2005年12月25日(日) |
Jユース杯 ヴィッセル神戸戦 |
05年12月25日 (日) 13:30開始 長居スタジアム Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント決勝 対 ヴィッセル神戸ユース ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半44分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−長沢−−篠田−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− −−谷野−−−−−−−−−−渥美−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 桑原卓−佐野克 −石垣−−高野−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、高野、谷野、佐野諒、篠田 交代:後半23分:町田 →篠田 後半34分:小泉 →渥美 後半38分:桑原彬→高野 後半44分:八木 →谷野
ヴィッセル神戸ユース: 先発: 後半27分〜: −−−−−−上谷−− 辻 −−−−−− −−−−−−木下−− 辻 −−−−−− −−先田−−−−−−−−−−伊藤−− −−中谷−−−−−−−−− 曽我部 − −−−−−−大森−−八束−−−−−− −−−−−−澤井−−八束−−−−−− −− 林 −−柳川−−増田−− 門 −− −−大森−−柳川−−増田−− 門 −− −−−−−−−−土井−−−−−−−− −−−−−−−−土井−−−−−−−− 控え:紀氏、小宮山、佐川、澤井、曽我部、中谷、木下 交代:前半28分:先田→澤井 後半16分:林 →曽我部 (大森を左SB、曽我部をCHに) 後半20分:伊藤→木下 後半27分:上谷→中谷 (澤井をCH、曽我部を右SH、中谷を左SH、木下をFWに)
▼試合展開 ようやく寒波も弱まりはじめ、風は微風。決勝戦という舞台に相応しい、絶好のサッカー日和になった。決戦の舞台は、ユースの大先輩市川が、絶妙のクロスで日本代表の予選グループ突破を決めた地、長居スタジアム。その市川が雨の中で泣きじゃくった宮城スタジアムから始まった、清水エスパルスユースのJユースサハラカップ決勝トーナメントは、最後の一戦を迎えた。
清水は準決勝と同じ先発、ベンチも池田が外れて高野が復帰しただけ。完成された組織で、決勝の舞台に臨む。3年生3人、2年生8人。 一方の神戸も先発は準決勝と同じ、ベンチに田中に代えて澤井が入る。3連続PK戦勝利で勢いに乗る神戸は、非常に若いチーム。後方の門・柳川・増田 (U-18代表)・大森の4人が3年、同じく後方に土井・林・伊藤の3人が2年、前線の辻 (U-15代表) ら4人は1年生なのだ。上級生の粘り強い守備と、交代も視野に入れた下級生の前線からの激しいプレス、そしてPK戦で当たり続けたGK土井の力で、決勝へと勝ち進んだ。柳川・増田、更にこの日はベンチの木下 (元U-17代表)・紀氏 (U-18代表) の4人が、トップ昇格内定。また、ベンチの中谷はJrユースの選手である。 下馬評では、準決勝で優勝候補と目されていたG大坂を一蹴した清水が、圧倒的優位。だが、夏のクラブ選手権での両者の対戦は、桑原卓のドリブルで得た石垣のPK1点を守りきった、清水の辛勝であった。同大会、清水・札幌・大宮に3戦全敗だった神戸は大きく様変わりし、夏に殆ど出番のなかった辻・上谷・八束・先田といった1年生攻撃陣が台頭。清水の方も布陣を3-5-2から4-4-2に変更、先発は前回の対戦から4人が入れ替わっている。夏とは全く違うチームになった両者が、頂点を賭けて激突した。
[前半] 2分、清水は桑原卓の左スローインをCH柴田、FW長沢がポストで繋ぎ、CH神田が初シュート (枠外) を放つ。前で奪うと素早くドリブルで突っ掛け、立ち上がりの神戸を落ち着かせない。特に清水で最も鋭いドリブルをもつ切込隊長・右SH小泉と応対とした神戸・左SB林は、6分、10分、13分と連続して自陣深い位置でファウル。3度目のファウルには、ファウルを受けた小泉が肩を両手で小突いたりしていた (お咎めはあったが、警告なし)。2回目のファウルは右サイド、小泉のFKをファーで町田が頭で合わせたが、バーを直撃、落下したボールをGK土井がライン直前で抑える。3回目のファウルは中央35Mから、八木のシュートは鋭く曲がって枠内を捉えるが、これもGK土井がキャッチした。 神戸は得点王のFW長沢に厳しくマークにいこうとするが、CHの経験も豊富な長沢は下がって仕事ができる選手。判断も速い。マークが集中する長沢が簡単に捌くことで、他の選手が比較的自由にプレーすることができた。先制点は、正にその形から。15分、CB柳川のクリアをCH神田が頭で跳ね返すと、下がった位置にいた長沢が右足でPA内、小泉の足下に流す。様子を窺う小泉、右足インからアウトへの連続切り返しの体重移動、柳川を振り切り、鋭角からシュートを放つ。GKが弾いたボールを、ファー左ポスト前に飛び出たFW町田が軽く押し込み、1−0。22分には、中盤の縦パスを町田→長沢→町田→長沢のダイレクトパス3連鎖から、最後は長沢がマークを外してPA右角からシュート (GKキャッチ)。神戸、長沢と町田を捕まえきれない。
そんな神戸は24分、CB石垣の処理ミスで左CKを得ると、八束のキックがファーに流れたボールを辻がフォロー、右から折り返したボールをPA外から伊藤がヘッドを放ち、ようやくシュートを記録する。だが、清水は23分、右SB桑原彬のスローインをPA右横で受けた町田、DFを引き寄せてコーナーフラッグ付近に流れ、もう一度桑原彬まで戻す。意を決して中に突進する桑原彬、PA内の長沢に当てると、長沢は町田が空けたPA内右のスペースに落とす。そのまま桑原彬が突っ込み、右足インサイドでゴールに押し込んだ。2−0。長沢と町田の2トップが意図的に作ったスペースを利用してのゴール、行徳監督が夏以降、攻撃の練習ばかりしてきたと言うだけのことはある、見事な連動性だった。 そして、今大会の清水には、一気に畳み掛ける強さがある。28分、町田が柳川からボールを奪うとPA内右からラストパス、PA内中央の長沢がボールを置きにいくシュートを放つが、勢いが弱く、GK土井に弾かれる。八木の右CKは中央で跳ね返され、再度拾った八木がクロスを入れるが今度はファー、流れたボールをフォローした佐野克のドリブルが止められ、今度は左CKに。逆から再び八木のキックに中央へ飛び込んだ長沢、の裏で同じく飛び込んだ石垣が頭で叩き落とし、3−0。 試合の趨勢が決まると、その後の清水からは安堵感が漂い、前線は活動量を落とす。今大会、仙台とガンバは大量失点に我を失って攻め急ぎ、清水のカウンターの餌食になったが、神戸は攻めにいかないのか、いけないのか、淡々としたまま。パス回しのミスも多い。結局、清水はボールを支配しながらもシュートまでいけず、神戸は右CKのクリアボールを大森がボレーで狙ったのみ (枠外) 。大きな動きなく、前半終了。会場内では、清水楽勝との声も聞こえていた。
ヴィッセル 清水エスパルスユース 2(1) シュート 9(8) ×神田、○町田、○八木、○小泉、◎町田、○長沢、◎桑彬、○長沢、◎石垣 2(1) 右クロス 4(0) ×小泉、×柴田、×長沢、×八木 3(1) 左クロス 5(0) ×柴田、×町田、×町田、×八木、×八木 1(0) 右側CK 2(1) ×八木、○八木 1(0) 左側CK 1(1) ◎八木 1(−) 犯OS 1(−) ・長沢 10(4) ファウル 12(1) ・桑彬、・長沢、・八木、・八木、・桑卓、・長沢、・小泉、・町田、・小泉、・八木 ×神田、・長沢
[後半] 神戸は夏に4−5で札幌に敗れるなど、辛酸を舐めた体験がある。前半で0−3どころか、2失点すら経験してなかったガンバより、彼らは遙かにしたたかだった。一方の清水、中盤を支配して相手に攻撃すらさせずに守りきった前半の記憶が、勘違いを起こさせる。4点目を奪おうと最終ラインを押し上げるが、相手を押し込んだ状況でもないのに、あまりに危うい。神戸は一人一人が懸命に前に出て、清水DFの裏のスペースを果敢に狙う。2分、清水のゴールキックをCB増田がクリア、その1本のパスでFW上谷が左スペースに抜け、シュートを放つ (枠上)。続けて3分、左SH澤井のパスを受けた上谷のポストを清水の選手が囲むが、石垣がカットしたボールをすぐにCH大森がフォロー、空いた左スペースに捌くとCH八束が流れ出てアーリークロス。それは飛び込んだ上谷の頭をかすめ、GK山崎晃の腕も越えた。右ポスト直撃。 次いで4分、右のスローインを中盤で受けた上谷が、リフティングでDF2枚を交わすや、左足アウトでボールを裏に流す。サイドから抜け出したFW辻、対応する石垣のチェックをターンで耐えてゴール方向に向き直し、すぐさま左インサイドフックで急加速。取り残された石垣、と辻は右足インサイドを強振、鋭角でのシュートがゴール左に突き刺さった。3−1。更に8分、右SB門の縦パスはCB佐野克が跳ね返すが、中盤で大森がフォロー、PA右角の上谷にクサビを入れる。石垣のチェックを耐えてキープした上谷は、カバーに寄せた桑原彬を越えるパスを横に流す。PA左角、澤井、完全にフリー。が、急ぎ放ったシュートが枠を外し、清水は死中に活を得た。
ようやく落ち着いた清水は最終ラインを下げ、屈強なDFが跳ね返したボールを少ないタッチで前線に繋ぐ、本来の堅守速攻を取り戻す。裏のスペースを埋められた神戸は攻め倦み、清水は幾つか好機をつくるが、前半猛威を振るった小泉得意の縦へのフェイントを読まれ、こちらも攻め倦む。神戸・木山監督は16分、20分、27分とほぼ5分おきに選手を交代、運動量を供給して事態の打開を図った。だが清水、耐える展開には強い。逆に32分、柴田のクサビをFW篠田が横に流し、長沢がDFを外して中央からミドル、左ポスト直撃。続けざまに33分、石垣のロングフィード1本で長沢が裏に抜けてシュート (枠外)、34分には佐野克のクサビを長沢が裏へ流し、長沢を追い抜いた柴田がシュートを撃つ (GKキャッチ)。 FWを1枚入れ替えた以外はじっと我慢してきた行徳監督は、残り時間を見て34分と38分に交代選手を投入。終盤になって運動量が上回った清水が、勝利濃厚になってきた42分。桑原卓のクリアを懸命に追い掛ける門、八木も必死に食い下がるがファウルを犯し、PA右角から10Mほど離れた位置で神戸のFKとなる。八束のキックは逆サイドに流れるが、タッチライン際で辻が精一杯足を伸ばす。が、これも左ポストを直撃。すると46分 (ロスタイム)、バイタルエリアで右SH曽我部のドリブルをスライディングで八木が止めると、神田が大きく蹴り出す。清水陣内に全員が押し上げていた神戸、ハーフライン前から飛び出した篠田が独走。こういう状況に絶対の自信を持つ篠田、スピードを落とさずにPA内までドリブルで持ち込むと、GKとの適切な距離から正確に右足インサイドでニアへ置きに行くシュート、試合を決めた。4−1。 最後、曽我部のミドルは大きく枠を外して、試合終了。後半序盤こそナイーブさを見せた清水だが、実に強い勝ち方で、凱歌を上げた。野澤・平松・市川・池田・太田らが、経営危機に揺れるクラブに久々の明るい材料を提供した98年大会以来、8年ぶりの王者に返り咲いたのである。
ヴィッセル 清水エスパルスユース 7(2) シュート 5(2) ×神田、×長沢、×長沢、○柴田、◎篠田 2(0) 右クロス 3(0) ×八木、×小泉、×渥美 6(1) 左クロス 1(0) ×八木 0(0) 右側CK 2(0) △八木、△八木 2(0) 左側CK 1(0) ×八木 1(−) 犯OS 1(−) ・町田 11(0) ファウル 5(1) ・小泉、・長沢、・渥美、・篠田、×八木
予選から数えて12試合51得点9失点と、見事な優勝でした。MVPは3試合目京都戦で両チーム唯一の得点を決めて以降、F東京戦と今日の決勝を除いた全8試合でゴールした得点王・長沢でしょう。途中からスタメンに固定された町田・八木は、ラッキーボーイ的な活躍でチームに勢いを与えました。一方、夏からのレギュラーメンバー、石垣・佐野克・桑原卓・柴田らが固める守備陣は、大きく崩れることなくチームの基盤を維持しました。
