白痴日記
白痴



 無駄になる想い

わたくしのようなものが
にんげんのように思い遣りなど
扱おうとするから
痛い目を見るのです.

立場をわきまえ
硝子玉のような目をして
形ばかりの笑顔で
生きていくのです.

いつか瞼を閉じることができるまで.

2006年12月25日(月)



 入水

冷たい水の中へ.
幼い頃いつも感じていた匂いの中に.
途中で足が届かなくなる.
私は屹度少し藻掻いてしまう.

それから少しの間,浮かんで空を見る.
最後に.
少し泣いて,沈んでいく.

浮腫んで腐って,喰われて
私ではないものが
そのうち見つかるだろう.


2006年12月22日(金)



 溜息ロボット

溜息をよくするようになっていた.
人前でさえも.
人を愛したり,憎んだりが
単純に面倒で.

私はロボット.

2006年12月12日(火)



 彼方の家での休日

彼方がいなくても,この部屋は彼方に満ちている.
彼方の匂いと一緒になって私は眠る.

彼方は優しい.
それが問題点になるほどに.
でも私は彼方の優しさを捨てたりしないだろう.



2006年12月04日(月)
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