で公然と野次を飛ばすような連中に、子供の教育など任せられない。






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2008年10月25日(土) 結婚式場に放火した 「 新郎 」



「 結婚行進曲を聞くと、兵士が戦場へ赴くとき、流れる音楽を思い出す 」

                  ハインリッヒ・ハイネ ( ドイツの詩人、作家 )

The Wedding March always reminds me of the music played when soldiers go into battle.

                                  Heinrich Heine



結婚を、人生の 「 墓場 」 という人もいれば、「 戦場 」 と呼ぶ人もいる。

この例でいうと、学生結婚は 「 学徒動員 」 か。


自分自身の結婚式を予定していた ホテル に放火したとして、山梨県警は、会社員 河田 達彦 容疑者 ( 39 ) を逮捕した。

式当日の未明、河田 容疑者 は ホテル の床に灯油のようなものを撒いて火をつけ、壁や床など、計 約 8平方メートル を焼いたという。

県警では、詳しい動機について調べているが、河田 容疑者 は 「 どうしても結婚できない事情があって火をつけた 」 と、容疑を認めている。

火は スプリンクラー で消し止められたが、ほぼ満室の 約 350人 が宿泊しており、うち 約 150人 が一時避難する騒ぎとなった。

けが人はなかったが、同日は 「 大安 」 だったので、他に 8組 の結婚式が予定されており、ホテル関係者、利用客は、多大な迷惑を被った。


なかなかの 「 珍事件 」 であるが、親類、縁者にとっては笑い事で済まず、特に “ 新婦 ” になる予定だった女性は、気の毒としか言いようがない。

容疑者 の語る 「 どうしても結婚できない事情 」 が何なのかも気になるが、結婚式の当日に至ったら、たとえ嫌でも 「 覚悟を決めるべき 」 だろう。

ハイネ が言うように 「 結婚は戦場 」 であるなら、さしずめ “ 敵前逃亡 ” ということで、新郎は軍法会議の後、「 銃殺 」 されても文句は言えまい。

私も、結婚に関しては 「 往生際が悪い 」 ほうだが、“ 召集令状 ” が来る寸前で講和条約を交わし、なんとか “ 終戦 ” に辿り着いている。

もちろん、「 そのとき 」 が来れば、たとえ “ 玉砕覚悟 ” でも、潔く “ 出兵 ” するし、火を点けるのは 「 新婦の ハート 」 だけである。


こんな事件が起きる背景に、日本人男性の 「 軟弱化 」 があり、嫌なこと、苦手なこと、辛いことから 「 逃げる傾向 」 が進んでいると考えられる。

かつて 安倍 総理 は、しきりに 「 再チャレンジ 」 という言葉を多用したが、無責任に 「 なんでも リセット すれば済む 」 と解釈する馬鹿も増えた。

自殺したり、放火したりして、人生とか、結婚とか、すべて 「 なかったこと 」 にすればよいと考える連中が、とにかく後を絶たない。

日本の場合、その 「 無責任な軟弱者 」 は圧倒的に男性が多く、ここ数年、タフ な韓国人俳優を好む日本人女性が増えたのも、無関係ではない。

先日、大阪駅前で起きた 「 ひき逃げ事件 」 の犯人も逃走中だが、自分の責任から逃げないことこそが、本来、「 男の値打ち 」 なのである。






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2008年10月24日(金) アメリカ大統領選挙 : オバマ 氏 9% の リード



「 民主主義は、誰が責任をとるべきかを、人々が自由に

  選択する システム である 」

                 ローレンス・J・ピーター ( カナダの教育学者 )

Democracy is a process by which the people are free to choose the man who will get the blame.

