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2005年11月20日(日) Jユース杯 横浜FC戦 (A)

05年11月20日 (日) 10:30開始 日産フィールド小机
 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会
 対 横浜FCユース (A) ※45分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:                後半37分〜41分:
−−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−篠田−−長沢−−−−−−
−−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−−−谷野−−
−−−−−−高野−−柴田−−−−−− −−−−−−高野−−柴田−−−−−−
− 桑原卓−佐野克 −石垣− 桑原彬 − − 佐野克 −鍋田−−石垣−−渥美−−
−−−−−−−−吉田−−−−−−−− −−−−−−−−吉田−−−−−−−−
控え:山崎晃、鍋田、渥美、池田、神田、谷野、篠田
交代:後半11分:八木 →谷野 (柴田を左SH、谷野をCHに)
   後半21分:町田 →篠田
   後半21分:小泉 →渥美
   後半37分:桑原彬→鍋田 (上記参照)
   後半42分:高野 →池田

横浜FCユース:
先発:                後半40分〜:
−−−−−−−−06−−−−−−−− −−−−−−−−09−−−−−−−−
−−−−−−18−−07−−−−−− −−−−−−13−−10−−−−−−
−−17−−16−−23−−14−− −−17−−08−−23−−14−−
−−−−19−−04−−02−−−− −−−−05−−04−−19−−−−
−−−−−−−−12−−−−−−−− −−−−−−−−12−−−−−−−−
交代:前半28分:18→10
   前半32分:02→05 (19を右CB、05を左CBに)
   後半00分:06→09
   後半40分:16→08
        07→13


▼試合展開

 Jユースカップ最終戦。清水は既にグループ2位が決まっているため、消化試合ともいえるのだが、GKに吉田、右SBに桑原彬を起用したほかは、前節と同じメンバーを並べた。控えにレギュラー・準レギュラー格の岩本・佐野諒・山崎竜ではなく、出番の少ない鍋田・池田・谷野を入れたが、さほどリスクのある選択ではないだろう。決勝トーナメントに向けて、ベースは崩したくないといったところか。横浜FCの方は、前回の対戦から何人か入れ替えてきたようだが、選手名が分からないので評価しづらい。

[前半]
 横浜FCは、5−4−1とも言える引き気味の布陣。スペースがないため速いパスを要求され、しかも少しでもパスと動き出しがズレれば、相手に引っ掛かるか、タッチラインを割ってしまう。それならば定石通り、比較的網目の薄いサイドから攻撃。6分、CB佐野克から左SB桑原卓がクサビを入れ、受けたFW町田がサイドチェンジ。右SH小泉が飛び出し、クロスに起点となった町田が飛び込むが、僅かに右へ外れた。その後もDFに密着されるFW長沢が、球離れの速いポストプレーで中央で起点になり、左右の八木・小泉がサイドから仕掛ける。その流れでCKを奪い、8分に石垣、10分に佐野克がヘディングシュートを放つが、徐々に横浜FCに修正され、サイドにもスペースがなくなってきた。
 試合は膠着の様態に。ならば速いタイミングで相手の守備が整う前に攻めようと、17分、CH高野のクサビを受けた長沢が、切り返しでDFを外してミドルは、枠左。ただのポストプレイヤーでなく、個人技で積極的にシュートを狙える点が、今年長沢の成長した部分だ。27分、左から佐野克、桑原卓、高野と素早く回し、縦パスを長沢が1タッチスルーパス、町田のシュートはGKが弾く。32分、パスカットした桑原卓が、ふわりと裏に入れた長いパス、町田が飛び出してボレーを撃つが、ファーに外れる。ただ、基本的に清水がボールを支配している以上、「相手から奪って」ファーストブレイクという機会が、そう多くあるわけではない。手詰まりの事態が続いた。

 34分、中盤中央でボールを奪った高野がクサビを縦に入れ、自らも縦に攻撃参加。受けた長沢はDFを背負い、振り向けない状態だが、クサビに入ったボールを浮かせて後方に流す。ボールは右、長沢はそれから反転してゴール左へ。受けた小泉は縦に突破すると、高い敏捷性で急速方向転換、DFを抜き去り、ラストパスをゴール前に小さく転がす。ファーの長沢、ニアに町田、空いた中央にいたのは高野。軽妙にボールを流し込み、遂に清水が先制、1−0。縦に素早く攻めるファーストブレイクと、後方からCHの攻撃参加という相乗効果による先取点だった。
 得点後も状況はあまり変わらない。守っては1対1で殆ど負けない4バック、たまに裏をとられても佐野克が「競走」で追いついてしまい、30分にCKのクリアボールを19番に、38分にDH16番に遠目から枠外へシュートを撃たれたのみ。だが、攻めては横浜の人数と運動量に攻め倦んでいる。36分に左サイドから八木、町田と繋いで長沢は枠上。37分、佐野克のサイドチェンジで右サイドから小泉のクロスを町田がPA内でスルー、長沢がシュートを放つがDFにブロックされる。ロスタイムにファーストブレイクの機会を掴み、高い位置で奪った小泉を右SB桑原彬が追い抜いて右クロス、長沢が頭で合わせたがGKキャッチ。1−0のまま、前半を終えた。

横浜FC      清水エスパルスユース
2(0) シュート 14(6) ×町田、×石垣、○克彦、○小泉、×長沢、×柴田、○町田、○町田、×町田、◎高野
               ×長沢、×町田、×高野、○長沢
1(0) 右クロス 10(5) ○小泉、×小泉、×小泉、○高野、×高野、○小泉、×長沢、×小泉、○小泉、○小泉
1(1) 左クロス 8(1) ×八木、×桑卓、×桑卓、×八木、○八木、×克彦、×桑卓、×八木
1(0) 右側CK 2(1) ○八木、×八木
1(0) 左側CK 2(1) ×八木、○八木
1(−)  犯OS  3(−) ・長沢、・長沢、・小泉
4(0) ファウル 6(0) ・桑彬、・克彦、・町田、・高野、・高野、・桑卓

[後半]
 開始4分、横浜のロングボールを処理したCB石垣が、下がっていた横の高野にボールを渡し、攻撃開始。少し持ち上がった高野は縦にクサビ、CH柴田が受けて更に縦パス、町田が受けて…と思わせてスルー、その先で長沢が受けて反転、寄せてきたDFの股を抜いてスルーパスを送ると、既にPA内。駆け込んだ町田が、ラストパスをゴール前に小さく転がす。そこにいたのは高野。軽快にボールを流し込み、2−0。自陣PA前から相手PA内まで、一息に攻撃を完遂した。一方の横浜は8分、最大のチャンス。速攻からFW10番が俊足を飛ばし、一気に右サイドを突破。斜めにPA右角へ戻したボールを右WB14番がシュートにいったが、GK吉田の手をかすめ、僅かにゴール左へ逸れた。
 その後、試合はまたも沈滞。ボールを持つ清水は、サイドの仕掛けが乏しく、攻撃の糸口すら掴めずにいた。この状況を見て行徳監督は11分に谷野、21分に篠田、続けて渥美を投入、選手に刺激を与える。すると22分、左サイドで相手DFから長沢がボールを奪い、CH谷野が繋いで高野がミドル、枠上。8分の場面以来、両チームともシュートすらなかった試合が再び動き始める。26分、石垣がやや厳しいファウルの判定を受け、PA左角手前から横浜のFK。10番が直接ゴールを狙うが、これは余裕を持ってGK吉田がキャッチ。と、素早く動き出した石垣にスロー。石垣は右足インに掛けたロングフィードを送る。左スペースに抜け出した篠田はゴールに向けて方向転換、急加速でDF1枚抜き去り、力強い踏み足から右足シュート。ゴール右に突き刺した。3−0。

