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2004年03月31日(水) データ集 2003年度


(画像サイズ、デカくてすいません)

 まずは基本説明を。上記一覧表は、私が観戦した試合における「私が集計した記録」のうち、公式戦(クラブ選手権、東海プリンス、高円宮杯、Jユースカップ)のものを、統計にしたものです。それ故に、公式記録と違い、誤りがあります。傾向を掴む程度に捉えて頂ければ、有り難く思います。スタッツは、徐々に統計対象を増やしています。そのため、母数となる対象試合数には、それぞれ差異があります。
 用語説明については、こちらを参照下さい。


▼出場時間

−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−−

−−大瀧−−−−−−−−− 山本真 −

−−−−−−枝村−−森安−−−−−−

− 篠田大 −高柳−−石垣−−村越−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

1. 阿部(2369)、2. 大瀧(2363)、3. 枝村(2360)、4. 森安(2167)、5. 海人(2061)
6. 真希(1988)、7. 村越(1964)、8. 高柳(1830)、9. 真司(1766)、10.大輔(1232)、11.石垣( 971)

12.谷野( 851)、13.美臣( 751)、14.岡村( 682)、15.柴田( 607)
16.悠輔( 569)、17.雄也( 385)、18.上埜( 355)

 以上、上位18人。18人は、ユース年代の標準的なベンチ入りメンバー数である。以下、19.八木 (354)、20.前田 (309) と続き、21番目の獅子内は計124分、22番目の田淵が21分と差が開く。
 前任の行徳氏は、手堅い起用をする監督だったが、築館氏は柔軟な運用や、大胆な抜擢が見られる。18人中、3年生6名・2年生6名・1年生6名と、下級生の起用が多くなった。無論、固定できなかったという面もあり、特に右SHは谷野・柴田・上埜の他、終盤戦では大瀧や真司がコンバートを試されるなどしたため、専門的に右SHを担当する選手は、一人も11傑に割り込めなかった。そのため、上記図は、上位11名による布陣であるが、実際にそれで戦った試合はないはずである。


 以下の統計は、統計対象試合で通算300分以上出場した選手(前田以上20名)を対象にしている。


▼得点・シュート
[90分間あたり得点率] 清水累計:2.20、相手累計:1.13
1.阿部( 0.91)、2.悠輔( 0.63)、3.枝村( 0.38)、4.八木( 0.25)、5.大瀧( 0.23)、6.森安( 0.17)

[90分間あたりシュート数] 清水累計:14.7、相手累計:13.0
1.阿部( 3.91)、2.枝村( 2.94)、3.大瀧( 2.06)、4.真希( 1.77)、5.悠輔( 1.74)、6.真司( 1.53)

[シュート決定率] 清水平均:15.0%、相手平均:9.4%
1.悠輔(36.4%)、2.村越(33.3%)、3.阿部(23.3%)、4.八木(20.0%)、5.森安(19.0%)、6.谷野(16.7%)

[枠内シュート率] 清水平均:49.0%、相手平均:43.7%
1.悠輔(72.7%)、2.阿部(64.1%)、3.森安(57.1%)、4.大瀧(53.7%)、5.岡村(50.0%)、5.枝村(45.5%)

 4つの項目を、エース2名が仲良く2つずつトップを分け合った。少々厳しい状況でも強引にシュートに持っていく力のある阿部、ここぞという決定機を確実にモノにする悠輔、2人の特長がよく表れている。逆に、下位に沈んだ項目を見ることで、2人の課題が見えてくる。阿部はシュート決定率が、チーム3位。昨年の数字、決定率16.1%・枠内率51.6%から大きく向上し、浩太のパスを失ったチームを引っ張ったが、今後、プロの舞台で、さらなる向上が望まれる。一方の悠輔の課題は、枝村らMF陣より少ないシュート数。大外しが殆どないため、シュートをブロックされることが多いという事情もあるのだが、独力でシュート場面を創るプレーも期待したい。
 ただ、残念ながら2人が組んだのは、525分間に留まり、悠輔復帰までは、阿部の相方探しに苦しんだ。主に組んだ真司の統計は、シュート本数で6位に入ったのみで、FWのそれではない。確かにドリブルという数字に残らない武器があるが、真司はアシストこそ若干増えたものの、クロスも含め、昨年より軒並み数字を落としている。他に、1年の八木が高い決定力を残したが、試合の趨勢が決まった後に交代出場で決めたもので、量の点で物足りない。仁科卒業の穴を痛感させられるが、それを補ったのがMFの得点力である。特に枝村は、昨年の1.5倍近い頻度でシュートを放っており、阿部が不調だった東海プリンスの前半戦では、エースの活躍を見せた。課題はミドルが多いせいでもあるが、45.5%の枠内率。最終学年を迎えた森安は、SBで前に出る機会が少ない中、ミドル中心とは思えない枠内率で、チームを救った。大瀧は昨年より数字が落ちたが、なお攻撃の中心である。
 チーム全体の傾向としては、高いシュート決定率が特長。昨年のチームと比べると、シュート本数や枠内率が落ちる中で、決定率は依然、高い水準を保っており、FW陣、特に阿部の奮戦が窺える。


▼アシスト
[90分間あたりアシスト数] 清水累計:1.41、相手累計:0.87
1.柴田( 0.44)、2.大瀧( 0.34)、3.枝村( 0.31)、4.八木( 0.25)、5.真司( 0.20)、5.阿部( 0.15)