                               Laurence J. Peter



与党が年内に解散総選挙を行う見通しは強いが、未だ、定かではない。

麻生 首相 は、「 政局より、日本の国際的役割を優先する 」 と語っている。


景気が良く、株価が上がっていると 「 民間の努力の賜物 」 とされ、株価が下がると 「 政治が悪い、首相が悪い 」 と揶揄されるのが、世の常である。

だから、洋の東西を問わず、国の指導者にとって 「 景気対策 」 は最大の懸案事項であり、特に産業界からは、その手腕を持つ人材が求められる。

現在、世界不況の真っ只中にあるので、誰が政権を担っても 「 これ以上は悪くならないだろう 」 と思うが、やはり、経済に疎い御仁では頼りない。

次期選挙では、民主党が圧倒的に有利という調査結果もあるが、小沢 氏、麻生 氏 を 「 経営の センス 」 で比較すると、麻生 氏 に軍配が上がる。

深刻な景気の低迷が、有権者の投票行動にどのような影響をもたらすか、とても興味深いところでもある。


アメリカ も大統領選挙が間近に迫っているが、本日時点の世論調査では、民主党 オバマ 候補が、共和党 マケイン 候補を、支持率で上回っている。

前回の調査では 7% 差だったが、21日は 9%差に リード が開いており、今後は、さらに 「 オバマ 優勢 」 が加速するという見通しが強い。

当初、オバマ 氏 は 「 外交手腕に欠ける 」 という懸念から、特に保守派の人々には敬遠されがちだったが、ここへきて情勢が大きく変わってきた。

金融危機に端を発した大不況の不安が高まる中、国民の関心は安全保障よりも経済対策に重点が置かれ、外交政策など 「 二の次 」 と考えている。

年収25万ドル以上の国民を対象に、税率を 3% 引き上げる オバマ 氏 の税制改革案も、総体的な年収が下がり始めた現在、支持層を拡大した。


別の世論調査で、新大統領を選ぶ際に 「 人種問題は最も重要な条件か 」 という問いに対し、「 重要 」 と答えた人の割合は 5% だった。

ただ、“ 人種差別主義者 ” とみられることを嫌う有権者が、世論調査では黒人候補を支持しながらも、実際は白人候補に投票する可能性もある。

だから、人種の違いが投票に及ぶ影響力が、実際にどの程度まで働くかは予測し難いが、両候補の明確な特色の違いは 「 肌の色 」 だけではない。

同じ調査で、新大統領を選ぶ際に 「 候補者の年齢は最も重要な条件か 」 という問いに対し、50% の人が 「 選択に影響する 」 と答えている。

現在、オバマ 氏 は 47歳、マケイン 氏 は 72歳 だが、経済の危機的状況に際して、「 若く エネルギッシュ な リーダー に期待する 」 声が多い。


様々な要素から、これで 「 次期大統領は オバマ 氏 に決定 」 と言いたいところだが、最後まで何が起こるかわからないのも、大統領選の特徴だ。

2004年の大統領選挙では、民主党 の遊説先で、3歳の少女が掲げていた 共和党 ブッシュ の プラカード が、民主党 の支持者に奪い取られた。

この模様は、AP通信 が写真に収めて世界中へ配信されたのだが、当然、民主党 は批判を浴びることになり、選挙の勝敗にも少なからず影響した。

後から判明したのだが、少女の父親は フィル・パーロック という 共和党 が抱える “ 騒動屋 ” で、民主党 の集会に紛れ込む 「 プロ 」 であった。

既に、その趨勢が決したかにみえる大統領選だが、終盤には、このように過激な 「 権謀術数 」 が活発に行われるので、本選まで目が離せない。






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2008年10月23日(木) 不況、恐れるに足らず



「 お金で買えないものは、ほとんどありません。

  例外は、幸せと、愛と、自然が与えてくれるすべてのものです 」

                   エリック・W・ジョンソン ( アメリカの作家 )

There is hardly anything you can have without money, except happiness, love, and everything nature gives.

