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2008年05月18日(日) クラブ選手権 静岡県予選 ジュビロ磐田戦

08年05月18日 (土) 14:00開始 磐田スポーツ交流の里ゆめりあ サッカーグラウンド
 2008日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 静岡県大会
 対 ジュビロ磐田ユース ※40分ハーフ
 天候: 曇り

[前半]
清水エスパルスユース
 控え:柴田、山崎、中原、田代、西澤、畑、鍋田
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
− 深澤詢 −小澤− 望月恭 −稲毛−−
−−−−−−青木− 深澤慶 −−−−−
− 佐野傑 −−−−−−−−−成田−−
−−−−−−前田− 佐野孝 −−−−−

−−−−−− 浦 − 鈴木翔 −−−−−
−−−−−−−−佐藤−−−−−−−−
−−松井−−杉本−−上村− 鈴木貴 −
−−−−加藤−−永井−−湯本−−−−
−−−−−−−−大畑−−−−−−−−
ジュビロ磐田ユース

ジュビロ      清水エスパルスユース
10(3) シュート 6(3) ○孝洋、○孝洋、○成田、×慶也、×青木、×成田
3(2) 右クロス 2(1) ○孝洋
7(1) 左クロス 1(0) ×成田
2(1) 右側CK 1(0) ×佐傑
4(2) 左側CK 0(0)
5(−)  犯OS  0(−)
5(1) ファウル 4(1) ・前田、・前田、×稲毛、・孝洋


[後半]
清水エスパルスユース (69分〜)
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
− 望月恭 −小澤−−山崎−−稲毛−−
−−−−−−−−青木−−−−−−−−
−−−−−−西澤− 深澤慶 −−−−−
−−−− 畑 − 佐野孝 −鍋田−−−−

−−−−−−山下−−塚田−−−−−−
−−−−−−− 鈴木翔 −−−−−−−
−−松井−−佐藤−−上村−−海田−−
−−−−加藤−−永井−−湯本−−−−
−−−−−−−−大畑−−−−−−−−
ジュビロ磐田ユース (60分〜)

 40分、磐田、交代: 浦→山下
 44分、磐田のゴールキックからのリスタート。CH青木が空中戦に競り勝つが前に跳ね返せず、中盤でルーズボールを拾ったのは磐田DH杉本。足下に収めると、左に大きく展開する。そこにいたのはタッチライン沿いに開いたLH松井。と、松井は簡単にパスを前方へ流す。すると、あらかじめサイドに流れていたFW山下、RB深澤詢の裏をとり縦へ、CB小澤を十分に釣り出し、ゴールライン際でマイナスに折り返す。ニアでFW鈴木翔が潰れ、遅れて飛び込んできたのはOH佐藤。がら空きのゴールへとシュートを決めた。0−1

 51分、磐田、交代: 鈴木貴→海田
 53分、清水、交代: 佐野傑→畑
 60分、磐田、交代: 杉本→塚田 (佐藤DH、鈴木翔OH、塚田FW)
 61分、清水、交代: 深澤詢→山崎 (望月恭RB、山崎CB)
 66分、清水、交代: 成田→鍋田
 69分、清水、交代: 前田→西澤 (4-3-3: 西澤MF、畑・鍋田FW)


ジュビロ      清水エスパルスユース
8(6) シュート 4(1) ×前田、×孝洋、×孝洋、○火田
2(1) 右クロス 4(0) ×詢也、×佐傑、×佐傑、×火田
5(1) 左クロス 3(1) ×孝洋、×青木、○孝洋
0(0) 右側CK 1(1) ○西澤
3(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  0(−)
5(0) ファウル 7(2) ・青木、・詢也、・火田、・孝洋、・孝洋、×青木、×??