[アシスト率(=アススト÷ゴール)] 清水累計:63.8%、相手累計:71.9%

 1年生の柴田がトップ。先発ではユース年代のプレッシャーに苦しむことも多かったが、途中出場でスペースがあれば、そのスピードとテクニックで決定的な仕事ができた。2位には、昨年のアシスト王・大瀧が。総数では変わらず首位だが、昨年に比べ半減した。慣れない右SHやCHでの起用が増えたこと、左SHで起用された際も、1年生が多く務めた右SHに比して、相手の警戒が強まったことが、要因か。代わって、枝村が昨年の5倍近い頻度でアシストを記録、浩太から司令塔の座を引き継いでいる。
 全体的にゴールにアシストが絡む確率が低く、独力でゴールを奪う傾向が見受けられる。


▼クロス
[90分間あたりクロス成功数] 清水累計:5.42、相手累計:3.22
1.八木( 1.51)、2.谷野( 1.47)、3.柴田( 1.04)、4.岡村( 0.99)、5.森安( 0.84)、6.大瀧( 0.81)

[90分間あたりクロス数] 清水累計:19.1、相手累計:15.2
1.上埜( 5.26)、2.柴田( 4.08)、3.大瀧( 4.04)、4.谷野( 3.07)、5.岡村( 2.69)、6.森安( 2.60)

[クロス成功率] 清水平均:28.3%、相手平均:21.2%
1.八木(74.2%)、2.谷野(47.9%)、3.村越(38.9%)、4.枝村(37.8%)、5.雄也(37.7%)、6.岡村(36.9%)

 成功数(頻度)トップの八木は、やや対象数が少なく参考記録気味。FWとして前線に位置しながら、ロングボールから巧く裏に抜けて、それを折り返す動きが見られた。右SHのポジションを激しく争った谷野と柴田は、量の柴田、質の谷野という構図が見られる。縦突破からクロスの形を持つ柴田、強靱な体で相手を押し退け、視野を確保してクロスを上げる谷野、と言えるだろうか。キックに自信のある上埜や大瀧は、少しぐらいマークが付いていても、巻くクロスでブロックされずに、積極的に上げてくるタイプ。本数は多いが、サイドを抉ってマイナスのクロスを上げる割合が少ないため、成功率に劣る。その成功率では、サイドアッタカーの他に、高精度ロングフィードを装備する村越と、盛んに中盤の底から飛び出して相手に的を絞らせない枝村が、上位に名を連ねた。
 チーム全体としては、本数が減った一方、成功率が向上。浩太が抜けたため、サイドを崩すような展開力が落ちたが、最終学年を迎えた阿部が、ターゲットマンとして機能した、と分析できるだろうか。対戦相手の累計クロス数が激増しており、加えて相手の成功率も向上(=自軍の阻止率が低下)、昨年に比べサイドの守備に脆さを見せていたことを伺わせる。


▼反則・警告
[90分間あたりファウル数] 清水累計:16.9、相手累計:15.5
1.悠輔(3.01)、2.岡村(2.78)、3.阿部(2.72)、4.村越(2.66)、5.森安(2.52)、6.八木(2.52)
…16.大輔(0.80)、17.高柳(0.64)、18.石垣(0.63)、19.海人・前田(0.00)

[90分間あたり警告数] 清水累計:1.29、相手累計:1.41
1.雄也(0.47)、2.美臣(0.36)、3.村越(0.27)、4.八木(0.25)、5.真司(0.20)、6.森安(0.17)
…13.海人・高柳・石垣・谷野・柴田・悠輔・上埜・前田(0.00)

[反則に対する警告確率(=警告÷反則)] 清水累計:7.6%、相手累計:9.1%
1.美臣(36.7%)、2.雄也(22.5%)、3.大輔(18.2%)、4.真司(14.9%)、5.真希(14.6%)、6.八木(11.3%)

 あまり上位になっても嬉しくない、反則・警告関係。反則率トップに篠田悠輔。しかし、警告数は0だったりする。見ていると、確かに無茶だなあ、と思うプレーも多いのだが、スペインでは、あのぐらいが当たり前なのかもしれない。阿部も3番目に入り、昨年のユースがオフェンスファウルが多かった様子が伺える。FWはこのぐらい、気持ちが強い方がいい、と個人的には思う。続いて村越・森安とコンタクトに強い選手が、「順当に」名を連ねたが、一方で下位に大輔・高柳・石垣と、最終ラインの選手が並んでいる。攻撃面ではガツガツと、守備面ではクリーンに、ということだろうか。石垣がGKを除いて最下位というのが、かなり意外。
 警告関係では、雄也と美臣が上位に。この2人はファウル数はさほど多くはないので、サイドからスカッと抜かれて、つい足や手が出てしまう姿が窺える。森安の警告数や大輔の警告確率も高くなっており、昨年の清水が、サイドの攻防で後手を踏むことが多かったということになるだろうか。ただ、森安や村越の場合、コンタクト系のため反則自体の数が多く、特に警告確率が高いわけではない。前目のポジションに関わらず、警告数・確率が高めの真司・八木は、精力的ということか、それともお調子者なのか。
 チーム全体では、反則数で相手を上回り、警告数で下回っている。昨年のチームが、清水では珍しい武闘派集団であったことを、裏付ける。オフェンスファウルが多く、被決定機阻止が比較的少ない点が、警告数・率を下げた理由だろう。


