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2004年10月30日(土) Jユース杯 ジュビロ磐田戦 (A)

04年10月30日 (土) 14:00開始 ヤマハスタジアム
 第12回Jユースカップ2004 Jリーグユース選手権大会 予選Dグループ
 対 ジュビロ磐田ユース (A) ※45分ハーフ
 天候:雨、弱風、気温/湿度:17.2℃/87%、観衆:203人

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−−−長沢−−−−−−−− −−−−− 篠田悠 −長沢−−−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− −−−−−−− 山本真 −−−−−−−

−−岡村−−枝村−−池田−−谷野−− −−岡村−−枝村−−池田−−谷野−−

−−− 桑原卓 −岩本−−村越−−−− −−− 桑原卓 −岩本−−村越−−−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

控え:前田、佐野克、渥美、桑原彬、神田、篠田悠、石垣
交代:後半44分:鈴木真→篠田悠 (FW、2トップに)

ジュビロ磐田ユース:

−−−−−−藤井−−岡本−−−−−−

−−−−−−−−中村−−−−−−−−

−−増田−−上田−−徳増−−石神−−

−−−−飯田−−森下−−宮本−−−−

−−−−−−−−八田−−−−−−−− 交代:後半44分:石神→渡辺恵


▼試合展開

 今年3度目の対戦。清水はクラブ選手権静岡県予選プリンス東海、共に0−5の大敗を喫している。7月の対戦後も、清水はクラブ選手権不出場・高円宮杯全敗、磐田は両大会で準優勝と明暗を分けた。だが、主将の枝村が3試合目で遂に登場。フォーメーションも磐田と同じ3バックに変更し、四ツに組んで勝負を挑む。湘南戦で好調だった長沢が石垣に代わってワントップを起用、一方でミスの目立った左CB佐野のポジションに本来左SBの172cm桑原卓を抜擢という、驚きの采配もあった。3年生5人、2年生2人、1年生4人。今までの対戦より、平均年齢は高め。
 一方の磐田は、最終ラインからレギュラーの和田・萩原が抜け、代わりに宮本と飯田が入った。元々高さのない最終ラインが更に低くなり (平均身長171cm)、長身GK八田の責任は増している。ただ、その八田を最後尾に、森下・上田・中村・藤井・岡本と昇格内定者6名を一本立てに通したセンターラインは強烈。日の丸経験者徳増も含め、昨年からほぼ同じメンバーで経験を積んできており、タレントに組織力を加えた攻撃力で相手を凌駕する。3年生7名、2年生4名と、この時期の磐田としては例外的に上級生が多い。
 この大会、残念ながらアルビレックス新潟ユースが中越地震の影響で出場を辞退。翌日、新潟で試合のあった磐田の選手は、動かない上越新幹線の中で立ち往生したそうだが、清水の選手が長岡市で試合したのは、地震の丁度一週間前。時間帯的に帰りのチームバスが、川口町のあたりを通り過ぎていた可能性も高い。全く人ごとではない。試合前、黙祷が行われたが、一週間前に中越を訪れた一人の人間として、改めて哀悼の意を表したい。

[前半]
 序盤、潰し合いの様相ながら、やや清水が優勢。しかし、面子が変われどよく訓練されている磐田の3バックを前に、立ち上がりの10分で4回とオフサイドの山を重ね、攻めきれない。FW長沢がよく競り勝つのだが、この布陣の売りである2枚のトップ下、真司・真希の奔放な動きが封印されていた。高い位置でボールを奪えずに得意のショートカウンターが出せない磐田だが、ボランチ徳増の忠実かつパワフルな潰しに率先されて、徐々に清水を押し込んでいく。
 12分、桑卓のクリアミスから得たCKのクリアをPA外で拾った中村が、オープニングシュートを記録 (枠外)。続けて14分、清水左WB岡村の縦パスを徳増がカット、FW岡本が拾ってショートカウンター開始。岡本は猛烈に右サイドを駆け上がる徳増を囮に中央をドリブル、PA内にクサビを入れる。トップ下の中村が受けるが、右CB村越が厳しく対応して攻撃を遅らせ、中村はすぐ横のFW藤井に小さくパス。このスイッチにスイーパー岩本、ボールを見失ったか、一瞬棒立ちに。と、藤井が右足で押し出すようにシュート、岩本がブラインドになったGK風間も反応できず、ボールは転々と清水ゴールに収まった。0−1。
 過去の対戦と同じく、自分たちのミスで先制点を献上してしまった清水。下級生の多い清水の隙とも言えるし、それを突く磐田の上手さとも言える。ただ、従来と違うのは、中盤の潰し合いがかなり拮抗している点。24分には抜け出そうとしたボランチ枝村に左CB飯田がバックチャージ (警告)、岩本がハーフライン付近から長いFKを蹴ると、PA内右側で長身FW長沢が頭で落とし、そこに枝村が走り込んでハーフボレー! バウンドする難しいシュートだが、GK八田が落ち着いて処理した。一方、磐田は徳増と藤井のサポートに恵まれた右WB石神が、起点を築けるようになってきた。

 30分、上田の右CKはファーで岩本がタッチに逃げ、逆サイドでやり直し。再び上田のキックをGK風間がパンチング、増田が拾ってミドルを放つが、ワンタッチあってもう一度右からやり直しに。32分、上田3回目のキックはファーで岩本?がヘッドするが弱く、PA左側外縁で混戦に。ボールがGK風間へと流れたところ、風間のミスか、DFが足を出したのか、中途半端なクリアを左ポスト付近にいた石神が強引に体を捻り、押し込んだ。0−2。3回のCK、いずれかで大きく前に蹴り出していれば…、後悔の残る失点だった。
 呆気ない2失点が、過去の大敗を思い起こさせる。ここまで重ねた8個のオフサイドを元に修正を図る司令塔の枝村は、33分、自ら中央から持ち込むと、間合いを計算したループのパスで、ついに長沢が裏に抜ける。長沢はGK八田との距離を保ってストップ、ラストパスを選択したが…リベロの森下がカット、譲らない。磐田は41分、右サイドから徳増が真希を振りきってミドルを放ったが、GK風間正面。43分、岩本がクリアを2つ重ねて右CKに。上田の鋭いボールがファーでフリーの石神にピタリ、あっさりと3度目のゴールが揺れる。が、判定はノーゴール。ボールが一度タッチラインを割ったという判定だと後に分かるのだが、この時は副審が旗を地面に水平に上げて (=オフサイド) いたために、会場騒然。磐田ベンチが、観客席が、一斉に声を荒げ、主審が監督を宥める場面も。
 結局、長沢からのパスで真司がチーム通算9回目のオフサイドを記録し、前半を折り返した。全体的にはよく戦えていたが、ゴール前でのミスの有無、ラインディフェンスの精度、チーム全体で統一されたチェンジ・オブ・ペース、小さい確かな差が積み重なっての2点差だった。

磐田        清水エスパルス
6(2) シュート 1(1) ○枝村
5(0) 右クロス 0(0)
2(0) 左クロス 0(0)
3(0) 右側CK 1(0) ×岡村
2(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  9(−) ・岡村、・長沢、・真司、・真希、・谷野、・岡村、・真司、・長沢、・真司
8(2) ファウル 5(0) ・長沢、・真希、・枝村、・村越、・岡村

[後半]
 後半4分、磐田のロングスローを村越が跳ね返すと速攻。枝村から長沢にクサビ、左に叩いて岡村が縦にスルーパス、起点になった枝村が飛び出し、左クロスを送る。惜しくもクリアされたが、続く岡村の右CKに大外ファーで岩本が合わせるなど (GK正面)、清水攻勢。そのまま7分、スライディングで上手く足を残して奪った村越から、真希が受けて速攻。スルーパスに外側にいた真司が猛スピードで反応、飯田が何とかパスをカットし、右CKに逃れる。再び岡村のキックに対し、ファーから斜めに中央へと走り込むは村越、ほぼフリーで完璧に頭を合わせ、追撃の狼煙を上げた。1−2。
 実は前回、プリンス東海でも後半序盤、清水が攻勢を仕掛けている。その時は逆にカウンターから決定的な3失点目を喫し、緊張の糸が切れてしまった。一方、今回は2点差から追い上げられた磐田に、焦りが見える。また、前半不安定だった岩本が立ち直り、裏のスペースのカバーから高さに不安を残す左CB桑卓のサポートと、手広く活躍。得意のダイレクトフィードで攻撃にも貢献した。藤井や石神のドリブルを、幾度となく体を張って食い止めた桑卓も、特筆すべきだろう。