●個人的MVP 長島 潤
●個人的MIP 稲毛 卓也、望月 恭平

 柴原・池上・岩崎・杉山・山田・曽根がユニフォーム姿にならず、そのままベンチ外。駒不足の前線だが、前田・佐野孝の2トップにLH成田と、それでも今まで公式戦で起用してきたポジションに選手を当てはめた。一方、RBに望月恭と山田を競わせていた以外はほぼ固定していたDFラインは、そのRBに1年生の深澤諄を抜擢。岩崎の代わりに望月恭を昨年プリンス以来のCBに回して小澤と組ませる。怪我人続出の苦しい布陣だが、鍋田が長期の怪我からついにベンチへ復帰という明るいニュースも。先発は3年生5人、2年生4人、1年生2人。稲毛 (柏レイソル) を除く全員が下部組織出身。
 対する磐田は鈴鹿で見たプリンスの布陣と比べ、DF小川とMF高瀬が、DF湯本とMF鈴木真に代わったのみ。3年生7人、2年生3人 (永井・上村・鈴木貴)、1年生1人 (湯本)。下部組織出身は4人 (湯本・加藤・鈴木貴・松井) で、他はユースから外部から加入した選手である。どちらがどうというわけではないが、両クラブの方向性が垣間見える顔ぶれだ。もっとも、ジュビロもエスパルスも、これまでの育成方針の見直しを進めているようだが。

 前半は清水が逆風。だが、最初の決定機をつくったのは清水だった。11分、相手パスをカットしたCH青木がすぐさまスルーパスを狙うが、これは相手に当たって通らず。だが、自ら前に出てスライディングで奪い返すと、こぼれ球を拾ったRB深澤諄が右サイドからPA内右を狙ってスルーパスを送り込む。そこに流れたFW佐野孝、ニアを狙うがGK大畑の反応、さらに何故かゴール前に詰めていたLH成田が押し込むが、DFのブロックに遭って、CKへと逃げられた。序盤の清水はプレスの掛かりが良く、CH深澤慶・青木が前に出て磐田DH上村・杉本の位置でボールの奪い合いができており、自然にサイドプレイヤーの成田や深澤諄が中央へ流れるなど、流動的で有機的な攻撃が構成できていた。一方、青木・深澤慶に中盤中央を塞がれた磐田だが、愚直にサイド、特に風の影響で左サイドの松井に集め、スペースを突かせる。スローインの度に必ず誰かが裏に飛び出すなど、スペースへの意識は選手個人個人に徹底されている。
 流れが変わるきっかけとなったのは18分、PA付近の細かい繋ぎからパスを戻し、下がっていた磐田FW鈴木翔が前に駆け上がりながら放ったミドル。次いで20分には最前線で鈴木翔がファウルギリギリ (?) でCB望月恭からボールを奪い、併走するフリーのFW浦に横パスを出したが、GK長島にシュートを止められる。元々の風向きもあるが、磐田の2トップとトップ下が盛んにポジションチェンジして生まれるギャップを4バックだけで繕うことはできず、青木・深澤慶は中盤底に下がってスペースを埋めざるを得ない。両名より低い位置にいる磐田DH上村がフリーで左右にパスを捌けるようになって、30分を過ぎると完全に磐田が試合を支配。低い位置でしかボールを奪えなくなった清水は、そこから前へ繋ぐ際にもパスミスが見られて非常に危険な時間帯だったが、ゴール前で粘り強く体を張って決定的な場面を許さなかった。逆に前半終了間際にカウンター、LH成田の大きなサイドチェンジでFW佐野孝が右サイドを爆走、クロスにパスを出した成田が逆サイドから飛び込んで頭で合わせたが、枠を外してしまった。

 後半は清水が風上。41分、成田が出したタッチライン沿いを走らせたスルーパスで佐野孝が飛び出し、左クロスを入れるなど、幸先の良く再開したかに見えたが44分、ゴールキックのリバウンドを訓練されたオートマティズムで得点に結びつけ、磐田が先制に成功する。すると磐田は守備組織を整えてスペースをきっちりと埋め、清水はボールを支配しながら、最後の30Mで交通渋滞を起こし、相手を崩すことができない。唯一56分、佐野孝の左クロスをFW前田がゴール前でリフティングして無理矢理シュートに持ち込んだが、枠を外してしまう。一方の磐田は、清水のクリアミス (クリアの飛距離不足) を虎視眈々と狙い、51分に左CKのセカンドボールを拾った杉本?のロビングクロスをクリアできずにPA内で鈴木翔、53分にも上村のサイドチェンジに対しRB深澤諄のクリアがバイタルエリアの鈴木翔に渡ってしまい、鋭いシュートが放たれたが、GK長島がファインセーブで更なる失点を許さなかった。
 膠着状態を打破すべく、大榎監督は53分にFW畑をRHに、61分には山崎を入れて最終ラインを組み替えて望月恭をRBに、66分にFW鍋田をLHに入れる攻撃的采配。選手の入れ替えだけでは駄目と見るや69分、この日はエース前田を躊躇なく下げ、4-3-3にシステム変更する。これが奏功して71分、佐野孝のスルーパスから畑が右サイドを抉り、クロスはニアでクリアされて右CK。西澤のキックをニアで畑が逸らすが、中央で合わせられずにクリア。それを山崎が前に出ながら拾ってスルーパスを送ると、佐野孝がシュートを撃つも枠を外した。その後、コーナー付近での磐田の時間稼ぎなどがありつつ、40+2分、深澤慶がロビングで前に送ったボールを畑がDFの裏に落とし、佐野孝が再び狙ったが再び枠外。諦めずに40+4分、望月恭のロングパス一本で畑が右サイドを抜け出し、右30度15Mからシュートを放ったが、GK大畑がファーに逃げるシュートをこぼしつつも最後は掴みきり、最少得点差を逃げ切った。