 横浜はこの試合、出だしから精力的にプレスを掛けて清水のパス回しを遮断、前半28分、32分、後半0分と選手を入れ替え、スタミナを補給していた。だが、この3点目のゴールで、体力的にも精神的にも完全に「キレ」てしまう。ここまで相手の組織を崩すのに苦労していた清水だが、横浜が自ら組織を崩しているありさまに。あわせて清水の課題も、「相手を如何に崩すか」から、「確実に点を決められるか」に変わる。そして、この課題の答えを持っているのが、篠田悠輔という男だ。35分、佐野克の斜めに80Mサイドチェンジを受けて右SH渥美がクロス。これはDFがクリアするが、浮いたボールをPA手前で控えていた高野が、ダイレクトでPA内左へパス。CBの大外でフリーになっていた篠田が、鋭角から正確に左足ボレーをファーに決めた。4−0。
 35分、サイドに開いた位置で左SH桑原卓がボールをカット、と、ふわりとDFの裏に入れた長いパスを入れる。PA手前中央にいた長沢がアイコンタクトで反応、いち早く斜めにニアへ抜けて足下で受けると、GKを右足インサイドフックで外し、左足で流し込んだ。5−0。39分、中に絞った位置で桑原卓がクサビのパスを中央の篠田へ、が、これをスルー、クサビのパスをスルーパスに昇華させた。彼の右を遅れて走る長沢が追い越し、GKと1対1を丁寧に決めて、6−0。ロスタイム (45分)、横浜9番のオフェンスファウルで自陣からFK。石垣?の蹴ったボールに触れたのは横浜DFだが、ヘッドを後逸する手痛いミス。左大外の桑原卓がそれに応じ、角度のない位置から左足ボレーでゴール。7−0。普段、セットプレーでは、上がる石垣・佐野克・岩本らに代わって守備に回る桑原卓、巡ってきた機会を活かした。

 ハットトリック、リーチ3人。ロスタイム (47分)、相手ゴールキックを佐野克?が跳ね返すと同時に、左スペースに篠田が走り出す。飛び出したGKをPA内で縦に抜くが、すぐにDFが寄せてきてコースを塞がれる。進路窮まった篠田は転回、PA内中央へ向かう。この男、ハットの懸かった状態で、味方にパスする気など毛頭ない。途中、戻ってきたGKをもう一度抜いてコースを空けさせ、まんまとハットトリック達成。8−0。そして、試合終了。最後は26分の篠田の得点以後、放ったシュートが全てゴールになるという、壊れた展開であった。

横浜FC      清水エスパルスユース
3(2) シュート 12(8) ○柴田、◎高野、×長沢、×谷野、×柴田、×高野、◎篠田、◎篠田、◎長沢、◎長沢
               ◎桑卓、◎篠田
2(0) 右クロス 7(2) ×高野、○八木、○高野、×渥美、×渥美、×渥美、×柴田
0(0) 左クロス 2(0) ×八木、×克彦
1(0) 右側CK 1(0) ×八木
0(0) 左側CK 2(0) ×谷野、×谷野
0(−)  犯OS  1(−) ・篠田
7(1) ファウル 8(1) ・八木、・小泉、・小泉、・町田、・篠田、×石垣、・柴田、・谷野


▼試合結果

清水エスパルスユース 8−0 横浜FCユース
 得点:前半34分:清水・高野 美臣 (小泉 慶治・ショートパス)
    後半04分:清水・高野 美臣 (町田 朋弥・ショートパス)
    後半26分:清水・篠田 悠輔 (石垣 勝矢・ロングフィード)
    後半35分:清水・篠田 悠輔 (高野 美臣・スルーパス)
    後半36分:清水・長沢 駿 (桑原 卓哉・スルーパス)
    後半39分:清水・長沢 駿 (桑原 卓哉・スルーパス)
    後半44分:清水・桑原 卓哉 ※相手クリアミス
    後半44分:清水・篠田 悠輔 ※ドリブルシュート
 警告:後半44分:横浜・09番  ※異議


▼選手寸評

[私撰MVP]
●高野 美臣 (3年・CH)
 元FW (少年団時代) の本領発揮の2得点。最近、妙にドリブルが巧い。盛んにサイドに回って三角形の頂点の一つになり、パスコースを増やし、低く速いボールを正確に足下へ蹴って攻撃を厚くした。守備では盤石の1対1で相手の突進を止めた。

[私撰MIP]
●篠田 悠輔 (3年・FW)
 ゴール前にすらスペースのある状況で投入すれば、こんなもの。足が止まったDFを急加速と急停止で更に痛めつけ、ひとたびマークが離れれば、本当に基本に正確なフォームでステップからシュートにまで至った。最近は前線のプレスも悪くない。

●桑原 卓哉 (2年・左SB→左SH)
 攻守で相手と交錯しても体勢を全く崩さず、自然とこぼれ球を拾うのは天性。N氏の評にあるが、彼はサイドからクロスという単純な仕事をしている時よりも、内に入って視野を確保した時の方が、豊富なキックの種類を有効に使えている気がする。



2005年11月13日(日) Jユース杯 横浜F・マリノス戦 (H)

05年11月13日 (木) 14:00開始 藤枝市総合運動公園 サッカー場
 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会
 対 横浜F・マリノスユース (H) ※45分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:                後半31分〜:
−−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−篠田−−長沢−−−−−−
−−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 山崎竜 −−−−−−−−−小泉−−
−−−−−−柴田−−高野−−−−−− −−−−−−柴田−−高野−−−−−−
− 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−− − 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−−
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
控え:吉田、岩本、桑原彬、神田、佐野諒、篠田、山崎竜
交代:後半19分:町田→山崎竜
   後半27分:八木→篠田
   後半31分:篠田と山崎竜をポジションチェンジ

横浜F・マリノスユース:
先発:                後半43分〜:
−−−−−−斉藤−−HM−−−−−− −−−−−−斉藤−−木村−−−−−−
−−−−幸田−−−−−−富井−−−− −−−−富井−−−−−−加藤−−−−
−−−−−−三浦−−山岸−−−−−− −−−−−−三浦−−山岸−−−−−−
−−田代−−藤川−−佐藤− 奈良輪 − −−田代−−藤川−−佐藤− 奈良輪 −
−−−−−−−−秋元−−−−−−−− −−−−−−−−秋元−−−−−−−− ※HM=ハーフナー マイク
交代:前半08分:富井と幸田をポジションチェンジ
   後半37分:幸田→木村
   後半43分:HM→加藤 (木村をFW、加藤を右OHに)


▼試合展開

 三つ巴の争いになっているグループDは、3戦終えて横浜FM3勝、清水2勝1敗、京都3敗。が、土曜日に京都が甲府に敗戦してしまい、この試合を前に横浜FMと清水の勝ち抜けが決まってしまった。清水はこの試合に勝って初めて、1位通過と決勝トーナメント1回戦のホーム開催権の望みを繋ぐことができるが、それすら得失点差の関係で横浜FMの優位は揺るがない。位置づけの難しい試合になったが、5年前のクラブ選手権Jユースカップ以来、この対戦が凡戦となったことはないので、今回も期待だ。 (あ、4年前のJユースカップは例外)。2年前には、ユース年代トップクラスの試合にも関わらず、同日開催の静岡県高校選手権決勝との注目度の差を嘆いた筆者だが、この日は両クラブサポーターが数多く来場。熱い声援で試合を盛り上げた。