                                Eric W. Johnson



同名の ギタリスト ( Eric Johnson ) もいるが、こちらは別人。

アメリカのユーモア作家として、ご当地では人気がある。


冒頭の名言は、アメリカの少女が 「 お金について書きなさい 」 と言われて書いた作文の一節で、それを ジョンソン が自著で紹介したという。

過日、かの ホリエモン は 「 お金で買えないものはない 」 と言い放ったが、この少女のほうが、かなり “ お利口さん ” のようである。

基本的に、お金で買えるものは 「 安っぽいもの 」 や、「 どうでもいいもの 」 が大半で、価値の高いもの、重要なものは、概ね、お金では買えない。

お金があったら、異性にモテたり、周囲にチヤホヤされるかもしれないが、それでなびくのは、「 安っぽい異性 」 や、「 安っぽい人心 」 のみだ。

真心で接してくれる異性や、親友、それに、健康とか、知力、体力、精神力など、かけがえのない財産は、けして、お金で買えるものではない。


この度の金融危機に端を発した、世界同時不況、株安、円高など、世間は不景気な話題に溢れ、そのせいか、将来に不安を感じる人が増えている。

すぐに処分する予定がないので、あまり実感が沸かないけれど、私自身も、かなりの “ 含み資産 ” が目減りし、相応の損失を被ったのは事実だ。

ただ、恋人や、親友や、健康など 「 お金で買えない貴重なもの 」 を失うことに比べたら、経済的な損失など、たかがしれている。

先日、テレビを観てたら、タレントの 明石屋 さんま が、人生は 「 生きてるだけでまるもうけ 」 と話していたが、まったく、その通りである。

お金が無くて自殺する御仁もいるが、たかが、お金ごときのために、もっと貴重なものを投げ出すなんてことは、愚の骨頂といっても過言ではない。


経済的な尺度から判断し、世間には 「 勝ち組 」、「 負け組 」 がいるとか、最近の日本は 「 格差社会 」 だと言う人がいる。

たしかに、資本主義社会は 「 所得格差 」 を生み出すが、お金があるとか、ないとかで、そんなに 「 格差 」 があるかというと、どうも疑わしい。

たとえば、お金持ちの家を訪ねると、100インチ超の液晶テレビがあって、貧乏な人の家に行くと、旧式の小さなテレビしかない。

しかし、100インチのテレビで観ている 「 お笑い番組 」 は、小型テレビで観る 「 お笑い番組 」 より面白いかといえば、まるで同じである。

同じ番組を、お金持ち向けには豪華な出演者で製作し、貧乏な人向けにはチープな内容で製作しているなんてことは、これから先も無いだろう。


高価な服を着て、高級車でドライブし、高級店で食事をしても、嫌いな女性と過ごす時間は、ただの “ 苦痛 ” でしかない。

逆に、お金をかけなくても、愛する女性が傍にいてくれたなら、それだけで、いくらでも “ 至福の時間 ” を過ごすことができるものだ。

それは誰でも同じはずだが、「 物質的な豊かさ 」 を追求するあまり、その 「 当たり前のこと 」 に、なかなか気付かない御仁が多い。

不景気だから、競争の厳しい社会だから、貧乏だから、幸せになれないと思い込む人や、うつになる人もいるが、けして、そうではないだろう。

見栄や体裁に拘らず、表層の 「 物質的な豊かさ 」 ではなく、穏やかな心で 「 精神的な豊かさ 」 を求めれば、金銭面の悩みなど取るに足りない。


一応、「 経営コンサルタント 」 なんて商売をしているので、お金を儲けたいと望む人には、常に、それなりの助言を与えるように努めている。

本心では、「 お金が最重要ではない 」 と思うけれど、競争に参加するとか、参加している人を勝たせたいという好奇心が強いので、葛藤は無い。

それに、大部分の人が望む 「 お金持ちの基準 」 は低次元で、お金持ちというよりは、せいぜい “ 小銭持ち ” という程度のことが多い。

先日も、「 家内の誕生日だから、奮発して、オーケストラの高価なチケットを買ったよ 」 という人がいたが、そんなものは “ 贅沢 ” といわない。

誕生日には、自宅に 「 弦楽四重奏 」 を招くのが本当のお金持ちで、お金さえ払えば誰でも行けるコンサートなどは、庶民的な愉しみなのである。






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2008年10月22日(水) パチンコ店 に ATM を置くという発想



「 貧乏には、魅力があるに違いない。

  でなければ、こんなに多くの貧乏人がいるわけがない 」

                        ドン・ヘロルド ( アメリカの作家 )

Poverty must have many satisfactions, else there would not be so many poor people.

