白痴日記
白痴



 happy birthday

君の匂いは安心できる.
呼び名のない関係に時に苛つくけれども
呼び名のない関係は,少しは長持ちするだろう.

君の健康を願う毎日を
食事を一緒に食べる幸せを
馬鹿なことを言って笑いあう平和を

私は大好きだ.


2007年05月29日(火)



 ポケットを叩く

今日するべきことがあった気がして
目を閉じながら考える.
したほうがいいこと,ならあるけれど
するべきことはなかった,たぶん.
たぶん,ね.

ビスケットを砕いて,道に落としていく.
それは食べられてしまうよ.
だから帰ることができない.

そういうものなのだろう.


2007年05月28日(月)



 夕暮れが終わる

夕暮れが終わる.
夜は何も起こらなければいい.
穏やかであればいい.

血の匂いを嗅ぐ夜.
眼がカラカラに乾き,喉を鳴らす.
其れはいつもの夜.

今日の闇はせめて優しく.

2007年05月27日(日)



 面倒な自意識過剰

粘りつく自意識.
過不足のない自分を受け入れられない.
腐りゆく自意識.

自分を叫びたくて仕方ないのであろう.

半狂乱にさえなって.

2007年05月26日(土)



 

傘がなくたって出かけなくてはいけないし.
誰かの置き傘があったって,使う気にはならないわ.

人間より雨のほうが百倍優しい.

2007年05月25日(金)



 後から気づくこと

自分が囚われていたこと.
縛られていたこと.
解き放って,空気をいっぱい吸って
涙さえ浮かぶ.

空は水色.
睫毛に太陽.

2007年05月21日(月)



 君の哀しさなど不安など

所詮,保身なのだろう.
わかっているよ.最初から.
狡い目をしていたね.

でも心の淵を見て
狡さに目を細めたのは,私.
汚いものに真実があるなど青臭いこと,もう思っちゃいなかったけれど.

もう二度と目の前に現れるな.
殺すよ?

2007年05月18日(金)



 ほしかったもの

ほしかったものは
あいされるじぶん

こども
べびーかー押して歩く

あいされたかった
あいされたかった

2007年05月17日(木)



 私の値段

私の値段は幾らなのか.
この乳房や性器や舌の,総合の.
売れるものは売るさ.

お金にならないプライドで
飢えて死ぬのも,また一興.

どちらを選ぶかなど
風の中.

一人地面を踏み潰す足を見つめる.
一人何も掴めない手を見つめる.

2007年05月16日(水)



 親しい人達へ

どうか幸せに.
どうか健やかに.

2007年05月15日(火)



 普通になりたかった

立ち直って
頑張って
何になるというの.

教えてよ.

試練っていうけれど
何を試されているの.

教えてよ.


いったいどのくらいの悲惨を
消化したら
満足できるのか.

2007年05月14日(月)



 とどめ

色々な事情がわかってきて
色々な都合がわかってきて

色々な事情に合わせて
色々な都合に合わせて


なくなってしまうのは自分の形.
取り戻したいものは,ただ平穏な日々.
平穏な日々の破片は容赦なく突き刺さる.

しょっぱくて,酸っぱい血の味.


2007年05月13日(日)



 真っ直ぐな紐

死んだように風呂に浸かって
髪を乾かすためにドライヤーを用いる.
笑ってしまう.
コードの捻れがなくなっている.
そういえば今朝彼方がいじっていたな.
絡みまでは直すけれど,私は
捻れまでは直さない.

全く彼方は電化製品にまで気を配る.
優しいと言っていいかもしれない.

もちろん私にも優しい.
電化製品のように.

いつまで
いつかは.

2007年05月11日(金)



 同じ場所にいる

私はずっと同じ場所にいたのだわ.
22であの人に会って,波にさらわれて
でも結局,私は同じ場所に,ひとりで,いたのだわ.

寂しいと言えるのは,見ず知らずの他人にだけだ.


2007年05月10日(木)



 正直

正直になることにした.
まずは一つ解消した.

最後の儀式.

色々片づけないといけない.
正直になって.

2007年05月09日(水)



 遺す言葉

ありがとう
愛してる

全ては必然で,全ては優しく,残酷だった.

2007年05月07日(月)



 唐突で不可能

舌の下で溶けていっている薬が
毒であったら,良かったのに.

海を見たい.

2007年05月05日(土)



 

私というグロテスクな花が
限界まで花弁を広げて
雨を飲みこむ.

太陽に照らされて
土壌から栄養を戴く.

雌蘂は卑しいほど伸びて膨らむ.

嗚呼,だから今.
ねえ,だから今.

2007年05月04日(金)



 グッドモーニング

夢を見た.
夢だった.
重い瞼を開ける朝.

重い気分を動かして
水を流し込む.
此処の水は不味くて,臭い.

瞼が腫れている.
夢を見ながら,現実が泣いたか.
鏡の自分を嗤って
視線を横に流す.

そうやって
そうやって

毎朝.

2007年05月02日(水)



 それはつまりリセット

リセットまではいかないけれど
切り捨てたいもの.

血,だとか
柵,だとか

電話機の液晶ディスプレイだとか

苦しいもの全て.

命だとか.

2007年05月01日(火)
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