2008年04月26日(土) |
プリンス東海 愛知高校戦 |
08年04月26日 (土) 14:15開始 港サッカー場 JFA プリンスリーグU-18 東海 2008 2部 対 学校法人愛知学院 愛知高等学校 ※45分ハーフ 天候: 雨
[前半] 清水エスパルスユース 控え:長島、山崎、中原、田代、西澤、前田、成田、佐野孝、畑 −−−−−−−−柴田−−−−−−−− − 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−青木− 深澤慶 −−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−杉山−− −−−−−−池上−−柴原−−−−−−
−−−−− 井出和 −伊藤−−−−−− − 井出勇 −−−−−−−−−田中−− −−−−−− 森 −−綿本−−−−−− −−石黒−−坂本−−鵜川−−吉田−− −−−−−−−−宮坂−−−−−−−− 愛知高校
07分、相手ロングボールに対して下がりながらCB岩崎がヘディングクリア。前に弾ききれなかったが、CB小澤?がカバーに入ってこぼれ球をキープ、ロングボールを送り返す。右サイドでFW柴原が競り合うと、LH佐野傑が拾ってドリブルを開始する。中に切れ込んで右サイドに散らすと、柴原がフリー。タイミングを合わせて上げた右クロスに対し、ニアへ走り込んだFW池上、頭で丁寧にファーへ流し込んだ。1−0
16分、CH青木からフィールド中央を割るクサビが、柴原の足下へ正確に入った。それを見た佐野傑、ポストの柴原からパスを前に出ながら足下に受け、ドリブルで追い越していく。縦にPA内右へ進入、シュートの振りから左足アウトサイドキックで中央へ折り返すと、追走してきた池上が、これも左足アウトでゴール左へボレーを決めた。2−0 18分、LB稲毛のスローインからCH深澤慶が受けて左サイドを縦に細かく繋ぎ、LH杉山がPA左角手前でキープ。内側に戻したパスを、池上がダイレクトで優しいスルーパスを送る。DFを背にした状態だった柴原だったが、このパスを見てターンから加速、DFを置き去りに裏のスペースへと飛び出した。GKの位置の逆、ゴール右へとシュートを沈め、3−0
25分、ゴール前ファーに攻め上がった青木を狙った佐野傑の右クロスは、その手前のDFにカットされるが、PA内へこぼれたボールをクロスを上げた佐野傑自ら拾い、シュートを撃つ。しかし、これはほぼ正面でGKキャッチ。GKはスローイングでリスタートし、チャンスは潰えたものと筆者がメモをとってる間、いつの間にかPA左角付近で柴原がボールを受けた状態に。柴原が右足を振り抜くと、GKの右肩下をワンバウンドして抜け、ゴールに収まった。ニアのゴールネットが揺れる事態に、観衆の殆どが何が起こったか暫し分からず、奇妙な雰囲気が会場を包んでいた。4−0 28分、愛知高のロングボールが清水DFの裏に転がると、小澤は相手FW井出和をスクリーンし、GK柴田にキャッチさせようとする。だが、井出和はスピードと粘っこさで対抗、ボールに伸ばした足先を当て、自らも前に出ようとするが、そこは既にGK柴田。こぼれたボールのカバーに入り、大きくクリア、…のはずが左サイドに蹴り出す前にRH田中に引っかかってしまう。ボールをプレゼントされた田中は中に切れ込み、DFを十分に引きつけたところで横パス。PA内左で待つ井出和が難なく空のゴールに蹴り込んで、4−1
愛知高校 清水エスパルスユース 2(1) シュート 11(6) ×池上、◎池上、×柴原、×青木、◎池上、◎柴原、○佐傑、◎柴原、○佐傑、×青木 ×青木 1(0) 右クロス 5(3) ◎柴原、×恭平、◎佐傑、×佐傑、○青木 0(0) 左クロス 3(0) ×杉山、×稲毛、×稲毛 1(0) 右側CK 0(0) 0(0) 左側CK 1(1) ○柴原 0(−) 犯OS 6(−) ・佐傑、・柴原、・池上、・池上、・柴原、・池上 2(0) ファウル 4(0) ・杉山、・池上、・池上、・杉山
[後半] 清水エスパルスユース (78分〜) −−−−−−−−柴田−−−−−−−− − 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−田代−−西澤−−−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−成田−− −−−−−−前田−− 畑 −−−−−−
−−−−− 井出和 −伊藤−−−−−− −−綿本−−−−−−−−−−井上−− −−−−−−美間−−田中−−−−−− −−石黒−−坂本−−鵜川−−吉田−− −−−−−−−−宮坂−−−−−−−− 愛知高校 (45〜75分)
45分、愛知、交代: 森→美間、井出勇→井上 (田中CH、井上RH、綿本LH) 50分、清水、警告: 佐野傑