 怪我人と出場停止明け選手が、ほぼ全員戻ってきた清水。強豪相手に守備重視の3バックも考えられたが、怪我明けの岩本よりも、好調の八木・渥美の起用を選択して4バック。前回機能した長沢と町田の2トップに、CHは3年生コンビに変更。両CBが石垣・佐野克と前に出て強いタイプなだけに、ハーフナーより斉藤への対処がポイントとなる。一方の横浜も、前回機能した幸田投入後の布陣がベース。将来を嘱望される2年生長身DF・田代が戻ってきたが、彼を左SBに置いて藤川を1つ中に入れる選択をした。長谷川アーリア・ジャスールこそいないが、長身DFが揃う清水相手には、むしろこれがベストと言えるかもしれない。

[前半]
 一度対戦し、相手の特徴を掴んでの試合。清水は相手の生命線、奈良輪−富井の右サイドをきっちり抑え、自分たちの突破口である右SH小泉にボールを集める。苦しいときの小泉頼りという精度の低いボールも多かったが、横浜の180cm左SB、田代のロングボール対応が怪しく、序盤の主導権を握ることに成功。4分、小泉の突破で得た渥美のロングスローをFW町田がPA内でキープ、FW長沢が入れ替わりつつオープニングシュート。10分、桑原卓の左スローインを受けた長沢が右SB奈良輪の裏にボールを落とす。受けた左SH八木は斜めに左へ開く町田を囮に、交差して中央に切れ込むと、低く速いクロスをファーに小泉が駆け込んでシュート、だがGK秋元にCKへディフレクトされた。横浜は攻撃の核、富井を左へ回し、左右バランスの改善を図る。
 その後は横浜が持ち直し、18分にゴールキックをFWハーフナーが競り合い、こぼれ球を拾った三浦から、巧妙にコントロールしたスルーパスでFW斉藤が初シュートを記録。24分、スローインを右から奈良輪、OH幸田と繋ぎ、左OH富井がCH高野を抜き去ってPA内へ。しかし、左右から右SB渥美・CB石垣が着実にコースを限定、撃たされたシュートはGK山崎晃がパンチングで弾き返す。28分、田代のロングフィードから斉藤が抜け出すが、CB佐野克が横からコースを完璧に切って、シュートをGK山崎晃キャッチ。横浜はハーフナーが前線で核になれず、後方から最短距離のパスで斉藤を走らせるか、セットプレーでしか攻撃を創れず、展開が単調。それで好機に繋がるのは、個の能力の証明とも言えるが。

 対する清水は、長沢と町田が交互に両SHと連携、サイドを崩しに掛かるが、中央の人数が足らず、クロスはGK秋元の支配下に置かれる。左右奥深くまで侵入し、CKも数多く奪うのだが、せっかく180cm超を3人揃えながら、そのまま秋元にキャッチされる場面が多い。それでも32分、ゴールキックを八木が落とすと、思い切りよく狙った長沢の30Mミドルから再びペースを掴みだし、37分、桑原卓が戻したボールを受けた佐野克が、ハーフナーを抜き去って中央を持ち上がって、長距離スルーパス。ウェーブの動きで抜け出た長沢がシュートを放つも弱く、GK秋元キャッチ。38分、高野がゆっくり中央を上がり、長い距離を走った桑原卓へロングフィード、早いタイミングのクロスに町田が飛び込んだが、ニアに外れる。39分、ゴールキックをカットした八木を起点に長沢が左に流し、八木のクロスをファーで168cm小泉の慣れないヘッドは、枠に飛ばなかった。
 横浜も40分、富井の左CKをファーでハーフナーが頭で叩き付けたが、枠内に収まらない。その後はDH山岸のミドル (枠上) があった程度で、前半終了。ポゼッションサッカーの清水と堅守速攻の横浜という対照的な試合だが、長沢が基準点として機能し、奈良輪・田代を押し込んだ分だけ清水有利。それだけに、7度のCKを活かせなかった点が悔やまれる。

横浜FM      清水エスパルスユース
7(3) シュート 9(5) ×長沢、○小泉、○石垣、○八木、×八木、○長沢、○長沢、×町田、×小泉
2(1) 右クロス 4(0) ×小泉、×渥美、×渥美、×小泉
6(0) 左クロス 9(4) ×八木、○町田、×八木、×八木、○桑卓、×桑卓、×桑卓、○桑卓、○八木
1(0) 右側CK 3(1) ×八木、○八木、×八木
2(2) 左側CK 4(0) ×八木、×八木、×八木、×八木
3(−)  犯OS  0(−)
7(0) ファウル 3(0) ・八木、・町田、×八木

[後半]
 後半キックオフは清水ボール。長沢・町田が石垣にボールを下げると、右に開いた小泉の足下へ中距離パス。小泉は少しキープして内側に上がってきた高野に戻すと、ダイレクトでスルーパスが送り込まれた。田代と藤川の間に抜け出すは町田、CB藤川が内側から体を寄せるが、強引に突破する町田にPA内で弾き飛ばされ、転倒。笛はなし。GKと1対1になった町田が小さく中に戻すと、長沢が美味しくご馳走をいただき、1−0。続けざまに1分、小泉の小さなクサビを町田が右に叩き、右SB渥美がライン際を疾走する。田代の裏を独走した渥美が余裕を持ってのクロスに、大外からフリーで八木が飛び込んだが、左足ボレーはニアサイドネットの外側。横浜も4分、PA左角手前で斉藤がルーレットからスルーパス、狭いところを山岸がPA内に抜け出たが、シュートはニアに外れた。
 試合が慌ただしくなる中、清水は5分のFKのチャンスにクイックリスタートを選択しながら、桑原卓のオフサイドでむざむざ無駄にしてしまい、長沢が「落ち着こう!」と声を掛ける。そう、リードしている方が一緒になって展開を速める必要はないのだ。気持ちを切り替えた清水が、いつもどおりのサイドを使うサッカーを繰り広げるようになった10分、左に開いてボールを受けたハーフナーがターンから石垣を縦に突破して左クロス。これはGK山崎晃がパンチングでPA外に弾くが、幸田が走り込む。しかし、小泉が背中でシュートをブロックし、左CKへ。富井のキックは再びGK山崎晃がパンチングでPA外に弾くが、幸田が今度は左に叩く。富井の速いグラウンダーのクロスが、DFに当たってコースが変わる。GK山崎晃、ライン上でボールを手で押さえたが、迫り来た佐藤が無理に押し込み、1−1。同点。

 同点に追いつかれた清水だが、一度落としたギアをシフトアップできず、勢いに乗る横浜に出足で劣るようになる。こういう場合に有効なのが選手交代だが、相変わらず最短距離でゴールに迫る横浜に対して守備の方は崩されていないので、大幅に組織を変えるのを躊躇したのか、19分に山崎竜、27分に篠田と前を入れ替えるに留まった。ただ、2人とも連携面で課題を残し、攻撃が単発で終わりがちになる。攻める横浜は、19分にハーフナーが競ったボールを山岸が頭で裏に押し出し、ハーフナーが飛び出してシュートは上。22分、PA内でハーフナーのプルプッシュからターンシュートも枠上。24分、奈良輪に対して八木がファウル、右サイド高い位置から富井のFKをハーフナーの裏で斉藤のヘッドは枠右。でも、マリノスサポーターは「マイク」コール (笑)。どうでもいいが、マリサポは「マイク」と「陽介」コールばかりなので、他の選手がちょっと可哀想だった。
 守勢の清水は26分、佐野克のサイドチェンジから渥美の右クロスのクリアで左CKを得ると、八木の速く低いキックをニアで長沢が突っ込むが合わず、更にファーに抜けたボールに石垣がフリーで駆け込むが、後一歩追いつかない。横浜は32分、田代の50M対角線フィードで幸田がPA右に抜け出たが、シュートは上に外れる。このあたりから、前線の篠田の活発な動きで、前のスペースに高野や桑原卓が飛び出せるようになり、また横浜にファウルが増え始め、拮抗した状況に。すると42分、左SH山崎竜が戻したボールを内寄りで受けた桑原卓が、寄せてきた右OH木村の股を抜いて斜め前にパスを入れるが、その先に山岸がいた痛恨のミス。縦パスを受けた富井のスルーパスに、抜け出たのは斉藤。GK山崎晃が一呼吸早く前に出たかに見えたが、PKを恐れたか一瞬の逡巡。先に追いついた斉藤が中途半端な位置の山崎晃の肩越しにゴールを決め、1−2。