トップやサテライトでも結果を出している行徳監督ですが、下部組織では98年クラブ選手権 (U-15) 優勝 (高木純の代)、00年高円宮杯 (U-15) 優勝 (山本海の代)、02年クラブ選手権 (U-18) 優勝 (杉山浩の代) に続く、4つ目のタイトルになります。02年のユースは、中盤に杉山浩、大瀧、枝村、山本真と各年代の代表クラスを揃えるドリームチームで、行徳監督が今年のチームを「自分が長年見てきた中で一番ヘタだ」を評するのも分かります。しかし、今年のチームも、杉山浩のチームと確かな共通点がありました。 それは、監督が常に強調する「ボールをしっかり止めて蹴る」技術。スペースに適当に蹴って味方の走力に頼るいいかげんなサッカーではなく、確実な狙いを持って正確に繋ぐサッカーを求めました。ハマった時の「ファストブレーク」の速さは、02年のチームにも劣りません。ゴール前の決定力も、「ボールをしっかり止めて蹴る」練習を積み重ねた成果でしょう。長沢ら攻撃陣は、決定機に力んでふかしてしまう場面が、対戦相手に比べて少なめでした。一方、守備でも手堅く体を寄せ、粘り強く対応することを要求。中盤を完全に支配し、相手に攻めさせることすら許さなかった02年と違い、今大会はどの試合でも攻め込まれる時間帯がありましたが、DF陣がしぶとく体を張って相手に簡単なプレーを許しませんでした。 そんな攻守の象徴的な存在が、CH柴田和也。身体的に恵まれず、U-代表を揃えるガンバの華麗な中盤とは比べるべくもない彼が、絶えずポジショニングを修正し、体を入れてボールを奪い、近くの味方に正確に繋ぎ、自らは前に向かって走り出すといった地味な貢献を繰り返し、大勝の原動力となりました。今大会の清水と他のチームを分かつ最大の部分であり、既にユースを卒業した山本真が身につけていた部分であり、同時に今大会控えに回った岩本・池田といった選手が、見習わねばならない部分であります。
3年生は、ひとまずお疲れ様でした。各選手、今年1年の伸びは目を見張るものがありました。この1年の努力を怠らずにサッカーを続ければ、これからの進路できっと実を結ぶことと思います。そして、下級生はこれから追われる立場になります。Jユースカップは有力選手が引退しているチームも多く、油断しているとあっという間に追いつかれることでしょう。今年の3年生が示した地道なプレーを忘れずに、「三冠」を目指してください。
▼試合結果 清水エスパルスユース 4−1 ヴィッセル神戸ユース 得点:前半15分:清水・町田 朋弥 (小泉 慶治・右クロス) 前半25分:清水・桑原 彬 (長沢 駿 ・ポストプレー) 前半29分:清水・石垣 勝矢 (八木 和秀・左CK) 後半04分:神戸・辻 智人 (上谷 暢宏・スルーパス) 後半44分:清水・篠田 悠輔 (神田 和哉・ロングフィード) 警告:前半29分:神戸・林 佳祐 前半31分:清水・小泉 慶治 ※ラフプレイ 前半42分:神戸・増田 清一 ※ラフプレイ 後半17分:清水・町田 朋弥 ※遅延行為 後半42分:清水・八木 和秀 ※ラフプレイ
▼選手寸評 [私撰MVP] ●桑原 彬 (2年・右SB) 後半、ドリブルに対してやや脆さを見せたが、だいぶ体を張れるようになり、読みは速く、カバーリングは適切。何より攻撃面で自らドリブルを仕掛けられるようになったのが大きい。小泉と適切な位置を保ち、サイドに中に切れ込んでくる。
[私撰MIP] ●神田 和哉 (2年・CH) パスのスピード・正確性、サイドに回り込んで飛び出す動き、押し込まれた時のポジショニング…、まだまだ課題は山積み。しかし、豊富なアイデアとダイレクトプレーは、変化の少ない清水の中盤にアクセントを加えた。運動量自体は多い。
●佐野 克彦 (2年・CB) 前半は石垣と高い壁になり、後半石垣が相手のスピードに苦労する中、絶対的な1対1で相手を食い止めた。競り勝った後のヘッドの精度、カバーリングの距離感などは課題として残るが、左足のロングキックは今日も視野良好、起点となった。
[相手方好印象選手] ●辻 智人 (1年・FW): 最後はスタミナ不足に陥ったが、盛んに裏を窺い、優れた敏捷性で幾度となく石垣を悩ませる。 ●八束 侑徽 (1年・CH): 積極的なプレスを仕掛ける神戸中盤の象徴的存在。彼は足技にも自信を持ち、後半は前に出た。
●(06.01.08更新) Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 今更企画 個人的ベストイレブン
【 GK 】 権田 修一 (2年 FC東京U−18) プレーの大きな本格派GK。守備範囲が広く、反応に鋭く、キックパワーもある
【 DF 】 奈良輪雄太 (3年 横浜Fマリノスユース) 守備に課題はあるが、伸びるキックと前に出る圧力、豊富な運動量で攻撃の鍵に 伊藤 龍 (3年 FC東京U−18) 強力な空中戦は勿論、幅広いカバーリングで前に出てチームの押し上げを可能に 石垣 勝矢 (3年 清水エスパルスユース) 空中戦に絶対の自信を誇り、守備だけでなく、セットプレーで得点にも貢献する 佐野 克彦 (2年 清水エスパルスユース) 長身だが、被決定機に鋭く寄せる速さが最大の魅力。左足キックの展開は大きい
【 MF 】 安田 理大 (3年 ガンバ大阪ユース) 速さ・巧さだけでなく、強引なパワーも持つドリブラー。局面打開能力は大会一 横谷 繁 (3年 ガンバ大阪ユース) 中盤の底の司令塔だが、よく走って、泥に恵まれた体格をまみれて守備もできる 三浦 旭人 (3年 横浜Fマリノスユース) 寄せの速さと正確な中距離パスで貢献する燻し銀。ガンバYに不足していた存在 本橋 良太 (3年 三菱養和SCユース) 基礎技術がしっかりしていてシュートの意識が高い。ムービングサッカーを体現
【 FW 】 長沢 駿 (2年 清水エスパルスユース) 素早く急所を突くパスを出すポストと、PA内のシュートの落ち着きを併せ持つ 辻 智人 (1年 ヴィッセル神戸ユース) 運動能力が高く、豊富なフェイントと一瞬のキレで隙を見逃さずゴールを陥れる
−−−−−− 辻 −−長沢−−−−−−
−−本橋−−−−−−−−−−安田−−
−−−−−−三浦−−横谷−−−−−−
−−佐野−−石垣−−伊藤− 奈良輪 −
−−−−−−−−権田−−−−−−−−
【 MVP 】 長沢 駿 (2年 清水エスパルスユース) 【 新人王 】 辻 智人 (1年 ヴィッセル神戸ユース)
2005年12月23日(金) |
Jユース杯 ガンバ大阪戦 |
05年12月23日 (金) 14:00開始 長居第2陸上競技場 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント準決勝 対 ガンバ大阪ユース ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半37分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−長沢−−篠田−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− −−渥美−−−−−−−−−−小泉−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、池田、谷野、佐野諒、篠田 交代:後半19分:八木→谷野 後半31分:町田→篠田 後半37分:谷野→渥美
ガンバ大阪ユース: 先発: 後半00分〜: 後半34分〜: −−−−−−星原−−岡本−−−−−− −−−−星原−−岡本− 安田理 −−− −−−−−−岡本− 安田理 −−−−− −−− 安田理 −−−− 安田晃 −−− −−−−− 安田晃 −倉田−−−−−− −−−−持留−−横谷−− 池 −−−− −−−−−−倉田−−横谷−−−−−− −−−−−−−−横谷−−−−−−−− −−−−−−−−倉田−−−−−−−− −−下平−−伊藤−−植田−− 森 −− −−下平−−伊藤−−植田−− 森 −− −−下平−−伊藤−−植田−− 原 −− −−−−−−−−木下−−−−−−−− −−−−−−−−木下−−−−−−−− −−−−−−−−木下−−−−−−−− 控え:三橋、池田、原、池、持留、二戸、登 交代:後半15分:安田晃→持留 後半19分:星原 →池 (4-1-3-2に変更、倉田をDH、池を右OH、横谷をOHに) 後半34分:森 →原
▼試合展開 折からの寒気で、新幹線が途中、雪の影響で徐行運転するほど。週のはじめには名古屋で記録的な積雪、大阪も前日朝には降雪したようだが、この日は晴天に恵まれた。やや風があるが、益田・藤枝・千葉に比べれば強くなく、私が12月に観戦した中ではもっともまともな環境になった。 清水は準々決勝で前半に交代した高野がベンチから外れ、その時に交代した神田がそのまま中盤に入る。3年生が1人減って3人、2年生はますます増えて8人が先発した。終盤に負傷交代した山崎竜もおらず、代わって谷野・池田がベンチ入り。19人目として、1年生の滝戸が帯同していた。 対するガンバは、先発のうち岡本 (U-16NTC)・森を除く9人がU-代表。それどころか、ベンチにも4人のU-代表。更に、植田・伊藤・横谷・安田理・岡本に、今年負傷欠場が続く平井の6人がトップ昇格が内定しているという、脅威のエリート集団だ。これだけ豊富な駒を揃えながら、メンバー・布陣は夏から完全に固定。クラブ選手権4強、高円宮杯16強と今年はまだ結果を残せてないが、組織の熟練度を高め、ホームアドヴァンテージを得られるJユース杯で3年ぶりの戴冠を目論む。3年生6人、2年生3人、1年生2人。
[前半] 試合は、静かな立ち上がり。しかし、清水は左サイドの攻防で相手を上回り、そこからの速攻で先に流れを掴む。6分には左SB桑原卓が空中戦、競り落としたボールをCB佐野克が1本のロングフィード。「裏のスペースが狙えるな」と話すFW長沢が狙いどおりに抜け出したが、GK木下が足でクリアした。その後も清水が速いパス回しで優位に立つが、ガンバも中盤のプレスを強め、徐々に拮抗。すると19分、長沢のポストのミスを拾ったガンバの左OH安田理が、右SB桑原彬を抜いて一気にタッチラインまで突破。クロスは佐野克にカットされたものの、これで勢いに乗ったガンバは21分、自陣からグラウンダーのFKが上手く中央のDH倉田の足下に入り、倉田はそのままミドル。GK山崎晃が横っ飛びでディフレクトし、CKに逃れた。これが両チーム通じて初シュート。 しかし、清水もすぐに反撃。23分、CH柴田のダイアゴナルフィードを桑原卓が受けてスルーパス、左SH八木のクロスをファーで右SH小泉の右足は当たり損ね。次いで24分、桑原彬のクリアをFW町田がキープからスルーパス、再度抜け出した長沢が、PA内右で急停止でDFを外してシュートを放つが、ニア右に外れる。更に26分、ガンバCB伊藤のファウルで、中盤左からFK。佐野克のロングキックをCB植田からすっと離れた長沢が頭でPA内に落とし、トラップした町田が伊藤のプレスに耐え、2タッチ目で右へ流す。小泉はダイレクト、ふわりと上げたクロスに助走する長沢、競り合う右SB森の上を飛ぶ。放ったヘッドは、ゴール左に吸い込まれた。1−0。清水先制。
なおも攻める清水。30分、ガンバ左SB下平のクリアミスを受けたCH神田、大外に送ったアーリークロスを八木が頭で合わせたが、ゴール左上隅を微かに逸れた。続けて32分、自陣で桑原卓がカットし、ファストブレーク発動。自ら持ち運ぶと中央の柴田へ、柴田のクサビを戻りながら受けた町田は前を向き直して縦パス、これに長沢も反転、マークする伊藤の背後にスルーパスを送る。沸き上がるように現れた柴田、既にPA内。森を抜く柴田に、植田のスライディングカット、が、更に沸き上がるように現れた桑原彬、背後の下平の圧力で倒れる。判定はPK。2年前にもこの地でPKを決めている石垣が、力で豪快に決めた。2−0。 引き続き35分、佐野克のヘディングクリアにPA左手前の町田、トラップして植田のプレスに耐え、左足インサイドで捻ってスルーパスを送る。抜けた八木の左クロスを中央、森と下平の間で長沢、余裕の胸トラップから、左足インサイドで捻ってゴール右に流し込んだ。3−0。怒濤の10分間で大勢が決まるが、その後も好機を作るのは清水。速攻の機会にもドリブルで更に崩しにかかるガンバは、清水にとって与しやすい相手。DFラインで確実に潰しては、そのままDFライン、桑原卓らが起点となって一息に前線へ。裏を狙う動きとポストに入る動きを、長沢と町田が交互に役割分担し、決定機未満のチャンスを作り続けた。