57分、清水、交代: 青木→西澤、杉山→成田 59分、空中戦に競り勝ったCB岩崎のクリア、前線まで跳ね返ったボールを柴原がトラップ成功、足下に収めると振り返りながら左サイドスペースにスルーパスを送る。その一連の動作の間に駆け上がるのは後方にいたLH成田、トップスピードで相手を追い抜いてパスに追いつき、縦へ。PA内、ゴールライン際まで突き進み、マイナス気味にクロスを折り返すと、池上がごっちゃんでいただき、ハットトリック達成。5−1 60分、波状攻撃。PA手前で相手がクリアしたボールを深澤慶がカット、次の右足タッチで浮き球で右サイド斜め前に散らす。中に切れ込む佐野傑、このパスを左足のアウトに掛けたヒールリフトで持ち出し、進路を塞ぐDFをかわしてGKと1対1。左足でファーへとシュートを叩き込み、6−1 63分、清水、交代: 柴原→前田
68分、清水、交代: 池上→畑 75分、FW畑のスルーパスからFW前田が抜け出そうとするが、DFのチェックが入って左CKに。西澤がボールをセットしたところでPA内から成田が近づき、西澤はショートコーナーを選択。パスを受けた成田が反転、左足でクロスを入れると伸びのあるボールがGKの腕を越え、そのままゴールファーへ吸い込まれた。7−1 76分、愛知、交代: 綿本→澤井 77分、愛知、交代: 井出和→都築 78分、清水、交代: 深澤慶→田代
82分、愛知、警告: 鵜川 85分、波状攻撃。高い位置でボールを奪ったCH田代がPA内の前田にクサビを入れ、自らも前へ。密集地で体を張る前田には厳しいチェックが入り、ボールは足下からこぼれるが、ちょうどワンツーを受ける体勢に入っていた田代がボールを刈り取って密集地を縦に貫通することに成功。残るGKも強烈なシュートであっさりと突破し、8−1 90+2分、左サイドライン際沿い、ゴールラインまで30Mほど高さが残る位置からFK、キッカーは稲毛。素直にPA内へ入れた速いボールを畑がバックヘッド気味に逸らすが、右ポスト直撃。跳ね返りを更に小澤が粘ってリフティングシュートを狙ったが、DFに当たって右CKとなる。キッカーは佐野傑。やはりPA内から近づいてきた西澤に当てるショートコーナー、西澤はPA右角付近で受けるとパスを戻し、それを下がりながらゴール前の様相を窺う佐野傑が、ダイレクトでクロスを入れた。伸びのあるインに掛かって巻いたボールを、大外ファーで控える小澤がジャストタイミングの高い打点で痛烈なボレーをゴールネットに突き刺し、「ケーキにいちごを載せた」。9−1
愛知高校 清水エスパルスユース 3(0) シュート 15(7) ○柴原、×佐傑、◎池上、◎佐傑、×前田、×西澤、○火田、◎成田、×成田、×前田 ◎田代、×佐傑、×前田、×火田、◎小澤 3(1) 右クロス 3(2) ×恭平、○恭平、◎佐傑 3(2) 左クロス 5(3) ○柴原、◎成田、×成田、○稲毛、×成田 1(0) 右側CK 2(0) ×佐傑、△佐傑 0(0) 左側CK 2(0) △西澤、△佐傑 0(−) 犯OS 4(−) ・池上、・成田、・前田、・前田 4(3) ファウル 4(1) ・柴原、×佐傑、・池上、・前田
●個人的MVP 佐野 傑 ●個人的MIP 池上 智規、岩崎 広大
前節、緒戦かつ大一番の勝利の勢いのままに1部昇格まで駆け上がりたい清水は、前節の先発と同じメンバーを組んだ。控えまで含めても、U-16代表から帰ってきた田代が山田の代わりに入っただけ。離脱者が多くて、変えようもないというも言えるが。先発は3年生7人、2年生3人、1年生1人。 対する愛知高校は越智監督が38年チームを率いる伝統校で、選手権9回出場 (最高3位)、高校総体8回出場 (最高16強) の実績を誇る。06年にも高校総体に出場しているが、最近更に強化に力を入れたのか、下級生の層が厚い構成になっているようだ。そのため、新1年生が掲載されていない大会プログラムがあまり役に立たない (苦笑)。先発のうち、3年生は主将の田中一人で、2年生5人 (宮坂・吉田・石黒・綿本・伊藤)、1年生と思われるプログラムに載っていない選手が5人。CB両名を含むチームの中心線が1年生 (移籍選手かもしれないけど) がいるわけで、非常に若いチームだと言えそうだ。前節は浜名高に1−2で敗戦している。