 藤井が目立たない磐田は、攻撃が淀みがち。岡本がPA内で強さを発揮するのだが、落とした地点に誰もいない場面も散見される。17分にこそ、左スローインを藤井が胸トラップターンボレーで左クロス、ファーで岡本も胸トラップターンボレーでシュートを放ったが、GK正面。ならばとボランチの上田や徳増がドリブルで持ち上がるが、岩本のカバーリングが冴える。磐田は攻めてはいるが、前半と違って効果的にサイドを使えず、DFラインを崩せなかった。
 一方の清水は21分、中盤で飯田のファウルを受けた真希が、すぐさまロングキックでリスタート。逆サイドの真司がダイレクトで左クロスを送ったが、ファーに流れた。そこから波状攻撃を仕掛け、桑卓のサイドチェンジから真希がPA手前を横切るように逆サイドへ、最後は岡村のダイレクトスルーパスに枝村がPA内左側に飛び出すと、切り返しでタイミングをズラしてループでの折り返し、は僅かに長沢の頭に合わず。続く22分、最終ラインにカバーに入ったボランチ池田が、頭でクリア。枝村がマークを背負いながら受け、反転しつつ、ため息の出るような美しい浮き球のスルーパスで、真希の飛び出しを誘導してみせる。真希のドリブル開始と誰もが思った瞬間、彼は激しくインに回転を掛けた「低く速く正確な」35Mアーリークロスを、DFラインとGKの間に送った。オフサイドなしで裏に抜けた真司、ファーで待ち構えると「壊れた玩具」の所以たる左足ダイレクトボレー。池田、枝村、真希、真司、中盤中央の4人の良さが存分に発揮された速攻で、ついに清水が同点に追いついた。2−2。
 同点後の24分、池田のダイレクトフィードに岡村が飛び出し、戻して枝村のスルーパスに真希が抜け出すなど、清水が縦に速い攻撃で勢いに乗るが、磐田が3つのオフサイドで耐え凌ぐ。真希、判定にキレ気味。27分磐田、中村がPA前でのキープから3バックの左外へ展開、左WB増田のシュートは矢のようなスライディングで村越が防ぐが、再びボールは増田の下へ。フリーでのシュートは、しかし、大きくゴール右上に外れた。この場面以降、ラインを押し上げ、上田・徳増のダブルボランチが攻撃に絡む磐田が優位に立っていたのだが、確度の低いミドルが目立ち、拙攻を繰り返した。

 神経を削るような展開、途中真司が痛む場面もあったのだが、両ベンチ動かず。38分、枝村のスルーパスで真司が右サイドを破った場面を境に、流れが清水へと移る。40分、岡村の右CKのクリアボールを枝村と藤井が奪い合い、最後は藤井がたまらずバックチャージ (警告)、中央35M程の距離でFKを得る。真希の弾丸キックは壁を直撃するが、リバウンドを自らダイレクトで左に展開、壁の横で待っていた枝村が裏へと抜け出し、PA内で素早い切り返しを2、3入れてシュート、僅かにファーに逸れた。
 43分、GK八田のゴールキックで再開するが、村越が頭で簡単に跳ね返す。クリア体勢に入った飯田?に真司?が強引に体を寄せ、こぼれたボールの先に枝村。ここまで13のオフサイドを奪っている磐田DFライン、司令塔の枝村に対して一瞬、足を止める。だが、この男、身体能力も並ではない。爆発的ダッシュで中央から抜け出してGKと1対1、切り返してボールのない左足へとGK八田を誘いに乗せた。PK (八田に警告)。3年生3人の頑張りで奪ったPKを蹴るのは、2年生の真希。息詰まる場面でも、「早く低く正確な」キックは、彼を裏切らなかった。ゴール右に突き刺し、3−2。逆転!
 磐田はPAへの放り込み、強引なミドルシュート、なりふり構わず反撃するが、清水も真司に代わった悠輔がスピード豊かに前線で起点を作るなど、簡単には譲らない。左サイドのスローインを中村がダイレクトで反転ボレークロス、ファーで岡本がボレーという後半17分の場面を再現するが、GK風間正面。リバウンドをPA手前から渡辺恵のミドルは大きく枠を外し、万事休す。3度目の対戦で、とうとう磐田に勝利。その原動力になったのは、下級生の成長以上に、3年生の意地だった。

磐田        清水エスパルス
8(2) シュート 5(4) ○岩本、◎村越、◎真司、×枝村、◎真希
4(1) 右クロス 4(1) ×真司、×真司、◎真希、×真司
5(4) 左クロス 3(0) ×枝村、×枝村、×枝村
0(0) 右側CK 3(1) ○岡村、◎岡村、×岡村
3(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  4(−) ・真司、・真希、・真希、・長沢
7(2) ファウル 8(1) ・池田、・長沢、・岡村、・真司、・枝村、・長沢、×真希、・長沢

 次節、池田出場停止。チーム最長の出場時間を誇るこの1年生の不在は、かなり痛い。ただでさえ、過密日程だし。おまけに翌日のサテライトに、長沢と風間を除く全出場メンバーが同行、8人も連戦をこなしてるし。

▼試合結果

清水エスパルスユース 3−2 ジュビロ磐田ユース
 得点:前半14分:磐田・藤井 貴 (中村 豪 ・ショートパス)
    前半32分:磐田・石神 啓 ※リバウンド
    後半07分:清水・村越 大三 (岡村総一郎・右コーナーキック)
    後半22分:清水・鈴木 真司 (山本 真希 ・右クロス)
    後半43分:清水・山本 真希 ※PK
 警告:前半10分:清水・山本 真希 (遅延行為)
    前半23分:磐田・飯田 祐 (反スポーツ的行為)
    後半34分:清水・池田 康彦 (反スポーツ的行為)
    後半41分:磐田・藤井 貴 (反スポーツ的行為)
    後半43分:磐田・八田 直樹 (反スポーツ的行為)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●村越 大三 (3年・右CB)
 3バックが徐々にハマってきており、後顧の憂いを岩本に任せ、ボールに集中して前に出る守備に専念できている。運動能力を発揮し、勢いをつけて厳しく当たっていた。守備のリズムの良さが調子に乗せたか、得点のヘッドは実に高かった。

[私撰MIP]
●枝村 匠馬 (3年・ボランチ)
 徹底マークを受けるのは、司令塔の宿命。磐田の3枚の警告は、全てこの男を倒してのもの。そんな中で決して100%ではないものの、高いキープ力と絶妙の長短のパスでリズムを創った。と思えば、自ら突破も受け手として飛び出しもできる。

●池田 康彦 (1年・ボランチ)
 細かいパスミスは気になったが、司令塔役を枝村に委ね、潰し職人の本領発揮。村越が前に出て守備できたのも、枝村がゴール前に飛び出せたのも、池田が知的にバランスを保ち、最終ラインからサイドスペースまで広くカバーできていたからだ。

[個人的好印象選手 (相手方) ]
 徳増 欣也 (3年・ボランチ): 真希にも負けない強力なフィジカルで体を張って奪うと、そこからの突進力は脅威。漢気。
 中村 豪 (3年・トップ下): ピッチ全体を動き回り、一瞬の隙に高いテクニックを発揮する姿は、藤田の後継者の資格。



2004年10月24日(日) サテ: サテライトリーグ 名古屋グランパスエイト戦 (H)

04年10月24日 (日) 14:00開始 清水エスパルス三保グラウンド
 2004 Jサテライトリーグ Cグループ
 対 名古屋グランパスエイト ※45分ハーフ

▼布陣
清水エスパルス:           名古屋グランパスエイト:
−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−− −−−−−−豊田−−津田−−−−−−
−−−−−−− 久保山 −−−−−−− −−−−−−−−平林−−−−−−−−
−−和田− 鈴木隼 −村松− 山本真 − −−渡邊−−高橋−−藤田−− 森 −−
−−−−平岡−−高林−−鶴見−−−− −−−−小寺−−井川−−諸江−−−−
−−−−−−−−黒河−−−−−−−− −−−−−−−−広野−−−−−−−−
後半26分:阿部→上埜         前半44分:井川→北川 (藤田をCB)
                   後半30分:平林→稲垣 (北川をトップ下)
                   後半35分:豊田→平山

▼試合展開
[前半]
名古屋       清水エスパルス
6(2) シュート 6(2) ○久保、×真司、×真司、○久保、×阿部、×隼人
9(3) 右クロス 3(0) ×阿部、×真希、×村松
1(0) 左クロス 2(1) ×隼人、○和田
1(0) 右側CK 1(1) ○隼人
1(1) 左側CK 0(0)
2(−)  犯OS  0(−)
7(1) ファウル 8(1) ・真司、・真希、・真希、・鶴見、・村松、・平岡、・真司、×鶴見