▼得点の形・失点の形

  得点             失点
2( 6%) セットプレー直接 4(13%)
9(16%) セットプレー間接 8(25%)
10(17%) 清水右サイドから 8(25%)
6(10%) 清水左サイドから 4(13%)
13(22%)  中央から裏へ  3( 9%)
6(10%)  中央から強引に  1( 3%)
12(21%)  ミドルシュート  4(13%)

 清水エスパルスと言えば、執拗なサイド攻撃というイメージであり、実際、下部組織でそれが裏切られることは稀であるが、昨年で言えば、それが得点に結びつくことは少なかった。比較的、右サイドに偏っているのは、左SHの大瀧が純粋なサイドアタッカーではなく、中央バイタルエリアに入り込む動きを盛んに行ったためだろう。両SBのうち、右の森安の方が上がり目である点も大きい。一方で、相手に崩された回数も右サイドが上回り、その上がり目になった森安の裏を突かれた格好が多かった。ただ、森安の責任だけでなく、右SHが1対1で遅れをとったことで、森安が1対2で応対せざるを得ない状況が多かった点も、記しておく。
 攻撃面では、サイド攻撃の代わりに中央から裏を狙うパターンが一番を占める。これは即ち、全体の得点の4割強を叩き出した、阿部のプレースタイルを物語っている。枝村や大瀧など、パスの配給側のセンスも大きいが、彼らの能力はむしろ、2番目・21%の得点パターンを占めるミドルシュートの部分に表れていると言えよう。また、失点に比べて3倍近い割合を占める「中央から強引に」も含め、個人の能力に頼った(目立った)得点が多いとも言える。一方、直接FKが1回に、PKも1回のみ。名手大瀧の存在を考えると、明らかに物足りない。PKは失敗した回数の方が多く、Jユース杯がPK戦で敗退したのも、当然の流れだったのかもしれない。
 失点を見ると、清水のサイドから崩された確率(左右計38%)と同点で、セットプレーがトップとなっている。一方、「セットプレー直接」の4失点のうち、PKによるものが3で、直接FKによる失点は1回だけに過ぎない。それもGKが前田だった時のもので(Jユース杯・柏戦(H))、シュートコースが限定された状況で、GK海人の牙城を崩す困難さが表れている。だからこそ、セットプレーにおける攻守の脆さは勿体ない。レギュラーで180cm級の選手が阿部しかいないこと、結果重視のトップと違い、パターン練習をあまりしないことなど、仕方のない面もあるのだが、昨年から対戦が増えた高校勢は豊富なセットプレーのパターンを持ち、またクラブユースでも関東勢を中心にこれを得意とするチームも増えており、今後の強化が必要だろう。


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2004年03月29日(月) 清水高校親善 大宮アルディージャユース戦・徳島市立高校戦 (寄稿)

 タナカさんの立派な観戦記はこちら →ぽけっとエスパルス(大宮ユース戦徳島市立高戦
 以下はそちらから一部抜粋。

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3月29日10:45開始 鈴与三保グラウンド(エスパルス育成グラウンド)
 第31回全国高校サッカー親善試合(清水) 後期リーグFブロック
 対 大宮アルディージャユース ※30分ハーフ

先発:                終了間際:

−−−−−−町田− 篠田悠 −−−−− −−−−−−町田−−長沢−−−−−−

− 高野一 −−−−−−−−−小泉−− −−岡村−−−−−−−−−−小泉−−

−−−−−−上埜−−谷野−−−−−− −−−−− 山本真 −谷野−−−−−−

− 桑原卓 −村越−−岩本−−渥美−− − 桑原卓 −村越−−岩本−−上埜−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−− 

交代:後半00分:渥美 →山本真(谷野を右SB、山本真をCHに)
   後半09分:篠田悠→長沢 (そのままFWに)
   後半16分:高野一→岡村 (そのまま左SHに)

清水エスパルスユース 4−0 大宮アルディージャユース
 前半19分:清水・篠田悠輔
 後半07分:清水・篠田悠輔(小泉慶治 ・右クロス)
 後半21分:清水・町田朋弥(岡村総一郎・左クロス)
 後半24分:清水・村越大三(直接FK)


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3月29日13:30開始 鈴与三保グラウンド(エスパルス育成グラウンド)
 第31回全国高校サッカー親善試合(清水) 後期リーグFブロック
 対 徳島市立高校 ※30分ハーフ

先発:                終了間際:

−−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−− −−−−−−八木− 山崎竜 −−−−−

−−岡村−−−−−−−−−−柴田−− −−岡村−−−−−−−−− 高野一 −

−−−−−−岩本−−上埜−−−−−− −−−−−−上埜−−柴田−−−−−−

− 高野美 −村越−−石垣− 桑原彬 − − 桑原卓 −岩本−−石垣− 桑原彬 −

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−− 

交代:後半00分:村越 →高野一(岩本をCB、柴田をCH、高野一を右SHに)
        長沢 →八木 (そのままFWに)
   後半11分:高野美→桑原卓(そのまま左SBに)

清水エスパルスユース 2−1 徳島市立高校
 前半11分:清水・山崎竜男(縦パスを頭)
 前半20分:清水・山崎竜男(左足ミドルシュート)
 後半21分:徳島市立高校 (FKから混戦を押し込まれる)



