白痴日記
白痴



 結婚

結婚しようかと思っています.
少し嬉しいです.
思っているだけで.

たぶんしないだろうと思います.
ギリギリのところで
私は.

2007年01月30日(火)



 泥の音

生きていていいのでしょうか.

生きていていいのだよ.
生きなければいけない.
悲しむ人がいる.

そう言ってほしいだけの戯れ言.

本当は私を必要な人など何処にも居ない.
ブレインとしては必要かもね.
相談相手としては必要かもね.
でも私が私でいいから,何も話さなくていいから
必要だ.

という人は何処にも居ない.

親は金のことばかりだ.
もう疲れた.疲れた.疲れた.

誰も必要としなくても,私は生きてやると
泥に足を踏み込んだ気持ち悪さを忘れたことはない.

2007年01月28日(日)



 可能性

可能性は何処にだって誰にだってあるでしょう?
違うよ.
誰にだってあるべきなのに,ない.
そういうことが問題.

君は安全な道の上で靴も脱がず,平等や公平を訴える.

その君の話を聞いている間に,皆の足は荊に包まれる.

可能性など,本人以外が使う言葉だ.

2007年01月26日(金)



 せめて

せめてきれいに死にたいけれど
アパートメントのゴミ箱が片づいていなかったり
バスケットに無造作に避妊具があったり
激情をぶつけた手帳があったり

血だって固まってしまうし
時間が経てば.

嗚呼,あの人の目の前で果てたい.
身体中の全ての血を噴き出して.

そういうことを望んでいたわけではないの.
幸せだって望んだ.
でも駄目だったから.どうしても駄目だったから.
そしてどうしても気持ちをなくせなかったから.

私に残された道はそう多くない.


2007年01月25日(木)



 私を見てよ,見ていてよ

君の目を独占したいの.
余所を見ないで.
私の髪を,目を,指を,爪を
踝を,膝小僧を
見て.

私の心を見ていて.
形のないものに目を凝らして.

私を見ない君の目など要らない.
エゴイスティックで構わない.
其れしか要らない.
其れしか欲しがらない.

私の乳房を,子宮を,唇を
太股を,睫毛を
見て.

見て.全部.
見ていて.全部.

2007年01月19日(金)



 いつか死ぬ

その,いつか,が待つことができない.
生きながら死んでいると,早く朽ちたくなってしまう.

毎朝の陽射しは容赦なく.

馴れ合いの傷を舐めても
ろくな事にはならないから,止めた.

どこかに曖昧さを残してもいいけれど
曖昧は優しいの?
自分に?
他人に?

爪先が白くて,唇はカサカサと乾き
不幸を感じて立ち竦む.

何の未練もない.
発声してみる.
静かに響く.

2007年01月18日(木)



 健気ではない私にも

優しい子が新しい命を産む.
ねえ,君は知っていた.
遠い空で.知って微笑んでいた?

君は今色々なことを知った?
知りたかったことを.

健気ではない私にも
いつか
安息する日は来るかしら.



2007年01月15日(月)



 ひと

人は肛門を晒けだし,交尾して
膣を裂いて,人を産む.

どこまで行っても
一人ということを,いつ学ぶだろうか.
何を晒しても,決して交わることができないと
いつ知るのか.

醜い姿で醜い道を汚泥にまみれて
死に近づいていく.
掴む時,死を掴む時,やっと安らげるだろう.

2007年01月10日(水)



 私はいつでも死んでいいと思っている

だから多少のことは平気だ.
平気だと思いこむ.
そうしないと今すぐ首を掻き切りそうだ.
血は飛ぶだろうか.
たくさん飛んで
元素になって
あの人の元へ行くだろうか.

2007年01月07日(日)



 なり損ねる

幸福にはいつもなり損ねる.
もう諦めてしまったよ.

心など
脆弱な心など
要らぬ.

2007年01月06日(土)



 あの頃へ

あの頃に今戻っても
嬉しいけれど
きっと楽しめないだろう.

お伽噺.

私は未来を知っている.
未来を歩いてきてしまった.

何度も立ち止まって
時々逃げようと後を向いて

でも結局
歩いてきてしまった.

あの頃へ
あの頃の自分へ
生暖かいキスを.

2007年01月04日(木)



 憎むことができない

それほどの感情もないということ.
君には.
どっか目につかないところへ行ってよ.
それが私の優しさ.

私をこれ以上冷酷にさせないで.

2007年01月03日(水)



 ハツユメ

初夢はいつ見るものかは諸説.

でも,どうか今日見た悪夢が初夢ではないように.
利己的に私は願う.
夢くらいは
夢くらいは
何も考えず,白痴でいたい.


2007年01月02日(火)
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