 長島はポジショニングにやや難があったが、アスリート能力の高さを活かし、果敢に挑戦する姿勢を買いたい。自分のアスリート能力の限界値を自分でも把握しきれていないのか、思い切りが良すぎて五分五分となる場面が散見されるが、育成年代で小さく縮こまるよりもずっと良い。PAの外まで飛び出して手が使えなくなっても、足技はおろか、頭や上半身までも使って、不器用ながらはっきりと処理していた。パンチングの判断を1回誤ったが、PA内でのクロスへの対応範囲も広く、高い。一方、肝心のシュートセービングは握力を感じさせるキャッチング、横に弾くディフレクト、共にしっかりしたものがあり、シュート意識の高い磐田の攻撃をきっちり一次攻撃のみで凌いでいた。
 タッチライン沿いで孤立させた左右WBに向かって、サイドチェンジを含む長いパスを通してスペースを活用する、そうした磐田の狙いに対して稲毛のフィジカルは有効な対策となった。スピードだけでなく、スピードに乗った相手を正面から潰せるフィジカルの強さ、或いは横から鋭く滑り込むスライディングを駆使し、対面の鈴木貴・海田に仕事をさせなかった。久々のCB起用となった望月恭は、空中戦の競り勝った後の力強さに遅れをとることはあったが、落ち着いたポジショニングで要所を締めた。ただ、貢献度が高かったのは攻撃面。最後の決定機となった畑へのロングフィードに象徴されるように、最後尾から最前線のスペースを見極める視野が光ったが、ビルドアップで見せるちょっとした飛ばしのパスにもセンスがあり、同時に機を見ては前線まで攻撃参加する積極性も見せていた。



2008年05月03日(土) プリンス東海 津工業高校戦

08年05月03日 (土) 14:15開始 鈴鹿スポーツガーデン メイングラウンド
 JFA プリンスリーグU-18 東海 2008 2部
 対 県立 津工業高等学校 ※45分ハーフ
 天候: 晴

[前半]
清水エスパルスユース
 控え:柴田、山崎、中原、山田、西澤、石原、成田、佐野孝、畑
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
− 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−−
−−−−−−青木− 深澤慶 −−−−−
− 佐野傑 −−−−−−−−−前田−−
−−−−−−池上−−柴原−−−−−−

−−−−−−−−中野−−−−−−−−
−−飯田−−−−−−−−−−斉藤−−
−−−−鈴木−−中山−−花盛−−−−
−−秋月− 佐々木 −中川−−北村−−
−−−−−−−−西川−−−−−−−−
津工業高校

 38分、LH佐野傑がDFを引き連れながら強引にサイド突破、中に切れ込みつつもPA内右側を縦に抉り、ゴールライン際でマイナスに折り返す。DFの足に当たり、コースの変わったボールをFW柴原が下がって拾い、振り向いてシュートに持ち込んだが踏み足が弱く、GK西川が横っ飛びでキャッチする。と、素早くパントキックで展開。津工FW中野が右サイドで開いて受け、追い縋るLB稲毛を振り切ってPA内に突入、更に上半身のフェイントから加速して縦に抜け出しかける。前に出るGK長島、だが諦めずにDFがスライディングでシュートブロック。と、勢いを削がれたボールはループの軌道を描いてGK長島の頭上を越え、ゴールに吸い込まれた。0−1