[後半]
後半18分、名古屋、渡邊の左クロスを黒河が処理ミス、ポストに当たって落ちたボールを津田に詰められる。0−1。
後半19分、清水S、真司が奪うと真希がヒールスルーパス、真司がもう一度戻して、真希がループでミドル。1−1。
後半22分、名古屋、津田の右クロスを黒河がファンブル、走り込んできた平林の前に落とし、押し込まれる。1−2。
後半40分、名古屋、小寺にイエロー (反スポーツ的行為)

名古屋       清水エスパルス
7(3) シュート 7(4) ○真司、○平岡、×久保、◎真希、×上埜、○久保、×真希
4(1) 右クロス 7(2) ×鶴見、○鶴見、×真希、×真司、○真司、×鶴見、×真希
3(1) 左クロス 3(0) ×和田、×和田、×和田
2(1) 右側CK 4(0) ×隼人、×隼人、×隼人、×隼人
0(0) 左側CK 3(2) ○真希、○真希、×真希
1(−)  犯OS  2(−) ・真司、・和田
7(1) ファウル 4(1) ・平岡、・和田、×高林、・久保

清水エスパルス 1−2 名古屋グランパスエイト


 序盤はプレッシングの激しい清水が攻勢だったが、藤田や井川からスペースへの長いパスを多用する名古屋が、そうしたパスが殆どない清水から主導権を奪い返す。ロングボールの競り合いで鶴見と平岡は、豊田・津田に対して明らかに遅れをとっていた。また清水は、両ボランチが左利きということもあり、右の前日からの連戦でなる17歳よりも、左のJ1出場経験もある23歳を使うのだが、全く突破力がなく攻撃が行き止まりに。逆に和田の攻め上がった裏のスペースを、相手の19歳に再三再四突かれまくった。名古屋はポストプレーを受けて平林や津田が何度かシュートチャンスを得るが、黒河の反応に阻まれる。
 後半は共に中盤の戻りが遅くなり、高い位置からのハーフカウンターが成功しそうな気配に。互いに決定機を、GKの好セーヴや自分たちのシュートミスで逃した後、18分、渡邊がニアポスト付近に上げたボールを黒河がパンチングであわやオウンゴール、バーに当たって落ちてきたボールを津田に走り込まれて失点。確かに渡邊のクロスは良質だったが、仮にも五輪代表GKが許されるミスではない。情けないプロの先輩を尻目に19分、真希と真司が2人だけで同点に追い付くが、その3分後、なんでもないアーリークロスを黒河がわざわざ平林の前にポロリ、簡単に逆転されてしまった。その後、ようやく右の真希に鶴見が絡む格好で攻めるが、司令塔・村松の失速もあって、攻めきれなかった。

 真希と真司は、得点場面以外でも好調。真希は体が重く、身体的な爆発力を発揮する場面こそなかったが、阿部や真司にロングスルーパスを送ってみたり、鶴見の攻撃参加を効果的に使ったり、精度の高いプレイスキックを蹴ったり、テクニックで見せた。真司はレベルの高い相手になると、おちょくるようなプレーがよく活きる。彼の常識外の判断とその判断速度に、味方が反応できるのも大きい。プレスで寄せるスピードや小寺に競り勝つジャンプなど、身体能力の高さも示した。
 ただ、エスパルスとしては、ユースの2人に劣る他の選手の方が問題。次節、森岡と戸田が出場停止だが、戸田の代役と目される村松こそスタミナ面以外は及第点だったが、豊田と津田に地上戦・空中戦、共に何度も競り負けた鶴見は大問題。阿部はポストプレーばかりでこぢんまりとしたFWになってるし、他の見どころは飄々としながらも、時折、格の違いを見せていた久保山ぐらいか。消えてたけど。

▼選手寸評
黒河 貴矢 4.0 相変わらず正面からの攻撃には強いが、相変わらずクロスへの対応はどうしようもない。

鶴見 智美 5.0 格の違いを見せつけるどころか、豊田に空中戦完敗。次節のトップが大いに不安になる。
高林 佑樹 5.5 体格の違いとか、どうしようもない部分もあったが、丁寧にカバーに入り、地味に活躍。
平岡 直起 4.5 攻撃参加後の戻りが遅く、ポジショニングの微調整を怠るなど、やる気を感じられない。

山本 真希 6.5 体は重かったが、某Jrユース1年を「真希さん上手すぎ!」と興奮させるテクを見せた。
村松 潤  6.0 速く、強く、豊富なプレスで中盤の主導権を握っていたが、60分ほどでバテたのは残念。
鈴木 隼人 5.5 運動量は少ないながら、要所を締めて攻守によく関わっていたが、キック精度がお粗末。
和田 拓三 4.5 攻めては自ら突破できずに好機を潰し、守っては相手森のスピードに置き去りにされた。

久保山由清 6.0 流し気味だったが、久保山の短所であるスピードやパワーも含めて、サテでは格が違う。
鈴木 真司 6.5 昨日、サボってたと疑うほどよく動き、多彩なアイデアで混乱させる。小寺に完勝した。
阿部文一朗 5.0 無難にポストをしていたが、それだけ。ゴールに向かうプレーが少なくて、怖さがない。

上埜 健太 5.0 ボールにあまり絡めず。

[個人的好印象選手 (相手方)] 森、豊田



 午前中は中2の「県クラブユースリーグ」なるものを観戦。11時20分開始のはずが、到着時点で高橋が綺麗なループシュートを決めた場面。後で逆算すると、後半8分というところだった。どうやら、前の試合と入れ替わったらしい。侮り難し。
 メモを取り始めたところのフォーメーションは↓。直前に佐野孝が深澤と交代している。交代前は佐野孝が右SH、西澤がCHを務めていたものと思われる。池上はストライカーキャンプ参加のため、不在。

 −−−−−−高橋−−前田−−−−−−
 − 杉山一 −−−−−−−−−西澤−−
 −−−−−−横山−−深澤−−−−−−
 − 加瀬澤−望月恭−岩崎広−望月卓 −
 −−−−−−− 望月景 −−−−−−−

 一応、後半13分 (高橋の2点目) から、17分間のスタッツは↓。

 マツバラ      清水エスパルス
 0(0) シュート 7(6) ◎高橋、○高橋、○西澤、◎横山、○杉山、○杉山、×西澤
 0(0) 右クロス 1(0) ×卓馬
 1(0) 左クロス 5(2) ×加瀬、○西澤、×杉山、×横山、○横山
 0(0) 右側CK 3(1) ○杉山、△杉山、×杉山
 0(0) 左側CK 2(0) ×横山、△横山
 0(−)  犯OS  0(−)
 0(0) ファウル 1(0) ・恭平

 スタッツを見てのとおり、かなり一方的な試合。殆どの時間を21人がマツバラ陣内でプレーした。戦力差があるので何とも言えないが、今年は個人戦術に優れた選手が多いのか、攻めては流動的なポジションチェンジを違和感なくこなしており、守っては寄せが速く、アンティシペーションも多かった。池上や佐野孝、佐野傑のような選手がいれば印象も変わるだろうが、この日の選手はプレーに幅があり、平均値が高くて穴がない。
 個人で見ると、横山と深澤のダブルボランチが殊勝の内容。横山はフィールド全体を幅広く動き、深澤はフィールド全体を幅広くパスを通す。3点目、前田のキープから戻して深澤のスルーパス、それに横山が走り込んでゴール、というのは特に素晴らしかった。その起点となった前田だが、仙道並みにプレーが流し気味 (笑)。ただ、ボールの受け方とか体の預け方とか、細かいところで明らかなレベルの高さは見て取れた。また1点目のループを決めた高橋は、西澤の突破をフォローした横山からのクサビを受けて、ストライカーらしい反転シュートで2点目も決めている。



2004年10月23日(土) Jユース杯 湘南ベルマーレ戦 (H)

04年10月23日 (土) 14:00開始 藤枝総合公園サッカー場
 第12回Jユースカップ2004 Jリーグユース選手権大会 予選Dグループ
 対 湘南ベルマーレユース (A) ※45分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−−−石垣−−−−−−−− −−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− −−−−−−− 桑原卓 −−−−−−−

−−岡村−−上埜−−池田−−谷野−− −−岡村−−枝村−−池田−−谷野−−

−−− 佐野克 −岩本−−村越−−−− −−− 佐野克 −岩本−−村越−−−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