相手の実力を測る手探りの5分間が過ぎると、早くも7分に先制。更に13分にCH青木が1本のスルーパスで中央を崩し、FW柴原のシュートがバーの内側に当たったのを皮切りに、フィールド上の全地域で優位に立ち、16分に右サイドからの崩しで2点目、18分に左サイドから中央裏に抜けて3点目、そして25分の柴原の個人技でのゴールで最高潮に至る。柴原、佐野傑、青木あたりは1対1の個人勝負では負け知らずで、28分には前に出た青木が強引に体を入れてボールを奪い、それを拾ったLH佐野傑がドリブルシュート、GKの跳ね返りを至近距離で青木がボレーで詰めたが宇宙開発。続く28分の失点場面はセイフティファーストでタッチにクリアするよりも、マイボールのまま攻め続けたいという油断が招いたものであったが、清水の優位は変わらないように思われた。 だが、油断は徐々にチームを蝕み、少しずつ球離れが遅くなり、強引な突破に失敗する場面が目につくようになる。守備でも前でより前でボールを奪おうとして奪えず、いなされて左右に展開されて後追いになるハメに。35分、柴原の左CKをニアで池上が頭で逸らし、ファーで青木がジャンピングボレーで合わせるがまたも宇宙開発。他にシュートチャンスもなく、前半を折り返す。後半になると、愛知高はRHからCHにポジションを移した田中が試合をつくるようになり、清水のプレスをかわしてサイドへ丁寧に展開。清水も49分にCH深澤慶のスルーパスから柴原がシュートを放つなどしたが、愛知高がボールを持つ時間も長くなり、膠着状態に陥りかけていた。
57分、大榎監督は成田と西澤を投入。スピードというわかりやすい武器を持つ成田は、積極的なフリーランでサイド攻撃という戦術の形を導いていく。早速59分に成田が左サイドから5点目をもたらすと、次いで60分には右から佐野傑が6点目。落ち着いたパス回しができるようになり、再び清水が主導権を握った。63分、エース前田が怪我から復帰の交代投入。早くも64分には佐野傑が右サイドから斜めにDFの裏に流したスルーパスに反応、サイドに斜めに流れながら飛び出し、ダイレクトで放ったシュートがニアポストにブチ当たる。74分、佐野傑がキープから前に当てたボールを前田がダイレクトで右サイドに捌き、RB望月恭のクロスをニアでFW畑が頭で合わせるが、GKキャッチ。普段の前田から比べればシンプルに捌く場面が多く、まだ本調子ではないのかもしれないが、なんだかんだでドリブルで相手のファウルを3つ、誘っている。75分にはその前田の粘りで得た左CKから成田がゴールを決めて、7点目。それからも85分に交代出場の田代、ロスタイムには小澤がトドメを刺し、9−1と圧勝。リーグ首位に立った。
佐野傑は正に攻撃のキーマン。柴原と並んでチームで最もキープ力があり、中盤でボールの預かり所になるだけでなく、自ら突破していくことができる。スピードだけでなくフェイントのキレもあるので、相手が引いた状態でも崩せるのがポイント。だが、伸びのあるボールを蹴れる左足があれば、ゴールから遠い位置からでも攻撃に貢献することができる。この日はそれを警戒した相手に対して、キックフェイントを多用して突破をより容易にしていた。一方、3年生となってアスリート能力も高まり、90分間通して上下運動を繰り返し、攻守に貢献できるようになってきた。90分間フル出場した佐野傑を見たのは、かなり久々な気がする (もしかしたら、初めてかもしれない)。 次点には大味な展開ながら、最後まで集中力を欠かさずに頑張り続けていた2人。池上は3得点1アシスト。清水FC時代はパワーの杉山 (健太) にテクニックの池上という風だったのだが、Jrユース以来、前田や佐野傑の陰に隠れがちだった。だが、この試合、3点目こそごっちゃんだが、テクニカルに頭で流した1点目、左足アウトを合わせた2点目と、彼本来の持ち味を見た気がした。岩崎は不惑。空中戦で体を張っただけでなく、常に集中。相手FWの足下に入るクサビのパスに対して遅れることなく、前に出ると体ごとぶつかり、次々と刈り取った。その泥臭さを厭わぬ気迫が、試合全体を引き締めていたように思う。
2008年04月19日(土) |
プリンス東海 清水商業高校戦 |
08年04月19日 (土) 14:15開始 草薙総合運動場 球技場 JFA プリンスリーグU-18 東海 2008 2部 対 市立 清水商業高等学校 ※45分ハーフ 天候: 雨
[前半] 清水エスパルスユース 控え:長島、山崎、山田、中原、西澤、前田、成田、佐野孝、畑 −−−−−−−−柴田−−−−−−−− − 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−青木− 深澤慶 −−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−杉山−− −−−−−−池上−−柴原−−−−−−
−−−−−−杉山−−平野−−−−−− −−砂川−−−−風間−−−−池田−− −−−−−−−−宮部−−−−−−−− −−田村−−栗本−−吉川− 四ツ田 − −−−−−−−−川野−−−−−−−− 控え:新美、小澤、鈴木、佐野、山口、浜名、深沢、進藤、前澤 清水商業高校