だが、そんなガンバも41分、伊藤が戻したボールを自陣底から倉田がロングフィード。清水PAの前でバウンドしたボールは左に流れ、それをCB石垣の前に出たFW星原がダイレクト左足シュート。GK山崎晃、なんとかCKに逃れる。なんでもない1本のパスから難しい体勢で、角度のないシュートを枠内に放つのだから、その個人能力には恐れ入る。しかし、前半のガンバの惜しい場面はこれと前述26分、ともに自陣からの長い縦パスから思い切って狙ったシュートだけ。こうしたシンプルなパスプレーを繰り返せば、試合展開は全く違っただろうが…。清水が3点をリードして、前半を終えた。
ガンバ大阪 清水エスパルスユース 3(2) シュート 6(3) ×長沢、◎長沢、×八木、◎石垣、×長沢、◎長沢 4(0) 右クロス 4(2) ×小泉、×神田、◎小泉、○神田 1(0) 左クロス 5(2) ×桑卓、×八木、○八木、◎八木、×町田 1(0) 右側CK 0(0) 1(1) 左側CK 1(1) ○八木 0(−) 犯OS 1(−) ・町田 8(1) ファウル 7(0) ・柴田、・柴田、・桑卓、・桑彬、・町田、・町田、・八木
[後半] 後半、ガンバは安田理を前線に入れ、4-3-3にして猛攻を仕掛ける。1分、佐野克に倒された安田理が、起き上がろうとする佐野克の肩を突き飛ばすなど (お咎めなし)、かなり入れ込んだ状態。その勢いに乗って6分、DH横谷が左サイドで桑原彬から奪うと、中央へクサビを入れる。星原のポストは圧力を掛ける佐野克に潰されかかるが、フォローした右OH倉田が2人を追い越して中央突破、右の安田理へ。意を決してPA内へ縦に加速した安田理、桑原卓より半身前に出ると、思い切ってシュート。タイミングを狂わされたか、GK山崎晃は弾ききれず、ボールは後方ゴールへと転がった。3−1。2点差としたガンバは、9分の安田晃の左CKにニアで星原が合わせたが、GK山崎晃に弾かれる。 だが11分、植田の縦フィードを神田が跳ね返してスルーパス。受けた町田は右の八木、左の長沢を囮に対面する下平を交わしてミドルを撃つ。これはGK木下が抑えたが、流動的なわりにカバーリングが不安定なガンバDFは、またも崩れはじめた。12分、自陣から石垣がロングFK。左に流れたボールを八木が追いつき、戻したボールを神田が左クロス、…のはずが審判に当たって軌跡が変わる。だが、長沢が速やかに下がって抑えると、ターンから右足インサイドの切り返し、振り向くと同時に植田を左に抜き、そのまま縦に進んでシュート。飛び出たGK木下が一度は防いだが、こぼれ球を町田がスライディングで押し込み、4−1。清水は15分にも、桑原卓を起点に神田のスルーパスから長沢が狙い (枠上)、後半序盤ガンバの攻勢で漂った「もしかするかも」といった雰囲気を、断ち切った。
ガンバ島田監督は19分、交代を機にトップ下気味に横谷を前線に置く布陣変更、行き詰まった状況の打開を図る。しかし、強引な突破が目に余り、清水の守備のバランスを崩すアイデアに乏しい。ようやく30分、左サイド桑原彬を突破した横谷がクロス、桑原卓のクリアをファーで安田理が拾い、縦に突進。タッチライン際からの速いクロスを、ファーポスト前で左OH持留が決定的なジャンピングボレーを放つが、枠を捉えない。すると37分、清水のゴールキックを伊藤が跳ね返すも桑原彬が確保、縦パスに植田の背後から足を出したFW篠田が小泉へ落とし、繋いで長沢のスルーパス。下平を置き去りにした篠田がゴール前で右クロス、駆け上がった谷野が折り返してお膳立てし、最後は長沢が左足を合わせて美味しくいただいた。5−1。ハットトリックの長沢は、常盤 (F東京) に追いつく大会15得点目。 4点差。もう失うものはないガンバは、「サッカーはチームプレーが全てじゃない。ボールを持ったら、行けるところまで行け!」といった状況に。39分、下平のロングボールを中盤で受けた安田理が、ターンで柴田を振り切って中央突破、石垣のファウルを誘う。中央30Mほどからバウンドして枠右下を襲った安田理のFKは、GK山崎晃が掻き出した。持留の右CK、佐野克の裏で伊藤が頭を叩き付けるが、GK山崎晃の反射神経が弾く。しかし、素早く反応した伊藤が左クロス、ニアポスト前にきっちりポジションし直したFW岡本が流し込んだ。5−2。なおも遮二無二攻めるガンバは43分、PA内混戦でブロックした佐野克が転倒、その隙に持留が左サイドを突破し、佐野克が倒れるゴール前に折り返す。走り込んだ倉田が、飛びついたGK山崎晃ごとゴール内に押し込むが、さすがにファウル。
プレーが荒くなってきたガンバは、ロスタイム、桑原彬を持留が倒し (警告)、FKを与える。組織を崩したくない清水は、石垣・佐野克が前線に上がらず、キッカーもポジションが近い小泉が担当する。それに安心したのか、ガンバの守備は酷く散漫。なにしろ、この日既に3点を決めている長沢に、誰もマークにいかないのだ。ヘディングが課題と常々自ら語る長沢だが、彼の課題はあくまで競り合い。PA内中央で189cm+ジャンプ力、高い打点でヘッドをゴール左に流し込み、6−2。遂に長沢は、単独得点王に立った。その後のガンバは横谷のミドル、池の右クロスなどと攻めるが、スコアは動かずに試合終了。清水は、6年ぶりに決勝の場へ辿り着いた。
ガンバ大阪 清水エスパルスユース 10(4) シュート 8(5) ○町田、○長沢、◎町田、×長沢、×長沢、◎長沢、×小泉、◎長沢 7(1) 右クロス 4(1) ×八木、×神田、×篠田、○篠田 5(1) 左クロス 5(2) ×八木、×八木、×桑卓、◎谷野、○渥美 2(2) 右側CK 3(0) △八木、△小泉、△小泉 2(1) 左側CK 2(1) ○八木、×谷野 0(−) 犯OS 2(−) ・長沢、・渥美 11(1) ファウル 7(1) ・克彦、・長沢、・町田、・篠田、・桑卓、・篠田、×石垣
▼試合結果 清水エスパルスユース 6−2 ガンバ大阪ユース 得点:前半26分:清水・長沢 駿 (小泉 慶治・右クロス) 前半32分:清水・石垣 勝矢 ※PK 前半35分:清水・長沢 駿 (八木 和秀・左クロス) 後半06分:大阪・安田 理大 (倉田 秋 ・右ミドルパス) 後半12分:清水・町田 朋弥 (長沢 駿 ・シュートリバウンド) 後半37分:清水・長沢 駿 (谷野 由紘・左クロス) 後半39分:大坂・岡本 英也 (伊藤 博幹・左クロス) 後半44分:清水・長沢 駿 (小泉 慶治・FK) 警告:後半18分:大阪・下平 匠 ※ラフプレイ 後半35分:清水・篠田 悠輔 ※ラフプレイ 後半44分:大坂・持留 新作 ※ラフプレイ
▼選手寸評 [私撰MVP] ●長沢 駿 (2年・FW) 全6得点に絡む。高い足技と柔軟性を活かしたターンと、判断の速い動き出しで、"FORWARD" らしい前を向いてのプレーができていた。簡単なバックパスをミスするのは修正点だが、左右、そして前へ、きびきびとしたポストプレーの視野は広い。
[私撰MIP] ●町田 朋弥 (2年・FW) ようやく「得点」という結果を得たが、プレー内容は継続して良い。裏を探る動きだけでなく、U-代表のガンバ守備陣を背負うポストプレーも確度が高く、長沢とFWの役割を互換して狙いを絞らせず。個人で見てもキレの良いドリブルを見せた。
●石垣 勝矢 (3年・CB) 大量得点にも気を緩めず、がむしゃらに向かってくる相手を力と受け止め、読みでかわし、危なげなく跳ね返した。攻撃の起点という点では佐野克ら他の2年生DF陣に劣るが、ミスの少なさと味方のミスに対する準備の良さは、群を抜く。
[相手方好印象選手] ●安田 理大 (3年・左SH→右FW): 速くて巧いドリブルが武器の、ユースの象徴的プレーヤー。黄色い声援の量は最強。 ●横谷 繁 (3年・DH→OH): ガンバらしい巧さと視野の広さは当然会得、加えて中盤の底で体を張る泥臭さを有する。
2005年12月18日(日) |
Jユース杯 FC東京戦 |
05年12月18日 (日) 14:00開始 フクダ電子アリーナ Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント準々決勝 対 FC東京U-18 ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半43分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−八木−−長沢−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−−−渥美−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− −−−−−−柴田−−神田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 佐野克 −石垣−−岩本− 桑原彬 − −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、神田、佐野諒、山崎竜、篠田 交代:前半22分:高野→神田 後半11分:町田→篠田 後半25分:小泉→渥美 後半31分:篠田→山崎竜 後半43分:山崎竜→岩本 (岩本をCB、佐野克を左SB、桑原卓を左SH、八木をFWに)
FC東京U-18: 先発: 後半40分〜: −−−−−−樋口−−金森−−−−−− −−−−−−常盤−−永露−−−−−− −−−−常盤−−永露−−村田−−−− −−−−大竹−−村田−−稲葉−−−− −−−−−−−−井澤−−−−−−−− −−−−−−−−中野−−−−−−−− −−森村−−伊藤−−田中−−小川−− −−森村−−伊藤−−田中−−小川−− −−−−−−−−権田−−−−−−−− −−−−−−−−権田−−−−−−−− 控え:田端、稲葉、恩田、椋原、中野、木村、大竹 交代:後半00分:金森→中野 (4-2-2-2に変更、中野をDH、永露をFWに) 後半14分:樋口→大竹 (大竹を左SH、常盤をFWに) 後半40分:井澤→稲葉 (4-1-3-2に変更、稲葉を右SH、村田をOHに)
▼試合展開 日本列島に寒波襲来。フクダ電子アリーナの周囲は最高気温7度の低温と潮風に晒されたが、スタジアム内は風が遮られ、益田・藤枝・仙台と続いたここ3試合と比べれば、まだ何とかなる観戦環境だった。厳しい景色と特に静岡からは距離のある立地ながら、両チームサポーターが数十人集まり、大きな声援を送っていた。 清水の先発は、前節仙台戦と同じ。ベンチメンバーも谷野が神田に代わっただけ。そして、仙台遠征に神田も帯同していたが、この千葉遠征には谷野が帯同。清水の陣容はもう固まっている。3年生4人に2年生7人が先発した。2年生は交代を含めて実に11人が出場したが、彼らにとって3年前のナイキカップ、そして2年前の高円宮杯U-15の相手、FC東京は忘れがたい存在だろう。 一方のFC東京、GK権田も、「清水にだけは絶対に負けたくない」と語ったそうだが、先発した2年生はその権田と森村の2人だけ。他は3年生8人、1年生1人。FC東京の3年生はクラ戦4強、1年生も高円宮杯4強を成し遂げているのだ、この層の厚さは当然だろう。更に言えば、大会得点王常盤をはじめ、樋口・小川、そして1年生ながらワンボランチを務めた井澤は、夏の時点ではレギュラーではなかった。ユースでの対戦は、実に5年前に遡る。当時はJ参入したばかりのFC東京も、今や首都圏の人口が供給する有望な人材を担う、強力な下部組織を有するに至った。
[前半] キックオフからロングキック、右SB桑原彬が跳ね返し、右SH小泉を経由してFW長沢が戻したボールを、東京OH永露がカット。横に叩くと、右OH村田のロングキックでPA内左、FW樋口がCB石垣と競り合いつつ、角度のないところから早くも初シュートを放った。先に流れを掴んだ東京は、4分に桑原彬のパスミスを拾って村田がミドル (枠外)、6分にスローインのクリアの乱れから樋口がシュートを放つ (GKキャッチ)。両SBの攻撃参加も旺盛で、突破力のある村田・常磐は高い位置を保ち、両サイドを崩しにかかった。 しかし、我慢の展開に慣れている清水は、CB石垣・佐野克が慌てずにクロスやロングフィードを跳ね返し、制空権を保持。すると11分、自陣から左SB桑原卓のクサビをFW町田が戻し、中盤に下がっていた長沢が前進するCH柴田の足先に縦パスを送る。スピードに乗った柴田が中央を持ち上がり、ミドルを放つが、GK権田が落ち着いて確保。次いで13分、相手ドリブルをカットした佐野克のクリアを柴田が繋ぎ、右に開いた小泉が大きなダイアゴナルフィード。PA左角付近で胸トラップした長沢が、続けて右足リフティングでDF1枚をひらりと交わし、裏に出てPA内シュート、は威力なく、GK権田がキャッチした。堅守から少ないタッチで一息にゴール前に迫る、清水の「ファストブレーク」はよく機能している。