控え:前田、桑原彬、桑原卓、枝村、小泉、山崎竜、長沢
交代:前半41分:石垣 →長沢  (そのままFWに)
   後半24分:鈴木真→山崎竜 (長沢・山崎竜の2トップに)
   後半34分:上埜 →枝村  (そのままボランチに)
   後半42分:山本真→桑原卓 (そのままトップ下に)

湘南ベルマーレユース:

−−−−−−−−中山−−−−−−−−

−−鶴見−−加藤−−宮崎−−猪狩−−
                   交代:後半00分:宮内→関口  (関口を右SB、渡部をCB)
−−−−−−−−齋藤−−−−−−−−    後半10分:中山→北村
                      後半22分:加藤→日下部 (4-2-3-1、日下部を左SB、齋藤・高原をCH
−−高原−−鈴木−−宮内−−渡部−−                右から猪狩・鶴見・宮崎のトップ下)
                      後半31分:高原→林
−−−−−−−−平川−−−−−−−−    後半44分:鶴見→五十嵐


▼試合展開

 清水と湘南、両チームは昨年もJユースカップでを戦っている。清水は、前節新潟 (A) 戦から枝村をベンチに温存した他は同じメンバー。悠輔・美臣あたりは会場に姿を見せていたものの、ベンチを外れてしまい、軽く怪我をしたのだろうか。3年5人・2年3人・1年3人の構成だが、昨年2試合共に先発したのは、真司・村越のみ。メンバーは大きく変わっている。


 対する湘南ユース。このクラブはJrユースまでは別組織のNPO法人で運営し、ユースのみクラブの直属という一風変わった方式を採っている。茂庭・美尾・田辺の頃は2大会準優勝に輝いた名門だが、ここ数年は今年も含め、関東クラブユース選手権の9位決定トーナメントで敗退するなど (関東は9位までが全国大会出場)、苦しい試合が続いている。Jユースカップでは、3年生の何人か引退してしまったようで、出場は渡部・齋藤・鶴見の僅か3人。他は2年生が5人、1年生が3人と非常に若いチームになった。ただ、渡部・齋藤・鶴見に加えて、鈴木・宮崎も、昨年の対戦から続けての先発である。

[前半]
 開始序盤、湘南の攻勢。前節新潟戦、WBが下がりすぎて5バックになってしまった清水だが、この試合は逆にWBの戻りが遅く、3バックの両横にスペースを作っていた。昨年も森安が対応に苦しんでいた左SH鶴見に、そのスピードを発揮しやすい状況を与えてしまう。10分には、トップ下の宮崎に左WB岡村が中央に引き寄せられ、今度は右に展開されると、左CB佐野より一歩抜け出した右SH猪狩のクロス、そこに加藤がフリーで飛び込んだが、ヘッドは枠上に外れた。
 10分を過ぎたあたりで清水はボランチ、特に池田が岡村の裏のスペースを警戒するように修正し、ようやく落ち着きだす。そうなると地力で勝る清水が12分、GK風間のゴールキックをFW石垣が頭で落とし、トップ下の真司が跳躍力抜群のアクロバティックなボレー (枠上)、池田のクサビを受けた岡村が中に切れ込んで左外に叩き、同じくトップ下の真希が左45度からシュート (GK正面) と、続けざまに縦に速い攻撃を繰り広げた。更に13分、自陣で奪った岡村が大きく縦にアウトに掛けたフィード、CB宮内が対応するが、彼より内側にいた真司がその左外を回りつつ猛スピードで追いつき、これを後ろに戻す。すると起点となった岡村が駆け込み、併走する右SB渡部を抜き去ってPA内に侵入するや、マイナスに折り返す。PA右角で受けた右WB谷野、これをトラップしてしまい、DFに寄せられてコースが塞がったかに見えたが、見事なコントロールでゴールのファーに突き刺して、清水が先制した。1−0。
 18分には真希が岡村に出した足裏スルーパスが惜しくもオフサイドになるなど、清水が勢いに乗るかに見えたが、20分、鶴見のアーリー左クロスを佐野がゴールラインに逃げると、鶴見の右CKから混戦。清水はハンドを主張するが、その隙にこぼれ球をPA外から加藤がミドルで狙い、僅かに右へ外れる。23分には、中盤のミスで湘南のショートカウンター、3対4の状況で右の猪狩が抜け出す。佐野はまずリトリートしながら併走、スイーパーの岩本がカバーの距離に近づいたところでチャレンジに行ったが、…判定はPK。静学戦で狩野のPKをストップしている風間だが、鶴見が冷静に左へ決め、1−1、湘南が僅か10分で追いついた。

 その後は決まった攻撃の形を持たない清水に対し、左は鶴見のスピード、右は猪狩と渡部のコンビネーションという形の持つ湘南が、主導権を握る。26分にGKのキック1本でサイドに張った鶴見にフリーで切れ込まれるなど (シュートはニアのドリンクを直撃!)、相変わらず清水はサイドの守備に不安を残す。それでも3バックが空中戦によく競り勝ち、辛抱強く耐えるにつれ、徐々に湘南の運動量が落ちていく。
 右CB村越のサイドチェンジや真司の個人技を絡めて、岡村を軸に何度か好機を作っていた清水は41分、今一つ基準点になりきれなかったFW石垣を長沢に交代。すると42分、佐野が岡村の前のスペースに真司を走らせるロングフィード。真司が中央に入れたクサビはDFにカット、長沢がすぐに奪い返すも中央突破を跳ね返される。クリアボールを受けた左SB高原、そこに素早く寄せた真希が強靱な足腰を活かして奪い返し、縦に抜けてPA右横へ、長沢はファーのスペースを指差すが、角度30度弾丸ミドル。豪放にファーに突き刺し、圧倒的な個人能力を見せつけた。2−1。
 44分、新潟のクリアを拾っての二次攻撃、池田が低く速く鋭いクサビをPA手前中央の真希に入れる。真希は弾むように一瞬で反転、すると弾丸ミドル。ゴール左に突き刺し、あっという間に湘南を突き放した。3−1。湘南はその前のプレーでDFが一人、PA内右で倒れていたせいか、真希への寄せが遅かった。その後も、真希が真司とのワンツーで左サイドを崩したり、村越のロングフィードに長沢が高い打点の「おじぎ」ヘッドが掠めたり、清水優勢のまま前半を折り返した。

湘南        清水エスパルス
6(2) シュート 7(4) ×岡村、×真司、○真希、◎谷野、◎真希、◎真希、×長沢
7(2) 右クロス 1(0) ×谷野
6(0) 左クロス 4(3) ○岡村、×岡村、○岡村、○真希
2(2) 右側CK 1(0) ×真司
1(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  1(−) ・岡村
4(0) ファウル 8(1) ・村越、・谷野、・石垣、×佐野、・石垣、・村越、・真司、・石垣

[後半]
 後半開始1分、村越のロングフィードに対してオフサイドにいた真司が、「気をつけ!」のポーズでボールへの無関与をアピール、入れ替わって真希が裏に抜けると、ライダーキック気味に飛び込んでボレーを放ったが、ゴール左上に外れた。良い形で試合を再開した清水は、左WBの岡村を中心に押し気味に試合を進め、9分にはボランチ上埜が入れたクサビを岡村が中央に戻し、それを長沢が右足アウトのダイレクトでスルーパス、真司が突っ込んだがGK平川が一瞬早くキャッチ。11分、中央に絞った谷野が右足アウトで右に流し、そこに真司。上げた右クロスを長沢が体でCB鈴木を弾き飛ばし、頭を巧みに捻った綺麗なヘッドでゴールを揺らしたが、残念ながらファウルの判定。背の高い選手は損だ。
 対する湘南は忠実なプレスで対抗しつつ、隙あれば中山が、鶴見が、北村が、積極的にシュートを狙ってくる。13分には中に切れ込む鶴見の突破に簡単に村越・谷野が釣られ、左外に回り込んだ宮崎がフリー。上げた左クロスに対してニアにFW北村が飛び込んだが僅かに合わず、佐野がクリアした。だが、前半から飛ばしていた湘南に疲労の色が見えるようになり、何でもないパスやトラップのミスを連発する。しかし、これに付け入りたい清水も、スタミナ切れにお付き合い。特に自分の裏を猪狩や渡部に突かれながらも、切り込み隊長となっていた岡村が目に見えて走れなくなる。頼みの真希の動きも重い。ゴール前の場面が少なく、相手のミスで攻撃が始まり、自分たちのミスで攻撃が終わる単調な展開が続いた。