津工業高      清水エスパルスユース
4(3) シュート 5(3) ×青木、○佐傑、×前田、○慶也、○柴原
2(1) 右クロス 2(1) ×佐傑、○佐傑
2(0) 左クロス 2(0) ×稲毛、×稲毛
1(0) 右側CK 1(1) ○佐傑
1(0) 左側CK 0(0)
3(−)  犯OS  3(−) ・池上、・柴原、・柴原
4(1) ファウル 6(0) ・恭平、・岩崎、・佐傑、・岩崎、・稲毛、・慶也


[後半]
清水エスパルスユース (65〜82分)
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
−−山田−−岩崎−−小澤−−稲毛−−
−−−−−−青木− 深澤慶 −−−−−
− 望月恭 −−−−−−−−−成田−−
−−−−−−前田− 佐野孝 −−−−−

−−−−−−−−中野−−−−−−−−
−−飯田−−−−−−−−−−斉藤−−
−−−−鈴木−−中山−−立木−−−−
−−秋月− 佐々木 −中川−−平田−−
−−−−−−−−西川−−−−−−−−
津工業高校 (45〜78分)

 45分、清水、交代: 佐野傑→山田 (山田RB、望月恭RH)、池上→成田 (成田LH、前田FW)
 45分、津工、交代: 北村→平田、花盛→立木
 57分、津工、警告: 斉藤
 65分、清水、交代: 柴原→佐野孝
 66分、津工、警告: 佐々木
 78分、津工、交代: 斉藤→加藤
 82分、清水、交代: 青木→畑 (4-3-3: 望月恭CH、畑FW)
 89分、清水、警告: 前田
 90+3分、清水、交代: 成田→西澤

津工業高      清水エスパルスユース
8(3) シュート 11(6) ○前田、×成田、×前田、○前田、×恭平、○前田、×前田、○前田、×孝洋、○成田
               ○恭平
1(0) 右クロス 6(0) ×恭平、×恭平、×恭平、×恭平、×山田、×青木
1(0) 左クロス 9(2) ×稲毛、×成田、○成田、×成田、×成田、×成田、×火田、○孝洋、×稲毛
3(1) 右側CK 2(0) △佐傑、△成田
0(0) 左側CK 4(0) △柴原、△柴原、×柴原、×??
1(−)  犯OS  0(−)
10(4) ファウル 8(0) ・??、・小澤、・青木、・岩崎、・前田、・稲毛、・岩崎、孝洋

●個人的MVP 前田 陽平
●個人的MIP 深澤 慶也、成田 恭輔

 前節の大勝でリーグ首位に立った清水。前の試合で交代出場した主将にてエースの前田を先発に復帰させ、同時にGKを2年生の長島に切り替えた。先発は3年生6人、2年生4人、1年生1人。対する津工は、昨年度高校総体出場、高校選手権ベスト4。三重県リーグも勝ち抜き、今年度からプリンスリーグに初昇格した。緒戦、東海学園に4−1と快勝したが、2戦目は清水商に3−6と撃ち合いの結果、敗れている。注目は選手権で大前 (7点) に次ぐ4得点を上げたエース中野。中野以外にも佐々木、秋月、鈴木、飯田 (以上3年)、中山 (2年) といった選手が全国の第一線で経験を積んでおり、清水としては緒戦の清商に続き、越えなくてはならない大きな山となる。先発は3年生9人、2年生2人 (中山・花盛)。