 連続逆転負けはご免だと、清水は攻めの圧力を増すが、横浜の前線から体を張った守備の前に攻め倦む。そして、ロスタイムも2分経過、と、ここまで安定したセービングをしてきた秋元が驚愕のゴールキックミス。FW篠田がカットし、小さく左の長沢に叩くと自らは藤川の右外に回る。長沢は体を寄せるCB佐藤と競り合いつつ、GK秋元をよく見てラストショット。左足で放ったシュートは、GKのリズムを外した見た目以上に難しいシュートだったが、GK秋元も体勢を倒して足で食い止め、何とか自作自演に終止符。そして、次は高く蹴り上げたゴールキックで試合終了。個々の力では決して負けてたとは思えなかったが、2試合とも同じ結果になるだけの差が確かにそこにはあった。それは体力かもしれないし、精神力でもあるし、経験の差だろうし、戦術の現実性とも言えるだろう。

横浜FM      清水エスパルスユース
9(4) シュート 3(2) ◎長沢、×八木、○長沢
5(1) 右クロス 5(2) ○渥美、○渥美、×高野、×渥美、×高野
3(0) 左クロス 4(0) ×町田、×八木、×克彦、×克彦
0(0) 右側CK 1(0) ×高野
1(0) 左側CK 2(0) ×八木、△篠田
1(−)  犯OS  6(−) ・桑卓、・八木、・長沢、・長沢、・渥美、・竜男
7(2) ファウル 4(1) ×石垣、・町田、・柴田、・八木


▼試合結果

清水エスパルスユース 1−2 横浜F・マリノスユース
 得点:後半00分:清水・長沢 駿  (町田 朋弥・ショートパス)
    後半10分:横浜・佐藤 由将 ※こぼれ球
    後半42分:横浜・斉藤 陽介 (富井 英司・スルーパス)
 警告:後半24分:清水・八木 和秀 ※ラフプレイ
    後半37分:横浜・田代 真一 ※ラフプレイ
    後半40分:横浜・ハーフナー ※ラフプレイ


▼選手寸評

[私撰MVP]
●石垣 勝矢 (3年・CB)
 完勝とはいかなかったが、今日もハーフナーを体で弾き飛ばし続け、対戦戦績3戦全勝。低くて速い質の高いロングフィードだけでなく、奪った後で小さく繋ぐパスも判断が良く、中盤を相手に支配された状況の中でも波状攻撃を許さなかった。

[私撰MIP]
●長沢 駿 (2年・FW)
 見る度に成長を感じさせる旬の選手。得点自体は町田のプレゼントだが、空中戦・ポストプレー・周囲を見渡す広さ・裏に抜け出す速さ・中距離シュートの技術と、プレー幅を大きく広げつつある。体格に頼るプレーも、頼らないプレーも良い。

●桑原 卓哉 (2年・左SB)
 失点に繋がるパスミスはいただけないが、クラ選MIP奈良輪を抑えた点を高く評価。ポジショニングの頭の良さや冷静に繋ぐ足技にも優れるが、例えハーフナーと競り合っても、その後すぐ次のプレーに移る体勢調整能力の高さが最大の魅力。

[相手方好印象選手]
●三浦 旭人 (3年・DH): プレスと正確な繋ぎで貢献する横浜の燻し銀は、衰えぬ体力で柴田を上回り、中盤を支配した。
●秋元 陽太 (3年・GK): キャッチング能力に長け、生半可なシュートやクロスは一次攻撃で封鎖。フィードの質も高い。



2005年11月12日(土) JY: 高円宮杯 東海予選 豊里中戦

Jrユース
 05年11月12日 (土) 14:30開始 名古屋市港サッカー場
 高円宮杯 第17回全日本ユース (U-15) サッカー選手権東海大会
  兼 第37回東海地区中学生サッカー選手権大会
 対 豊里中学校 ※30分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:                後半22分〜:
−−−−−−鍋田−−前田−−−−−− −−−−−−池上−−前田−−−−−−
− 佐野傑 −−−−−−−−−柴原−− − 佐野孝 −−−−−−−−−吉川−−
−−−−−−杉山−−西澤−−−−−− −−−−−−西澤−−柴原−−−−−−
−−曽根− 望月恭 −深澤− 望月卓 − −−曽根− 望月恭 −深澤− 望月卓 −
−−−−−−−−柴田−−−−−−−− −−−−−−−−柴田−−−−−−−−
控え:望月、岩崎、狩野、青木、吉川、佐野孝、池上
交代:後半00分:杉山 →吉川  (柴原をCH、吉川を右SHに)
   後半10分:佐野傑→佐野孝
   後半22分:鍋田 →池上

豊里中学校:
先発:                後半22分〜29分:
−−−−− 斉藤彰 −加藤−−−−−− −−−−− 斉藤彰 −冨田−−−−−−
−−秋月−−−−−−−−−−中山−− −−秋月−−−−−−−−−−加藤−−
−−−−−−大脇−−北村−−−−−− −−−−−−大脇−−北村−−−−−−
−−松岡−−程岡−−海野−−中川−− −−松岡−−程岡−−海野−−中川−−
−−−−−−−−尾崎−−−−−−−− −−−−−−−−尾崎−−−−−−−−
  交代:前半15分:中山 →冨田  (加藤を右SH、冨田をFWに)
     後半11分:斉藤彰→中山  (加藤をFW、中山を右SHに)
     後半22分:中山 →斉藤彰 (加藤を右SH、斉藤彰をFWに)
     後半29分:中川 →上野
          大脇 →斉藤奨

▼試合展開
[前半]
25分、清水、DFが高くクリアしたボール、リフティングをした鍋田が、掬い上げるように中央25Mドライヴシュート、1−0

豊里中学      清水エスパルス
1(1) シュート 15(10) ×前田、○前田、×鍋田、○前田、×柴原、○鍋田、○西澤、○前田、×前田、○佐傑
               ○柴原、×杉山、○鍋田、◎鍋田、○前田
2(0) 右クロス 4(2) ○柴原、×柴原、○鍋田、×柴原
1(0) 左クロス 8(3) ×鍋田、×曽根、○曽根、×杉山、×佐傑、○西澤、○佐傑、×佐傑
1(0) 右側CK 0(0)
1(1) 左側CK 2(0) △佐傑、×佐傑
1(−)  犯OS  3(−) ・前田、・前田、鍋田
1(0) ファウル 2(0) ・西澤、・佐傑