15分、清商、警告: 田村 21分、エスパルスの中盤での組み立て。やや右寄りで受けたCH深澤慶がキープし、前を塞がれてターン、バックパスを戻そうとするが内側にズレてしまう。CH青木が足を伸ばすも抑えるに至らず、こぼれを清商FW杉山が拾って前へ。この時点でCB小澤が1対1で対峙することになるが、力と速さで内側から体を寄せ、右サイドへ斜めに追いやっていった。が、その先にいたLB稲毛が何を思ったか、杉山の右横を切りに行ってしまう。これ幸い、杉山は小澤と稲毛の間に難なく割り込むと、シュートコースを塞ぐのはGK柴田だけ。勢いのあるシュートをゴール右下隅へ沈めた。0−1
36分、エスパルスは左サイドから稲毛のスローイン。LH杉山が受け、PA左角手前のFW池上にクサビを入れるや、自らはバイタルスペースを左外から中へと横にスライド移動する。キープした池上は杉山の走る先へ、斜めのパスを戻した。杉山、PA外中央20M、シュート体勢に入ったところで軸足の左足が滑るが、スライディング気味の格好も構わず、利き足でない右足でダイレクトミドル。滑ったことで良い感じで回転が掛かったか、綺麗に巻いたボールが横っ飛びGK川野の指先を抜け、ゴール右隅に決まった。1−1
清水商業 清水エスパルスユース 7(4) シュート 5(2) ×柴原、○慶也、×柴原、◎杉山、×恭平 7(4) 右クロス 1(0) ×佐傑 3(0) 左クロス 2(1) ○杉山、×稲毛 0(0) 右側CK 0(0) 1(0) 左側CK 0(0) 0(−) 犯OS 0(−) 7(3) ファウル 6(3) ・池上、×稲毛、×恭平、×恭平、・柴原、・柴原
[後半] 清水エスパルスユース (70〜85分) −−−−−−−−柴田−−−−−−−− −−山田−−岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−青木− 深澤慶 −−−−− −−柴原−−−−−−−−−−杉山−− −−−−−−池上− 佐野孝 −−−−−
−−−−−−杉山−−平野−−−−−− −−砂川−−−−風間−−−−池田−− −−−−−−−−宮部−−−−−−−− −−田村−−栗本−−吉川− 四ツ田 − −−−−−−−−川野−−−−−−−− 清水商業高校
58分、自陣左サイドで前に出ながらパスカットに成功した小澤、顔を上げると素早く前方にロングフィードを送る。池上はフィードより先に動き出しており、一発のパスで左サイドを縦に抜けた。中を切る相手DFに対し、十分に抉ったところでプルバック。PA手前、左足で受けたFW柴原、右足に持ち替えてDFを外すや15Mシュートを放つ。得意のアウトサイドキック、GKの腕を逃げるように抜けて右ポストを直撃、しかしそのままゴールへと転がり込んだ。2−1
69分、エスパ、交代: 望月恭→山田 70分、エスパ、交代: 佐野傑→佐野孝 (柴原RH、佐野孝FW) 85分、エスパ、交代: 池上→畑 87分、エスパ、交代: 深澤慶→西澤 90+3分、エスパ、警告: 稲毛
清水商業 清水エスパルスユース 8(3) シュート 9(3) ×池上、×佐傑、◎柴原、×佐傑、×池上、○稲毛、×青木、○柴原、×孝洋 5(1) 右クロス 7(3) ×柴原、○恭平、×恭平、○佐傑、×慶也、○佐傑、×山田 2(1) 左クロス 8(3) ○杉山、○稲毛、○孝洋、×柴原、×稲毛、×孝洋、×杉山、×稲毛 1(0) 右側CK 2(0) ・佐傑、・佐傑 2(1) 左側CK 3(0) ・柴原、△柴原、△柴原 1(−) 犯OS 0(−) 1(0) ファウル 6(0) ・恭平、・池上、・慶也、・慶也、・柴原、・畑
●個人的MVP 小澤 蓮 ●個人的MIP 池上 智規、杉山 一貴
大榎ユース公式戦緒戦。さすがに注目度が高く、試合前から多くの取材陣が大榎を囲んでいた。この取材陣を自分に引きつける選手が出てきてほしいものだ。その緒戦の布陣は、ほぼ予想通りのメンバー。足首を痛めている前田は大事を見てベンチスタート、鍋田は練習の紅白戦などにも参加している状態ながら、まだベンチ外。一方、柴原は大榎監督の希望で、広島でのU-16代表キャンプから戻ってのスタメン出場となった。先発の構成は3年生7人、2年生3人、1年生1人。 対する清水商は県新人戦ベスト4。言わずとしれたサラブレットMF風間、清水FCや静岡学園中のエースだったFW杉山、さなるカップでエスパルスを撃沈したキューズFCのエースFW平野といったタレントもおり、プリンス東海初参入ながら1部昇格を争う最大の対抗馬との下馬評も高い。先発は3年生7人、2年生3人 (田村・宮部・風間)、1年生1人 (川野)。四ツ田・栗本・砂川はエスパルスSS藤枝出身。1年生GK川野は岐阜VAMOSの正GKとして昨年、全国を経験している。ベンチにはエスパルスJrユース出身、1年生の前澤も入った。