 序盤のペースを握ったのは津工。開始早々の3分、RB北村のアーリークロスをDFラインの裏で受けたFW中野が、胸トラップボレーを放ったがGK長島正面。その後も津工は後方で丁寧にパスを繋いで時間と陣地を稼ぎ、DFとの駆け引きで動き回る中野と両ウイング斉藤・飯田がスペースに走ったタイミングを見て、長いパスを入れてくる。シュートこそ他に4分のCH花盛のミドルがあっただけだが、裏に単身走られる場面も散見され、GK長島は飛び出してスルーパスを処理するのに忙しかった。清水の方も丁寧な繋ぎを心掛けていたが、ピッチが意外と荒れていたのか、弱いパスやトラップミスが見られ、なかなか鋭く前へ仕掛けられない。ようやく10分、LH前田が自陣から50M近くも一人で持ち上がり、残り1/3余りという位置でCH中山にファウルで止められたものの、流れを変えることに成功する。
 15分、前田が持ち込んだボールをCH深澤慶がポストになって、CH青木の20Mミドルは威力十分も、ボール2つ左下隅から外れた。26分、深澤慶のサイドチェンジからRH佐野傑が切れ込んで右45度からミドル、GK正面。30分、LB稲毛のクサビをFW柴原が落とし、前田のミドルは枠外。36分、ポストの柴原が右に捌いて佐野傑の突破から右CKを奪い、佐野傑のキックをファーで深澤慶が叩き落とすが、DFにクリアされた。後から振り返れば、この時間帯からもっとガムシャラに攻めていれば、という反省はある。だが、確かに縦の展開速度が遅かったり、FWがPA内で仕事できなかったり、両ボランチが同時に前に出ながら絡みが少なかったりという点は各論として気になったが、スコアレスという状況でポゼッションを第一に、徐々に相手陣内へ押し込んでいく試合運びは悪くなかったと思う。ただ、結果として37分、佐野傑と柴原がPA内で仕事をした直後 (この時、深澤慶と青木も攻撃参加しており、相手を押し込んだ状況だった) にカウンターから失点してしまう。その後、45分にサイドチェンジをジャンピングヒールボレーで稲毛にピタリと落とす前田の美技などもあったが、大きな動きなく前半を折り返した。

 後半は熱かった。45分間声を張り上げ続けたRB山田、精力的な上下運動でシュート2本、クロス5本を放った成田の両交代選手も期待に応えたが、何と言っても後半からFWにポジションを変えた主将・前田だろう。一人でシュート7本撃っただけでなく、前線の起点としてポストに入って体を張り、そのドリブルでPA近くで4つのFKを奪い、更に前田に対してファウルを犯した2名にイエローカードが出されている。惜しむらくは、久々の本格復帰で前田の独特の間合いに戸惑ったのか、周囲との連携が今一つだったこと。成田や佐野孝といった前への明確な突進力のある選手との絡みはそれなりだったが、柴原・佐野傑・池上といった足下の技術のある選手との共演を見たかった。前田はユース昇格後、CHなどを経験してスルーパスやサイドチェンジなど周りを動かすパスも出せるようになってきただけに、今後の連携の再構築に期待したい。

 試合は早くも後半開始1分 (46分)、深澤慶?のヘディングクリアが高くバウンドしたのを見て、前田は巧みにDFを抑えるとボールは2人の頭上を通過、前田は体を入れ替えて抜け出しつつシュート、GKがCKへ逃れる。柴原の左CKはショートを選択、稲毛がクロスを入れるがDFクリア、しかし成田が拾うと切り返しでマークを外し、20Mミドルを撃ったが、左へ外れた。58分にはLH成田がPA手前へ斜めに入れたクサビを柴原がダイレクトで右横へ流し、やや長くなったパスを前田が倒れながら左足を伸ばして更に右へダイレクト、そのスペースに飛び出したRH望月恭、縦に一つ持ちだすと…、この試合で最も綺麗な連携だったが、それ故にかクロスを選択。ファーに飛び出した柴原は一歩届かず、左ポストをボール3つ分ほど外れて流れていった。
 めげずに67分、前田のドリブルで得た成田のFKからPA内で混戦、最後は望月恭がミドルを撃つも枠外。次いで68分、右サイドの前田がボールをゴールライン際の裏街道を通し、本人はターンからDFの逆側を抜けてPA内へ突破したところを倒されるが、判定はPAのギリギリ外。74分にも中央から仕掛けた前田が倒されるが、これもPA外の判定。左75度20MのFKを前田自ら狙ったシュートは、折からの強風に煽られて鋭く変化するが、ゴール右上へ外れた。津工は後半、3本ほどミドルがあっただけだったが、76分、CB岩崎のファウルで得た40Mほど距離を残したFKに対し、グラウンダーで緩くクサビを入れるリスタート、それを慎重にバックパスを返して鈴木が35Mミドルを放つサインプレーを見せる。パンチのあるシュートをGK長島は正面に弾いてしまい、中野がダイレクトボレーで撃ち返したが、枠上へ外れた。
 77分、稲毛の左スローインを足下で受けた成田がキープ、反転ドリブルと見せてヒールで裏に流す。それに反応した前田がPA内へ切れ込むと、フリーで右足アウトに掛けたシュートを撃つ。しかし、僅かにGKが触れたボールはゴール右上へ外れていった。酷暑の中、徐々に前田の動きも落ちてくる。それでも、今度は交代した青木に代わって下がった位置から攻撃を組み立て、87分、自陣で稲毛のクサビを受けるとライン際のスペースを狙ったロングパス。FW佐野孝が快速を活かして追いつき、中に切れ込んだところで成田がスイッチ、縦に持ちだしてGKまで抜くが、DFカバーに入ってシュートまで持ち込めず。そこから津工のカウンター。右サイドでロングパスを受けた途中交代のRW加藤が、サイドに釣り出された小澤を縦に抜く。中へ切れ込んだ加藤を再び小澤が回り込んで進路を塞ぐが、加藤は再度縦に持ち出してフリーでシュート。だが、角度がなくGK長島が正面でキャッチした。一方の成田は90+2分にもGKを縦に抜くが、シュートはDFに体ごと潰され、負傷退場。それでも諦めない清水、90+3分、佐野孝の左クロスに対してニアの畑がGKの前で潰れ、こぼれたボールに望月恭。だが、これも津工DFが粘り強く体を投げ出し、ゴールに押し込ませなかった。

