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■ 街角5
幾らと聞かれてもわからなかった. 「十万円でいいかな.」 僕は頷く. とりあえず悪い金額ではないはずだ.
肩に手を置かれたまま,歩いていく. 中年の普通のオヤジに見える. でも嫌な匂いがする.あの女と同じような. 逃げ出したい. 逃げ出した方がいい. 客は他にもいるし.いるだろうし. そんな気持ちが伝わったように腰を抱き寄せられた.
「あのマンションだよ.」 それは豪華なマンションで,もう目の前だった. 僕はあの中で裸にされて,犯される. きっとすぐ終わる.
その時 視界が揺れた.腰から手が離れた. 横を見ると自販機に男が向かっている. 何か飲み物でも買うのだろうか,逃げるなら今か.
それは瞬間だった. 男の身体が半分に裂けていった. ピンク色の腸がアスファルトに伸びた. 脳味噌のようなものが僕に降り注ぐ. 意識が遠くなる. 目を閉じる瞬間に裂けた身体の向こうに
サングラスの女がいた.
2007年02月06日(火)
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