とはいえ、ボールを保持する時間が長いのは、清水の両SH小泉・八木を、両SB森村・小川が完全に押し込んだ東京。行徳監督は22分に早くも高野から神田にボランチを入れ替えるが、ボール支配率は回復しない。東京は8分と14分、両SBからのクロスが樋口の足下に入る好機は、プレーが遅くてふいにしたが、25分、中盤で3人に囲まれた井澤が、プレスを掛けにきた小泉が空けたスペースにボールを散らす。そこに走り込んだ森村の左アーリークロスは、GK山崎晃が飛び出してパンチングクリア、を左OH常磐がダイレクトシュート。枠を外したが、会場を沸かす。続けて28分、井澤が左に散らしたボールに森村、一度は小泉がクリアするが、ライン上で粘った森村がフォローに来た常磐にパス。常磐は桑原彬を抜き去り、タッチライン沿いにドリブルしてマイナスに折り返すと、ファーで受けたFW金森がターン、の隙に桑原卓がブロック、シュートを許さない。 両サイドを制された清水は、流れの中で相手を崩す駒が足りない。この状況下で得点するには、1つはセットプレー。38分、八木の左CKはファーに流れ、柴田→石垣と繋ぐが、東京にクリアされる。しかし、守備に残っていた桑原卓がカット、PA右へ放り込むと、石垣が競り落として佐野克が繋ぎ、PA外から神田がシュート (GKキャッチ)。もう一つはファストブレーク。45分 (ロスタイム)、バイタルエイアでの東京の横パスを読んだ石垣が前に出てカット、クサビを長沢が落とすと、受けたのは何故か中央を駆け上がる桑原卓。スピードで1枚目のDFをすり抜け、2枚目のDFは交錯しながら強引に前に出て、GKと1対1。しかし、シュートはGK権田、更に町田が詰めるが、権田はボールを掻き寄せ、町田がファウルを採られた。 これで前半終了。ボール支配率は8:2で東京だが、プランどおりにゴールに近づいたのは清水の方だろう。勝負は後半に持ち越された。
FC東京 清水エスパルスユース 6(2) シュート 4(4) ○柴田、○長沢、○神田、○桑卓 5(1) 右クロス 2(0) ×町田、×町田 10(1) 左クロス 4(1) ×八木、×八木、×八木、○八木 2(1) 右側CK 0(0) 0(0) 左側CK 2(0) ×八木、×八木 0(−) 犯OS 2(−) ・町田、・長沢 8(1) ファウル 10(1) ・八木、・町田、・長沢、・町田、・神田、・長沢、・八木、×克彦、・町田、・町田
[後半] 後半、先に流れを掴んだのは清水。中央・長沢を基準点としたサイド攻撃を展開できるようになり、7分には外を回った桑原彬を囮に、小泉が中に切れ込んでミドル (GKキャッチ)。11分、小泉が長沢とのパス交換×2で中央を持ち上がり、戻したボールを柴田が右サイドに散らして、桑原彬がクロスを入れる。DFがクリアするが、こぼれをPA内で小泉が拾い、角度のない位置からシュート。が、大きく左に外れた。この状況を見て、行徳監督は町田を篠田に代え、フィニッシャーを投入して試合を決めにかかった。 だが、長沢との適切な距離感と役割交換を保っていた町田が抜けたことで、長沢が孤立。基準点を失った清水は次第に攻め倦むようになる。14分、大竹を投入して大会得点王・常磐を前線に上げた東京は、20分、そのFW常磐がなんでもない右スローインから強烈なターンシュートを放ち、反攻の気炎を上げた。右は馬力のある村田のドリブル、左は大竹がキレのある動きで裏を狙い、清水の両SHはまたも押し込まれた。こうなると、フィニッシュの場面が来ないフィニッシャーを置く意味が失われてしまう。行徳監督は31分、小澤のミドルが枠上に外れた後、途中投入した篠田を山崎竜に代える苦渋の決断をした。 一方的に攻める東京だが、決定的な場面は作っても、決定的なシュートは撃たせてもらえない。前半、15本のクロスを無駄にした反省からか、サイドを深く抉ってグラウンダーのクロスを入れるか、中央狭いところをスルーパスで割ろうとするのだが、正しい判断を選択しつづけるGK山崎晃と、粘り強い最終ライン、特に矢のように横から寄せてくる佐野克を、どうしても振り切れなかった。結局、東京のビッグチャンスは2つ。35分、山崎竜のオフサイドによるFK、GK権田が自陣左から敵陣右へ大きく蹴り込むが、FW永露が頭で繋いだボールを桑原彬が確保。だが、常磐が奪い返し、追いすがる桑原彬を引きはがして、タッチライン際からグラウンダーのクロスを入れる。しかし、桑原卓が村田の前に体を入れてタッチラインに逃げ、シュートを撃たせず。
その左CKのカウンターで、清水が久々の攻撃。長沢が繋いで桑原卓が中央を攻め上がり、左に捌いて八木のクロスに「俺が決める!」と駆け上がった石垣が合わせようとするが、オフサイド。その後、FC東京に最大の決定機。DH中野が井澤とのパス交換で柴田のプレスをかわして左に捌き、受けた森村がバイタルエリアに下がってきた常磐にクサビを入れる。清水は佐野克がラインをブレイクして対応、その佐野克の裏、石垣と桑原卓の間の中央狭いスペースを、常磐はスルーパスで狙った。割り込んできた井澤、ラストショットを放ったが、我慢して体勢を維持していたGK山崎晃が、両手で頭上を狙ったシュートをブロック、絶体絶命の場面を救った。 44分、桑原彬の縦フィードでスペースを突こうとした右SH渥美を、CB伊藤が横から突き倒し、距離30M・右60度ほどのFK。清水ベンチ前でのセットプレーに行徳監督・真田GKコーチから激しく指示が飛び、キッカーは181cmの佐野克に。選手はニアに神田一人を残し、敵味方集団でPA左角付近に群がる。佐野克の左足キック、巻いて落ちるボールに、まず反応したのは低く頭から突っ込んだ長沢。合わずにマークの伊藤と共に倒れたが、ボールはバウンドしてファーポスト付近へ。ポジション的に長沢の裏にいた岩本も合わせられたのだが、更にその裏で軽く頭を合わせたのは石垣。1−0。決めるべき人が決めた清水、石垣はチームメイトを手招きして清水応援席へと走り、歓喜のガッツポーズを突き上げて守備へと戻っていった。 FK前の指示とFK後の喜悦の間に、試合はロスタイムに突入していた。43分の山崎竜の負傷退場で岩本を入れ、結果として守備を厚くしていた清水。5バック気味に破綻なく守りきり、2年ぶりのベスト4へ駒を進めた。
FC東京 清水エスパルスユース 5(1) シュート 5(2) ×石垣、○小泉、×小泉、×長沢、◎石垣 3(0) 右クロス 3(0) ×小泉、×桑彬、×渥美 5(0) 左クロス 6(0) ×克彦、×八木、×町田、×八木、×八木、×八木 0(0) 右側CK 0(0) 2(0) 左側CK 2(1) ○八木、×八木 1(−) 犯OS 3(−) ・篠田、・竜男、・石垣 6(2) ファウル 5(0) ・町田、・柴田、・柴田、・八木、・長沢
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−0 FC東京U-18 得点:後半44分:清水・石垣 勝矢 (佐野 克彦・FK) 警告:後半33分:清水・石垣 勝矢 ※異議
▼選手寸評 [私撰MVP] ●佐野 克彦 (2年・CB→左SB) 石垣に比べて競り勝った後のヘッドの精度に課題はあるが、競り合い自体は盤石。そのスピードは素晴らしく、裏をとられたはずの場面で次々と追いついた。流れの中でも左足は機能していたが、最後に技巧的なFKを披露、指名したベンチに応えた。
[私撰MIP] ●石垣 勝矢 (3年・CB) 空中戦は完璧に近い。地上戦でやや裏をとられがちで、その後の対応にも遅れが見えたが、この日は積極的に前に出る攻撃的が守備も光っていた。決勝点はごっちゃんゴールだが、それをふかさず、軽く頭で触れて決めた冷静さが、彼の魅力である。
●桑原 卓哉 (2年・左SB→左SH) キーマンにして主将の村田の突破には手を焼いたが、仕事をされたのは2度ほど。その村田と激しく競りながら、前後半の終盤に中央を持ち上がるスタミナには舌を巻く。と、中央で仕事しつつ、逆サイドからのクロスには堅実にファーをケアした。
[相手方好印象選手] ●森村 昂太 (2年・左SB): 守備力より攻撃力で、2年前にやられた小泉を制圧。走力があり、かつ質の高い左足を有する。 ●伊藤 龍 (3年・CB): 東京の空中戦不敗男。空中戦以外の対応力もあり、広くカバーして鋭いスライディングを見せた。
2005年12月11日(日) |
Jユース杯 ベガルタ仙台戦 |
05年12月11日 (日) 13:00開始 宮城スタジアム Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会 対 ベガルタ仙台ユース ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半32分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−− 山崎竜 −篠田−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− −−八木−−−−−−−−−−谷野−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 控え:吉田、岩本、渥美、佐野諒、谷野、山崎竜、篠田 交代:後半20分:町田→篠田 後半31分:小泉→谷野 後半32分:長沢→山崎竜
ベガルタ仙台ユース: 先発: 後半32分〜: −−−−− 佐藤豪−鈴木勇 −−−−− −−−−−−− 佐藤豪 −−−−−−− −−−−山崎−−−−−−奥埜−−−− −−−−山崎−−−−− 鈴木勇 −−− −−−−−−竹内−−菅原−−−−−− −− 林 −−菅原−−奥埜−−小林−− − 佐藤悠 −村中−−橋浦−−岩田−− −−− 佐藤悠 −橋浦−−村中−−−− −−−−−−−−宮崎−−−−−−−− −−−−−−−−宮崎−−−−−−−− 交代:後半00分:岩田→林 (3-4-3に変更、上記参照) 前半32分:竹内→小林 (奥埜をCH、小林を右WBに)
▼試合展開 Jユースサハラカップは、ノックダウン方式のトーナメントに突入。二回戦 (一回戦はシード) は、出場チームのホームスタジアムで行われる。清水と仙台は共に予選グループ2位通過なのだが、仙台の方が対戦戦績が上との判断だろう、仙台は日本代表がトルコ代表に敗れた地、宮城スタジアムでの試合となった。仙台は試合前日に0.5mmの降雪、11日は最低気温-1.4度、最高気温2.9度と底冷えする。だが、風は弱かったため、サッカーを競技する上では良好。観戦するにも、先週の益田に比べればかなりましだった。
清水は、先週サテライト戦と全く同じスタメンで、3年生4人に2年生7人。春夏のチームとはシステム (3-5-2→4-4-2) も選手 (前田・岩本・山崎竜→山崎晃・桑原彬・町田) も大きく変わったが、今のチームはほぼ、完成の域にある。ベンチには3年生が2人入り、途中交代で前田を除いた3年生全員が、同じピッチに立った。一方の仙台は、3年生2人・2年生8人・1年生1人が先発。夏のメンバーから3年生3人 (小山・林・石橋) が引退、ないしは怪我で先発を外れている。戦術的には夏から不変。その中で、両SBの佐藤悠や岩田が新たに起用され、経験を積んできた。