[後半]
21分、豊里、右スローインから加藤が単身抜け出すと、PA内ゴールライン際で小さく戻したボールに冨田が突っ込む、1−1
23分、清水、自陣右スローインを西澤が右前に叩き、フリーの吉川がDFの裏にアーリークロス、前田が右足を合わせ、2−1
28分、清水、空中戦に競り勝った望月恭が自ら拾って中心円からスルーパス、池上がPA前左60度からGK上へループ、3−1
30分、清水、吉川から右に開いて受けた前田がフェイントでDFを誘い、急加速でPA内、小さく戻して吉川がボレー、4−1

豊里中学      清水エスパルス
1(1) シュート 18(12) ×柴原、×柴原、○前田、○前田、○西澤、○前田、×柴原、○鍋田、×曽根、◎前田
               ○吉川、×卓馬、○西澤、○前田、○孝洋、◎池上、×柴原、◎吉川
2(1) 右クロス 6(2) ×吉川、×西澤、×吉川、◎吉川、×池上、◎前田
0(0) 左クロス 6(1) ×西澤、×曽根、○孝洋、×孝洋、×前田、×曽根
1(0) 右側CK 1(0) △吉川
2(0) 左側CK 1(0) ×西澤
2(−)  犯OS  3(−) ・前田、・孝洋、・吉川
2(0) ファウル 1(0) ・鍋田

清水エスパルスJrユース 4−1 豊里中学校




 午前の試合で、名古屋グランパスエイトが岐阜VAMOSに2−1で勝利。その結果、清水エスパルス−豊里中を残して、グランパスが勝点6・得失点差3、清水が勝点4・得失点差3、VAMOSが勝点4・得失点差1、豊里中が勝点0・得失点差−7、となった。予選リーグ2位までが全国大会に出場できるから、清水は1点差での負け、または1点以上奪って2点差以内での負けならば、勝ち抜きが決まる。とはいえ、清水はCBに岩崎でなく深澤 (ゲームキャプテン) を起用した以外は、前2試合と同じスタメンを組んだ。

 序盤から清水は、至極低調。豊里左SH秋月の突破からCKを2つ奪われ、弱々しいものながら程岡に頭でシュートを許している。それでも、秋月以外には1対1で負けない清水は、自ら動かずに相手を待つだけで、ボールを刈り取ってしまう。ボールを奪えば、とりわけ西澤あたりは体で相手のプレスを跳ね返してしまい、自ら仕掛けてボールを失うことはあっても、相手に奪われることは殆どなかった。5分を過ぎると徐々にハーフコートゲームの様相を示しだす。
 だが、ボールを常に支配しながら動き出しが少なく、前田の個人技だけが、それもゴール前から離れた位置で目立つ展開となる。なまじ相手を簡単に抜けてしまうために、スペースを作り、スペースにパスを出し、スペースに別ポジションの選手が飛び出し、相手DFを分散させる…、つまり守備組織を崩す努力を怠っていた。例えドリブルで抜いても、それだけではシュートコースは限定され、また足の踏ん張りも効かないため、威力の低い枠内シュートが相次ぐ。このまま0−0で折り返すと思われたが、25分、鍋田の意表を突いたドライヴシュートで先制。それまでの無理にPA内へ侵入し、マークを引き連れながら撃ったシュートとは、対照的なゴールだった。

 後半の立ち上がりも甚だ低調。前半同様、立ち上がりに秋月の突破を許し、CKを3度与える。しかし、同様に「個」で上回る清水が押し込みだすが、やはり同様に守備組織を崩せない。定石であるサイドからの崩しが、殆どなかった。前半に比べ、前田がゴールに向かってプレーする回数が増えた分だけ効果は上がったが、前半が良いセービング練習になったのか、GK尾崎が素晴らしい反応でゴールを許さない。バックパスをGKがキャッチして得たPA内間接FKのチャンスも活かせず、"NOT HIS DAY" な前田が3度ほど決定機を外し続けると、逆に21分、豊里中が3度選手を入れ替えていた右サイドを起点に同点弾。残り9分、今日の内容では勝点1で御の字だと思われた。
 しかし、失点後一気に前線の動きが活発化、池上投入直後のスローインから勝ち越すと、続けざまに3得点。3点はいずれも自陣からの中長距離のパスに呼応して、前線の選手がスペースに抜け出し、GKの頭上に決めたものであった。怠慢癖というか、ボール回しとドリブルショーで自己満足してしまった50分間と、残り10分の爆発力。良くも悪くも、このムラの大きさがこのチームの愛すべきところなのかもしれない。


▼個人的好印象選手

 望月 恭平 (CB): 心 (=知) 技体で総じて安定。あらゆる攻撃手段の全てを跳ね返し、奪っては正確なパスで起点となった。
 池上 智視 (FW): 今大会、鍋田に先発を譲った男の意地。強い意志で精力的に動き、前線を活性させた。シュートも見事。



2005年11月06日(日) Jユース杯 京都パープルサンガ戦 (H)

05年11月06日 (日) 14:00開始 清水ナショナルトレーニングセンター J-STEP
 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会
 対 京都パープルサンガユース (H) ※45分ハーフ
 天候:雨

▼布陣
先発:                後半38分〜:
−−−−−−長沢−−町田−−−−−− −−−−−−長沢−−篠田−−−−−−
−−八木−−−−−−−−−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−−−神田−−
−−−−−−柴田−−神田−−−−−− −−−−−−柴田− 佐野諒 −−−−−
− 桑原卓−佐野克 −石垣−−渥美−− − 佐野克 −岩本−−石垣− 桑原彬 −
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
控え:吉田、岩本、桑原彬、池田、谷野、佐野諒、篠田
交代:後半15分:渥美→桑原彬
   後半18分:町田→篠田
   後半30分:八木→岩本  (桑原卓を左SH、佐野克を左SB、岩本をCBに)
   後半38分:小泉→佐野諒 (神田を右SH、佐野諒をCHに)

京都サンガユース:
先発:                後半31分〜:
−−−−−− 沈 −−隅田−−−−−− −−−−−− 沈 −−隅田−−−−−−
−− 関 −−−−−−−−−−大槻−− −− 森 −−−−−−−−−−大村−−
−−−−−−村田−−三戸−−−−−− −−−−−−村田−−三戸−−−−−−
−− 堀 −−高木−−伊藤−−杉野−− −− 旭 −−高木−−伊藤−−大槻−−
−−−−−−−−児玉−−−−−−−− −−−−−−−−児玉−−−−−−−−
交代:後半00分:杉野→大村 (大槻を右SB、大村を右SHに)
   後半20分:関 →森
   後半31分:堀 →旭


▼試合展開

 Jユースサハラカップは終盤戦へ。5チームで争うDグループだが、清水・横浜FM・京都の3チームが、甲府・横浜FCに対して常に3点差以上で全勝。決勝トーナメント進出2枠は、三つ巴の争いになっている。この3チームに絞れば2戦ずつ戦って、横浜2勝、清水1勝1敗、京都2敗。今後、この3チームが甲府・横浜FC相手に勝点を落とすことは考えづらく、清水が今日勝てば京都と2勝差がつくため、ほぼ勝ち抜けが決まる。
 高円宮杯での完敗の記憶は、既に4年前のこと。当時の大会規定ではJrユースから登録できなかったため、選手は勿論、監督だった行徳氏すら、S級ライセンス取得のため不在だった。今年、アウェイでの対戦では、長沢が両チーム唯一の得点を奪って、清水が勝利している。
 清水は高野が累積警告で出場停止。前田は相変わらず欠場だが、ベンチに岩本が戻ってきた。出場停止明けの柴田の相方には、継続して使われてきた1年生・佐野諒ではなく、2年生の神田。ベンチに入った1年生は、その佐野諒と控えGKの吉田のみで、上級生中心に戦えるメンバーを揃えた。この試合の意味をよく理解した選択である。一方の京都は、CBに172cmながら夏の大会レギュラーを張ってきた関口ではなく、181cmの高木を起用。左SBにも、夏には出番のなかった178cmの堀。長沢ら清水の高さ対策かもしれない。