                                   Don Herold



世界中、どこでも 「 金融屋 」 は、一番卑しい職業とされてきた。

ユダヤ人に銀行家が多いのも、キリスト教徒に金融が禁止された所為だ。


一昔前の日本人は、借金を “ 恥 ” と捉える意識が強く、できるだけ借金をしなくて済むように、身の丈に合った生活を心がけていた。

だが、借金を 「 ローン 」 とか 「 キャッシング 」 と言い換えたり、サラ金を 「 消費者金融 」 などと言い換え、最近は “ 恥 ” の感覚が薄れている。

また、借金をするという “ 後ろめたさ ” を取り除くために、人が応対せず、機械がお金を貸す 「 無人契約機 」 も設置されるようになった。

どこの駅前にも、サラ金の看板が目立つ場所にあって、テレビを点けると、一日中 「 サラ金のCM 」 が、ごく自然に流されている。

日本を 「 美しい国へ 」 導こうとした総理もいたが、借金に対する羞恥心の欠如した、これほど “ 下品な国 ” は、世界に類を見ないだろう。


最近の不況について、経済評論家、金融関係者の大半は、アメリカによる 「 サブプライムローン 」 の焦げ付きを、最大の理由に挙げている。

所得の少ない人や、担保を持たず信用度の低い人に対して、安易にお金を貸すことの弊害を、この事例から、世界中が学んだといって過言ではない。

様々な事情があって、一般の銀行で借りられない人が利用するサラ金は、日本版の 「 サブプライムローン 」 と同じで、水面下に多重債務者がいる。

この10年間で、国内の自己破産者が 「 4倍 」 まで膨れ上がった背景と、サラ金の普及は、密接な因果関係があるとみて間違いないだろう。

近頃は、サラ金のCMで 「 本当にお金が必要ですか 」 などと戯言を並べているが、自己破産の拡大に加担していると、彼らは認識しているはずだ。


サラ金業者の資金源 ( 金主 ) が大手銀行であることは、以前から周知の事実だったが、少なくとも一昔前は、その 「 関係 」 を隠す風潮があった。

しかし近年は、公然と大手銀行がサラ金業者を傘下に置き、銀行自体も、高金利で儲かることから、個人融資事業を積極的に拡大している。

彼らの狙う 「 最大の ターゲット 」 は、生かさず殺さず、ずっと高い金利を払い続けてくれる “ ある程度、余裕のある貧乏人 ” という層である。

そして、この層に人気があり、無駄な浪費を根こそぎ吸収しているのが、「 パチンコ 」 という博打産業であることを、誰もが気付いている。

昼間から仕事もせず、パチンコに興じる堕落した層に、せっせと金融屋が資金を融通し、高利を貪る構造が、今の日本を 「 ダメ 」 にしているのだ。


金融決済サービスの運営会社 「 トラストネットワークス 」 は、パチンコ店内への銀行 ATM ( 現金自動預払機 ) 設置、試験導入をスタートさせた。

利用者の反応は概ね好意的で、「 店内ですぐに引き出せるので便利だ 」、「 利用上限もあり、過剰に引き出すこともない 」 との声が挙がっている。

その一方、「 自分の財布だけで遊ぶレジャーレベルから、危険性が高まるギャンブル性を帯びてくる 」 という、依存症に詳しい専門家の意見もある。

パチンコ業界の一部には、「 多重債務防止への機運が高まる中で、ATM 設置は業界のイメージを損なう 」 とみる、批判的な意見もあるらしい。

銀行業界などを監督する金融庁は、「 ATM の設置場所を定めた基準はないので、行政が介入するのは難しい 」 と、消極的に容認している。


パチンコ店、利用者、金融業者、監督省庁、有識者、視点や利害によって、各々の異なる意見が語られるけれど、はたして、どうあるべきか。

合法か、非合法かという尺度だけで、こういった問題を判断してよいのか、それで 「 社会倫理 」 は守られるのか、なんとも不安である。

世の中の秩序を守る方策として、欧米のキリスト教社会が 「 罪の文化 」 を採用してきたのに対し、古来、日本では 「 恥の文化 」 が主流だった。

物事を、有罪か無罪かといった善悪の判断ではなく、礼儀やら、道徳的な嫌悪感からみて、恥じることの有無に、その価値を委ねてきたのである。

サラ金や、パチンコが、諸悪の根源とは言わないけれど、誇りや羞恥心を取り戻し、マトモな事業に回帰しなければ、この国に未来はなさそうだ。






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2008年10月21日(火) 三浦 和義 「 他殺 」 の可能性



「 うむを言わさず話をつけるさ 」

                          映画 『 ゴッドファーザー 』 より

I'll make him an offer he can't refuse.

                                  The Godfather



1972年公開の 『 ゴッドファーザー 』 は、実に “ 凄み ” のある映画だった。

なかでも、劇中に何度か登場した冒頭の台詞が、強く印象に残っている。


英語の “ I'll make him an offer ( 私は彼に一つの提案をする ) ” という文は、「 主語+動詞+間接目的語+直接目的語 」 の形を取っている。

この文型は、「 主語に当たる人が何かをすることで、間接目的語に当たる人が、直接目的語に当たるものを持つ 」 という意味になるのが特徴だ。

英文法の基礎中の基礎、基本5文型の中の第4文型といわれるものだが、後半に “ can't refuse ( 断れない ) ” を付けると、「 脅し文句 」 にもなる。

マフィア の 首領が、「 私は彼に “ 断れない ” 一つの提案をする 」 と語るのは、「 うむを言わさず話をつける 」 と同意語だと考えてよい。

この映画に描かれたような犯罪組織や、裏社会では、常套句的に使われる台詞だが、こんな会話を向けられないように、気をつけたいものである。


先日、『 ロサンゼルス銃撃事件 ( ロス疑惑 ) 』 で逮捕された 三浦 和義 が、ロス市警内の拘留施設で自殺し、世間を驚かせた。

市警側は、「 自殺以外の証拠は見当たらない 」 と話すが、故人の代理人 ゲラゴス 弁護士 は、独自調査の結果、「 他殺説 」 を示唆している。

日本人の感覚でいうと、「 警察署の中で殺される 」 という可能性は皆無に等しいと思いがちだが、実は、アメリカでは 「 有り得る話 」 なのだ。

特に、大手の マフィア が絡んだ事件では、いわゆる “ 口封じ ” のために、裁判の証人や、逮捕され拘留された囚人が、殺害された例は珍しくない。

彼らは、目的のためには手段を選ばず、護衛に付く警官、収監先の看守、同房の囚人に至るまで、買収、恐喝などにより、仲間へと引き込む。


今回の 三浦 の場合は、「 犯罪組織から命を狙われる存在 」 とも思えず、おそらく、厳重な警備体制は、敷かれていなかったのだろう。

しかし彼は、問題の銃撃事件において、間違いなく 「 共犯者 」 を準備していたはずで、その人物とは、お金で雇われた 「 プロ 」 の可能性が高い。

いくら彼がアメリカの裏社会に通じていても、独力で 「 プロ 」 を見つけ出すことは難しく、そこには仲介する 「 組織 」 の存在があったはずだ。

仮に、その 「 組織 」 が、逮捕された 三浦 の供述から、我が身にも危険が及ぶと判断したなら、公判前に殺害を試みたとしても、不思議ではない。

まるで映画のような筋書きだが、けして 「 あり得ない話 」 とも言い切れないわけで、他殺の可能性も視野に入れて、検視は慎重に行うべきだろう。


一昔前、ロスで仕事をする日本人の女性と親しくなったが、彼女は、余暇を利用して近所の老人に、ちょっとした介護のボランティアも行っていた。

その中の一人に、「 CIA ( アメリカ中央情報局 ) の OB 」 が居て、普段は穏やかな老人なのだが、時折、大柄の男達と、密談を交わしていたという。

老人は、彼女の親切さ、優しさに感動し、「 もし、貴女が誰かにいじめられたり、迷惑を被ることがあれば、いつでも相談しなさい 」 と告げた。

彼女が、「 その “ 迷惑野郎 ” をどうするの? 」 と尋ねたら、老人は微笑を浮かべながら、平然と 「 明日の朝刊に載せてあげるよ 」 と語ったという。

なんとも背筋の寒くなる話だが、典型的な 「 うむを言わさず話をつける 」 という裏社会の脅し文句か、単なるジョークなのか、真偽の程は定かでない。






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2008年10月16日(木) 北巣本保育園 で演じられた 「 大人の学芸会 」



「 何が見えるかは、その人間がどこに位置しているかによる 」

             ジェームズ・R・シュレジンガー ( アメリカの政治家 )

What one sees dedepends upon where one sits.