2004年03月28日(日) 清水高校親善 南宇和高校戦+番外編

04年3月27日13:30開始 鈴与三保グラウンド(エスパルス育成グラウンド)
 第31回全国高校サッカー親善試合(清水) 前期リーグFブロック
 対 南宇和高校 ※30分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:                終了直前:

−−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−− −−−−−−八木−−長沢−−−−−−

− 高野一 −−−−−−−−−小泉−− − 高野一 −−−−−−−−−小泉−−

−−−−−−上埜−−柴田−−−−−− −−−−− 山本真 −上埜−−−−−−

− 桑原卓 −村越−−岩本− 桑原彬 − − 桑原卓 −岩本−−石垣− 桑原彬 −

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

交代:後半00分:柴田 →石垣 (村越をCH、岩本をCBに)
   後半14分:村越 →山本真(そのままCHに)
   後半16分:山崎竜→八木 (そのままFWに)

南宇和高校:

−−−−−−10−−09−−−−−−

−−−−−−−−11−−−−−−−−

−−08−−13−−14−−07−−

−−−−04−−25−−02−−−−

−−−−−−−−01−−−−−−−−

交代:なんか色々代わってたけど、交代のボードも用意されてないし、よくわからない。


▼試合展開

 怪我のため試合に出ない選手は、試合開始30分前、1時頃に集合だったようだ。キャプテンの枝村は、キャプテンらしく(?)、練習開始前にボールを運んでチームに貢献していた。その練習兼アップには、第1・2試合スタメン組+真司がアップに参加。別メニュー組は、望月・枝村・雄也・真希・八木・佐野・晃太で、全員スパイクを履き、1時間弱ほど汗を流す。前田・小出・池田・神田の姿は見えなかった。早生まれのカンちゃんがU-14ナショナルトレセンに選ばれて不参加なのは分かるのだが、前田と池田、小出はどうしたのだろうか?
 第2試合のスタメン組は、1年生が主体で実に6人が名を連ねる。高野一也がこちらに回った他には、上埜・風間・村越・柴田が連続出場となった。GKは前田が欠席、晃太が怪我だったが、下から引き上げようにも、Jrユースは中3が愛知、中2が群馬の大会に参加しているので、実は、風間一人(その風間にしても、昨年のこの大会からフィールドプレーヤーへのコンバートを試みていたわけだし)の非常事態だったりする。南宇和のメンバーはよくわからず。

[前半]
 機先を制したのは清水。2分、左からPA左角へドリブルで持ち込んだ一也が、竜男とのワンツーでPA内に侵入し、初シュートを記録すると(GK正面)、続く3分にも桑卓が左サイドをスルスルっと攻め上がり、入れ替わって後ろに下がった一也に戻す。このアーリークロスを長沢がバックヘッドで合わせる妙技を見せたが、威力なくGK。同期で連携も良く、互いにポストを得意とする長沢・竜男の2トップに、桑卓の狙いに長けたフィードと、一也のスピードが絡む左サイドが起点となる。
 12分には上埜のスルーパスを、受けた竜男が更にスルーパス、長沢が抜けてシュートは、威力に欠けてGK。が、2試合連続スタメンとなる上埜・柴田の中盤中央の2人が、次第に試合から消えてしまい、15分に竜男が前線で奪うとそのまま右に抜け、クロスを長沢が合わせたり(GK正面)、20分、スローイングを受けた長沢が、他人と全く異なる間合いでのトラップでマークを外して、PA左角からミドルを放つなど(GK)、徐々に前線の個人技に頼る展開が増えてくる。

 中盤の支配率が落ちたことで、南宇和に反撃の機会を与えることになり、16分には小泉のファウルによる30M程の直接FKから初シュートを許し(枠外)、22分には9番がミドルを放つ(枠外)。が、第一試合と異なり、両SBが余り攻め上がらず、後方からのフィードでスピードのある両SHを走らせる選択をしたことで、容易に相手にスペースを渡さない。CHがフィルター役になりきれない場面でも、岩本が一発で奪取しようとせず、プレーを遅らせてシュートを撃たせないことに務め、綻びを生じさせなかった。
 攻撃では、一方のサイドだけでの展開が増え、手詰まり感も生じていたが、28分に桑卓の左クロスを巡る交錯で、PA左角よりやや浅い位置からFKを得る。上埜が蹴ったボールにファーで合わせたのは村越、しかし、合わせるので精一杯だったのか、至近距離でのヘッドは枠上に外れた。結局、0−0のまま、後半を迎える。

南宇和高      清水エスパルス
2(0) シュート 7(4) ○一也、○長沢、×長沢、○長沢、○長沢、×一也、×村越
0(0) 右クロス 4(1) ×小泉、○竜男、×小泉、×桑彬
0(0) 左クロス 6(1) ○一也、×桑卓、×長沢、×桑卓、×一也、×桑卓
0(0) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  2(−) ・竜男、・長沢
4(1) ファウル 5(2) ・上埜、×桑彬、・小泉、×小泉、・村越