 追う展開の湘南は次々と交代のカードを切るが、清水は竜男のユース公式戦初出場だったり、枝村の慣らし運転だったり、桑卓のトップ下起用だったり、試験的要素が強いもの。後日分かるのだが、石垣を除く交代した3人 (真司・上埜・真希) は、翌日のサテライト戦に出場していたりする。流れはやや湘南寄りで、34分には宮崎の速い左クロスが惜しくもファーに流れるが、鶴見がフォロー。向き直して送ったクロスは佐野がカット…はしたが、ダイレクトでクリアせずにトラップしようとして失敗。ルーズになったボールを何とか岩本がクリアしたが、それがPA手前中央の北村の下へ…! が、トラップミスかシュートミスか、ボールは勢いなくGK風間の前に転がり、事なきを得た。
 清水の攻撃は、36分に枝村のダイアゴナルフィードから岡村のクロスを竜男がボレー (枠外)、41分にPA左横から真希のFKをファーで村松がヘッド (GK正面) と、いずれも単発。湘南は猪狩がドリブルで切れ込んだり、ボランチ齋藤がミドルを狙ったりしたが、シュートに焦りが見えてゴールを脅かせない。そうしているうちにロスタイム、相手の速攻を池田が意図的に潰し (警告) 、50Mほどの長い距離のFK。ロングキックに岩本が競り負け、後ろに流されると、そこに鶴見が突っ込む! が、GK風間が一瞬早くキャッチ。ただ、この場面で風間との接触を避けて跳んだ鶴見は、着地の際に足を捻ったのか、最後に交代して担架に運ばれたままで、試合終了のホイッスルを聞いた。彼の無事を祈りたい。

湘南        清水エスパルス
8(2) シュート 4(1) ×真希、×真希、×竜男、○村越
5(1) 右クロス 1(0) ×真司
3(0) 左クロス 4(1) ×上埜、×岡村、○岡村、×岡村
0(0) 右側CK 1(0) ×岡村
0(0) 左側CK 1(0) ×谷野
0(−)  犯OS  1(−) ・長沢
13(2) ファウル 7(0) ・池田、・長沢、・谷野、・長沢、・池田、・枝村、・池田


▼試合結果

清水エスパルスユース 3−1 湘南ベルマーレユース
 得点:前半13分:清水・谷野 由紘 (岡村総一郎・左クロス)
    前半23分:湘南・鶴見 聡貴 ※PK
    後半42分:清水・山本 真希 ※ドリブルシュート
    後半44分:清水・山本 真希 (池田 康彦 ・クサビのパス)
 警告:前半23分:清水・佐野 克彦 (反スポーツ的行為)
    前半36分:湘南・宮崎 明浩 (遅延行為)
    後半44分:清水・池田 康彦 (ラフプレー)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●岩本 大 (1年・スイーパー)
 一人余るスイーパー役は確かに活躍が目立ちやすいポジションでもあるが、同時に最後の砦としての責任を負う。クレバーな岩本にこそ適任だろう。ポジショニングやリーダーシップだけでなく、ダイレクトクリアの精度の高さにも注目。

[私撰MIP]
●山本 真希 (2年・トップ下)
 前半、崩されるサイドを盛んにヘルプへ入ったこともあって、後半にスタミナ切れを起こしていたが、持っている素質はもはや別格。弾むような筋力が攻守に目立ち、低く速く正確なボールを蹴る能力は、トップチームのレベルにある。

●村越 大三 (3年・右CB)
 鶴見のスピードに負ける場面こそあったが、積極的に前に出る守備が光っていた。空中戦の強さを活かして、多くのクロスとロングフィードを跳ね返す。この日はロングフィードの精度も高く、同期の岡村に通すサイドチェンジが効果的だった。

[個人的好印象選手 (相手方) ]
 渡部 翼 (3年・右SB→CB): 前半は攻撃参加のタイミングに、後半は守備のポジショニングに、高い知性を見せた。
 鶴見 聡貴 (3年・左SH→トップ下): スピードだけでなく、自信に満ちた突破が印象的。怪我が大事ないと祈りたい。



2004年10月16日(土) Jユース杯 アルビレックス新潟戦 (A)

04年10月16日 (土) 14:00開始 長岡市営陸上競技場
 第12回Jユースカップ2004 Jリーグユース選手権大会 予選Dグループ
 対 アルビレックス新潟ユース (A) ※45分ハーフ
 天候:晴れ時々曇

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−−−石垣−−−−−−−− −−−−−−− 篠田悠 −−−−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− −−−−− 鈴木真−山本真 −−−−−

−−岡村−−枝村−−池田−−谷野−− −−岡村−−上埜−−池田−−谷野−−

−−− 佐野克 −岩本−−村越−−−− −−− 佐野克 −岩本−−村越−−−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

控え:前田、渥美、桑原彬、桑原卓、上埜、小泉、篠田悠
交代:後半21分:石垣→篠田悠 (そのままFWに)
   後半28分:枝村→上埜  (そのままボランチに)

アルビレックス新潟ユース:

−−−−−−10−−08−−−−−−

−−−−11−−−−−−07−−−−

−−−−−−14−−09−−−−−−
                   交代:前半38分:07→06
−−04−−05−−03−−02−−    後半24分:08→13
                      後半29分:02→12
−−−−−−−−01−−−−−−−−    後半42分:06→16


▼試合展開

 高円宮杯から続く日本海岸遠征4戦目 (長岡は海まで距離あるけど)。秋晴れに恵まれたが、かなり涼しいと感じる気候になった。清水は東福岡戦から取り組んでいる3バックを採用。高野美に代えて岩本、上埜に代えて谷野が入ったものの、ほぼベストメンバーと言ってよいだろう。対する新潟は、9月19日のJユースカップ緒戦で湘南に0−5で大敗。とはいえ、1週間前まで主力10人が国体に参加しており、万全な状態とは言えず、それは新潟の実力を表すスコアとは思えない。国際ユースin新潟でチリU-18に勝つなど、確かにまだレベルの高いチームとは言えないが、毎年北信越代表として多くの経験を積んでいる新潟は、決して昔のような「お客さん」ではない。

[前半]
 序盤、清水が全開。2分、左CB佐野が左足で巻いて出したロングフィードをDFが弾くも、ボランチの枝村が前線でカット。細かく入れたクサビをFW石垣が裏に流し、トップ下の真司が抜け出してシュートも、威力なくGKの読み勝ち。しかし、その後のGKからのフィードに対し、トップ下に位置する真希のヘッドはカブったものの、すぐ後ろでボランチ池田がフォロー、右足ダイレクトでボールを押し出すようにパスを送る。走りながら受けた真希は、そのままドリブル体勢、弾むようなステップでマークを振り解くと、PA手前右60度から得意の弾丸ミドルを放った。ボールは正確にファーサイドネットに突き刺さり、1−0。清水の先制点は、呆気ないほどの真希の個人技からだった。
 しかし、その後は新潟が意地を見せる。全選手が精力的に動き回り、激しくぶつかり合う。清水は、これをいなそうという意図が見えるが、主審がかなり削り合いに寛容だったこともあり (個人的にはピーピーうるさい主審よりは好みだが)、主導権を明け渡してしまう。肉弾戦となり、芝の状態も悪いせいもあって、スモールフィールドの中で簡単なミスが目立った。

 枝村経由の攻撃を仕掛けられない清水は、プレッシングを避けて縦に速い展開が多くなる。16分に自陣から佐野のFKを相手PA内で真司が体を投げ出すように落とし、真希がボレーで合わせたが宇宙開発、ボールを上空に打ち上げる。20分には自陣で奪った左WB岡村が、真司とのワンツーで一気に縦を踏破、左クロスに石垣が飛び込んだが当たり損ね。しかし、真司の動きは軽快で、調子が良さそうだ。一方の新潟は26分、35M以上あるFKを4番が直接狙ったのが、最初のシュート。攻める時間は長いが、攻めきれていない。
 清水は33分。岡村のスローインを受けた真希が、細かいステップでマークするDFの合間を縫うように左サイドからPA内に侵入、低い弾道のクロスをPA外に折り返すと、ほぼ中央から谷野がミドル。真希のシュートに似た重く低い弾道は、しかしゴールポストに嫌われた。このあたりから新潟のプレッシングが弱まり、清水が中盤の潰し合いから抜け出す回数が増えてくる。40分、真司を右SB2番がファウル、PA左角から10Mほど離れた位置からFK。岡村のキックが2度ほど跳ね返された後、池田が左に展開、大外に回り込んだ真希がタッチライン際で2人抜きして突入、非常に速い左クロスにGKがキャッチしきれずにこぼしたが、石垣が詰め切れなかった。前半はそのまま、1−0で折り返す。新潟の2本のシュートは、共にPA外からのもの。

