白痴日記
白痴



 案外その辺は強いと思う

そんなに簡単な事でないでしょう.
愛しい彼は言う.
一人で産んで育てることが.私にとっても子にとっても.

お馬鹿な私はあなたの子として育てると口走る.
そして上の発言につながる.

でも私,思うのだけれど,母は強し.って案外本当ではないかと.
腹の子を,産み落とした子を守ること.
命がけ.

こんな私の自殺未遂など足下にも及ばない勢いで
命がけ.




2003年10月31日(金)



 伸びて行く髪に君を想う

この髪を伸ばしたのは
君への自己満足の為.

毛先が肩で揺れたりすると
私はとても良い気持ちになる.

いつでも君を想っている.


2003年10月27日(月)



 五日目

生理が五日遅れている.
何をしても遅れなかった生理が.
ややが腹にいるのか.ODの影響か.はて,風邪薬の影響か.
謎なのです.

ややがいたらあの人の子として育てよう,三年遅れの.
問題は色々複雑で.
そんなことはわかってらい.

まあ明日辺りに生理来い,と願ってみたり.


2003年10月26日(日)



 近くの食堂の犬

その犬はコロといった.
繋留義務を怠っているコロの大好きなご主人は言った.
「自由にしちゃうともう一度繋ぐのは可哀想でねえ.」
コロは,疥癬に罹ってお腹から脚にかけて炭化するほどだった.

乱暴な運転の車を狭い道路でぬう毎日.
食堂の残りをただのボールでもらっているところに何度か出くわした.
たまに私が血の匂いをさせていると家まで送ってくれた.

コロはコロの置かれたところを,賢く理解していた.
決して無理を言うことはなかった.

今コロはいない.どこにもいない.
逝ってしまった.と思う.
連れてけよ,コロ.


2003年10月25日(土)



 あたしより大事なもん

それは腐るほどあって
彼の仕事,お金,立場.
少し格好つけた言葉で言うとアイデンティティ.

あたしにはわからないから.
例えば友達の生命より大事なものがあるなんて.
順番を付ける機能があたしには備わっていないらしい.
そのへんが不良品なのだろう.

でもそれってそんなに大事なの?
わがままを言うなとか,よく言われるけれど
比べられないとか,使われるけれど
結局は比べて順番をつけているではないか.

比べていないのは私だ.

2003年10月24日(金)



 二年前

猫は死んだ.
土に埋めるまで躰は温かく,今は骨になっていることだろう.

色々なものが死んでしまう.
死にたいとも言わず.
謙虚に死んでいってしまう.

私のような日頃「死にたい.死にたい,」と繰り返している大馬鹿者は結構死なないもので.

嗚呼気持ち悪い.吐き気が止まらないのです.
あの薬を飲もう.薬篭を漁って.

真っ暗の中で私は幻を見る.

2003年10月23日(木)



 暖かいのに

君は未だ暖かいのに
熱のある私の指先よりも暖かいのに
何で動いてくれないのだろう.
脱走が得意だったよね.
どうか今私の横から脱走してよ.
抱っこは嫌いだったね.
でも最期は抱っこだったね.

眠っているみたいだよ.
レキソタン飲み過ぎたのは許してくれる?

2003年10月17日(金)



 虚弱

虚弱だったようです.

2003年10月15日(水)



 それは一年前

遙々と訊ねていった彼女に
冷たい仕打ちで振られたのが一年前.

彼は言う.

記念日好きなのだろうか.
でもあまりにかわいそうな可愛い声だったので
私は一瞬心底かわいそうになる.

ま,そんなこんなで一年前.

2003年10月14日(火)



 古風?

乱交に参加しなかった僕は古風なのでしょうか.
誘ってくれた彼女を傷つけてしまったのでしょうか.

というような文章を見つけました.
何だかね,笑えました.
いや,悩んでいるのを笑っては申し訳ないけど.

たぶん誘った彼女は「つまらない男!」と思っている程度だろうと.

そんなの乱交でも単独性交でも,したくて,かつ,できればする.
で解決.

古風も何も.
武士?
ああ,また笑ってしまう.ごめんなさい.


2003年10月13日(月)



 泣け

泣いたらいいのかな,と思う場面.
泣きたい,と思う場面.

私は泣けない.
時々A部さんと話しているときは例外だろう.
泣けてくるから.

今だって泣きたいほど孤独で疲れていて
腕を求めているのに.泣き崩れる私を抱いてくれる腕を.

2003年10月12日(日)



 人混み

人混みは苦手だ.
たぶん好きなのだけれど,透明だから.
でも突然立ち止まりたくなるから.
踞ってしまうから.

裏通りに逃げ込んで,汚れた壁にもたれかかって
見た曇り空.

2003年10月11日(土)



 崩れる

今日が体育の日ではなくなったように
物事なんて屹度,容易く崩れてしまう.

その中で人は生きていく.
私も這いずっていく.

意味なんて消失しているというのに.

2003年10月10日(金)



 一体

一体幾ら愛すれば,其れは尽きるのか.

2003年10月09日(木)



 嗚呼

乱暴にでもいいから
私を抱いてよ.
そして縛って動けないように.

死ぬなと言って.
死ぬなと言って.

2003年10月08日(水)



 順番

此と其れとは比べられない.
なんて言い訳があるけれど,それは只の詭弁だ.

世の中には順番がある.
無情に.

順番は私を苛む.
決して一番にはなれはしない.
誰とでも.どんな時でも.

死への足枷は割と軽い.



2003年10月07日(火)



 気づいたら

私には味方などいなかった.
だからお別れを言う相手もいない.

A部さんにもう一度抱いて欲しかった.


2003年10月06日(月)



 フォーク

刃物何もないと思ったけれど
フォークならあるかもしれない.
没収済みだっけ.

動脈に煙草を押しつけて皮を薄くしてから突き刺せば.


2003年10月05日(日)



 泣くバス停

化血研前,ってすごい名前の停留所だなと思った.

あなたが話したのはいつだろう.
その時の自然な二人を,自然な会話を
思い出すと私は泣けてしまう.

そのバス停前を通るたびに
私は切なくつらく愛する気持ちになるのです.

銀色の車の中で笑った私は遠く,過ぎてしまった.

2003年10月04日(土)



 嫉妬の最期

嫉妬の最期.
其れは死だろうか.

才能への嫉妬ではない.
あの人の愛情への嫉妬.

才能なら,向上する
貧乏なら,金を稼ぐ

けれど,愛情への嫉妬の最期は
死ではないだろうか.

2003年10月03日(金)



 来週には

彼が帰ってくる.西表から.
会える,屹度.

それまでに死ねないだろうか.

愛されることは何て遠い.

2003年10月02日(木)



 世間体など

手帳が通って
今後は医師と相談しつつ,年金を求めていく.

母は言う.世間様に知られるのではないか.
悪意ではないこと,わかっている.
心配しているのだ.

でも
あなたの娘は精神障害で,かつ貧乏なのだよ.

世知辛いね.

2003年10月01日(水)
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