[後半]
 後半、疲れの見えていた柴田に代え、石垣を投入して村越を前へ。村越は精度の高いロングフィードで左右に散らすことに成功したが、判断の速さを求められるポジションで、劇的に流れを変えるには至らなかった。逆に5分、左CKをニアの風間の前で合わせられ、最初の被決定機を迎える。ファーにいたDFが、体で跳ね返した後も混戦になるが、なんとか再び左CKへと逃げる。6分、今度はニアの桑彬?が跳ね返すと、速攻。クリアボールを前線に残っていた竜男が粘り、潰されながら駆け上がる味方に戻すと、小泉?が右スペースに展開する。そこへ桑彬が攻め上がり、一つ早いタイミングで中央へ折り返し。長沢1枚しかPA内に侵入できていなかったが、DF2枚の間に体格で強引に割り込むと、ワントラップでプレッシャーを交わして、正確なシュート。清水に先制点をもたらす。1−0。
 その後の8分、右クロスをファーで石垣がクリアしたボールが左に流れ、石垣が釣り出された隙に、再度折り返されたボールが中央、ファーと繋がるが、これは相手のシュートミスに助けられる。その後は、攻撃参加を更に自重した両SBと岩本が、万全のカバーリング体制を整え、コンタクトに強い石垣を強力サポート。好きな選手=ネスタな岩本を軸に、イタリア流ウノ・ゼロ(1−0)での逃げ切りを図る。
 それに待ったをかけたのは、築館監督。というか、恐らく試合勘を取り戻す目的で投入した、山本真希。アップの段階から傍目から見ても、うずうずしていた真希は、残り15分間で投入された瞬間、俺を走らせろオーラを全開。16分、中盤に下がった竜男が右から左へ流れながらボールをキープ、CHの真希へ戻す。すると真希は、怪我復帰戦とは思えぬ得意の弾道キャノンパスを前線に送り込むと、同時に「お前は復帰戦なんだぞ」と見てる方が心配する勢いで、猛ダッシュを開始。そのパスを受けた前線の長沢が、トラップから柔らかく前にパスを出すと、既に真希はそこに追いついており、PA内右45度から勢いのまま、弾丸キャノンシュート。勢いのまま、突き刺さる。GKとか、関係なし(笑)。2−0。

 ただ、真希も万全だったわけではない。競り合いに脆さを見せる場面もあり、また疲れた上埜の存在感も希薄で、完全に相手を押し込むという展開にはならなかった。何より、両SBの攻め上がりの自重は、ウノ・ゼロだろうが、ドゥエ・ゼロ(2−0)だろうが変わらない。ここらへん、2大大会で共に大会最小失点チームだった去年のJrユースのコンセプトが染みついている。
 もっとも、リードしていれば相手は攻めるしかないわけで、前線の選手だけでも、十分に攻撃の形は作れる。21分、南宇和・左CKがファーに流れたボールを、拾い直してPA右角からミドルを狙ったのが、最後の効果的な攻撃となった。後はPAの10M周囲前後まで攻めさせながら、それ以上の侵入は許さない。24分には上埜?のスルーパスから小泉が折り返し、裏で八木が待ち受けた決定機は、シュートミスで枠上。29分、清水PAの前で真希、それから上埜と空中戦で競り合い、こぼれたボールを小泉が素早く前方に送ると、強引にDFの間に入った長沢が、不思議な間合いで胸トラップボレー。のんびり試合を見てた真司たちから、イングランドサポーターのように「ウゥー」と歓声が上がるが、GKがファインセーヴ。更に一人気合満々の真希の縦突破から、左から斜めに入った一也が縦パスを受けて、シュートもGK。最後に、真希の突破から得たPA左横をFKを、FKも試運転しとくか、って感じで真希が自ら蹴るが、これはDFに跳ね返され、タイムアップ。
 草津東と南宇和には明らかな実力差があり、結果だけを元に、第2戦のメンバーの方が優れていたと言うつもりはない。しかし、危険なスペースを次々に埋め、相手に付け入る隙を作らず、真綿で締めるように優位を確立していった第2戦の戦い方が、私好みなのは確かだ。守備の個人戦術が光った岩本や桑原兄弟など、スペースマーキングに長じた選手を組み込むことで、バランスはかなり改善されるのではないか。


(試合を終えてベンチに引き上げる選手たち。写真これしか撮ってなかった(汗)。デカイ2人が長沢と石垣)

南宇和高      清水エスパルス
5(2) シュート 6(4) ◎長沢、◎真希、×一也、×八木、○長沢、○一也
1(0) 右クロス 4(2) ×小泉、○桑彬、×小泉、○小泉
1(1) 左クロス 2(0) ×長沢、×真希
0(0) 右側CK 2(0) ×上埜、×真希
4(1) 左側CK 0(0)
1(−)  犯OS  0(−)
5(1) ファウル 1(0) ・小泉


▼試合結果

清水エスパルスユース 2−0 南宇和高校
 得点:後半06分:清水・長沢駿 (桑原彬・右クロス)
    後半16分:清水・山本真希(長沢駿・スルーパス)


▼選手寸評

[私撰MVP] 長沢駿
 特徴の分かってる同期は、胸から下に出してくれるのだが、先輩はハイボールも関係なく長沢に集めるので、空中戦の目測や体の使い方が進歩してきた。懐の深さと足下の繊細なテクニックを活かした、気持ち悪い(誉め言葉)トラップは健在。視野の広いパスも相変わらずだが、FWとしてはもっとガムシャラに。

[私撰MIP] 桑原彬
 強引な突破に脆さを見せる場面もあったが、第1試合に欠けていたスペースマーキングのセンスが光った。前半は隣が岩本のため目立たなかったが、後半は石垣をイキイキとプレーさせる。組み立てのセンスも良く、後方から前に走る選手を使うこともできるので、今のユースチームには貴重な存在。