立ち上がりを過ぎて徐々に展開が落ち着いてきたところ、優位に立ったのは清商。予想されたロングボールには小澤・岩崎の両CBが粘り強く跳ね返せていたが、精力的に上下運動を繰り返す池田・砂川のSHにつききれない。スローインからの走り出しに虚を突かれて裏を取られるなど、集中力の問題も散見され、2週間前の横浜FC戦が思い出される嫌な流れ。こういう流れに対抗して、じっくりとグラウンダーのパスとドリブルでのキープでポゼッションを高め、自分たちのペースを取り戻す力がこのチームにはあると思うのだが、自分たちも縦に拙速な展開をやり返してしまい、ボールが空中を行き交う清商得意の (というよりエスパ苦手の) 流れにハマってしまう。 エスパにもセットプレーや柴原・佐野傑のドリブルから生まれる単発的なチャンスはあったが、清商は18分に右サイドを切り裂いた池田のクロスから混戦、なんとかクリアするが更にOH風間が右サイドを再度突き破って角度のない位置からシュート、GK柴田のパンチングをDH宮部がミドル (枠上)。21分に先制した後も、22分のドリブル突破したFW平野の高速左クロス、24分のRB四ツ田の右クロスを風間がポストに入って平野のシュートは柴田が足でCKに逃げるなど、清商が主導権を握っていた。が、やや膠着状態になりかけてたところ、思い切り良いLH杉山の「右足」で同点。その後はゴールへの積極性で上回る清商が流れを引き戻したが、決定的なものではなく、同点で試合を折り返した。
後半開始3分、杉山が外を回ったのを見てFW柴原がドリブルで溜めをつくるが奪われてしまい、カウンター。縦に繋ぐと風間のスルーパスでPA内右を縦に抜けた平野が、至近距離でシュートを放つが、この決定機を外してしまう。後から振り返れば、これが試合結果を左右することになった。後半のエスパは大榎監督から指示があったのか、グラウンダーのパスをしっかり繋いでボランチに当て、そこからサイドに振り分ける展開ができるようになり、ポゼッションで圧倒。他方の清商は疲労のためか、前半のようにロングボールをFWやSHが追い切れず、ならばと風間にボールを集めるが、そこは青木の守備範囲。人に強い守備で中盤の底に蓋をし、奪ったボールを素早く正確に次の展開に繋げるのは、青木の最も得意とするプレー。風間は後半一人で4本のシュートを撃つも、むしろ強引さが目立ち、85分に裏に抜けながら放ったシュートもGK柴田に正面で抑えられた。 青木から柴原への美しいロングスルーパス (柴原が珍しいトラップミス) で攻勢に出たエスパは57分、柴原がドリブルでサイドを縦突破、DFを広げてから戻したボールに今度は杉山が中へ切れ込み、プルバックしたボールをLH佐野傑がダイレクトシュートは枠外。58分に逆転した後も、62分には佐野傑の右クロスがPA内のFW池上へ、DFがクリアに入ったが青木が拾って左に展開、LB稲毛が杉山とのワンツーでサイドを破って入れた左クロスはDFがCKに逃れる。73分、CH深澤慶が左に捌き、稲毛が再び杉山とのワンツーから今度は中に切れ込み、角度のない位置から強烈なシュートを撃ったがGKが弾く。ゴール前にボールが転がったが、FW佐野孝は押し込めず。稲毛、守備では脆さをみせたが、持ち味の前への推進力で汚名返上。決定機を逃した佐野孝も76分、縦パスに反応して左サイドを突進、クロスに柴原がボレーを放ったがGKに阻まれた。 その後、大榎監督は積極的に選手を投入、緒戦から多くの選手に出場経験を積ませた。ロスタイムには更に新1年生の中原も交代の準備をしていた。競った試合だっただけに、勇気ある決断だったと思う。試合自体はやや清水の攻勢も停滞し、90+1分には相手陣内からのロングフリーキックで平野のヘッドを許す (柴田キャッチ) など、危なげないとは言えなかったが、そのまま2−1で逃げ切った。
小澤は空中戦に奮闘していた前半から素晴らしかったが、特に真価を発揮したのが後半。盛んに裏を突き、スピードに乗って飛び出してくる平野、池田に対してきっちり体をつける強さと速さを証明した。そして、折を見て鋭いスライディングでボールを刈り取る。平野というよく動く選手に対応しつつ、左サイドまで幅広くカバー、守備範囲も広い。本業の守備以外でも逆転に繋がったフィードのように、狙い澄ました前線へのロングパスで攻撃の起点としても機能していた。 2アシストの池上は、とにかく頑張っていた。味方がボールを持てば誰よりも早く動き出し、適当なロングボールにも空中戦で吉川と競り合い、体を張り、守勢に回れば前からプレスを掛ける。苦しい時間にできることを真面目にこなし、反攻の時まで待ち、耐え、それを導いた。杉山はスタンドからのような高い位置で観戦すると、良さを再確認できる頭の良い選手。敵味方の位置関係を正確に捉え、ポジショニングが良い。この日は青木が前に上がっていた時にカウンターを食らった時や、逆サイドから上手く展開された時などに、中に絞ってカバー、相手にバイタルエリアを使わせない守備が光った。