[前半]
 清水が3分、CH柴田のスルーパスから、左SH八木のPA内で鋭角のシュートはGKが弾き、詰めたFW町田はボールが浮いてGKキャッチ。京都が5分、右SB渥美とCB石垣が重なってプレスを掛けた隙に左SH関がスルーパス、FW沈がPA内へ飛び出すが、CB佐野克が猛速度で横からスライディングでカバーする。雨の序盤、開始は互いに慎重に中盤でパスを回しつつ、機を見てゴール前にボールを送り込む展開となった。
 しかし、それに加えて右SH小泉という突破口を持つ清水は、小泉の突破で得た直接FK、或いは小泉自らシュート、更に虚を突いた長沢のロングシュートと、徐々にペースを掴んで14分。渥美のスローインから右スペースに抜け出した小泉が、ターンしてPA内の長沢へ。長沢はDFを背負った状態で粘り、ボールを右斜め後ろへ戻す。受けた渥美は切り返しでマークを外すと、狙いを定めたアーリークロス。これを左ポスト手前に「飛び」込んだ八木が、飛んだ体勢のまま跳び蹴りボレーを決めた。1−0。

 先制された京都は、より縦への意識を強める。対する清水は、23分に長沢のスルーパスで町田がGKまで抜き去って左クロスを入れたがDFにクリアされた場面など、同じく縦に速い展開で好機を創ることもあったが、拙攻に終わってカウンターのカウンターを食らうことも多かった。そこで折々柴田が最終ラインにパスを戻し、組み立て直してサイドから崩すことで、京都が意図する速いテンポを遅らせようとする。その状況でも、20分に石垣のクリアを受けたCH神田からFW隅田が奪って、PA手前からシュート (GK正面)。続けて沈が渥美をスピードで振り切って左クロスは、左SB桑原卓がCKへ辛くもクリア。30分にはFW沈のポストから右サイドにCH三戸が抜け出し、戻したボールを右SH大槻が再び縦へ、中に駆け込む関が合わせてシュートは僅かに右。京都FW沈は173cmと小柄ながら、巧みに長身の石垣・佐野克の懐に入り込み、起点を築いていた。
 テンポを上げたい京都と落ち着かせたい清水が張り合うまま時間が進んで、43分。高い位置でボールを受けた長沢が左に叩くと、八木が加速して斜めに切れ込み、小さく中に戻す。PA内で受けた長沢、左アウトフックでDFを1枚縦に抜くと急停止、左足から右足に持ち替える。長い足の長沢、それだけでDFは振られてしまう。最後は悠然とゴールファーに流し込み、2−0。残り2分で自らテンポを上げての追加点。ここ2試合、ロスタイムに失点しているチームとは思えない試合運びで、前半の間に2点差をつけた。

京都サンガ     清水エスパルスユース
2(1) シュート 9(7) ○八木、○町田、×長沢、○町田、○小泉、×長沢、◎八木、○小泉、◎長沢
1(0) 右クロス 10(1) ×神田、×町田、×渥美、◎渥美、×渥美、×小泉、×柴田、×渥美、×渥美、×渥美
5(0) 左クロス 8(2) ×八木、○八木、○桑卓、×町田、×桑卓、×桑卓、×八木、×八木
1(0) 右側CK 1(0) ×八木
0(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  3(−) ・長沢、・長沢、・長沢
11(1) ファウル 4(0) ・長沢、・渥美、・柴田、・桑卓

[後半]
 後半いきなり1分、渥美が縦に入れたボールを柴田が更にクサビを入れると、何故か最前線にいた神田が下がって受ける。一呼吸置いて右に流すと、パスの出し手である柴田がそこへ走り出した。中の状況を見る時間のあった柴田は、冷静に速いグラウンダークロスを選択、ファーで八木がスライディングで押し込んで、3−0。非常に流動性の高い、芸術的ゴール。続けて10分、神田からの縦パスを受けた長沢が後ろ向きのまま時間を稼ぎ、ターンして右に叩く。その間に右スペースに駆け上がった渥美から正確なクロスが上がると、ニアポスト前に突っ込んだ町田がゴール右上に頭で押し込んで、4−0。今度は練習を見ているかのように、教科書どおりのゴールだった。
 13分、京都は沈がまたも巧く両CBの前でポストに入り、落としたボールからCH村田が長いスルーパスを送る。相手FWに引っ張られた石垣・佐野克は振り向く手間が掛かり、桑原卓は右SH大村が外に張る。その間を抜けて右SB大槻が突進、単身PA内へ。だが、シュート体勢に入った正にその時、渥美が矢のようなスライディング。シュートは力なくGK山崎晃の手に収まり、事なきを得た。その後の京都は、せっかく沈が前線でキープしても、丁寧に繋ごうとしてボールをずるずると下げてしまう場面が目につき、覇気を失った印象。清水は28分、右奥でFW篠田が粘ってボールを奪い返し、戻したボールを神田経由で八木がシュート、ブロックされたボールを更に長沢が狙うも、GK児玉が体で弾いた。

 30分、八木に代えて岩本が入ると、正面からのぶつかり合いは強いが駆け引き下手の石垣・佐野克と違い、岩本は巧妙に体を入れ替えて沈のポストを無効化する。これで京都の攻撃は完全に封じられ、後は清水の攻撃練習の様相すら見せてきた。守備から解放されてのびのびプレーする左SH桑原卓と、守備の駆け引きで溜めた鬱屈を爆発させたい左SB佐野克の左サイドを軸に、33分、佐野克のクロスを長沢が足で裏に落とすが篠田オフサイド。37分、佐野克、桑原卓と繋ぐと調子に乗って上がってきた石垣のスルーパスで桑原卓がゴールを揺らすが、これもオフサイド。38分、佐野克のロングフィードのクリアを左に開いた篠田が拾い、切れ込んでシュートはニアに外れた。
 更に43分、柴田が中盤中央でプレスを掛けると、後ろからサンドした桑原卓がボールを奪って反転、速攻。中央を持ち上がる桑原卓に対し、猛烈な勢いで左サイドを駆け上がり、ボールを要求する佐野克。素直にそこへボールを出す桑原卓、佐野克がDFとGKの間に低く速いクロスを送る。全速力で駆け寄る篠田が鋭く右足を合わせ、ボールをゴールに突き刺した。5−0。引き続きロスタイムにも、桑原卓がPAに切れ込んでシュートを撃つ場面があったが、これ以上スコアは動かず、試合終了。清水が完勝で、決勝トーナメント進出をほぼ確実にした。

京都サンガ     清水エスパルスユース
1(1) シュート 10(9) ◎八木、○小泉、◎町田、○長沢、○長沢、○神田、×篠田、○篠田、◎篠田、○桑卓
2(0) 右クロス 7(3) ○渥美、◎柴田、×小泉、×長沢、◎渥美、×渥美、×小泉
1(0) 左クロス 4(3) ×八木、○八木、○克彦、◎克彦
1(0) 右側CK 2(0) ×八木、×神田
0(0) 左側CK 2(0) ×八木、×神田
0(−)  犯OS  3(−) ・長沢、・篠田、・桑卓
6(0) ファウル 8(0) ・町田、・神田、・小泉、・長沢、・岩本、・克彦、・石垣、・桑卓