新潟        清水エスパルス
2(1) シュート 6(2) ○真司、◎真希、×真希、×谷野、×佐野、×枝村
4(0) 右クロス 1(0) ×谷野
3(0) 左クロス 6(2) ×岡村、×真希、○岡村、○真希、×真希、×真司
1(0) 右側CK 2(2) ○真司、○真司
0(0) 左側CK 2(0) ×谷野、×谷野
1(−)  犯OS  4(−) ・村越、・真司、・真司、・真希
8(3) ファウル 5(1) ・谷野、・石垣、・真司、・枝村、×石垣

[後半]
 後半開始と同時に、今度は新潟がフルスロットル。やる気の問題なのか、スタミナ不足なのか、運動量の足りない清水を数人で囲んでは奪う。清水の両WBは下がって5バック気味になり、池田と枝村しかいない中盤が飲み込まれた。とはいえ、清水に守備的に戦う意図があるわけではなく、守備のスタートポジションこそ5バック気味だが、スイーパーの岩本一人を余らせて、他の4人は積極的に前に出て、相手のクサビを潰す意図があったように思われる。しかし、実際にはFW2枚しか前にいなくても最終ラインに5人が並び、相手OMFや、特にSBを中盤で自由にしてしまう傾向が目に付いた。トップでも、4バックの相手がOMFとSBで数的有利を作ろうという動きに対して、顕著な戸惑いがあるが、それが更に未熟になった状況と言える。
 新潟は右SB2番がかなり高い位置を保ち、流動的に動くOMFの6番・11番と絡みながら、攻撃の起点となり続ける。7分には6番のドライヴを掛けた右クロスがPA内でFWの足下に落ちるが、シュートは岩本がブロック、左サイドに流れたリバウンドに対してGK風間の飛び出しが遅れたが、佐野が体を張って相手の飛び込みをスクリーンした。後半の開始20分の間に、新潟は実に11本ものクロスを放り込んだが、一つは精度の問題、もう一つは佐野・村越が制空権を譲らなかったことで、危うい場面は生まれず。左右、特に左サイドの11番にサイドからCBが交わされて切り込まれることもあったが、岩本が1対1を落ち着いて対処。結局、新潟は開始4分に、2トップのワンツーで8番がミドルを放った (枠外) 以外に、シュートを撃てなかった。

 とはいえ、それまで守備練習かと思うほどに、一方的に新潟に攻められていたのも事実。だが、次第に新潟の運動量が落ちると、石垣から悠輔への交代を機に、ようやく反撃を開始する。22分、自陣右サイドで相手2枚を背負った枝村が、反転しつつライン際に見事なコントロールでフィード。右WB谷野の上げたクロスはDFに跳ね返されるが、真司がカットしてPA内左に流すと、そこにフリーで岡村が走り込む! が、シュートはニアに枠を外した。26分にも真希のパスから枝村が縦にクサビ、FW悠輔がトラップしつつ後ろに下がると、池田がスイッチして左へ捌く。岡村がクロスを入れたが、惜しくもDFに跳ね返された。やはり、枝村が絡むと攻撃にリズムが生まれる。
 その枝村は、しかし試合を通して運動量が少なく、28分に上埜と交代。それに前後して、新潟は10番が2本のミドルを放つも、GK風間が余裕を持って対処。すると36分、相手陣内で谷野のスローインを真司が巧みなキックで裏に流し、深く抉って谷野のマイナスの折り返しにPA内中央で真希、が、インサイドのキックは当たり損ねてGK、こぼれたのを悠輔が詰めるがクリアされる。38分にはカウンターから真希が中央突破を仕掛けるが、腕を掴まれて引き倒される。カードなし。43分、相手陣内右サイドの真司が小さく中へ、真希がPA内に縦に入れると悠輔が巧みに体を捻り、ファーを狙ったシュートはGKが何とか横っ飛びで弾いた。だが、岡村がフォロー、小さく横に流して真司が駆け込んだが、シュートをGKに当ててしまう。
 結局、試合はそのまま、1−0で終了。高円宮杯で3試合8失点を喫したことを思えば、PA内でシュートを撃たせなかったこの試合は、かなり改善したと言えるだろう。だが、中盤のプレッシングが組織的な連動性、相手の展開を読む個人戦術、共に不足している。それを支えるスタミナも懸念材料。戦術に関係なく、絶対的な運動量が相手に劣る試合が続いている。

新潟        清水エスパルス
3(2) シュート 6(4) ×岡村、○村越、○真希、×岡村、○悠輔、○真司
8(1) 右クロス 4(1) ×谷野、×真司、○谷野、×池田
5(0) 左クロス 6(0) ×佐野、×佐野、×岡村、×岡村、×岡村、×岡村
0(0) 右側CK 0(0)
3(0) 左側CK 0(0)
1(−)  犯OS  1(−) ・真希
2(0) ファウル 4(1) ・真司、×佐野、・岩本、・真司

 
(CKで競り合う村越)


▼試合結果

清水エスパルスユース 1−0 アルビレックス新潟ユース
 得点:前半02分:清水・山本 真希 ※ドリブルシュート
 警告:前半32分:新潟・07番  (ラフプレー)
    前半33分:清水・枝村 匠馬 (反スポーツ的行為)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●岩本 大 (1年・スイーパー)
 新潟が頻繁にサイドから切り崩しても、この男が立ちはだかった。適切なカバーリングの距離と素早い寄せ、完璧な地上戦の1対1で、最後の砦に。奪った後のクリア・繋ぎの選択も正しく、素早く、正確で、無失点の最大の功労者。

[私撰MIP]
●佐野 克彦 (1年・左CB)
 特別なプレーこそないが、空中戦の高さ、地上戦でのスピード、岩本と連動したカバーリング、攻撃時のセットプレーでの存在感、左足ロングフィードでの攻撃の起点、機を見た攻撃参加にクロスと、総じてレベルの高いところを見せた。

[個人的好印象選手 (相手方) ] 5番、14番



2004年10月15日(金) Jユース杯 展望

清水エスパルスユース

 高円宮杯は三戦全敗で終えた。2004年の清水エスパルスユースは当初、築館監督の下で昨年を土台にした継続路線を選択したが、怪我人が相次ぐ事態に見舞われたこともあって縮小再生産に終わり、今年6月に望月監督代行によって、リスタートを切ることになった。従来の方針に戻って2年生を大胆にコンバートするなど、マンネリズムを打破することに成功したものの、4ヶ月弱、公式戦僅かに5試合という猶予はあまりに不足していた。高円宮杯で対戦した高校勢に比べ、組織の未熟さは如何ともし難いレベルにあり、貴重な全国の舞台も「テスト」の色が濃くなってしまった。
 三連敗から二週間、Jユースカップが始まる。今年のチームの集大成を目指し、完成度を高める方向で戦うのか、それとも来年の大会に向けて、再びリスタートを切るのか。従来ならば前者であるが、今年は波乱の1年だけに予測できない。後者ならば、3年生は引退、2年生を適性ポジションに固定し、1年生を余ったポジションにコンバートすることになるだろう。まずは緒戦、新潟戦の布陣に注目である。


■選手名簿
別記参照方。


■基本フォーメーション
継続路線:              再リスタート:

−−−−−−−−石垣−−−−−−−− −−−−−−小泉− 篠田悠 −−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− − 桑原卓 −−−−−−−− 山本真 −

−−岡村−−枝村−−池田−−上埜−− −−−−−−長沢−−岩本−−−−−−

−−− 佐野克−高野美 −村越−−−− − 佐野克 −池田−−石垣− 高野美 −

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−前田−−−−−−−−

 継続路線のフォーメーションは、今年最高の内容だった東福岡戦のもの。個人的に中盤フラットの4−4−2しか適応できない選手になってほしくないので、今年は是非、3バックに挑戦してほしい。この試合は上級生中心に布陣が組まれたが、育ち盛りの下級生が虎視眈々とポジションを狙う。風間から前田が、高野美から岩本が、上埜から小泉が、岡村から桑原卓が、鈴木真から篠田悠が、石垣から長沢が、先発の座を奪ってもおかしくない。14日 (木) の清水商との練習試合 (○3−0) では、石垣→篠田悠、高野美→岩本の他は、上の東福岡戦と同じ布陣で先発している。
 再リスタートするならば、一旦、チームを壊すことになるので、どういうポジションになるか想像がつかない。そのため、私の独断と偏見で強引に組んでみた。結果だけを目指すなら他の方法があるのだが、来年昇格を狙う2年生を自分が最も得意だと考えてるであろうポジションに (石垣はFWでも面白そうだが)、1年生はプレーの幅を広げられそうなポジションにコンバートしてみた。しかし、なんと言うか、弱そうだ (笑)。