2008年04月06日(日) |
練習試合 横浜FC戦 |
08年04月06日 (日) 13:00開始 鈴与三保グラウンド 練習試合 対 横浜FCユース 天候: 晴れ
●1本目 ※45分ハーフ [前半] 清水エスパルスユース −−−−−−−−長島−−−−−−−− − 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−青木− 深澤慶 −−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−杉山−− −−−−− 佐野孝 −柴原−−−−−−
−−−−−−13−−09−−−−−− −−26−−−−−−−−−−29−− −−−−−−22−−08−−−−−− −−03−−32−−23−−19−− −−−−−−−−01−−−−−−−− 横浜FCユース
12分、横浜、ボールを支配して押し込んだ状態。清水は自陣深く左サイドでボールを奪い、LH杉山が前線にクサビを入れようとしたが、FW佐野孝に届く前にCB23番にカットされる。横浜はボランチを経由してパスを繋ぎ、今度は清水の右サイドに展開。LH26番が受けるとスピードで前へ。ゴールライン際で僅かにマークから抜け出し、思い切った速いクロスを送る。これをDF/GK、共に触れるもクリアしきれず、ファーにまで流れたボールをFW13番が豪快に蹴り込んだ。0−1
32分、清水、自陣深くで奪ったLB稲毛の縦パスは、下がってきた佐野孝より前でDFにカットされるが、そのまま前に出た相手から杉山が奪い返す。佐野孝は左最外にポジショニングを微調整しており、杉山は遮るもののないライン沿い前のスペースにスルーパスを送った。縦に抜け出た佐野孝は相手をスピードで置き去りにし、中に切れ込む。CBが前を塞ぐと、その裏にFW柴原が飛び出すが、佐野孝は右サイドにパスを捌いた。そこにRH佐野傑。縦に抜け、狭い角度からシャープなシュート。GKが前に弾いたところ、DFに競り合いながらも柴原がボレーで決めた。1−1 37分、横浜、左サイドの裏を狙ったパスはCB小澤がカバー、チェックに来たFWをかわした後、縦にクサビを入れる。パスを受けたRB望月恭?が中に切れ込んでドリブルを仕掛けるが、CH22番が奪うやドリブルを仕掛け返す。小澤が空けたスペースはCH青木が埋めていたが、ドリブルに対峙して前に出るを得ず、その隙を見計らって22番のスルーパス。青木のいたスペースにFW09番が走り込み、フリーで痛烈にゴール右へ蹴り込んだ。1−2 40分、横浜、交代: 03→18
横浜FC 清水エスパルスユース 8(4) シュート 7(5) ○孝洋、○柴原、○佐傑、◎柴原、×杉山、○孝洋、×柴原 7(2) 右クロス 3(1) ×恭平、×佐傑、○佐傑 2(1) 左クロス 1(1) ○杉山 3(0) 右側CK 1(0) ×佐傑 2(1) 左側CK 0(0) 1(−) 犯OS 0(−) 2(0) ファウル 3(2) ・慶也、×青木、×杉山
[後半] 清水エスパルスユース (75分〜) −−−−−−−−長島−−−−−−−− − 望月恭 −岩崎−−小澤−−稲毛−− −−−−−−−−青木−−−−−−−− − 佐野傑 −−−柴原−−−−成田−− −−−−− 佐野孝 −池上−−−−−−
−−−−−−11−−09−−−−−− −−26−−−−−−−−−−29−− −−−−−−22−−08−−−−−− −−18−−32−−23−−19−− −−−−−−−−01−−−−−−−− 横浜FCユース (61分〜87分)
48分、横浜、清水の攻勢を凌ぐと自陣中盤でパスを受けた22番から浮き球の緩いスルーパス。ハーフライン近くまで押し上げていた清水DFライン、オフサイドをとりにいくがトラップ失敗。09番がCB2枚の右外から縦に抜けた。慌てて追い掛ける清水DF、しかし最短距離を突き抜けた09番には追いつかず、09番はフリーのままドリブルシュートを叩き込んだ。1−3 64分、清水、交代: 杉山→成田 65分、清水、交代: 小澤→山崎 71分、清水、交代: 長島→柴田 71分、横浜、交代: 01→31、13→11 75分、清水、交代: 深澤慶→池上 (4-1-3-2: 青木DH、柴原OH、池上FW) 87分、横浜、08→05
横浜FC 清水エスパルスユース 6(5) シュート 5(2) ×慶也、○佐傑、×孝洋、○青木、×柴原 9(4) 右クロス 2(0) ×佐傑、×佐傑 1(0) 左クロス 3(0) ×孝洋、×稲毛、×柴原 3(0) 右側CK 0(0) 1(0) 左側CK 1(0) △柴原 1(−) 犯OS 0(−) 1(0) ファウル 5(1) ×杉山、・柴原、・柴原、・成田、・成田