                            James R. Schlesinger



同じ物でも、角度を変えて眺めれば、違った形に見えることがある。

たとえ見え方は違っても、それぞれが、真実であることに間違いはない。


大阪府は16日、第2京阪道路の用地として、門真市の北巣本保育園の畑771.17平方メートルに行政代執行をかけ、強制収用した。

第2京阪道路は、京都市伏見区と門真市を結ぶ28.3キロの自動車専用道路で、国道1号線の渋滞を緩和させる役割が期待されている。

大阪在住で、運転歴の長い方はご存知だろうが、国道1号線の渋滞緩和は積年の懸案事項で、第2京阪道路の敷設を、心待ちにする人も多い。

ただ、公共事業の大半がそうであるように、事業用地の近くに住む人々は、工事に伴う騒音や、大型車両、重機などの行き来に、相応の迷惑を被る。

公の利益と、個人の利害が対立することは珍しくなく、今回、執行の対象となった北巣本保育園の理事からも、執行停止の申し立てが出されていた。


大阪府の 橋下 徹 知事 によると、「 2週間遅らせることで、通行料で6億〜7億円の損が出る 」 らしく、司法判断を待たずに、執行した模様だ。

地元住民とは、「 4月から任意交渉を誠実に続け、慎重な対応をしてきた 」 とのことで、工期からみて、これ以上は待てない理由も説明している。

今回、行政代執行をかけた保育園の畑には、月末の 「 芋掘り交流会 」 に向け、園児たちが育ててきた サツマイモ や 落花生 が植わっていた。

畑には早朝から、保育園理事ら約30人の地域住民や、園児の保護者らが集まり、「 収穫までのあと2週間をなぜ待てないのですか 」 と抗議した。

うつ伏せで畑に横たわり、「 子どもの思いがどれだけ詰まっていると思っているのですか 」 と叫ぶ保育士を、府の職員が排除する場面もあった。


保育園児が一生懸命に育てた畑へ、公益の御旗を掲げた官権が侵入し、農作物を乱暴に引き抜いては、次々と事務的に整地していく。

傍らには、泣きじゃくる園児たち、その保護者、保育士、睨みつける近隣の住民、噂を聞きつけた報道陣、まさに 「 悲劇 」 の役者が勢ぞろいである。

どちらの肩を持つ気もないが、あまりにも 「 出来すぎ 」 という印象が強く、演出過剰の芝居を観た後のような、“ しらけた気分 ” に襲われる。

大阪府側に対しては 「 2週間ぐらい待ってやれば 」 と思うし、関係者には 「 子供を盾に使うなよ 」 と思うし、どちらも “ 大人気ない ” 気がする。

どちらの言い分も、正当で、けして間違ってはいないが、もう少し、お互いに 「 穏便な解決方法 」 を協力して求める姿勢が、欠けているのではないか。


大阪では、橋下 知事 と “ クソ教育委員会 ” が対立する 「 学力テスト の公開、非公開問題 」 も白熱化しているが、この先、どうなるのだろう。

誰もが 「 子供のため 」 と口にするが、実際は、互いの “ 大人の事情 ” を通すために、子供を ダシ に使っている場面も多いのではないか。

道路の敷設が予定されている土地に、わざわざ サツマイモ を植えさせて、悲痛な体験をさせるのも、教育といえば、教育なのかもしれない。

大衆の利害など、官権の前では通用しないという体験をさせるのも、将来、子供が生きていくうえで、教育といえば、教育になるのかもしれない。

だが、個人的には、「 立派な大人には、争い事があっても、知恵を出し合い解決できる “ 素敵な能力 ” がある 」 と教えるほうが、望ましいように思う。






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2008年10月14日(火) マルチ商法から賄賂をとる民主党議員



「 僕を メンバー にしてくれるような クラブ には、入りたくないね 」

                ウッディ・アレン ( アメリカの俳優、映画監督 )

I don't want to be part of any club that has me as a member.