■注目新人選手
[定位置を掴んだ2人]
●池田 康彦  1988.09.15生 [169cm/60kg]
●佐野 克彦  1988.04.30生 [180cm/60kg]

 池田と佐野の2人は、既に確たる地位を掴んでいる。佐野は高さと速さで相手を抑え込むだけでなく、その左足で攻撃の起点としても機能しており、トップにおける森岡・鶴見以上にシステムにフィットしている。池田に至っては、1年生にてチームの重心。プレスを掛けられた時のいなし方に課題があるものの、要所を見極めた潰しの速さはチームに欠かせないものになっている。

[定位置を狙う5人]
●桑原 卓哉  1988.10.27生 [172cm/62kg]
●岩本 大  1988.09.09生 [180cm/65kg]
●長沢 駿  1988.08.25生 [188cm/64kg]
●町田 朋弥  1988.07.30生 [175cm/65kg]
●小泉 慶治  1988.05.01生 [166cm/55kg]

 以上、5名が準レギュラーとして定位置を狙う。桑原卓はドリブルもあるが、良質のフィードと競り合いの強さで低い位置でも機能でき、逆サイドとバランスをとることができる。岩本はストッパーとしては1対1、特に空中戦に課題があるが、池田と同様、急所を見極めた素早い寄せが魅力。ダイレクトクリアの精度も高い。体ができておらず、二種のトップレベルでは攻撃の基準点として不満が残る長沢だが、同世代相手ではゴールを量産。潰され過ぎて怪我することのないよう留意して、焦らずに大成させたい。
 得点感覚に長けた町田は、夏休み前に怪我をして出遅れてしまった。点取り屋らしいエゴイスティックな部分は、途中投入した際に良い刺激になる。小泉もまだまだ得意のドリブルが通用してるとは言い難いのだが、とにかく1対1で勝負に行く姿勢が素晴らしい。先発ならば切り込み隊長として、交代ならば膠着状態を打破することを期待できる。
 1年生は長い間、一緒にプレーしてきたため (13人が全員Jrユースからの昇格、清水FC出身が8人、岩本と桑原兄弟は共に有度二SSS出身だ)、同時に起用すると相乗効果が大きい。しかし、それは同時に短所でもある。下部組織の選手に求められるのは、トップに昇格した時に「一人」でどれだけできるか、あくまで「個人」の評価だからだ。1年生の「グループ」ではなく、ユース「チーム」に如何に適応するかが、大きなポイントだろう。


■出身現役Jリーガー・チームプロフィール
 別記参照方。


■試合日程
10月16日(土) 14:00 (A)アルビレックス新潟 長岡市営陸上競技場
10月23日(土) 14:00 (H)湘南ベルマーレ   藤枝市総合運動公園サッカー場
10月30日(土) 14:00 (A)ジュビロ磐田    ヤマハスタジアム
11月03日(水) 13:00 (A)湘南ベルマーレ   平塚競技場
11月06日(土) 14:00 (H)ジュビロ磐田    清水エスパルス三保グラウンド
11月14日(日) 11:00 (H)アルビレックス新潟 清水ナショナルトレセン J-STEP



2004年10月02日(土) 高円宮杯 青森山田戦

04年10月2日 (土) 13:15開始 米子市営東山陸上競技場
 高円宮杯 第15回全日本ユース (U-18) サッカー選手権大会 1次ラウンド
 対 青森山田高校 ※45分ハーフ
 天候:大雨

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−−−石垣−−−−−−−− −−−−−−長沢− 篠田悠 −−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− −−−−− 鈴木真−山本真 −−−−−

−−岡村−−上埜−−池田−−谷野−− − 桑原卓 −池田−−村越−−谷野−−

−−− 高野美 −岩本−−村越−−−− −−−−− 高野美− 岩本−−−−−−

−−−−−−−−前田−−−−−−−− −−−−−−−−前田−−−−−−−−

控え:風間、神田、桑原卓、枝村、小泉、篠田悠、長沢
交代:前半44分:岡村→桑原卓 (そのまま左WBに)
   後半28分:石垣→篠田悠 (そのままFWに)
   後半37分:上埜→長沢  (上記参照)

青森山田高校:

−−−−−−レオ−−小澤−−−−−− ※レオ=レオナルド

−−−−小寺−−−−−−仲谷−−−−

−−−−−−櫛引−−丸山−−−−−−

− 那須川 −橋本−−鈴木−−大塚−− 交代:後半37分:レオナルド→伊東
                      後半41分:大塚→板垣
−−−−−−−−三浦−−−−−−−−    後半42分:小澤→清水


▼試合展開

 共に決勝ラウンド進出がなくなった消化試合。清水は怪我の枝村を無理させることなく、ベンチに回した。前田・岩本・谷野が久々の先発。これまでレギュラーを務めてきた佐野はベンチにも入らなかったが、渥美と共に用具係として遠征に参加しており、他の選手に出場機会を積ませるため、出番を譲ったというところだろう。広島は福山出身の谷野は、中国地方への里帰りである。この大会、3年生が優先的に起用されてきたように見受けられたが、この試合はややそれが弱まり、4名の先発にとどまった。2年生は5名、1年生2名。
 青森山田は、善戦していた桐蔭戦後半の布陣が基本。ただ、右SBを板垣ではなく、この大会初めて大塚を起用してきた。県外留学生の多い学校として知られるが、実際、この日の先発も北海道出身者を中心に、千葉・愛知・和歌山と多様。誰もが最初に目を引くFWレオナルドは、クルゼイロ出身。小澤・櫛引・鈴木の3人が2年生で、残り8人は3年生である。

[前半]
 序盤は、やや低調な立ち上がり。青森山田は「15秒コンセプト」というか、とにかく前線の選手だけで素早くフィニッシュに行く傾向があるのだが、拙速の印象を受ける。ボールポゼッションは清水だが、主将不在+消化試合+悪天候と重なったせいか、ボールを持った時の動き出しが少なく、とにかく覇気がない。それでも地力に勝る清水が、オープニングシュートを記録。14分、岡村のクリアをFW石垣が頭で裏に流し、トップ下の真司が飛び込む。慌てたかGK三浦がファンブルしたのを、抜け目なく自ら突っ込んだが、枠を外した。すると16分、その真司が前線でプレスを仕掛けて奪取、中央突破を仕掛けるとDFが間に合う前にPA内に進入、切り返して間合いを図り、左足で落ち着いてゴール右へと流し込んだ。1−0。開始16分経過して、これが両チーム合わせて最初のビッグチャンスであった。
 その後、先制した清水が調子に乗る。前からプレスを仕掛けられるようになり、相変わらずの高いポゼッションも相まって主導権を握った。27分には、中盤で右サイドから中に持ち込んだ右WB谷野が、スペースを空けた右サイドへとスルーパス。そこへ真司が流れて抜け出すと、もう一度斜め後ろに中央へ戻して、走り込んだ谷野がミドルを放ったが、GK三浦が横っ飛びでディフレクトし、左CKに逃げた。そのCKのクリアボールから岡村がシュート (GK正面)、29分にも真希のクサビを受けたボランチの池田がCB鈴木に倒され、PA右横からのFKという好機を得ている。

 しかし、30分を過ぎたあたりで3度ほどOMF仲谷に3バックの右横を走られ、脆くも調子を崩す。35分、爆発的ダッシュを開始した仲谷に、同じOMFの小寺が寸分違わぬタイミングでPA右側にスルーパスを出すと、誰も付いていかず完璧に抜け出され、仲谷はGK前田のニアを割って同点弾を叩き込んだ。1−1。それどころか39分には、バイタルエリアでカットした池田が、クリアせずに安易に繋ごうとしたパスを狙われ、奪ってFW小澤が縦へ、FWレオナルドが左斜め後ろに戻し、フリーで小寺がゴールファーへと、ショートパスをポンポン繋がれて簡単に失点、逆転される。1−2。それまでシュート0の青森山田に、僅か4分の間に2本のシュートで逆転されるメンタリティーは、悪い時のトップが乗り移ったかのようだ。
 3バックで守る清水は、相手陣内でプレーできてる間は良かったが、守勢に回ると哀れに組織的弱点をさらけ出す。トップと同様、4−2−2−2の相手に対し、2枚のOMFを左右WBか、ボランチが担当するのか曖昧なままで、左右WBが見れば相手SBにフリーでオーバーラップされ、ボランチが見ればサイドに流れる相手に釣られてバイタルエリアが薄くなる。全体的に引いてしまい、トップ下の真希・真司がゴールに向かう距離が長くなると、攻撃にも脅威がなくなった。その後も42分に岡村が負傷、45分に桑卓が投入されるまで10人で戦ったこともあって、山田攻勢のまま前半を折り返した。

