白痴日記
白痴



 恋心

それは枝葉が多くて
結局は育たない.
私の其の木は,とても貧弱で,けれどしぶとく
伸びていく.

そこへ.ここへ.

いつか伐採される日まで.
絶望を肥料に,慕う人からの光で光合成を.

2004年11月29日(月)



 頭痛

頭痛がする.
頭の奥が痛い.

こういう時考えるのは
脳内の血管が切れて,眼球が真っ赤になるとか.

薬を飲んで誤魔化す.

薬だけは私を裏切らないでほしい.

2004年11月26日(金)



 ある程度の覚悟

できないことは本当は少なくて
しないだけだ.
それに関するリスクや人の感情,柵を越えられる
覚悟

すれば,わりと何だってできるのだ.

ある程度の覚悟.
覚悟.

2004年11月24日(水)



 月とナイフ

結局最後は黙ってしまうから
伝えて,伝えて
それが終わったら,黙ってしまう.

余計な言葉を言うのは苦手だ.

大事な人であればあるほど.
私は伝えたいことを,伝えたい言葉で話す.

それでいい.
今はそれでいい.

2004年11月23日(火)



 あいすくりいむ

「(くつが)ぬげちゃった!!」
レンタルビデオ屋で近くの幼児が脱げた靴で転びそうになっている.
すぐママが来てくれて
「もう,ちゃんと履いて!」と少し怒る.

わざと脱ぐのだ.
で,小さな声でその子が言う.
「あいすくりいむ!」
きっとちゃんと履けたら,買って欲しいのだろう.
店を出たところにアイスクリームの自動販売機があるから.

ママに甘えられるうちは,素直に自分の希望を言える間は
たくさん言っていいよ.

「あいすくりいむ!」

2004年11月19日(金)



 犬と猫

私が熊本に来て,明らかに死んだ犬と猫.
数え切れない.
知り合ってすぐ死んだ猫.
私が血だらけの時,玄関まで送ってくれた犬.
その犬はボロボロになって死んだ.
飼い犬だからと手を出せなかった.
手を出せばよかった.

猫はもう救えないのをわかっていて抱いてしまう.
延命措置を断るのが精一杯.


何の命も自由があって.
何の命も救えはしない.

でも.

救えたらいいと思うよ.
空をもう一度見られるといいと思うよ.


2004年11月17日(水)



 人と向かい合ってパンを食べる.

サンマルクカフェにて.
普通背を向けると思うのだけれど,前の席の人は
私と向かい合って珈琲を飲む.

私は姿勢を正して,パンを食べる.

その人が出ていって少し安心する.
冬の風が吹く日.
病院の待ち時間での出来事.

2004年11月16日(火)



 奥歯

私の歯は小さく,奥歯は噛みしめているから
もっと小さく抉れている.

私は優しくない.
それは事実.
優しく見えるだけ.
優しそうなのが上手なだけだよ.

屹度何時でも誰でも殺せるだろう.

無感情なのに
奥歯はだらしがないな.


2004年11月15日(月)



 御出産

出産する夢を見る.
出産するのに何故か生理である.

夢の中まで未婚で父親いないよ.

産婆を呼ぶが家の中で産もうとするが無謀と気づき,病院に行く.
この辺の風景,釧路と根室がごちゃごちゃ.

ずらーっとベットが並べられ,無限に広そうな部屋.

医師は私の股を診て,
「生理だから汚れてるなあ.」「何かつまってるなぁ.」
と言い,膣に指を入れ何かを取る.
「これで道ができた.」

そこからは夢特有のあやふや.

産んだような,産む前に目覚めたような.
でも赤子を,血だらけでベッドから転げ落ちて見た記憶もある.
私は死んだのか.
匂いがした.病院の.血の.体液の.

痛かった,腹が.
陣痛を感じていた.


こうして狂っていくのだろうか.

2004年11月14日(日)



 友達の元恋人

今日は友達の元恋人の誕生日だ.
友達も四日違いなので今も覚えている.
結婚すると思ったら別れてしまった恋人達.

時間と距離に負けるパターン.
でも別れられるだけ幸せなのかもしれない.


うだうだと繋がっている糸.
私が叫んでも聞こえない糸電話.
紙コップを何度も握り潰す.




2004年11月13日(土)



 カーテン

夜の光が好きな私は遮光カーテンに踏み切れない.