                                   Woody Allen



時折、何かの 「 会員になって欲しい 」 と、頼まれることがある。

そんなときは、冒頭に挙げた ウッディ・アレン の “ 断り文句 ” が便利だ。


民主党 の 前田 雄吉 議員 が、衆院予算委員会などで 「 マルチ商法 」 を擁護する発言を行い、業者から見返りに、講演料や寄付を受け取った。

党内の事情聴取で、前田 議員 は 「 全業者を肯定しているのではなくて、中には “ 悪質な業者 ” がいることも話している 」 と、胸を張って答えた。

だから、議員も辞めないし、離党もしないと話すが、問題は、彼が講演料を受け取った企業が、彼自身の指す “ 悪質な業者 ” であった事実だ。

彼が講演をした 『 トータル・コミュニケーション 』 は、化粧品、健康食品のマルチ商法で、勧誘の目的を隠したり、「 絶対に儲かる 」 と謳っていた。

その結果、経産省から 3ヶ月間 の 「 業務停止命令処分 」 を受けており、これが “ 悪質な業者 ” じゃないという弁明は、世間に通用しないだろう。


前田 議員 は、「 ネットワークビジネス推進連盟 」 の アドバイザー であり、その立場から、計4回、衆院予算委で質問を行っている。

彼の行動を善意に解釈して、「 悪質な業者とは知らずに講演した 」 のだと考えた場合、それで “ アドバイザー が務まるのか ” という疑問が生じる。

もちろん、悪意に解釈して、「 悪質な業者と知りながら、被害の拡大に寄与した 」 のだと考えれば、国会議員の地位を濫用した重大な社会悪だ。

国会議員の資質面で、頭が悪い ( 善意の解釈 ) のも困るし、素行が悪い ( 悪意の解釈 ) のも困るわけだから、彼は、辞めてもらったほうがよい。

閣僚の不祥事が明らかになる度、何度も 「 任命責任 」 を問い続けてきた 民主党 としても、このような議員を放置することは沽券に関わるはずだ。


昔から 「 職業に貴賎なし 」 などと言うが、たとえば、我が子が AV女優 になったり、売春婦になって、親は平然としていられるだろうか。

お金の稼ぎ方は人それぞれだが、知り合いを紹介するだけで、お金を儲けるようなマルチ商法を、「 一つの職業 」 として尊重する人も少ない。

これは、悪質かどうか、合法的かどうかという基準だけでなく、この世に生を受けて、「 そんな仕事でいいのか 」 という、一般的な価値観の認識による。

どんなに 「 職業に貴賎なし 」 と主張しても、道徳的嫌悪感や、蔑視構造を拭う手立てにはならず、マルチ商法が、その地位を高めることはない。

もし、知人が勧誘に来た場合、私なら 「 品物も権利も要らないし、勧誘には応じないが、お金が必要なら渡すので、金輪際、顔を出すな 」 と絶縁する。






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2008年10月12日(日) 三浦 和義 : 自殺 「 三つの仮説 」



「 多くの人は、運のせいで罰を免れたが、恐怖を免れた者はいない 」

       ルキウス・アンナエウス・セネカ ( 古代ローマの政治家、詩人 )

Fortune frees many men from punishment, but no man from fear.