[前半] 試合開始。仙台、最終ラインでパスを回す。CB橋浦からCB村中へのパスが弱く、FW町田がカット、勢いのままCB2人の間に飛び出し、寄せてきたところで右へ。右45度フリーでFW長沢のシュートは、GK宮崎の手を弾いてゴールに吸い込まれる。1−0。開始30秒のゴールであった。思いがけずのプレゼントを奪い返そうと奮い立つ仙台は、4分、40MのFKを佐藤悠が直接狙うと、8分には自陣から再び佐藤悠がFK、FW佐藤豪が落としてDH菅原がミドルを撃つ (枠外)。セットプレーでペースを掴んだ仙台は、17分、流れの中からも左SB佐藤悠の左足、アーリークロスを佐藤豪が落とし、今度はFW鈴木勇がミドルを狙うが、枠上。続けて19分、左SH山崎のクロスを石垣がクリア、だが右SB岩田が拾って素早く入れたクサビを佐藤豪が簡単に左へ叩き、山崎がミドル。今度は枠を捉えたが、GK山崎晃が正面でキャッチした。 先制後の清水は、相手の圧力に押されるままにファウルを犯す程度しか、プレーできていなかった。引いて守ることで裏のスペースを消し、空中戦を誘って跳ね返す我慢の時間帯。すると24分、右SB桑原彬のスローインを、長沢が頭で受ける素振りをみせてスルー、その裏に飛び出した右SH小泉、中央に切れ込むと、DFラインの左大外へ斜めのスルーパス。ワントラップで裏に持ち出した左SH八木が、左45度からゴール右に低く突き刺した。2−0。更に26分、相手ドリブルを弾き飛ばした左SB桑原卓から、CH高野を経由してサイドチェンジ、小泉が入れたアーリークロスは村中がクリアするが、高く上がったボールを長身とジャンプを利用して、長沢が頭でのトラップから足下に収める。と、右に小さく叩き、長沢のトラップの時間を利用して走り込んだCH柴田、弾むような全力走からボレーを叩き込んだ。3−0。シュート3本で3点。
仙台も28分、40Mの距離から佐藤悠が再度直接FKを狙うが、GK山崎晃が危なげなくキャッチ。すると33分、中盤中央の柴田がスライディングタックルで、足下のボールを根こそぎカット。笛はなし。仙台は激しいチャージに慣れてないのか、タックルを受けるとセルフジャッジしてしまう傾向がある。中央を長沢が持ち上がり、寄せの遅いDFの合間から狙ったミドルはGK宮崎が弾くが、八木がきっちり詰めて、4−0。次いで38分、巧みにキープする町田を高野が追い越してパスをもらい、右に開いた町田へとリターン。抜け出た町田が鋭いクロスを折り返すと、ニアの長沢がワントラップボレーでファーに突き刺した。5−0。 42分、仙台に決定機。石垣のパスミスをカットした山崎のスルーパスから、鈴木勇が裏へ抜け出す。さすがの佐野克、スピードのある鈴木勇に追いついてカットするが、左に流れたこぼれ球をまた鈴木勇に拾われてしまう。マイナスのグラウンダークロスは、ファーの佐藤豪の前で桑原卓がカットしたが、これも山崎に拾われ、中央フリーでシュート。しかし、GK山崎晃は両手でそれを足下に弾いてから、無事にキャッチ。真田を思わせる落ち着いたセーヴィングだった。結局前半は、シュート6本で5点を奪った清水の大量リードで折り返した。
ベガルタ 清水エスパルスユース 6(3) シュート 6(6) ◎長沢、◎八木、◎柴田、○長沢、◎八木、◎長沢 5(0) 右クロス 5(1) ×小泉、×小泉、×小泉、×長沢、◎町田 7(1) 左クロス 1(0) ×長沢 0(0) 右側CK 0(0) 1(0) 左側CK 1(0) ×高野 0(−) 犯OS 1(−) ・長沢 7(0) ファウル 7(0) ・長沢、・桑卓、・桑彬、・町田、・柴田、・柴田、・桑卓
[後半] 後半、仙台はハーフタイムに運動量を恢復すると、3-4-3の超攻撃的布陣の下、開始1分、左45度から左FW山崎のミドルを皮切りに攻勢へ出る。5分には中央を持ち上がった山崎のスルーパスから、右FW鈴木勇が斜めに裏に抜け出る決定機を迎えるが、シュートはニア左。すると逆に7分、最終ラインのパス回しから、佐野克のロングフィード1発で八木が左スペースを抜け出す。方向転換しつつDFを1枚抜いてクロスを上げると、ファーでドライヴしておじぎしたボールを小泉がボレー、6−0。引き続き11分、中盤で高野が奪うと、時を移さずクサビを入れる。町田とDFが競り合って浮いたボールを、長沢がジャンプせずにマーク相手をスクリーンして抑え、189cmを活かして頭でトラップ。PA右に持ち出し、冷静にループを決めた。7−0。 16分、相手クリアを体で止めた小泉が、町田とのパス交換で右ポスト前まで侵入、高速クロス (シュート?) を入れるが、合わずにファーへ流れる。仙台も17分、佐藤悠の左CKをファーで竹内が頭を合わせたが、ゴール内ファーでカバーに入っていたDF (桑原彬?) がクリア。19分、仙台村中のクリアを長沢が体で弾き、拾った八木が左から切れ込んでクロス、長沢は合わせるが弱く、ゴール右へ外れる。24分、仙台の縦パスのミスを桑原卓がダイレクトの縦パスで返し、長沢が左へ叩く。八木の左クロスは中央のFW篠田を通過して、ファーでフリーの高野へ。ワントラップから余裕のループを狙ったが、これはGK宮崎に読まれた。仙台はパニックに陥ってるのか、クリアやパスのタイミングを急いでミスを招き、そこから清水の速い攻守の切替を前にピンチを招いている。
29分、仙台、佐野克が余っていたギャップを突かれ、スルーパスで佐藤豪に裏に抜かれてしまい、PA内左から戻したボールに単身鈴木勇が突っ込むが、シュートは左。続けざまに31分、右WB奥埜のクロスは桑原彬がクリアするが、ファー流れたボールを山崎がフォローして左クロス。中央の佐藤豪がバイシクルを枠内に放ったが、GK山崎晃が枠上に逸らす。続く佐藤悠の左CKも佐藤豪が頭で合わせたが、右に外れた。仙台の決定機の連続に沸き上がる宮城スタジアム。だが、32分、篠田の突破で清水が右CKを奪うと、高野の速いキックをファーポスト付近で受けた石垣、お腹のあたりに飛んできた難しいボールを腿でリフティングして、無理矢理ゴールに押し込んだ。8−0。 8点差。もう失うものはない仙台は、竹内に代えて山崎を投入。攻撃的な奥埜を中央に回し、3トップにボールが入れば、その奥埜と両WBが一斉に駆け上がる迫力ある攻撃を展開する。35分には清水の左CKを跳ね返して速攻、開いた左WB林が溜めると、中央を駆け上がってきた?がスルーパス、佐藤豪がDFを弾き飛ばしながらシュートを放つが、GK山崎晃がパンチングで弾き返す。だが、人数を掛けて攻めに出ればカウンターのリスクを増すのも必然で、38分、ボール奪った右SH谷野の縦パス1本で篠田が抜け出してPA内、彼らしい急停止から着実なステップでシュートは、僅かに右に外れる。43分、左に開いてパスを受けたFW山崎竜、中央に向かって彼らしい強引なドリブルを開始。スピードに乗ったところで内側を併走する八木に横パス、八木は疾走したまま左足ダイレクトでゴール右に突き刺した。9−0。
なおも攻める仙台だが、ロスタイム、林の左クロスがファーに流れたところ、大外から小林が飛び込んでボレーを放つが、角度なくGK山崎晃の正面。結局、そのまま9−0でタイムアップ。スタッツや決定機の数から見れば、7:3で清水というところだろう。大差がついたのは、ゴール前の決定力。決定力に差がついたのは、行徳監督が常日頃から口酸っぱく強調している、「ボールをしっかり止めて蹴る」技術の差だったと思う。
ベガルタ 清水エスパルスユース 10(5) シュート 9(6) ◎小泉、◎長沢、×長沢、×長沢、○高野、×柴田、◎石垣、×篠田、○篠田、◎八木 3(1) 右クロス 4(0) ×小泉、×小泉、×谷野、×谷野 10(2) 左クロス 7(3) ×八木、◎八木、×桑卓、×八木、○八木、×八木、○八木 1(1) 右側CK 4(3) ○高野、◎高野、×高野、○高野、 2(0) 左側CK 1(0) ×谷野 0(−) 犯OS 2(−) ・町田、・小泉 3(0) ファウル 5(1) ・桑卓、・長沢、×克彦、・八木、・高野、・八木
▼試合結果 清水エスパルスユース 9−0 ベガルタ仙台ユース 得点:前半00分:清水・長沢 駿 (町田 朋弥・スルーパス) 前半24分:清水・八木 和秀 (小泉 慶治・スルーパス) 前半26分:清水・柴田 和也 (長沢 駿 ・ポストプレー) 前半33分:清水・八木 和秀 (長沢 駿 ・シュートリバウンド) 前半38分:清水・長沢 駿 (町田 朋弥・右クロス) 後半09分:清水・小泉 慶治 (八木 和秀・左クロス) 後半11分:清水・長沢 駿 ※自ら奪って 後半33分:清水・石垣 勝矢 (高野 美臣・右コーナーキック) 後半43分:清水・八木 和秀 (山崎 竜男・ショートパス)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●長沢 駿 (2年・FW) 3得点2アシストと、77分の出場時間で7点中5点に絡む。ゴール前でもポストでも、浮いたボールの位置に対する感覚、コントロールする技術、そして落ち着いた判断に基づき、正確なプレーをしていた。前線からの守備も怠らず、適切。
[私撰MIP] ●八木 和秀 (3年・左SH) 守備時の中途半端なポジショニングが気になるところだが、主導権を握った展開では毎度輝く。裏を狙うオフザボールの動き、足の速さ、ドリブルのキレ、両足蹴れる技術、何よりもシュートの巧さといった彼の良さが、全て良い方向に働いた。
●山崎 晃太 (2年・GK) 落ち着いた対応でセーヴ率100%。元々反応の鋭さには定評のある選手だが、ただ飛びつくのではなく、場面に応じたプレーの選択ができるようになってきている。コーチングの質・量も増してきており、真田の経験は着実に伝授されているようだ。
[相手方好印象選手] ●佐藤 豪 (3年・FW): 高さは勿論、ボールを受ける前の動きと球離れが良い。スピードもあり、石垣の手を焼かせた。 ●山崎 航太 (2年・左SH→左FW): キレのある動きと素早いパス出しのできる選手。運動量も豊富で、戦術のキーマン。
2005年12月10日(土) |
JY: 高円宮杯 全国大会 大分トリニータ戦 |
Jrユース 05年12月04日 (日) 13:15開始 藤枝総合運動公園サッカー場 高円宮杯 第17回全日本ユース (U-15) サッカー選手権東海大会 対 大分トリニータU-15 ※40分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半39分〜: −−−−−−鍋田−−前田−−−−−− −−−−−−鍋田−−池上−−−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−柴原−− − 佐野傑 −−−−−−−− 佐野孝 − −−−−−−杉山−−西澤−−−−−− −−−−−−杉山−−西澤−−−−−− −−曽根− 望月恭 −岩崎−−狩野−− −−曽根−−深澤−−岩崎− 望月卓 − −−−−−−−−柴田−−−−−−−− −−−−−−−−柴田−−−−−−−− 控え:水野、深澤、山崎、望月卓、青木、佐野孝、池上 交代:後半00分:狩野 →望月卓 後半24分:柴原 →佐野孝 後半34分:望月恭→深澤 後半39分:前田 →池上
大分トリニータU-15: 先発: 後半38分〜: −−−−− 岸田翔 − 柳 −−−−−− −−− 岸田翔 − 柳 −−黒木−−−− −−−−河野−−−−−− 森 −−−− −−−−−−河野−−麻生−−−−−− −−−−−−三好−−小塩−−−−−− −−−−−−−−小塩−−−−−−−− −−渡邉−−片桐−−武本−−矢野−− −−渡邉−−片桐−−武本−−矢野−− −−−−−−−−垂水−−−−−−−− −−−−−−−−垂水−−−−−−−− 控え:清家、竹中、阿南、麻生、岸田、黒木、立花 交代:後半12分:三好→麻生 (森をCH、麻生を右SHに) 後半38分;森 →黒木 (岸田を右SH、黒木をFWに)
▼試合展開 [前半] 06分、杉山に警告 (繰返の違反) 31分、西澤に警告 (ラフプレイ)
大分U-15 清水エスパルス 3(2) シュート 1(0) ×柴原 3(1) 右クロス 2(1) ×柴原、×柴原 1(0) 左クロス 4(1) ×佐傑、×佐傑、○佐傑、×曽根 1(0) 右側CK 0(0) 1(0) 左側CK 0(0) 3(−) 犯OS数 0(−) 4(0) ファウル 13(1) ・佐傑、・鍋田、・佐傑、・杉山、・岩崎、・佐傑、・西澤、・前田、・恭平、×岩崎 ・西澤、・恭平、・柴原
[後半] 02分、大分、岸田に警告 (ラフプレイ) 09分、大分、三好に警告 (ラフプレイ) 26分、清水、ダッシュでこぼれを奪った西澤、鍋田にクサビを入れると右から追い越し、リターンをボレーで突き刺す、1−0 27分、大分、柳に警告 (ラフプレイ) 36分、清水、PAに切れ込んだ佐野孝を後方から武本がスライディングでカット、こぼれに矢野が足を投げ出すがOG、2−0
大分U-15 清水エスパルス 1(1) シュート 8(5) ○西澤、○鍋田、×前田、○杉山、◎西澤、○孝洋、×岩崎、×鍋田 2(0) 右クロス 2(0) ×卓馬、×前田 1(0) 左クロス 4(1) ×曽根、×恭平、○佐傑、×柴原 0(0) 右側CK 1(0) ×杉山 1(0) 左側CK 3(0) ×柴原、△柴原、△西澤 1(−) 犯OS数 0(−) 7(2) ファウル 3(1) ×西澤、・孝洋、・西澤