 結果、猛攻実らず0−1で敗戦。試合内容から言えば、せめて引き分けが妥当だったし、先制に成功して清水の方がスペースを得ていれば、4−1ぐらいで勝ってもおかしくなかったと思う。だが「負けに偶然の負けなし」。先制点は不運なシュートだったが、それを実らせたロングパスの精度もシュートに持ち込むまでの中野のドリブルも、得点に相応しいものだった。それ以上の課題は攻撃面。前田のドリブルは独特だが、周囲がそれに応えてこそ、チームとしての強さに昇華できる。ゴール前での決定力、即ち強く低いシュートを素早く蹴り込む能力が、もっと求められるだろう。縦に速い展開を導く前線のフリーランも必要 (津工はそれが徹底されていた)。選手各自が自分に不足している部分に気づき、今後に活かしてくれるのならば、今日の負けは決して痛くない。エスパ・清商・津工の三つ巴になる可能性は高く、最後は得失点差で決まることも考えられるが、自力昇格の余地も残されている。残り4試合、大量点で全勝するつもりで頑張ってもらいたい。この試合の気持ちを忘れなければ、必ずそれはできるはず。

 ペレが「何人もドリブルで抜いたと思ったら、ファウルで倒され、再び自分の前に壁ができる。FKの時の壁は禁止すべきだ」と話す記事を読んだことがあるが、この日の前田なら両手をあげて賛同することだろう。足下にボールを収めて前へ加速することに成功したら、前田をファウルなしで止めることは不可能だった。しかし、パスが前田に入った瞬間を狙おうにも、この浮き球の魔術師は予測もできない位置にトラップで持ち出し、時間と空間の自由を得てしまう。周囲を動かす長短のパスも出せるし、実際出していたが、追う展開となって独善的なまでの局面打開力を発揮していた。この頭抜けていた存在に敢えて苦言を呈するとすれば、シュートの正確性。その卓越した足技と比較した際の、相対的な評価ではあるが。
 深澤慶は「移動要塞」といったイメージで、チームが前掛かりになるにつれて前へ前へポジションを上げ、高い位置で素早い寄せを見せ、低い位置からでも繋ごうとする津工のパス回しを許さなかった。体の使い方がとても上手く、自分の体をボールと相手の間に入れ込んで奪い、奪った後は巧みなターンを駆使してボールを相手から遠ざけてキープ。連続攻撃を可能にしていた。前田との連携が最も良かったのは成田。縦への速さという動きの分かりやすさだけでなく、77分に見せたような足下のテクニックを使ったコンビネーションで相手を惑わすプレーもできていた。戦術面では持ち味のサイド突破からの質の高いクロスと合わせて、サイドチェンジの狙いも良く、その左足を駆使して攻撃に幅を作っていた。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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