●2本目 ※30分ハーフ [前半] 清水エスパルスユース (〜17分) −−−−−−−−柴田−−−−−−−− − 深澤詢 −山崎−−山田−−中原−− −−−−−−西澤−−石原−−−−−− −−杉山−−−−−−−−−−成田−− −−−−−− 畑 −−池上−−−−−−
−−−−−−04−−12−−−−−− −−13−−−−−−−−−−25−− −−−−−−14−−29−−−−−− −−20−−05−−30−−02−− −−−−−−−−21−−−−−−−− 横浜FCユース
02分、清水、筆者が横浜FCの布陣を確認している間に、PA左角手前でボールを受けたLH成田が、地を這うような20Mミドルシュートをゴール左下に突き刺す (推測すると中盤からCH石原からのクサビから反転、左足?)、1−0 17分、清水、交代: 杉山→深澤慶 21分、清水、石原が簡単に捌いたボールを左前に流れながらCH西澤が受け、更に左タッチライン沿いにスルーパスを送る。それに反応したLB中原が駆け上がり、左クロスがニアのFW池上に渡るが、DFが入って左CKへ。キッカーは成田、速いボールをゴール中央に蹴り込むと、ファーから走り込んだ池上が殆どジャンプせずに頭で叩き付けた。2−0
横浜FC 清水エスパルスユース 2(0) シュート 4(3) ×詢也、◎成田、○中原、◎池上 0(0) 右クロス 1(0) ×慶也 2(1) 左クロス 6(1) ×中原、×畑、 ×中原、×西澤、○成田、×池上 0(0) 右側CK 1(0) △慶也 1(0) 左側CK 5(1) △西澤、×西澤、×西澤、×成田、◎成田 0(−) 犯OS 2(−) ・畑、 ・池上 2(0) ファウル 0(0)
[後半] 清水エスパルスユース −−−−−−− 久保田 −−−−−−− −−山田−−小澤−−山崎−−中原−− −−−−−−西澤−−石原−−−−−− − 深澤詢 −−−−−−−−−成田−− −−−−−− 畑 −−池上−−−−−−
−−−−−−04−−12−−−−−− −−33−−−−−−−−−−25−− −−−−−−05−−29−−−−−− −−20−−02−−30−−14−− −−−−−−−−21−−−−−−−− 横浜FCユース
31分、清水、交代: 柴田→久保田、深澤慶→小澤 (山田RB、小澤CB、深澤詢RH) 31分、横浜、交代: 02→14、13→33 33分、清水、西澤の左CK、LBの位置から中原が駆け上がってパスを受けるが、これは横浜に読まれ、クロスをブロックされてしまった。しかし、こぼれ球は西澤が拾い、PA内からサイドに流れてきた畑へとクサビ、畑が再びサイドに捌いたボールを中原が受けて加速、ライン際から鋭角にPA内へ切れ込む。最高速に乗った中原はDFに阻まれつつも強引にシュート、ゴール天井に突き刺した。3−0
46分、清水、GKからパスを受けた相手に西澤が仕掛けたフォアプレス、ボールがこぼれてLH深澤諄が拾うや、PA中央の池上にクサビを入れた。素早く飛び出したGKに距離を詰められるが、池上は足下のフェイントでそれを交わし、シュートを放つ。が、フェイント直後で踏み込みが甘く、弱い勢いのシュートはDFがブロック。が、そこに深澤諄が殺到、勢いに任せてゴールに叩き込んだ。4−0 60分、横浜、ゴールキックを頭でクリアに行ったRB山田が空振り。その裏に走り込んだLH33番に対してCB小澤がカバーに入るが、縦を切った小澤に対してPA周辺を半円状にドリブルし、小澤を体ひとつ振り切って左30度からシュート。ゴール左下隅を正確に狙ったが、GK久保田もさすがにニアは抜かせず、CKに逃れる。キッカーは25番、ファーに上げた高いボールを4番が頭で叩き落とし、4−1
横浜FC 清水エスパルスユース 4(3) シュート 10(5) ◎中原、○畑、 ×詢也、×池上、○池上、◎詢也、○池上、○畑、 ×池上、×西澤 1(0) 右クロス 1(1) ○池上 1(0) 左クロス 1(0) ×畑 0(0) 右側CK 1(1) ○西澤 1(1) 左側CK 3(1) △西澤、×西澤、○西澤 0(−) 犯OS 1(−) ・池上 1(1) ファウル 3(0) ・畑、 ・詢也、・池上
●個人的MVP 山崎 教史 ●個人的MIP 池上 智規、西澤 郁