青森山田      清水エスパルス
3(3) シュート 5(4) ×真司、◎真司、○谷野、○岡村、○村越
4(0) 右クロス 0(0)
2(0) 左クロス 2(0) ×真希、×岡村
1(0) 右側CK 1(1) ○真司
0(0) 左側CK 1(0) ×真司
1(−)  犯OS  0(−)
9(1) ファウル 6(0) ・上埜、・岡村、・真希、・真司、・真希、・真希

[後半]
 後半も嵐の影響もあるだろうが、互いに平凡なミスの多い低調な立ち上がり。やや追い掛ける清水が優勢に進め、上埜・池田のダブルボランチがトップ下の真希・真司と絡むことで、何度か右サイドから崩そうとする場面が見られる。すると9分、山田左SB那須川の左クロスを跳ね返して速攻、受けた真司が足首を使ってチョコンとボールを浮かすドリブルで、鮮やかにDFを抜き去って縦に突破すると、大きく右へとサイドチェンジ。そこにいた真希が、PA外右30度から右足一閃。弾丸ライナーが一直線にファーサイドネットに突き刺さり、同点に追いつく。2−2。ざわつく観客席をよそに、このぐらい決めて当然とばかり右腕を突き上げたままの真希。
 追いついた清水は、なおも小寺・仲谷の両OMFをフリーにしがちなのが気になるものの、真希・真司を軸に攻め続ける。17分には池田がサイドに散らしたパスを受けて桑卓が中に切れ込み、代わって左サイドに流れた上埜へ戻す。上埜が入れたクサビを石垣が小さく戻すと、再び真希の弾丸シュートが炸裂したが、ゴール左ポストを舐めるように外れた。しかし19分、上埜が気安く戻したバックパスによって村越が3人に囲まれて奪われると、小さく左へ展開してレオナルドがPA内に切れ込む。バックチャージ気味のタックルを受けながら踏みとどまったレオナルドは、GK前田の前で小さく右後ろに戻すと、フリーの小澤が楽々とゴールに流し込み、2−3。
 ところが、その直後の20分、素早い寄せという個人能力でボランチ丸山?からボールを奪った真希が、その勢いのままPA左角からPA内に侵入して、個人技でファーへとシュートを決めてしまった。3−3。そうとしか書きようのない、格の違いだけで決めたゴール。だが、そんな選手がいながら、清水はイーブンの状態を守りきれない。4分後の24分、仲谷のミドルが枠外に外れて前田のゴールキック、それをCB橋本?が跳ね返すと、あっさりと仲谷に単身裏に走られる。ゴールライン際から折り返したクロスをカットしようと、投げ出した岩本の足は僅かに届かず、ニアのレオナルドがスライディングボレーでそのままニアに押し込んだ。3−4。

 7点の得点場面のうち、意図的に崩しての得点は山田の1点目と、清水の2点目ぐらいで、他の5点は全てミス絡み。静岡新聞が自分たちのミスから失点するトップの悪癖を、「自滅型失点」と称していたが、それが伝染したかのようだった。その後も、屋根の下の観客席にも降り込むほど激しくなった雨足に絡め取られたように、足の重い清水。37分に3人目の交代 (長沢投入) を行い、枝村温存が決まった瞬間、勝敗は決まっていたのかも知れない。枝村抜きでもできるところを、見せてほしかったのだが。


 26分に真希のドリブルシュートがDFに当たり、右サイドに流れたのを拾って谷野のシュートはGK正面。38分に真希の右CKのクリアを美臣が拾い、左に展開して岩本がスペースにクロスを送ったが、飛び込んだ悠輔は一歩間に合わず。最後の15分間で5つのCKを奪うなど、真希と悠輔の個人技は目立ったが、それだけ。シュートを撃てず、煮えきれないまま、3戦全敗という不甲斐ない成績で、清水の高円宮杯全日程は終わった。

青森山田      清水エスパルス
7(3) シュート 4(3) ◎真希、×真希、◎真希、○谷野
5(1) 右クロス 1(0) ×谷野
3(0) 左クロス 4(0) ×真司、×岩本、×真希、×桑卓
2(0) 右側CK 4(0) ×真司、×真司、×真希、×真司
1(0) 左側CK 3(0) ×真司、×真希、×真希
0(−)  犯OS  0(−)
3(0) ファウル 9(3) ・真司、×村越、・村越、・真希、・真司、×岩本、×真司、・真希、・美臣


▼試合結果

清水エスパルスユース 3−4 青森山田高校
 得点:前半16分:清水・鈴木 真司 ※ドリブル突破
    前半35分:山田・仲谷 圭史 (小寺 優輝 ・スルーパス)
    前半39分:山田・小寺 優輝 (レオナルド・ショートパス)
    後半09分:清水・山本 真希 (鈴木 真司 ・サイドチェンジ)
    後半19分:山田・小澤 竜己 (小寺 優輝 ・ショートパス)
    後半20分:清水・山本 真希 ※ドリブル突破
    後半24分:山田・レオナルド (仲谷 圭史 ・右クロス)


▼選手寸評

[私撰MVP/私撰MIP]
●なし
 シュートとドリブルで爆発力を発揮した真希、鋭い読みとレオナルドのドリブルを完封する1対1を見せた岩本、猪口才なテクニックが健在の真司、攻守に中に絞っての仕事が良かった谷野、…部分的に良かった選手はいるが、MVP/MIPに相応しいとは言えない。特に枝村不在時の課題、戦術的に精神的にチームを有機的に結びつける役割を、誰もこなせなかった。

[個人的好印象選手 (相手方) ]
 仲谷 圭史 (3年・OMF): 足の速さは勿論、左WBと左CBのギャップを巧みに突く運動量で、それを最大に発揮した。
 小寺 優輝 (3年・OMF): ドリブラーであると同時に視野が広く、味方の動き出しに気づくことができる。攻撃の起点。


04年10月2日 (土) 11:00開始 米子市営東山陸上競技場
 高円宮杯 第15回全日本ユース (U-18) サッカー選手権大会 1次ラウンド
 大津高校 対 FCみやぎバルセロナユース ※45分ハーフ

大津高校:               FCみやぎバルセロナユース:
−−−−−−松尾−−市原−−−−−−  −−−−−−−−鈴木−−−−−−−−
−−−−野口−−岩野−−松下−−−−  −−−−遠藤−−蝦名−− 東 −−−−
−−−−−−−−坂本−−−−−−−−  −−−−−−小野−−西川−−−−−−
−−府内−−永田−−佐川−−小田−−  −−山形−−斉藤−−堀口−−郷内−−
−−−−−−−−成松−−−−−−−−  −−−−−−−−丹野−−−−−−−−
交代:後半21分:野口→大塚       交代:前半20分:蝦名→西山
   後半40分:岩野→小笠原         後半17分:西山→石井
                       後半38分:石井→谷口

前半03分、OZ、松下の右クロスに松尾がスクリーンするDFを吹き飛ばして、豪快に決める、1−0
前半30分、みやぎ、中盤で振り向いた東の35Mドライブミドル、1−1
前半43分、みやぎ、サイド際を縦に勝負した遠藤が抜ききる前に左クロス、ファーに左SB(!)の山形が飛び込み、1−2
後半17分、OZ、小田・警告 (反スポーツ的行為)
後半38分、OZ、永田・警告 (反スポーツ的行為)
後半38分、OZ、松尾・警告 (異議)

大津高校           FCみやぎバルセロナユース
3(1)/7(4) シュート 12(8)/10(3)
3(0)/3(1) 右クロス 4(0)/5(0)
1(0)/1(0) 左クロス 6(1)/3(0)
1(0)/3(0) 右側CK 0(0)/1(1)
2(0)/0(0) 左側CK 2(0)/2(0)
3(−)/1(−)  犯OS  1(−)/3(−)
11(2)/8(1) ファウル 3(1)/9(0) ※内側が前半/外側が後半の数字

大津高校 1−2 FCみやぎバルセロナユース


[個人的好印象選手] 松下・市原 (OZ)、遠藤・郷内 (みやぎ)


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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