だから月の明るい夜は,私の部屋は明るいのだ.

ただのオフホワイトのカーテンともう5年一緒にいる.

少しごわごわしたカーテンに寄りかかって,夜を見ていると

映画を観ているみたいに少し楽しく悲しい.

2004年11月12日(金)



 クチビル

いつもカサカサ.
熱のせいで余計カサカサ.

潤すのも怠い.

カサカサのまま膝頭にキス.
目を閉じる.

どうかいつまでも目を閉じていたい.

2004年11月11日(木)



 厄介払い

厄介払いをするために私と性交をした.
性交をしたら,私が蹴りをつけて離れていくと思った.

それに近いことを言っていた.


厄介払い.
最大の厄介払いは私の自殺だ.

もう電話もメールも,会うこともない.
私はいなくなる.

永遠に.

厄介払い.
厄介払い.
ぐるぐる回る.

厄介払いと性的興奮.
それのみの性交を.

私は後生大事に刻んでいるのです.



2004年11月10日(水)



 24.5

全てのしがらみは飛び降りた瞬間,なくなる.
私がなくなる.

この足は二度と立つことはなくなる.
土や濡れたアスファルトを踏んで,
とぼとぼ裸足であの人の家に行った足.

子供の頃草を踏んだ足.

24.5センチ.

私がなくなることに私が寂しがっている.
笑止.


2004年11月08日(月)



 人の生活

朝起きて,食事を三度して,用事を済ませ,眠る.
それの何て大変なこと.

今日は太陽の動きを見てた.
西に向かって落ちていくのを見ていた.

届いた牛乳はさらっとしていてお水みたい.
無脂肪ってこういうことなのか.

そう牧草5kgも届いた.ウサギが食べる.

何だか眠い.

でもご飯を食べ,服薬し,用事を済ませよう.

2004年11月07日(日)



 好きだけで

好きだって気持ちが,もっと伝わって
相手の気持ちを少しでも動かせたらいいのに.

そうしたらいつも毎日ニコニコしてるよ,私.
本当だよ.
だってそれしか願いがないもの.

すごく幸せで死んでもいいぐらいだろう.

どうか一日でも半日でも,それに寿命を全て賭けて良いから
そういう日が来たらなあ.

そういう日が.


2004年11月06日(土)



 明日は牛乳が届く

これを書いているのは,もう牛乳が届く数時間前なのだけれど.

無脂肪乳というものが,ちょっと必要で
注文した.

何というか対応がとても良くて,こちらが恐縮してしまうほど.

だからおいしいうちに飲まなくては.

生産者の方と関わるというのは,食べ物に責任が出てくる.



2004年11月05日(金)



 言葉

言葉は私の全てかもしれない.
学校に行かなくなって,適当な愛想や世間話をしなくなった.
そうするとゆっくり言葉を出す.
子供みたいに.

覚えている,そして.
自分の言葉や,それを言った時の空気を.

でも
伝達手段としての言葉は
だんだん
駄目になっていっている.
そういうのが下手になっている.

ゆっくり出した言葉は考えを持っているから
それをまた説明する.
それにも自分で選んできた言葉を使う.

言葉の意味を自分に戒めなくてはならない.

2004年11月04日(木)



 私なんて死ねばいい

死んだほうがいいよ.
ほんと.

何かを信じるなんて浅ましい.
捨てた気持ちにならないといけない.
何もかもを.

何かを頼りにしてはいけない.

頼りになる自分が壊れてきている現在.
死ねばいい.
他に何もない.

2004年11月03日(水)



 自分の顔

目だけで成り立っているみたいだ.
インパクトのない鼻に
薄い唇.
削げた頬.

散髪したら,それが際立った.

うなじにピアスも開けようと思う.
tatooは金がないので今後.

少し意欲的.
蛋白質摂ったからプラシーボ元気か.

2004年11月02日(火)



 兎に角

死にたいとしか思わないのだから
それは私が発している全てなのだから
従わなくてはならない.

死ぬ原因はもちろんあるし
それは病気のせいだけではないし
でも死ぬのだから
それもどうでもいいことだろう.

無に還ろう.

何も感じない世界,世界のない空間に.

生きるのを止めよう.



2004年11月01日(月)
初日 最新 目次 MAIL