1本目、4分にFW佐野孝のサイドチェンジからRH佐野傑がドリブルで切れ込み、中央に入れたパスから佐野孝のシュートはGKがCKに逃れる。序盤こそ清水が押し込むが、FW/SBが上下によく動いてサイドでパスを引き出し、そこへCH22番を中心にテンポ良く配球する横浜FC、徐々にポゼッション率を高め、12分に波状攻撃を緩めることなく先制。相手パス回しに翻弄される清水は、SBのオーバーラップに対応するSHが最終ラインに吸収された状態となり、しかし2トップの守備への貢献が乏しく、プレスが掛からない。結論、真ん中のだだっ広いスペースをCH青木が一人、走り回っていたが、そんな青木も19分のファウルで26番に直接FKで狙われたり、25分には13番にボールを奪われてミドルを許したりと、孤軍奮闘というよりも空回りに近かった。 28分、突如守備に参加した佐野孝がボールを奪取、そのまま持ち上がってFW柴原のシュートを導く。これでようやくプレスが連動して前から掛かり始め、32分に同点に追いつくと、続く32分にもLH杉山が自ら奪ってドリブルシュート、35分には青木のフォアプレスからこぼれ球を佐野孝が拾ってシュートを放つ。しかし、37分に勝負すべきでない位置でのドリブルでボールを奪われて失点すると、反攻もそこまで。前述のとおりプレスを掛ける位置がバラバラでゾーンが間延びしてたり、そのくせ最終ラインが揃っておらず再三稲毛の裏を取られたりと、戦術面の乱れも気になったが、それ以前に目立ったのが覇気や集中力を欠いたプレー。奪われたら奪い返しにいく、味方が奪いにいったら連動してプレスを掛けるといった基本ができてなかったり、相手のプレスが激しいのに球足の弱い、受けた方が次の対応に困るパスを出したり、気持ちの問題が大きいように思えた。
そうした悪い部分が如実に表れたのが、後半に入って48分の失点の場面。統一されてないDFラインが、ハーフライン近くの高い位置で安易にオフサイドをとりにいって失敗、3点目を喫する。その後も守備の乱れは続き、右サイドで数的有利から裏に抜けられ、右クロスを中央PA内で合わせる、そういった比較的オーソドックスな崩しを何度も許した。受け身になった時にボールを奪う意欲に欠け、大榎監督も途中から池上を投入して攻撃的な布陣を指示するが、トップ下に入った柴原の闘争心や中盤の守備を一手に担う青木の奮闘、池上の前線からの守備が「個人プレー」として目を引いただけだった。後半のチャンスは、14分に柴原の中央ドリブルから右に叩いて佐野傑のクロス、PA内で佐野孝が浮き球を強引にリフティングでGKを外してシュートを打った場面 (枠上)、25分にファーに流れたRB望月恭の放り込みを柴原が追い掛け、戻したボールを青木が左35度20Mミドルシュートを放った場面 (GKキャッチ) ぐらい。1−3で敗戦した。
2本目は互いにメンバーをガラッと入れ替えての対戦。横浜FCは体格や運動能力 (スピードとか) に長けた選手を、クラブユースらしく丁寧に基礎技術や戦術を教え込んだ好チームだったが、2本目の控えメンバーにはその良さの一つ、戦術面の一体感がなかった。こうなると個人能力と個人能力の単純な総和の勝負になってしまい、清水の明確な優位に。1対1で対峙した際にことごとく勝利、特に中盤中央の西澤・石原は活発に動いて相手と対峙する機会を量産し、その足技でボールを刈り取った。3分にLH成田の悪魔の左足で先制、22分に流れるようなプレーからセットプレーを得ると池上のヘッドで2点目。後半になると優劣の差は拡大し、得点以外にも41分に石原の奪取から右に開いた池上のクロスを畑のボレー、23分に畑のポストから成田のスルーパスを池上がシュート (枠外) と攻め立てる。最後、セットプレーから失点したのは画竜点睛を欠いたが、2年生中心の安定した守備を基盤に1年生がのびのびとプレー、池上・西澤ら3年生の精力的な動きも試合を引き締め、4−1で快勝した。
筆者にとっては復帰戦になった山崎。数回クリアミスがあったほかは、ほぼパーフェクトの内容。ハイボールを頭で足で、しっかり前へ大きく跳ね返せていた。ドリブルを仕掛けてくる相手への対処は相変わらず素晴らしく、得意の前に出てボールをカットし、そのまま持ち上がりつつ最前線にスルーパスを通すプレーも見せていた。だが何よりも頼もしかったのは、そのリーダーシップ。的確の味方の役割分担やポジショニングを指示し、個人の判断に任せがちのチームに規律を与えた。プリンス開幕に向け、頼れる男が帰ってきた。 池上は声で味方を鼓舞し、自らもよく動いてパスを引き出し、プレスを掛けた。これまで盛んに動いて前線から自陣まで相手を追い下がって守備についたり、サイドに開いて起点をつくったりと、それ自体の動きは良いのだが、肝心のゴール前、ボックス内の存在感に不足していた。しかし、この日は1得点1アシストと、数字に残る部分でもアピールに成功。西澤は活発な動きと巧みな足技で幅広く繋ぎの経由点となり、更に前からのプレスと相手の飛び出しへの対応で、1本目に苦労していた流動的な横浜FCの中盤に対処した。現状、様々な意味でバラバラのチームをまとめるには、声で味方を動かせる選手、自らが能動的に動いてチームを引っ張れる選手、そうしたリーダーシップが必要だと思われる。
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