                          Lucius Annaeus Seneca



頭が良く、正常な精神の持ち主は、概ね、「 犯罪 」 に手を染めない。

なぜなら、それが “ 割に合わない行為 ” だと知っているからだ。


1981年8月、日本人女性が何者かに頭部を殴られて負傷し、3ヵ月後には頭部を銃撃され重体となり、翌年に死亡するという事件が ロス で起きた。

警視庁は、被害者の夫であった 三浦 和義 を逮捕し、殴打事件では平成10年に実刑が確定したが、銃撃事件では、最高裁で無罪が確定した。

ロス 市警は、事件から27年後の今年2月、三浦 を旅行先の サイパン で、日本には無い 「 共謀罪 」 の容疑により逮捕、訴追手続きを進めていた。

ところが、サイパン から ロス へ移送した直後 ( 今月10日午後9時45分 )、三浦 は、ロス 市警本部の拘置施設で首をつって自殺した。

自殺する数時間前には、食事の要望 ( アレルギーに関して ) を伝えたり、弁護士への電話許可を求めており、まったく、予兆は見当たらなかった。


移送中の 三浦 が被っていた帽子に、スラング で 「 あばよ 」 という意味の メッセージ が書かれていたとも伝えられたが、意図的かどうかは疑わしい。

彼が無罪を主張していたことや、過去の言動、直前の様子などからみて、行く末を悲観して自殺に至ったというのは、どうも腑に落ちないのである。

死んでしまった以上、真相は闇の中ということになるのだろうが、自殺した原因について、三点ほど 「 仮説 」 を推理してみた。

一つ目は、ロス に着いてから、「 決定的な証拠を突きつけられた 」 ため、これ以上は係争できないと観念したことで、自殺に踏み切ったという説。

ただ、それならば、ロス 市警が早々と発表するはずで、秘匿しておく理由は無いのだから、時間が経てば経つほど、この説は信憑性を失う。


二つ目に、本気で死ぬつもりはなく、「 狂言 」 として自殺を図ったのだが、誤って死んでしまったという説で、これは、可能性が高いと思われる。

自殺の方法は各種あるけれど、特急列車の前に飛び込むとか、高い建物から飛び降りるのに比べて、首吊り自殺というのは、未遂に終わりやすい。

あらかじめ、首を吊る紐を切れ易くしたり、なんらかの細工を施しておけば、もがいている間に誰かが気付き、助けに来ることが期待できる。

本当に死ぬ気はないが、周囲の関心をひくために 「 死ぬぞ 」 と脅すには最適の方法で、実際、自殺未遂者の多くが 「 偽装首吊り 」 をしている。

陪審員の同情を買うためか、目的は不明だが、派手な パフォーマンス を好む 三浦 の性格からみても、この 「 狂言 」 だったという可能性は高い。


三つ目は、少し オカルト な想像ではあるが、自分が殺人を犯した場所へと行ったことで、被害者の 「 霊 」 や、「 悪夢 」 にうなされたという説だ。

連続婦女暴行殺人鬼として知られる 大久保 清 など、過去の凶悪殺人犯の多くが、「 被害者が夢に出てきて恐ろしい 」 という理由で自首している。

いまから思えば、サイパン に居た 三浦 が、ロス への移送を強く拒否していたのも、あるいは、そのような恐怖心が根底にあったのかもしれない。

冒頭に挙げた名言が示した通り、司法の追及からは運よく逃げられても、自分自身の恐怖心から逃れることは不可能で、自殺の動機にもなり得る。

私自身は、非科学的な 「 霊 」 の存在を信じないが、犯罪者の心理として、そのような妄想に悩まされることは、想像に難くない。


被害者が気の毒なのは当然だが、殺人を犯すと、司法の追及から逃れるだけでなく、その後の一生を、相応の 「 恐怖 」 と共に歩まねばならない。

捕まって、裁判で極刑を言い渡されなくても、三浦 のように、自らの生涯を自らの手で閉じたり、長生きしたところで、穏やかな幸福は訪れない。

逆説的に言うと、自殺を図るような 「 人命を粗末に扱う輩 」 だから、他者の生命を安易に奪ってしまったのかもしれないが、なんとも愚かである。

自分の妻を殺害し、三浦 が詐取した保険金は 「 1億ちょい 」 だが、そんなもの、事件後の27年間をマトモに働けば、十分に稼げたはずの金額だ。

結局、三浦 は妻だけでなく、その 「 夫 」 も殺害したわけだが、犯罪は割に合わないという教訓を、最後に示してこの世を去った。






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2008年10月11日(土) アメリカ ではなく、金融屋の 「 無能 」 が敗因



「 欠点を探すな、解決策を見つけろ。 文句なら誰でも言える 」

                   ヘンリー・フォード ( アメリカの自動車王 )

Don't find fault, find a remedy ; anybody can complain.

                                    Henry Ford



欠点を見つけ、指摘する能力も必要だが、それだけなら誰にでも出来る。

いわゆる “ あら捜し ” の達人は、結局、何も生み出せない人だ。


世界中の投資家が、この数週間で 「 シャレにならん 」 ほどの損失を被り、企業の多くは、株価の低迷などによって、深刻な危機を迎えている。

普段は、のんびりと新商品の開発や、販売方法のアイディアなどに関する相談を受けているクライアントも、なんだか動きが慌しい。

珍しく、経理や財務の責任者が顔を揃える会議に呼び出され、今後の方策について尋ねられたりもしたが、正直、「 知るかよ 」 というのが本音だ。

最初から、資金繰りや資産運用などの 「 投資顧問 」 的な仕事は引き受けていないし、そうした 「 ファイナンシャル に携わる部分 」 は専門外である。

ありきたりな一般論を語っても意味が無いし、指導責任も負いかねるので、早々に立ち去ったが、彼らとしては、藁にもすがりたい気持ちなのだろう。


私自身も、このところ 「 シャレにならん 」 金額の損失を被っているが、下手に動くとマイナスの拡大になる恐れがあるので、当面は静観の構えだ。

この一週間、せめて “ 止血 ” だけでもしたいと考えたが、株価低迷による 「 含み損 」 を抑えることは不可能だし、黙って眺める以外に手は無い。

猫の額ほどの広さだが、北米に持つ不動産は、評価額こそ下落していないけれども、真っ当な価格で手放すのは、とても困難な状況にあるらしい。

最も判断に苦しむのは 「 外貨預金 」 で、ここまでの損失は忘れ、急落したドルを買い増すのが得策なのか、見合わせるべきか、難しいところだ。

お金への執着心は薄い性質で、元々は 「 無かったものだ 」 と思えば気楽なのだが、さすがに、この一週間は 「 日記 」 を書く気力も失せていた。


ライブドア の 堀江 社長 が逮捕されたとき、数多くの ブログ が彼のことを 「 お金の亡者だ 」 とか、「 お金がすべてではないぞ 」 と罵った。

しかし、アメリカに端を発する今回の金融危機では、社会倫理に反しても、破綻した銀行に 「 公的資金を注入せよ 」 と、大半の ブログ が書く。

大事なのは、「 正義 」 や 「 公平性 」 ではなく、「 市場経済に与える影響 」 という論調に、疑いを持つ人が少ないのは、なんとも不可解だ。

投資や経営に失敗し、破綻した企業は潰れるというのが、資本主義社会のルール、倫理基準なのに、なぜ、大手の金融機関だけは救済するのか。

私とて、個人的な損得からみれば、早々に金融不安が解消することを望んでいるが、“ そんなことのため ” に、正義を犠牲にしろとは言えない。


今回の世界同時株安、金融危機で、日本の各金融機関が受けた打撃は、比較的 「 軽傷 」 で済んだため、破綻に至るところは少ない。

それに比べ、欧米では次々と巨大組織が危機に瀕しているうえ、個人資産の中で有価証券の占める割合が高いことから、人々の不安は深刻だ。

ただ、それでも何割かの人は、たとえ自分の資産が紙くずに成り果てても、金融機関に対する不公正な支援に、反対の意志を示している。

彼らは、ハイリスク な投資で資産を失うことを 「 自分の意志でしたこと 」 と理解し、けして政府や、他人の責任にはしない潔さを擁しているのだ。

先日、破綻した 「 大和生命 」、「 ニューシティ・レジデンス 」 の記者会見を観ると、すべて 「 アメリカが悪い 」 と弁明しているようで、大違いである。


自由経済という構造は、どうしても貧富の差を生むが、少なくとも、有能で、努力し、成果を得たものは報われるという 「 公正さ 」 が保証されている。

その概念を崩し、預金者保護の名目で金融機関だけを救済するのならば、対象者については、相応の 「 ペナルティ 」 を課すことが正しい。

大規模なリストラはもとより、経営陣、幹部社員の法的責任追及、個人資産の没収、従業員の賞与カット、給与の半減など、「 厳罰 」 を課すべきだ。

これを言うと、「 そんなことをしたら “ 優秀な社員 ” が辞めてしまうよ 」 と反論する人もいるが、それは大きな勘違いである。

本当に “ 優秀な社員 ” が揃っているなら、「 国に支援されないと潰れる 」 ような状況に陥っていないわけで、彼らに 「 有能 」 は存在しない。






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2008年10月01日(水) 個室ビデオ店放火 : 「 自殺 」 と 「 殺人 」 の間



「 耐えて、頑張りなさい。 その悲しみは、いつの日か君の役に立つ 」

                 オヴィディウス ( 古代ローマの詩人、哲学者 )

Bear and endure : This sorrow will one day prove to be for your good.