[NEW COMER] 岩本大
 ひたすら体をぶつける無骨な村越・石垣と一線を画す、クレバーな守備が印象的。体を強く当ててディレイ、一定の距離を保ってスペースマーク、そしてアプローチと、一連の流れが実にスムーズ。ダイレクトロングフィードで狙う場面と、短いパスで組み立て直す場面の使い分けも良かった。


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 翌日28日、13時半、玉野光南戦。少し早く、13時に会場に到着する。そこで見たものは…

 オレンジのユニがボールを蹴る姿。周囲では青のジャージを着た選手が、念入りにストレッチをこなす。審判は昨日同様、各チームから出してるようで、黒い服は着ていない。
 ? あれ、なんか審判の顔に記憶があるような…。! コーチの小池さん。真ん中のテントで、のんびり試合を見ているのは、築館さんと高祖さん。あ、そういえば(わざとらしい)、あのオレンジのユニは、清水じゃなくて大宮だ。

 そんなわけで、すごすごと帰って参りました。様子を見た感じだと、1時間繰り上げて、試合したのかなあ。



2004年03月27日(土) 清水高校親善 草津東高校戦

04年3月27日10:45開始 鈴与三保グラウンド(エスパルス育成グラウンド)
 第31回全国高校サッカー親善試合(清水) 前期リーグFブロック
 対 草津東高校 ※30分ハーフ
 天候:晴れ

▼布陣
先発:

−−−−−−町田− 篠田悠 −−−−−

−−岡村−−−−−−−−−−柴田−−

−−−−−−上埜−−谷野−−−−−−

− 高野美 −村越−−石垣−−渥美−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−−

交代:なし

草津東高校:

−−−−−−09−−26−−−−−−

−−−−08−−13−−10−−−−

−−−−−−−−07−−−−−−−−

−−30−−04−−02−−27−−

−−−−−−−−01−−−−−−−−

交代:後半00分:04→15、13→34、09→26、後半25分:26→12、後半??分:??→16


▼試合展開

 試合前のアップには、スタメン組+第2試合スタメン組+真司・真希・八木が参加していた。その第1試合のスタメン組は、上級生を中心としたチームで、この日、第2試合も含めた先発18人の中では、ベストと言えるかもしれない。前回の対戦では、追い風の前半に一方的に攻めて2点を先行した草津東が、後半の清水の攻勢を凌いで、2−0で勝利。清水にとっては敗戦以上に、枝村・真希の負傷が痛すぎた試合だった。悠輔も退場になるし。
 その枝村と真希が未だ復帰しないせいもあって、清水は前回の先発から柴田・石垣・村越・町田の4人を残して、入れ替わることになった。一方の草津東は、メンバーもシステムも大きく異なる。恐らく、背番号も前回の対戦から変わった選手がいると思う。ちなみに両チームOBのブンちゃんと前田は、この対戦が終わった後に姿を見せていた(笑)。ま、サテの練習があったんだから、仕方ないんだけど。

[前半]
 序盤は探り合い。5分に草津東7番の右CKから、GK風間がカブって混戦になる危局もあったが、最初のシュートは清水。12分、左外に開きながらドリブルした岡村が後ろに戻すと、美臣が中央へと横に叩き、谷野がクサビを入れる。それを悠輔がトラップから3歩のダッシュで横にスライドしてコースを作り、左隅を狙ってミドルを放ったが、GKがキャッチする。草津東も直後の14分、左MF8番から、最終ラインの前へ一瞬戻ったFW9番にパス。これに石垣が釣られた隙に、8番をマークしていた渥美の裏にパスを出し、そこへFW26番が流れると、今度は石垣の裏に横パスを送る。そこにトップ下の13番が走り込んでシュートを放ったが、GK風間のセーヴが救った。
 20分の草津東、中に絞った岡村のドリブルを7番がカットし、カウンター。一気に複数の選手がスピードアップ、右に振って10番から縦パスが出る。この時、清水は左SH岡村がトップ下の位置に絞り、岡村のスペースに左SB美臣が攻め上がっていたが、その左SBのスペースを誰も埋めていなかった。そこへ出した縦パスに走り込んだ13番、フリーでPA内に侵入し、小さく中に戻したボールを、FW9番がキッチリ決めて、草津東が先制する。0−1。14分の被決定機同様、上がったSBの裏を突かれた形だが、カウンターになった分、よりスペースが大きく空いていた。

 清水もこれで漸く目が覚める。CHの谷野・上埜が共に競り合いの強さを示し、守備では高い位置で奪えるようになり、攻撃では預け所になって、最終ラインの押し上げを導く。前線で核となったのはFW悠輔。22分、スローインを石垣→谷野と繋いで入れたクサビを上手く処理した悠輔が、PA直前中央でFKを奪う。岡村の直接FKは枠上に外れたが、続けて25分、悠輔とのワンツーで左サイドからPA内に突入した岡村は跳ね返されるも、左SB美臣がフォロー。それを拾ってサイドチェンジすると、受けた右SBの渥美が思い切ってミドルを放つ(右外)。
 途中、ハイボールを村越が競り合ったコボレから、美臣の裏に26番に走り込まれてシュートを撃たれる場面もあったが、これをGK風間のセーブで防ぐと29分。中盤で受けた悠輔が25M余りをドリブルで一気に突破し、最終ラインに突っ込みながら右に叩く。柴田が右クロスを入れると、ファーの岡村が頭で落としたところ、走り込んだ谷野がボレー。が、GK反応したボールがなおも吸い込まれようとするのを、DFが弾き出した。ロスタイムにも、中盤へ受けに戻った悠輔がファウルを受け、35M程の距離からFK。上埜のボールをPA内で両軍が競り合ったボールが裏にこぼれると、これも谷野がボレー。が、逆に距離がなかったせいか、枠上に打ち上げてしまい、結局、0−1で折り返すこととなった。