▼試合結果

清水エスパルスユース 5−0 京都パープルサンガユース
 得点:前半14分:清水・八木 和秀 (渥美 直人・右アーリークロス)
    前半43分:清水・長沢 駿 (八木 和秀・ショートパス)
    後半01分:清水・八木 和秀 (柴田 和也・右クロス)
    後半10分:清水・町田 朋弥 (渥美 直人・右クロス)
    後半43分:清水・篠田 悠輔 (佐野 克彦・左クロス)
 警告:前半32分:京都・沈 修輔 ※異議
    前半33分:清水・桑原 卓哉 ※反スポーツ的行為
    後半14分:清水・神田 和哉 ※遅延行為
    後半35分:清水・佐野 克彦 ※ラフプレイ


▼選手寸評

[私撰MVP]
●八木 和秀 (3年・左SH)
 小生観戦史上、最も積極的な八木。ゴールに向かってのプレーが多く、質の高いドリブルとシュートで相手に「怖さ」を与える存在感があった。守備時にマークを外す中途半端なポジショニングすら、逆襲時にフリーになることで効果的だった。

[私撰MIP]
●柴田 和也 (3年・CH)
 ユースの伊東輝悦は、相変わらず燻し銀。衰えない運動量で相手をチェックし、時にパスミスを誘い、こぼれたボールを着実に繋いで圧倒的なボールポゼッションを築いた。機を見た攻撃参加も本家譲りで、正確な低いクロスで1アシスト。

●渥美 直人 (2年・右SB)
 伸びのあるアーリークロスという得意技を乱発気味だったが、やはり効果がある。身体能力が高く、盛んな上下運動で小泉と攻守で密接な関係を保ちつつ、低身ながら空中戦で正面から戦って負けることはない。中央へのカバーも実に速かった。

[相手方好印象選手]
●沈 修輔 (3年・FW): 反則10回。人との駆け引きに優れ、10cm近く大きい石垣や佐野克を手玉にとった。技術も確か。
●村田 哲郎 (3年・CH): 京都の燻し銀。バイタルエリアで体を張り、基準点に。攻めては実直な縦パスで正確に繋いだ。



2005年11月03日(木) Jユース杯 横浜F・マリノス戦 (A)

05年11月03日 (木) 10:30開始 日産フィールド小机
 Jユースサハラカップ2005 第13回Jリーグユース選手権大会
 対 横浜F・マリノスユース (A) ※45分ハーフ
 天候:曇り

▼布陣
先発:                後半14分〜:
−−−−−−−−長沢−−−−−−−− −−−−−−長沢−−町田−−−−−−
−−八木−−− 佐野諒 −−−小泉−− − 桑原卓 −−−−−−−−−小泉−−
−−−−−−神田−−池田−−−−−− −−−−−−神田−−池田−−−−−−
− 佐野克 −高野−−石垣−−渥美−− − 佐野克 −高野−−石垣−−渥美−−
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
控え:吉田、鍋田、桑原彬、桑原卓、滝戸、谷野、町田
交代:前半27分:佐野諒→町田  (4-4-2にシステム変更、町田をFWに)
   後半14分:八木 →桑原卓

横浜F・マリノスユース:
先発:                後半21分〜:
−−−−−−斉藤−−HM−−−−−− −−−−−−斉藤−−HM−−−−−−
−−−− 柳 −−−−−−富井−−−− −−−−幸田−−−−−−富井−−−−
−−−−−−三浦−−山岸−−−−−− −−−−−−三浦−−木村−−−−−−
−−藤川−−広田−−佐藤− 奈良輪 − −−藤川−−広田−−佐藤− 奈良輪 −
−−−−−−−−秋元−−−−−−−− −−−−−−−−秋元−−−−−−−− ※HM=ハーフナー マイク
交代:後半17分:柳 →幸田
   後半39分:山岸→木村


▼試合展開

 2年ぶりの横浜F・マリノスとの対戦。2年前のJユースカップではで1勝1敗。共にロスタイムに点が入る、1点差の激戦だった。当時の出場メンバーで今回も登場したのは、清水が石垣・高野・八木、横浜が三浦・佐藤・ハーフナー。また、その年にはJrユースもクラブ選手権準決勝で対戦し、その出場メンバーからは清水が山崎晃・佐野克・桑原卓・池田・長沢・町田・小泉、横浜は幸田と斉藤が参戦した。横浜は菅田・追浜といった別の下部組織からの昇格選手だけでなく、ハーフナー・柳などユースから合流した選手も多い。
 清水は柴田が出場停止、前田・岩本が欠場、町田・桑原卓がベンチスタートとなったが、前節と違って2年生を中心にメンバーを組んだ。一方、クラブ選手権でガンバを倒して決勝に進み、終了2分前で失点して惜しくも準優勝に終わった横浜。大会レギュラーからDF田代、MF長谷川アーリア・ジャスールが外れたが、広田・柳と同大会準レギュラー選手が穴を埋める。長谷川不在の影響か、夏の3-5-2から4-4-2に変更して、富井を柳と共に攻撃に絡ませた。

[前半]
 序盤は共におとなしい立ち上がり。だが、長沢に当てた後の展開に決まった形のない清水は徐々に行き詰まり始める。一方の横浜は右SB奈良輪のアーリークロスでジャブを入れると、193cmFWハーフナーがサイドに流れて起点を作り、CBを引きずり出す。そして12分、左に流れたOH富井のアーリークロスからCB石垣の前に飛び出したのは、OH柳。オープニングシュートは強烈にゴールを襲うが、僅かに上に外れた。更に15分、左SB藤川が浮き球で上手く右SB渥美の裏にクリアすると、そこに流れたFW斉藤が疾走、追いすがるCB高野をスピードで交わし、PA内左60度からシュート、GK山崎晃パンチング。ボールはなおPA手前正面に転がるが、これは何とか清水DFがクリアした。
 以後もサイドにハーフナーが流れて端緒となり、サイドからの長いボールをハーフナーの空けたスペースに送るパターンで、横浜が完全に攻勢。清水は今年初めて4-2-3-1を採用したが、ポスト役の長沢、パス出しの佐野諒、ウイングの小泉・八木と役割が固定されていて、このシステムの特長である流動性が皆無。行徳監督は27分に町田を投入、早々にいつもの4-4-2に変更した。すると、投入4分後の31分、CH神田のショートパスをCH池田がワンタッチで縦へクサビ、FW長沢が長い足を活かしてボールを落ち着かせてFW町田に落とすと、町田は再び長沢にボールを預け、自らはDFの裏に走り込む。だが、長沢は町田を囮に左へ展開、そこに左SH八木が走り込み、クロスはPA内ファーに移動した長沢。落ち着いてトラップし、ゴール左へ流し込んだ。1−0。初シュートでの先制である。

 試合は動き出す。32分、横浜、左に開いたハーフナーのアーリークロス、高野のヘッドクリアの当たりが悪く、小さく右に流れてしまい、拾った富井が右45度からシュート。勢いが今一つでGK山崎晃がキャッチする。33分、石垣が大きくクリアしたボールを町田が競り勝ち、高く上がったボールが落ちてきたところ、長沢がダイレクトボレー、僅かに左。36分、長沢のオフサイドで奈良輪が自陣からFK、これが誰も触れず、PA内の斉藤と佐野克の間のスポットに落ち、反応して飛び込んだ柳がシュート、これもGK山崎晃がキャッチする。一進一退。清水は町田が入ったことで、前線に動きが出ている。先制点も町田が裏に飛び出した後、八木のクロスに備えてニアへ横移動し、ファーに長沢のスペースを作っていた。
 40分、横浜、富井の右CK。小泉がクリアしたボールをDFが跳ね返すが、再び神田が拾って、前へクサビ。長沢も簡単に左へ流すと、そこへ町田。PAに入る直前の早いタイミングでファーを狙ったが、勢いが今一つでGK秋元がキャッチする。その後は動きなく、1−0のまま前半終了。交代を機にスムーズにギアをチェンジした清水が、横浜を出し抜いた印象だった。