                            Publius Ovidius Naso



人生は、辛いこと、大変なこと、嫌なことの連続でもある。

しかし、楽しいこと、嬉しいこともあり、それを支えに人は生きていける。


大阪・難波の個室ビデオ店放火殺人事件で、小川 和弘 容疑者 (46) が、殺人と殺人未遂、現住建造物等放火容疑で逮捕された。

放火により、15名の死者、10名の重軽傷者を出したが、小川 容疑者 は 「 家庭崩壊 」 や 「 借金 」 などで自暴自棄になり、犯行に及んだという。

最近は、特定の誰かを殺害するのでなく、「 誰でもいいから殺したかった 」 などと、動機について供述する事案が増えており、これもその一例だ。

これらの犯罪は、「 殺人 」 というよりも 「 間接自殺 」 と呼ぶほうが正しく、実際、この犯人も 「 自殺すること 」 が当初の目的だった。

死のうと思って火をつけたが、途中で怖くなり、15名もの尊い命を巻き添えにしながら、自分だけ逃げて、難を逃れたのである。


チャップリン の晩年の名作 『 ライムライト (1952 米) 』 の DVD を観ると、物語の前半で、チャップリン が、自殺を図った娘を助ける場面がある。

多量の睡眠薬を飲み、昏睡状態にある娘を介抱するのだが、近所の主婦からは 「 警察に届けたほうがよい 」 と助言される。

チャップリン は、「 刑務所に入れられると可哀想だ 」 と反論するのだが、当時、物語の舞台となったイギリスでは、「 自殺は犯罪 」 とされていた。

自殺とは、「 人間の生命を奪うこと 」 なのだから、その行為は殺人と同義 ( 自殺未遂は殺人未遂と同義 ) という発想は、正しいと思う。

なぜ、「 自殺は犯罪 」 という制度を止めてしまったのか、そちらのほうが、なんとも不可解に感じる。


現代社会は、自殺に対して寛容で、誰もが 「 殺人は凶悪犯罪 」 と認めるけれど、自殺を 「 殺人と同様に悪質な行為 」 だとする認識が薄い。

それは、根底に 「 他人の命を奪ってはいけないが、自分自身の命を抹消するのは、本人の自由ではないか 」 という意識を持つ人が、多いためだ。

これは、実に 「 幼稚で、愚かな考え 」 であり、援助交際をする女子高生が 「 自分の体をどうしようと、私の勝手じゃん 」 と開き直るのと大差ない。

また、彼女らが 「 自分が売春をしていても、他人に迷惑はかけていない 」 という “ 誤解 ” を抱いているところも、自殺企図者と共通している。

今回の放火事件をみても、「 自殺を図ること 」 が、どれほど多大な迷惑を及ぼし、取り返しのつかない惨劇を招いたのか、誰の目にも明らかである。


犯人は、「 生きていくのが嫌になった 」 と周囲に語っていたそうだが、そのような言葉を口にする人間は、概ね、ロクな人間ではない。

誤解を招かないように補足するが、“ 生きていくのが嫌になった ” と胸中に想うことは、何の問題もないし、誰にでも、そんな気分の日はあるだろう。

胸中で想うだけなら他人の迷惑にはなり得ず、口にしたり、言葉にすると、それを見たり聞いたりした人に、「 嫌な気分 」 を伝染させてしまうのだ。

無責任な精神科医は、「 ストレスや、嫌なことは、抱え込まずに発散しろ 」 と言うが、それは、患者本位だが、周囲への迷惑を顧みない発想である。

いくら気分が落ち込んでいても、それで 「 何を言っても許される 」 わけではないし、弱音を吐く相手を選ばないと、自分が “ 加害者 ” にもなり得る。


事故の再発防止に向けて、建物の構造を見直すべきだとか、格差社会に問題があるとか、様々な議論が飛び交っているが、どれも的を得ていない。

異常な事件、凶悪犯罪の主役は、決まって 「 頭のおかしい人間 」 であり、人権擁護団体は反撥するだろうが、それは紛れも無い事実である。

いくら罰則を強化しても、警戒を強めても、“ その手の人間 ” が相手では効果なく、本気で治安を回復するには、社会秩序の見直しを図るべきだ。

自殺やら、無理心中を図った者を刑務所、精神病院に収容して、徹底的に更生させる、忍耐力をつけるために重労働を課すなど、厳しく対処する。

それを 「 可哀想だ 」 という曖昧な根拠で野放しにしていると、いつまでも、隣家や、隣りの客室からの煙に怯え、暮らさなければならないだろう。






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