清水エスパルスJrユース 2−0 大分トリニータU-15
緒戦で優勝候補、横浜FMを撃破した清水。左足首捻挫から復帰したばかりの前田の相棒には、前回の池上ではなく、2年生の鍋田が入った。右SBは狩野が先発したが、前節外れたベンチに望月卓が復帰。他は1年生柴原も含め、不動である。一方、夏の広島に続いて冬もガンバを破り、その実力を高らかに全国にアピールした大分。夏の3バックから4バックに、CBだった柳 (U-15代表候補/U-16NTC) をFWにと、大きくチームの姿を変えながら実力を維持するのだから、大したものだ。柳・武本はU-15 Jリーグ選抜チームとしてブラジル遠征に参加、同じく遠征に参加した前田とは旧知の仲 (のはず)。
前半は清水が風上。しかし、低調な内容の清水は、攻めては執拗にチェックにくる相手に苛立ってファウルを犯し、守っては諦めずに追い掛ける大分FWに慌ててファウルを犯す。大分は12分、森の右クロスが巻いてシュータリングになり、ゴール枠内を強襲 (GK柴田がカット) すると、続く13分に左サイドから早めに前線に入れたボールを柳がキープ、落として河野がPA際でミドルを放つ。枠を外したが、以後、柳が下がってキープ、それを小塩ら中盤が追い越し、前線の岸田翔に裏を狙わせるパスを出すというパターンで、大分が優位に立った。とはいえ、清水DFの粘り強い対応と逆風のため、決定機は31分、柳のポストから岸田翔がPA際で狙った場面ぐらい (GK柴田が対応)。一方の清水は、22分に杉山が中央から狭いところをドリブルに分け入って縦パス、前田が右に叩き、柴原が狙ったミドル (枠外) のみ、シュート1本に終わった。
後半は清水が風下。暗雲が漂ったかに思えたが、蓋を開けてみれば清水のペース。大分が前半の激しい運動量でかなり疲弊していたこと、それによって清水は落ち着いてパスを捌けるようになったことが、その要因だろうか。10分の西澤のミドルを皮切りに、足が止まった大分を一気呵成に攻め込む。14分、柴原のサイドチェンジからファーで佐野傑が左足で落とし、鍋田のシュートはGKが弾く。なおもこぼれを鍋田が拾って再展開、佐野傑の左クロスを、ファーで前田のダイビングヘッドは枠右。15分、ドリブルした前田が戻して望月卓がサイドチェンジ、縦に突破した佐野傑はGKにシュートブロックされるが、こぼれ球を無人のゴールに狙った杉山のシュートは、DFがコースに入って弾いた。 そして、26分、こぼれ球に対して遅れて反応した西澤が、交錯プレーで相手を弾き飛ばし、更に彼の個性である縦の推進力から遂に先制点を奪う。その後、クリアボールが舞い戻るほどの暴威を振るう風によって、ゴール前で危うい場面も作られたが、相手に意図したシュートを撃たせず、逆に終了間際の36分には前田のパスを受けて佐野孝が縦へ、無骨な切り返しからPA内に割り込んだプレーが相手オウンゴールを誘って、勝負あり。望月恭の負傷もあってロスタイムは4分と長かったが、問題なく逃げ切って2連勝。死のグループからの突破をぐっと引き寄せた。
▼個人的好印象選手 西澤 郁 (CH): 筋力を活かして、攻守にダイナミック。足下で回しすぎる悪癖に陥る中、鋭く縦方向に試合を動かした。 杉山 一貴 (CH): 正確な技術と的確な読みで各所に顔を出し、守備ではカバー、攻撃では正確な繋ぎで、中盤支配に貢献。
[相手方好印象選手] 柳 翔太郎 (FW): 上下左右に盛んに動いては、強い足腰でボールを懐にキープ、味方が攻撃参加の時間を稼いだ戦術の鍵。
2005年12月04日(日) |
JY: 高円宮杯 全国大会 横浜F・マリノス戦 |
Jrユース 05年12月04日 (日) 13:15開始 益田陸上競技場 高円宮杯 第17回全日本ユース (U-15) サッカー選手権東海大会 対 横浜F・マリノスJrユース ※40分ハーフ 天候:曇り時々雨
▼布陣 先発: 後半34分〜39分: −−−−−−池上−−前田−−−−−− −−−−−−前田− 佐野孝 −−−−− − 佐野傑 −−−−−−−−−柴原−− − 佐野傑 −−−−−−−−−吉川−− −−−−−−杉山−−西澤−−−−−− −−−−−−杉山−−西澤−−−−−− −−曽根− 望月恭 −岩崎−−狩野−− −−曽根− 望月恭 −岩崎−−狩野−− −−−−−−−−柴田−−−−−−−− −−−−−−−−柴田−−−−−−−− 控え:水野、深澤、山田、青木、吉川、佐野孝、鍋田 交代:後半27分:池上 →佐野孝 後半34分:柴原 →吉川 後半39分:佐野傑→青木
横浜F・マリノスJrユース: 先発: 後半: −−−−松尾−−端戸−−斉藤−−−− −−−−松尾−−端戸−−斉藤−−−− −−−−−−−−佐藤−−−−−−−− −−−−−−−−荒井−−−−−−−− −−−−−−谷岡−−曽我−−−−−− −−−−−−谷岡−−佐藤−−−−−− −−吉崎−−臼井−−清水−−北野−− −−吉崎−−臼井−−清水−−曽我−− −−−−−−−−森本−−−−−−−− −−−−−−−−尾崎−−−−−−−− 控え:五十嵐、荒井、瀬野、中村、磨見 交代:後半00分:北野→荒井 (曽我を右SB、荒井をOHに)
▼試合展開 [前半] 横浜FM 清水エスパルス 8(6) シュート 4(0) ×前田、×佐傑、×西澤、×西澤 5(1) 右クロス 1(1) ○狩野 3(0) 左クロス 4(1) ×曽根、○曽根、×佐傑、×曽根 6(2) 右側CK 2(0) ×杉山、×杉山 2(1) 左側CK 2(0) ×柴原、×柴原 4(−) 犯OS数 1(−) ・前田 6(1) ファウル 6(2) ・西澤、・前田、×岩崎、・恭平、・西澤、×佐傑
[後半] 24分、横浜、荒井に警告 (ラフプレイ) 29分、横浜、二次攻撃、急加速した松尾が狩野を振り切って左を抉り、クロス、佐藤が恭平と交錯しながら押し込んで、0−1 36分、清水、西澤のロングスルーパスで右から抜け出た孝洋が切れ込み、PA右角前で切り返しから左足ループの美技、1−1 38分、清水、前田が左角からPA内に斜めに侵入、カットされるが佐野傑が拾って縦に抜け、角度のない位置から左足、2−1
横浜FM 清水エスパルス 10(4) シュート 9(5) ○佐傑、×西澤、○池上、○前田、×孝洋、◎孝洋、○吉川、×孝洋、◎佐傑 2(0) 右クロス 1(0) ×柴原 8(1) 左クロス 3(2) ○佐傑、×佐傑、○佐傑 0(0) 右側CK 4(0) ×杉山、×杉山、×杉山、×吉川 3(2) 左側CK 1(0) ×柴原 3(−) 犯OS数 0(−) 4(1) ファウル 5(1) ・鍋田、・曽根、・岩崎、・杉山、×佐傑
清水エスパルスJrユース 2−1 横浜F・マリノスJrユース
雨と風で極寒の島根県益田市。11時からのガンバ対大分で猛威を振るった豪雨は小康状態になったものの、依然として強風。前半の清水は、逆風での試合となった。先発は怪我なのか望月卓がベンチからも外れ (チームには同行)、代わって狩野を右SBに起用。東海大会で交代出場で結果を残した池上が、鍋田に代わって2トップに入った。 クラ選準優勝の横浜FMは、地元小学生も大注目、U-15代表の斉藤・端戸・佐藤らを擁する攻撃陣。メニコンカップでも斉藤が11得点で得点王&最優秀選手、端戸が敢闘賞を受賞した。「Group of Death」のグループCの中だが、横浜FMは同グループのガンバ大阪をクラ選で下し、清水もジュビロカップ決勝で破っており、予選突破を本命視される。夏の基本布陣4-4-2から、荒井を外して松尾を前線で斉藤・端戸で組ませ、攻撃的な4-3-3を敷いてきた。何故かベンチ入り5名のみで、試合に臨む。
試合開始から押し込まれた清水は、クリアしようにも風で押し戻されてしまい、波状攻撃を受ける。ボールが伸びてくるため、クリアが逸れてCKを与えることも多い。7分、斉藤のシュートをGK柴田が弾いて佐藤の左CK、清水がドンピシャで合わせるが、GK柴田が枠上にディフレクト。その後、更に左右1回ずつCKが続くが、何とか難を逃れる。すると、その後の横浜は、押し込んだ清水相手に3トップのスピードを活かすスペースを失い、攻め倦ねてしまう。 清水は前線の前に立ちはだかる横浜CHを越えられず、攻撃の糸口すらなかったが、26分に佐野傑の左クロスを池上が落とし、前田がダイレクトでミドルを放って、ようやく初シュート (枠上)。これを機に西澤や曽根らが前に出るようになり、やや押し戻す。横浜も松尾のドリブルや、後方から佐藤・吉崎らの攻撃参加で打開を図ると、終了直前40分、横浜陣内からのFK。ロングボールを想定して下がった清水DFに対し、細かく繋いで右に開いた斉藤へ、斉藤は佐野傑を振り切ってPA内に侵入、とスピードを落とす。誘いに乗った佐野傑がプッシングの判定を受け、PK。蹴るのは斉藤本人。だが、右を狙ったボールをGK柴田が見事にキャッチ。劣勢の清水が、なんとかスコアレスで折り返した。
後半は清水が順風。ボールが容易に前線まで届くようになり、横浜DFラインが下がって生まれた中盤のスペースで、西澤・杉山が支配力を振るう。10分、曽根の左スローインから佐野傑、曽根と繋ぎ、前田が仕掛けて戻したボールを佐野傑のミドルは、GK正面。13分、GKのキックミスを西澤がダイレクトで空のゴールに打ち返したが、少し上。19分、曽根の左スローインを佐野傑、池上、佐野傑と繋ぎ、戻して前田がミドルもGK正面。攻勢ながらサイドを崩す場面が殆どなく、守備組織を維持したままの清水・臼井のCBに、跳ね返される展開が続いた。 その間に向かい風の状況に慣れた横浜は、ロングボールが風で押し戻されるのを逆に利用。裏に出したボールがラインを割らずに減速するのを、速さのある3トップに拾わせる。特に左の松尾は加速性能に長け、先にボールに追いつき、切り返すと思わせて縦に再加速するパターンで、狩野ら清水DFを置き去りにした。後半序盤にも右サイドから曽我のフィードで松尾が独走、1対1からのシュートが僅かに左へ外れるプレーがあったが、24分、裏に出たボールを追った荒井が、GK柴田と衝突。柴田は治療の時間を要し (荒井に警告)、これで流れを変えられると思ったが、29分。クリアボールを拾った松尾が前述のパターンで狩野と岩崎を抜き、最後は佐藤。GK柴田はこれも抑えるも、ラインを割ったとの判定で先制点を奪われる。
太田監督は直前の27分、池上に代えて佐野孝を投入。今後、想定されるパワープレイに池上の高さは必要に思われたが、28分にクリアミスを拾った柴原のスルーパスから、佐野孝が抜け出す。これは力なく右に外れるも、36分、佐野孝は自陣からの西澤のロングスルーパスから、再び縦に抜けだして同点弾。高さでなく速さを活かした太田監督の采配が、ズバリと当たる。同点の余韻が残る2分後の38分、前田のドリブルを止めたのに安心したのか、こぼれ球を拾った佐野傑に対し、横浜DFの反応がルーズ。清水が逆転した。 逆転後の清水にも、36分の佐野傑のアーリークロスに合わせた吉川の右足アウトサイドボレー、40分に杉山から繋いで再び西澤のスルーパスから佐野孝がシュート (枠外) と好機はあったが、より得点に近づいたのは横浜。39分、斉藤のスルーパスから端戸のシュートは、GK柴田キャッチ。42分 (以後ロスタイム)、右サイドから曽我のフィードで端戸が中央を抜け出す、土壇場の超決定機。だがシュートは、GK柴田のワンタッチもあって左に逸れる。続く佐藤の左CKをファーで谷崎が合わせるが、枠左。44分にも左CKを与えるが、これはファーに跳ね返して試合終了。混戦が予想されるグループCで、大きな勝点3を得た。
▼個人的好印象選手 柴田 直紀 (GK): 身体能力を活かした鋭い反応とキャッチングで、大きな仕事をやってのけた。スローの狙いも良かった。 曽根大二郎 (左SB): 対面のU-15代表斉藤を封印し、横浜の片翼をもぐ。佐野傑に対する適切なフォローで、攻撃にも貢献。
[相手方好印象選手] 清水 皓平 (CB): 小学生の「松田」の声も頷ける守備の要。恵まれた体格で潰し、跳ね返し、時にCBながら攻撃参加も。
2005年12月03日(土) |
練習試合 清水エスパルスサテライト戦 |
05年12月03日 (土) 15:00開始 清水三保グラウンド 練習試合 対 清水エスパルスサテライト ※45分ハーフ 天候:晴れ