横浜FM      清水エスパルスユース
6(2) シュート 3(2) ◎長沢、×長沢、○町田
8(0) 右クロス 5(1) ×八木、×神田、○小泉、×小泉、×渥美
5(2) 左クロス 4(1) ◎八木、×八木、×八木、×八木
1(0) 右側CK 2(0) ×八木、×八木
2(0) 左側CK 1(0) ×八木
2(−)  犯OS  4(−) ・長沢、・長沢、・八木、・長沢
3(2) ファウル 4(1) ・克彦、・長沢、×石垣、・小泉

[後半]
 後半開始早々、スローインから裏に抜けた左SB藤川がボールを戻すと、柳がハーフスピードのピンポイントクロス。GK山崎晃の裏で193cmハーフナーに頭で合わせられる危険な場面は、しかしシュートが枠を外れて、事なきを得る。ならばと4分、八木の左CKから今度は清水の189cm長沢がヘッド、バーをかすめて枠の上に外れた。後半も同じく一進一退。だが、横浜は前半と戦術を変え、ハーフナーを中央に固定、長いボールから最短距離でシュート、或いはセットプレーを獲得するという非常に現実的な戦い方を選択する。一方の清水も中盤で危険な奪われ方をするのを嫌うため、互いに中盤が省略されがちだが、それでも清水の方はサイドの裏を突こうとする意識が高く、組み立てに色気を出していた。
 試合は人、特にハーフナーに対して強い石垣と、スペースマークに長ける高野が鉄壁で、両SBも守備重視。更に池田が時に要所を得たカバーに入るため、横浜はクロスを入れ、CKやFKは得るものの、好機にまで至らない。逆に27分、右に開いて溜める小泉を渥美が追い抜き、そこへスルーパス。ゴールライン寸前で上げた右クロスはゴール直前を高速で横切り、まず大外の町田が乗り出すように頭で折り返し、次いで中央でも長沢が頭から突っ込んだが、シュートは右に流れていく。これをピッチ外にいた渥美が戻して、長沢で頭がネットを揺らすが、当然オフサイドでゴール取消。だが、この判定に清水応援席は納得いかないらしく、会場は一時、野次も飛んで騒然となる。

 選手の方はすぐに気持ちを切り替えたかに見えたが、やはり17、18歳の少年、微妙に影響はあったようだ。31分、DH山岸が左サイドに持ち上がると、戻して富井がサイドチェンジ。右から奈良輪のクロスが入るとカットした後のボール処理にもたつき、一瞬、PA内の斉藤の前へ。石垣が咄嗟にCKに逃げたが、このあたりからゴール前で簡単なプレーができなくなってしまう。執拗な横浜のロングボール攻勢でDF陣が疲弊したせいもあるし、MF陣がクリアに対するポジション微調整が遅れてきたせいもあろう。いわゆる押し込まれた状態だ。そして40分、長沢のオフサイドで奈良輪が自陣からFK、PA内ファーでハーフナーが頭で落としたボールは佐野克がシュートブロック、これが弱く、斉藤の前のスポットに転がる。前半36分同様の場面、だが今度は斉藤自ら反応、素早くダイレクトでニアに蹴り込み、1−1。同点。

 試合は再び動き出す。勝点1より3を求める清水は41分、左SH桑原卓がクロス、DFのクリアを小泉が拾い、戻すと長沢がスルーパス。神田がPA内裏に抜け出してジャンピングボレー、ではなく右クロスを選択する。町田に合わず、流れたボールを左SB佐野克がクロスを入れるが、クリアされてCKへ。池田のキックに長沢が189cmを横に倒し、強烈なダイビングヘッドを見舞うが、ほんの少し右に外れた。44分には横浜右CKをファーで石垣が跳ね返し、3対2の数的有利でカウンター、中央の長沢が持ち上がると相手2枚の右へとスルーパス。このお膳立てに町田が走り込み、右45度フリーでラストショットを放つ。が、コースは正確にファー下を狙うが、威力なし。GK秋元がキャッチする。
 この間、清水ばかりが優勢だったわけではない。横浜のロングボール攻撃は変わらず、だが清水は攻めに出てSBが高い位置どりをするようになったため、CBがCKに逃げるケースが増えていた。そして、失点後5分間で、実に5本目のCK。富井のキックをファーで佐藤が競り勝って頭で落とすと、ゴール至近距離で斉藤が足を投げ出し、左ポストの内側を直撃。ゴール目の前にこぼれ、木村が「入ってろ!!」ばかりに蹴り込む。1−2。直後、試合終了。最後の場面を見れば、CB2名の3年生以外を2年生が占めるチームが若さを晒した印象だが、CK数・シュート数を照らせば、妥当な結果であった。

横浜FM      清水エスパルスユース
7(2) シュート 5(1) ×長沢、×長沢、×長沢、×長沢、○町田
6(0) 右クロス 4(2) ○小泉、×神田、○渥美、×神田
5(2) 左クロス 5(0) ×八木、×桑卓、×桑卓、×桑卓、×克彦
3(0) 右側CK 1(1) ○池田
6(2) 左側CK 1(1) ○八木
0(−)  犯OS  6(−) ・長沢、・長沢、・長沢、・長沢、・桑卓、・長沢
3(0) ファウル 7(1) ・石垣、×桑卓、・石垣、・池田、・桑卓、・高野、・町田


▼試合結果

清水エスパルスユース 1−2 横浜F・マリノスユース
 得点:前半31分:清水・長沢 駿 (八木 和秀・左クロス)
    後半40分:横浜・斉藤 陽介 ※こぼれ球
    後半44分:横浜・木村 勝太 (佐藤 由将・シュートリバウンド)
 警告:後半15分:清水・山崎 晃太 ※遅延行為
    後半23分:清水・高野 美臣 ※ラフプレイ


▼選手寸評

[私撰MVP]
●石垣 勝矢 (3年・CB)
 1年時にも対決したハーフナーに再び勝利。空中戦で圧倒的な存在感を示すだけでなく、こぼれ球に対して粘り強く対応していた。速く低いフィードで攻撃にも貢献。一方、失点に絡んだ佐野克にすぐ声を掛けるなど、キャプテンシーも発揮していた。

[私撰MIP]
●長沢 駿 (2年・FW)
 枠内率1/6だが、威力を伴ってコースを狙った結果で、シュートミスはなし。卓越した足技と広い視野でチャンスメイクし、かつゴール前で強引にシュートに持ち込む力がある。ロングボールに目測を誤り、つられた横浜DFを混乱に陥れる (笑)。

●池田 康彦 (2年・DH→CH)
 久々の先発復帰だが、持ち味は不変。空いたスペースを埋める賢明さ、そこに駆けつける懸命さ、得意のダイレクトダイアゴナルフィードは全て、効果的だった。ただ、1つ目のパスをミスする課題も変わらず。時には無難な繋ぎもできねばならない。

[相手方好印象選手]
●奈良輪雄太 (3年・右SB): よく伸びるキックとよく前へと向かう出足と運動量で、清水の左サイドに強力な圧力を掛けた。
●佐藤 由将 (3年・CB): 決して上背には恵まれないが、気持ちが強く、人に対して頑張れるDF。昨年の村越を思い出す。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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