草津東高      清水エスパルス
5(4) シュート 6(3) ○悠輔、○美臣、×岡村、×悠輔、×渥美、○谷野
1(1) 右クロス 3(0) ×柴田、×悠輔、×柴田
0(0) 左クロス 1(0) ×美臣
0(0) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  1(−) ・悠輔
4(1) ファウル 3(1) ・渥美、・美臣、×岡村

[後半]
 後半、3人を入れ替えてきた草津東に対し、清水は連戦となる南宇和戦とメンバーを総入替する考えのようで、交代はなし。だが、勢いは前半から落ちず、2分に岡村のドリブルシュートがゴールを襲うと、3分には岡村の左CKから、味方の町田の背中を借りて跳んだ悠輔が、高い打点でヘッドを放つが、共にGKに阻まれる。


(肩乗りヘディングショット! 体勢を崩さない町田もさすがだ)

 すると草津東、6分、相手陣内で仕掛けた右SB渥美を潰して、カウンター。最初のクサビの浮いたボールは、谷野が空中戦で11番?に競り勝って潰したが、コボレを代わって34番が拾い、縦へ。FW26番が左に叩くと、攻め上がった渥美のスペースに、左SHの8番が走り込む。そのままPA内に切れ込んで石垣を引きつけると、小さく戻して左45度から再び26番。フリーのシュートが外れるはずもなく、草津東に追加点を得る。0−2。草津東カウンターの反復練習を見るように、左右や経緯は違えど、1失点目と同じくSBの裏を狙われた形であった。
 攻めるしかない清水は、8分、最後尾の村越から左に開いた美臣、中に絞った岡村と、綺麗に斜めのパスが2本繋がり、岡村が回転を掛けたテクニカルな浮き球スルーパス。それに反応したのが、それまで眠っていたFWの町田。だが、まだ寝ぼけていたのか、フリーでのシュートは枠上に外れてしまう(後方からのパスをボレーで狙う、難度の高いシュートではあるが)。しかし、町田の場合、決定機を外して気落ちするタイプではない。ポストプレーなどで徐々に存在を明らかにしていくと、13分、左サイド高い位置から町田が悠輔とのワンツーで抜け出しつつ、一気に右へと大きく振る。柴田がタッチライン際でトラップ、ドリブル開始。ニアに走る悠輔が、スッとDFの前のスペースで受けに戻る。それに惑わされたか、柴田の右クロスに対し、もう一人、ファーで併走していた町田が裏に抜け、フリーでボレー。が、GK。が、自らそれを押し込み、反撃の口火を切る。1−2。
 その後も高い位置からのプレスを起点に、清水がボールを支配し続け、15分には悠輔が岡村との30M余りの長いワンツーで快速を披瀝、最後はPA内で倒されたが、判定はノーファウル。一方の草津東は18分、大きな縦パスがPA内左に入り、GK風間が飛び出す。先にボールに追いついた11番の足下に、風間が飛び込む格好になり、両名は交錯。11番はボールごと足を、飛び込んだ風間から強引に引き剥がす。風間は痛んで動けないが、反則の笛は鳴らず。後は11番がゴール中央に戻したボールを、26番が悠々とゴールに放り込み、草津東は早々に反撃の火を消し去った。1−3。審判の判定とか、風間の飛び出しの質とかも問題だが、個人的にゴールした26番がPA内でフリーだったのが、大きな問題だと考える。攻めでは数的有利の相手を崩す練習、守りでは数的不利で守る練習でもしていたと言うのだろうか?

 痛んだ風間に2、3分の治療が必要になったが、なんとか無事に再開。22分、渥美が仕掛けてファウルを誘い、PA右横の位置からFKを得る。上埜のキックをファーで石垣が競り落とすと混戦。悠輔が巧みにリフティングを混ぜながら粘り、後ろに戻して岡村がミドル。これはブロックされたが、リバウンドを岡村が拾って左に流すと、美臣が攻め上がりながら悠輔に当てて、パス&ゴー。が、悠輔は強引に反転、即、ループシュート。枠上に外れる。直後にも悠輔は右サイドからカットインしてシュートを放つなど(枠外)、今までにない強引なシュートへの持ち込み方を見せるが、焦りと難度の問題で決まれない。
 結局、ロスタイムの31分、草津東、再び大きな縦パスがPA内右に入るが、今度は石垣が先に反応。石垣はDFを体でスクリーンしてGK風間にボールを処理させようとしたが、意思疎通を欠いて抑えきれず、先に12番がボールに反応。風間が中途半端に飛び出した体裁になり、12番の戻したボールに風間も触れるが、結局、ゴール正面の16番に繋がってしまう。しかも、彼は何故かフリー。無人のゴールに、わざわざループシュートで決める余裕を見せ、ダメを押した。1−4。
 この試合、盛んに前の選手を追い越す動きが見られたが、後ろに残したスペースを埋める動きに全く欠けていた。優位に試合を進めながら、効率性=組織力で大きな差を露呈したわけだが、組織の問題だけでなく、味方のピンチには必死に戻る、そういった精神面でも差があったと感じられた。