▼布陣 先発: 後半43分〜: −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−篠田−−長沢−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−− 佐野諒 − −−−−−−高野−−柴田−−−−−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− − 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 佐野克 −岩本−−石垣−−渥美−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 交代:前半43分:八木 →岩本 (岩本をCB、佐野克を左SB、桑原卓を左SHに) 後半14分:小泉 →渥美 町田 →篠田 後半43分:桑原彬→佐野諒 (渥美を右SB、佐野諒を右SHに)
清水エスパルスサテライト: 先発: −−−−−−前田−−北嶋−−−−−− −−−−松下−−−−−−平松−−−− −−−−−−村松−−澤登−−−−−− −−鈴木−−岩下−−平岡−−財津−− −−−−−−− 山本海 −−−−−−− 交代:なし
▼試合展開 Jユースサハラカップの決勝トーナメント緒戦を一週間後に控え、リーグ優勝したサテライトに胸を借りる。2ヶ月前、Jユースカップ予選リーグ再開前に対戦した時は、内容で完敗しながら新加入の決まったGK武田のセーヴとFWの決定力で、2−3のスコアに持ち込んだ。サテライトは、その時のメンバーから枝村と青山がトップレギュラーに上り詰め、和田と岡崎もトップに呼ばれている。 ユースは怪我なく、所属27名が全員参加。先発は、横浜FM (H) 戦から渥美に代えて桑原彬を入れただけで、仙台戦の有力な先発候補と言えそうだ。一方のサテライトは、戦力外通告や引退の決まる難しい時期。怪我人も多く、斉藤と山本真が軽くランニングをしてた以外に、チョ・杉山・佐藤・吉田の姿はなかった。練習生の松下 (清商高) と公式戦からの引退を表明した澤登を入れて、11人ジャスト。怪我人が出たらユースから借りるのだろう。
[前半] 開始1分、右SH小泉の右クロスにCH柴田がPA中央に走り込むが、DFと交錯してファーに流れる。それを左SH八木が窮屈な格好ながらダイレクトボレー。枠右に外れたが、オープニングシュートを記録したとおり、ユースが攻勢に出た。コンディションの良さを窺わせるユースは、運動量と連動性でサテライトを大きく上回る。サテライトは左SHに練習生を置いたせいもあり、右でFW北嶋のポストと右SH平松の突破が上手く絡んだときぐらいしか、好機に繋がらない。とはいえ、ユースの方も速攻とサイド攻撃で相手組織を散漫化させながら、要のCB岩下を越えることができなかった。 サテライトは14分、平松の判断の良いクイックリスタートで北嶋が裏に抜け出し、粘り腰ターンで初シュートを放つ。17分にはクリアをカットしたCH澤登が中央を割るスルーパス、右から斜めに入った平松が軽く触れて囮になり、抜け出したFW前田がGK山崎晃と交錯しながらシュートを放つが、左に逸れる。すかさずユースも、左SB鈴木のパスミスをCH高野がカット、縦パスを受けたFW町田がミドルは、枠左。27分には町田と岩下が競り合った浮き球を、長沢がダイレクトで左にふわりと捌く。左45度に開いた八木がループ気味に頭上を狙うが、GK山本海は落ち着いてキャッチした。
36分、平松のクサビを北嶋がポストに入り、潰れながら前田に捌く。前田は持ち味の中央突破を図るが、寄せの速いユースに囲まれ、なんとか左へ展開。パスを受けた鈴木は一気に縦を踏破し、マイナスのクロスを北嶋が落とし、ファーで前田が合わせたが枠の右。38分、今度はユース。それまでも積極的にサイドに飛び出て攻撃に厚みをもたらしていた柴田が、今度は中央から右へと斜めに持ち出す。戻したボールから小泉がクロスを入れると、DFの体に当たってコースが変わり、中央の長沢の元へ。長身を活かした一人時間差でシュートを放ったが、GK山本海が冷静にキャッチ。40分、CH村松のクサビを受けた北嶋に対するCB佐野克のバックチャージで、ゴール中央距離25MのFK。当然、鹿島戦ではその機会のなかった澤登が直接狙うが、僅かにゴール右上隅から外れた。 その後は動きなく、スコアレスのまま前半終了。ユースとしてはサテライトの連携が悪く、また自分たちの運動量が盛んな間に先制したいところだったが、早々に八木を岩本に交代して、後半に勝負を賭けることとなった。
シュート サテ 6(2) ○北嶋、×前田、○平松、×前田、×澤登、×前田 ユース 6(3) ×八木、×町田、○八木、○小泉、×町田、○長沢
右クロス サテ 2(1) ×平松、○財津 ユース 6(0) ×小泉、×町田、×柴田、×小泉、×小泉、×小泉 左クロス サテ 1(1) ○鈴木 ユース 1(0) ×長沢
右側CK サテ 0(0) ユース 0(0) 左側CK サテ 0(0) ユース 1(0) ×八木
犯OS数 サテ 0(−) ユース 2(−) ・長沢、・小泉 ファウル サテ 5(0) ・前田、・前田、・村松、・前田、・村松 ユース 6(1) ・町田、・克彦、・長沢、・克彦、×克彦、・長沢
[後半] 後半、サテライトは幾らか戦術的に意思統一されたようで、右は右SB財津が攻撃参加を積極化、左でも前半にGK山本海から叱咤を受けていた左SH松下が、だいぶ試合に参加できるようになった。早速4分に右突破を仕掛けた前田が下げたボールから、財津が中央に切れ込みつつミドルを放つ。GK山崎晃のワンタッチあって右CKになると、澤登のキックを中央で財津が合わたが、GK山崎晃が枠上にディフレクト。再び澤登のキックを今度はニアに北嶋が飛び込むが、枠左に外れる。澤登、プレースキックの精度はまだまだ現役だ。 組織が整えば、地力に勝るサテライトが攻勢に出るのは自然の理。9分、松下が下がって岩下からパスをもらい、内側隣の村松に預けて自らは前へ、そしてリターンを受ける動きで、右SB桑原彬とCB岩本を誘い出した。松下は外側隣の鈴木にパスを捌き、鈴木が左アーリークロス。クロスの軌跡上に位置したCB石垣、これをカブる。遅れて飛び込んできた北嶋が、ワントラップでGK山崎晃を置き去りにPA内左に持ち出すと、無人のゴールにラストショット。石垣と左SB佐野克が諦めずにスライディングするが、ボールをゴールの中へと弾くのが、精一杯だった。0−1。サテライトが、プロの面目を保つ先制点をあげた。
13分、自陣で左SH桑原卓が倒されるが、ファウルはなし。だが、先に反応したのはユース。拾った町田がボールを下げると、CB岩本が左タッチライン沿いにフィードする。猛烈に駆け上がる佐野克、上げたクロスは岩下にカットされるが、ファーに小泉がフォローして折り返した。だが、そのクロスは、行徳監督が怒鳴るほどのキックミス。しかし、サッカーが「ミスのスポーツ」と言われる所以だろう、弱々しく後方に流れるボールを平岡が下がりながら頭で弾き返すが、至当、勢いに欠ける。平岡と競り合っていた町田が狙ったバイシクルは空を切るが、ボールは中央の長沢へ。左足ダイレクトで低くゴールに突き刺し、ユースが同点に追いついた。1−1。 勢いがつけば、若さに勝るユースが一転攻勢。14分、桑原彬の右タッチライン沿いのフィードでFW篠田が抜け出し、DFを引き寄せてバックパス。再び桑原彬が横パスを入れると、中央に入ってきた桑原卓が軽く触れて囮になり、ファーで長沢がシュートは左にずれた。16分に村松から北嶋のポストを経由して前田、18分に平松から前田のポストを経由して財津にドリブルシュートを許すが、体を寄せた両CBとシュートミスに助けられて事なきを得る。19分、21分のCKは活かせなかったが、23分、中盤の底で下がって受けた澤登を、長沢がチェック。長い足を伸ばし、大きな体を入れてボールを奪うと、澤登は年齢が自分の半分もないFWを追わず。労せず2対2、長沢が平岡と岩下を着実に引き寄せて右に叩けば、篠田がGK山本海と1対1。こうした局面に絶対の決定力を持つ篠田、GK山本海が体を寝かした瞬間にシュートを叩き込み、2−1。ユース逆転。
プロの威厳を示したいサテライトだが、32分の右CKに澤登からのホットラインで、ニアの財津がボレーを撃った程度 (枠右)。一方、ユースは36分、佐野克のオーバーラップを囮に桑原卓がDFとGKの間にクロスを送り、長沢が平岡と岩下の間から抜け出てヘッドは枠の上へ。更に37分には、右SH渥美を追い越した桑原彬が、ゴール手前の篠田にピンポイントで合わせる絶妙のクロスを入れたが、篠田がハンドを犯す。ユースが試合を決める点を奪う可能性は、高かった。だが39分、右から中央へと切れ込んだ平松が桑原彬を引き出し、彼の裏へ右足インサイドで回転を掛けたスルーパスを送る。左大外から飛び出した松下、グラウンダーのクロスをファーで北嶋が軽く戻したお膳立てを、前田がゴール左へ突き刺した。2−2。 ユースはCH2名の運動量が落ち、押し込まれた状態に。一時攻撃を防いでもすぐに二次攻撃に繋がり、空いたバイタルエリアから、北嶋のミドルはGK山崎晃の手を弾いてバー、財津のミドルは岩本がブロック、平松のシュートはDFのワンタッチあって左へ外れる。続く左CKを、澤登がまたも愛弟子財津に合わせるが、僅かに合わずにファーへ流れた。この間、同点後ほんの1、2分の出来事。ユースは桑原彬を佐野諒を交代して流れを変えようと試みるが、43分。左に開いた村松のクサビをPA内石垣の前で北嶋がポスト、石垣と連動して寄せなかった岩本を、行徳監督が一喝する。その間に北嶋は右に捌き、前田が小さく戻すと、平松がDFとGKの間を横切るようなスルーパス。再びPA左で北嶋、ゴールへと流し込んだ。2−3。
岩本の奪取から桑原卓が持ち上がり、縦パスから篠田が突破を図るも平岡に潰された場面もあったが、その後素早く左CKを再開した篠田の意図と周囲が噛み合わず、ほどなく試合終了。試合内容・選手のコンディション共に良かったが、横浜FMとの二戦同様に終盤に逆転される展開は気になるところ。気を引き締めて大切な緒戦に臨んでもらいたい。
シュート サテ 15(8) ○財津、○財津、×北嶋、◎北嶋、×前田、×北嶋、×財津、○財津、○澤登、×財津 ◎前田、○北嶋、×財津、×平松、◎北嶋 ユース 7(5) ◎長沢、×長沢、◎篠田、○桑卓、○柴田、×長沢、○篠田
右クロス サテ 3(0) ×平松、×澤登、×財津 ユース 4(0) ×渥美、×渥美、×高野、×桑彬 左クロス サテ 7(2) ×松下、◎鈴木、×鈴木、×平松、×鈴木、○松下、×松下 ユース 4(1) ×克彦、×克彦、○桑卓、×克彦
右側CK サテ 2(1) ×澤登、○澤登 ユース 3(0) ×高野、×高野、△高野 左側CK サテ 3(2) ○澤登、○澤登、×澤登 ユース 2(0) ×高野、△高野
犯OS数 サテ 1(−) ・北嶋 ユース 4(−) ・渥美、・桑卓、・篠田 ファウル サテ 6(1) ・松下、・村松、・澤登、×松下、・澤登、・平岡 ユース 5(0) ・小泉、・長沢、・克彦、・桑卓、・篠田、・篠田
▼試合結果 清水エスパルスユース 2−3 清水エスパルスサテライト 得点:後半09分:サ・北嶋 秀朗 (鈴木 真司・左クロス) 後半15分:ユ・長沢 駿 ※こぼれ球 後半23分:ユ・篠田 悠輔 (長沢 駿 ・ショートパス) 後半39分:サ・前田 高孝 (北嶋 秀朗・ポストプレー) 後半43分:サ・北嶋 秀朗 (平松 康平・スルーパス)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●長沢 駿 (2年・FW) プロとの競り合いにも引けを取らないほど、プレーに力強さを増している。両足の技術も高く、その場で体を張ってキープする時、ワントラップで持ち出して捌く時、ダイレクトで叩く時の判断が良い。運動量豊富に前からプレスを掛けていた。
[私撰MIP] ●桑原 卓哉 (2年・左SB→左SH) サテライトで最も怖い対象だった平松との1対1は見物。時に強引に跳ね飛ばしてみせた。前田の突進進路を切り、財津のスピードにも対応。守備だけでなく、攻撃でも幅広く動き、足を活かしたドリブルと狙い所と精度の良い左足で、活躍した。
●佐野 克彦 (2年・CB→左SB) 北嶋とのエアバトルで後手を踏むこともあったが、全般に積極的に前に出て弾き返す持ち味が出ていた。桑原卓や石垣、岩本との連携も良好。パワフルな左足を活かした大きな展開に、俊足を活かした攻め上がりと、攻撃面でも持ち味を発揮した。
[清水エスパルスサテライト] ※採点はドイツ・kicker方式 (1.0が最高〜6.0が最低) 3.5 山本 海人 失点はノーチャンス、だがビッグセーヴも出ず、可も不可もなし。具体的に指示を出す監督ぶりは健在。
3.5 財津 俊一郎 攻撃面は2.5、基本ができてない守備面は4.5。中に切れ込んだ時の方が怖さがあり、一列前の方が適性。 4.0 平岡 康裕 財津の基本のミスも、岩下の気を抜いたミスもないが、下の年代を相手にしながら落ち着きが足りない。 2.5 岩下 敬輔 パス出しで狙いすぎ、集中力を欠くミスが散見するほどの余裕。中央で力強く、サイドのカバーも的確。 4.0 鈴木 真司 盛んな上下運動とクロスは評価。小泉のドリブルも封印したが、プロではありえないパスミスが大減点。
2.0 平松 康平 途中運動量が落ちたが、観衆を魅せる超絶テクに力強さを増したドリブル、緩急のパスで2点に絡んだ。 5.0 沢登 正朗 心身共に鹿島戦で引退を納得したのだろう。プレースキックはらしさがあるが、全体に覇気がなかった。 4.0 村松 潤 攻守で無難なプレーに終始、プロとしての破格さがない。或いは試合前に戦力外が通告済みだったのか。 5.0 松下 晃太 前半はいないも同然。動きの質と量を磨いてパスをもらう努力をしなくては、プロでは生きていけない。
3.0 北嶋 秀朗 ポストでバックパスが多く、空中戦も完勝と言えないが、2得点。裏に出る動きの力強さが復調の気配。 4.0 前田 高孝 戦術的に洗練されてきたが、通用するのは前を向いてドリブルした局面だけ。それすら持ちすぎの傾向。
2005年12月02日(金) |
Jユース杯 決勝トーナメント 展望 |
清水エスパルスユース
予選リーグDグループ2位、10年連続10回目(決勝トーナメント進出)[静岡県] 監督・行徳 浩二
主将山本真希のトップ合流。今期前半戦はそれに尽きる。彼が不在のプリンスリーグで苦戦の続いたが故に、彼が戻ってきた試合でも山本依存体質を改めることができず、結果、プリンスリーグ発足3年目にして、初めて高円宮杯出場を逃した。クラブ選手権は東海大会優勝で2年ぶりの出場を決めたが、全国大会は過密日程を憂慮して山本抜きを決定。暗雲が立ちこめた。 だが、大会では試合を積み重ねる度に若いチームが成長、その後二冠を達成することになるヴェルディに延長残り5分で追いつかれ、PK戦で敗れたものの、大きな自信をつかんだ。その後の国体に参加した石垣・佐野克は、高体連選手と揉まれる中で闘争心を習得、直前に落選した長沢も3戦目の京都 (A) 戦以降、6試合連発9得点と名実ともにエースへ成長した。クラブ選手権準優勝の横浜FMとは、共に1−2で惜敗したが、グループ2位で決勝トーナメント進出。正式にプロ契約した山本から自立し、石垣を主将に頂点を目指す。
■選手名簿 別記参照方
■主力選手 ◇…U-17日本代表、○…静岡県国体少年選抜、#…二種登録 02:石垣 勝矢 (3年) DF 183cm/70kg 720分出場3得点 ○ 主将。県選抜で今年、大きく成長。空中戦の強さはそのままに、質の高いキックで起点にもなる。
16:山崎 晃太 (2年) GK 180cm/63kg 720分出場 # 怪我などで不在の前田に代わる。ぎこちなさは残るが、身体的成長に伴い、プレー内容が本格化。
03:佐野 克彦 (2年) DF 181cm/65kg 703分出場2得点 ◇○ 長身・俊足・知性・左足ロングキックと元来から備える高い資質が、県選抜を経て自覚を増した。
17:小泉 慶治 (2年) MF 168cm/58kg 596分出場 敏捷性に優れ、高速切返しと正確なクロスで果敢に挑む。今年、切込役を一手に担う貴重な存在。
18:渥美 直人 (2年) DF 166cm/57kg 579分出場 4バック移行に伴って、先発に定着。小柄だが運動能力に優れ、攻守にアップダウンを繰り返す。
04:桑原 卓哉 (2年) DF 174cm/65kg 571分出場2得点 1年来のレギュラー。調整性能に長け、緻密なキックと交錯しても怯まぬ体位バランスを有する。
05:高野 美臣 (3年) MF 171cm/65kg 565分出場2得点 今年DFからCHにコンバート。DF由来の激しい1対1で奪い、正確なクサビを前線に入れる。
11:長沢 駿 (2年) FW 189cm/72kg 556分出場9得点 ◇ クラ選以降、自信をつけて覚醒。展開の大きいポストで起点になり、ゴール前では冷静さがある。
13:柴田 和也 (3年) MF 165cm/60kg 537分出場1得点 退場と2度の出場停止以外はフル出場。精力的にボールを拾い集め、堅実に繋ぐ今年のキーマン。
20:町田 朋弥 (2年) FW 175cm/63kg 437分出場3得点 大会後半、長沢との抜群の相性で定位置を掴む。点取り屋だがプレー幅を広げ、利他的な選択も。
12:八木 和秀 (3年) MF 174cm/65kg 389分出場3得点 大会後半にかけて好調。常に相手の隙を狙う狡猾さがあり、高いスピードと技術でゴールを盗む。
26:佐野 諒 (1年) MF 165cm/45kg 284分出場 崩しのパスを出せる得難い存在として、1年ながら今年序盤から積極的に起用される。
----- 14:岩本 大 (2年) DF 181cm/70kg 255分出場 夏まで不動の3バックの一角。怪我で一時戦列を離れたが、カバーリング能力は随一。
15:神田 和哉 (2年) MF 173cm/60kg 228分出場 最近中盤の控えとして台頭。守備に課題も運動量は多く、ゴール前のアイデアが豊富。
09:篠田 悠輔 (3年) FW 170cm/64kg 184分出場5得点 2年生に遅れをとるが、点が獲れる状況での決定力は非凡。試合を決める際の切り札。
19:山崎 竜男 (2年) FW 177cm/62kg 173分出場1得点 春先好調も怪我もあってやや失速。体を張るのを厭わぬFWで、泥臭い得点が持ち味。
06:池田 康彦 (2年) MF 169cm/58kg 110分出場 昨年不動のレギュラー。今年は控えに回りがちだが、的確な寄せの早さに陰りはない。
01:前田 陽平 (3年) GK 182cm/70kg 不出場 # プリンス東海正GK。怪我などでチームを離れていたが、最近復帰。プレーが大きい。
■出身現役Jリーガー・チームプロフィール 平松康平、市川大祐、太田圭輔、村松潤、高木純平、杉山浩太、山本海人、鈴木真司、枝村匠馬、山本真希(清水)、野澤洋輔(新潟)、池田昇平 (広島)、鈴木隼人、鶴田達也 (甲府)、阿部文一朗 (鳥栖)
■出場までの軌跡 07月24日:○4−0 ヴァンフォ甲府 (H) 得点:町田2、山崎竜、石垣 08月28日:○5−0 ヴァンフォ甲府 (A) 得点:石垣2、桑原卓、八木、佐野克 09月03日:○1−0 京都サンガ (A) 得点:長沢 10月29日:○6−2 横浜FC (H) 得点:長沢3、佐野克、篠田、柴田 11月03日:●1−2 横浜Fマリノス (A) 得点:長沢 11月06日:○5−0 京都サンガ (A) 得点:八木2、長沢、町田、篠田 11月13日:●1−2 横浜Fマリノス (H) 得点:長沢 11月20日:○8−0 横浜FC (A) 得点:篠田3、高野2、長沢2、桑原卓
■試合展望 ■ベガルタ仙台ユース(Bグループ2位:5勝1敗、初出場(決勝トーナメント進出)) 最近の大会:04年高円宮杯 ・プリンス東北敗退 (4位) 04年クラブ選手権・予選グループ敗退 (Dグループ2位) 03年Jユース杯 ・予選リーグ敗退 (Bグループ3位) 最近の対戦:○1−0 2003.07.30・クラブ選手権予選グループ 対戦の予定:12月11日(日) 13:00 宮城スタジアム
ベガルタ仙台ユース: −−−−−−−−宮崎−−−−−−−− −−岩田−−橋浦−−村中− 佐藤悠 − −−−−−−菅原−−竹内−−−−−− −−−−奥埜−−−−−−山崎−−−− −−−−− 鈴木勇−佐藤豪 −−−−−
−−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−八木−−−−−−−−−−小泉−− −−−−−−− 佐野諒 −−−−−−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−− − 桑原卓 −高野−−柴田−−小泉−− − 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−− −−−−佐野−−石垣−−岩本−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 清水エスパルスユース:
仙台は昨年、共にユース強化に本腰を入れ、イタリア人監督トゥミアッティ氏を招聘するとともに、宮城の地元クラブから秋田・山形・福島・千葉・長野・石川にまで、各地から集めた今年の2年生 (昨年の新入生) は、実に23人。更に今夏、鈴木弾が郡山の高校から移籍、層をますます厚くしている。予想布陣に8人が並ぶ2年生を中心に、トゥミアッティ氏の後を継いだ山路監督が全員攻撃・全員守備をモットーとして、初の決勝ト'A1璽淵瓮鵐反塀个鮴・型襪欧拭が 私は今年夏まで日本にいなかったため、あくまで伝聞情報・が、システムはオーソドックスな4-4-2。GKキャンプに選出された183cm宮崎を最後尾に、人に強い村中、読みの橋浦の三角形は不動で、基盤となる。中盤の要は小山だが、彼が引退している場合、元U-14NTC竹内が代役を務める。共に汗をかくことを厭わず、的確な寄せのできる選手だ。先発予想の中で唯一の1年生、奥埜はU-16代表/U-16NTCで、スピードと足技を駆使する仕掛け人。献身的に動く左の山崎は、今年の仙台を象徴する存在だ。 エースで主将の佐藤豪は185cm/78kgの大型FWで、ポストからフィニッシュまで務める攻撃の核。FWには、因縁深いエスペランサいわき出身の鈴木勇と鈴木弾も控える。万能型の鈴木勇と神速の鈴木弾には、(主に岩本が) 手を焼かされた。セットプレーは、両SB、岩田の右足と佐藤悠の左足に任されることが多い。
対する清水は今年、天皇杯四強監督である行徳氏が再任。氏はトップ経験を元に、足下で止めて足下へ蹴る基礎技術と、攻守で1対1に負けないことを求めた。ユース年代では、適当にスペースに蹴り込んでミスを誘ったり、逆に相手に持たせてミスが出るのを待ってボールを奪ったりするが、実はとても有効なのだが、それと一線を画した格好だ。秋口から4-4-2に取り組んでいるが、守備重視の3-5-2を採用する可能性もある。4-4-2の場合、左SHに好調の八木を起用するものと思われるが、一時怪我で離脱していた岩本を最終ラインに入れることも考えられる。その場合は、佐野克が左SBに回り、桑原卓が一列上がる。GKに前田、右SBに桑原彬の選択もあるが、ほかはほぼ不動だろう。 空中王者石垣と長身俊足の佐野克の静岡選抜コンビがチームの礎。181cm岩本は勿論、桑原卓・渥美も競り合いに強いが、スピードと技術のある鈴木勇には警戒が必要だろう。中盤はユースの伊東輝悦・柴田と、闘争心溢れる高野の3年生二人組。仙台は前線からの守備が徹底されたチームであり、ここでより頑張れた方が主導権を握るだろう。 左が八木であれ桑原卓であれ、4-4-2であれ3-5-2であれ、清水の仕掛人が右の小泉であることに変わりはない。対面する仙台の山崎も攻撃的な選手なので、ここの引っ張り合いが勝敗を分ける。FWはすっかりエースの風格が出てきた長沢に、彼のベストパートナーとして名乗りを上げてきた町田。仙台の185cm佐藤豪と清水の189cm長沢、どちらが前線で起点となり、点を決められるか。サブに控える篠田も、横浜FC戦24分間ハットトリックで調子に乗る。MFが点を獲るチームではないだけに、FW陣には一層の奮起が求めたい。
アウェイで、しかも寒さの厳しい東北での試合ということもあり、環境は厳しい。行徳監督は2年前の天皇杯で12月の仙台を経験しているが、選手ははじめてだろう。2年前のエスペランサいわきもそうだが、昨年の青森山田高、3年前の仙台育英高と苦杯を嘗めたこともあり、東北勢のレベルは上がっている。選手が一番分かっていることとは思うが、心して緒戦に臨んでもらいたい。
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