草津東高      清水エスパルス
4(4) シュート 8(4) ○岡村、○悠輔、×町田、×悠輔、○町田、◎町田、×悠輔、×悠輔
1(0) 右クロス 8(1) ×柴田、×渥美、×悠輔、◎柴田、×渥美、×柴田、×岡村、×谷野
0(0) 左クロス 4(0) ×岡村、×岡村、×岡村、×谷野
0(0) 右側CK 3(2) ○岡村、○岡村、×岡村
0(0) 左側CK 1(0) △谷野
3(−)  犯OS  2(−) ・村越、・柴田
3(1) ファウル 1(0) ・上埜


▼試合結果

清水エスパルスユース 1−4 草津東高校
 得点:前半20分:草津・09番 (13番 ・ショートパス)
    後半06分:草津・26番 (08番 ・ショートパス)
    後半13分:清水・町田朋弥(柴田和也・右クロス)
    後半18分:草津・26番 (11番 ・ショートパス)
    後半31分:草津・16番 (12番 ・ショートパス)


▼選手寸評

[私撰MVP] 谷野由紘
 福山時代はFWだったはずだが、真希並の質量共に優れた動きで、CHとして攻守に貢献。全体にスペースマーキングの意識が希薄な中、攻め上がったSBのスペースを忠実に埋める動きが目立った。特筆すべきは競り合いで、数人に囲まれながら引き剥がすような強さを見せ、中盤支配の優勢に大きく貢献した。

[私撰MIP] 篠田悠輔
 ゴールには嫌われたが、頻繁に中盤に下がって2ndFWの役割をこなす、プレーの幅の広さを見せた。他にもPA内の混戦の中では絶対に奪われないテクニックと、要所を締める精神力を見せ、後半にはトラップからのターン、強引な突破などシュートに至るまでの持ち技の豊富さも示した。

[NEW COMER] 渥美直人
 右SHの柴田はサイドに張るタイプのため、攻撃時に動きが重なる場面が多かった。守備でもサイドスペースを盛んに突く相手に対し、石垣とのアプローチ&カバーの連携で、難を見せる。だが、166cmの身長に関係なく、難なく空中戦に競り勝つなど、個人の資質の高さは示していた。



2004年03月26日(金) 清水高校親善 修徳高校戦 (寄稿)

 タナカさんの立派な観戦記はこちら → ぽけっとエスパルス
 以下、一部上記より転載。

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3月26日13:30開始 鈴与三保グラウンド(エスパルス育成グラウンド)
 第31回全国高校サッカー親善試合(清水)
 対 修得高校 ※30分ハーフ

先発:

−−−−− 山崎竜− 八木−−−−−−

− 高野一 −−−−−−−−−小泉−−

−−−−−−上埜−−池田−−−−−−

− 高野美 −村越−−岩本− 桑原彬 −

−−−−−−−−風間−−−−−−−− 交代:山崎竜→長沢

清水エスパルスユース 2−3 修得高校


 清水の得点は、小泉のクロスを八木、CKから小泉。押し気味も後半、逆転されて敗戦。シュート6本で3失点、後半はシュート2本で2失点(…)



2004年03月22日(月) 中日本スーパーリーグ U-18 浜名高校戦 (寄稿)

 タナカさんの立派な観戦記はこちら → ぽけっとエスパルス
 データ見ると、悠輔はシュート5本でハットトリックですな、この男は…。

 以下、一部上記より転載。
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3月22日13:00開始 清水NTC J-STEP
 中日本ユーススーパーリーグ(U-18)
 対 浜名高校 ※40分ハーフ

先発:                終了間際:

−−−−− 鈴木真−篠田悠 −−−−− −−−−−−町田−−風間−−−−−−

−−岡村−−−−−−−−−−柴田−− − 高野一 −−−−−−−−−小泉−−

−−−−−−谷野−−上埜−−−−−− −−−−−−谷野−−上埜−−−−−−

− 桑原卓 −村越−−石垣−−渥美−− − 桑原卓 −岩本−−石垣− 桑原彬 −

−−−−−−−−前田−−−−−−−− −−−−−−−−前田−−−−−−−−

交代:前半23分:鈴木真→町田 (そのままFWに)
   後半21分:柴田 →小泉 (そのまま右SHに)
        岡村 →高野一(そのまま左SHに)
   後半28分:村越 →岩本 (そのままCBに)
   後半36分:篠田悠→風間 (そのままFWに)
        渥美 →桑原彬(そのまま右SBに)

清水エスパルスユース 6−1 浜名高校
       (前半 2−1)
 得点:32分:篠田、38分:谷野、51分:町田、68分:篠田、73分:上埜、75分:篠田



2004年03月21日(日) 長さん哀悼+ほか

 昭和52年生の私は、完全直撃世代ではないのですが、それでも、小さい頃、全員集合が大好きでした。一番好きだったのは、長さんがお母さん役で、悪ガキ4人のイタズラに困らされるヤツですね。最後、舞台セットの家がブッ壊れたり、何故か水しぶきが吹き上がったりするところで、両手を叩いて喜んだものです。ウチの家は、8時には子供は寝なさい!という、古典的な家だったのですが、土曜日だけは、全員集合を見てから、寝ることが許されてました。なんか昨夜、ファミリー劇場でドリフ大爆笑の再放送やってたんですが、銭湯のコントで4人に水掛けられて、股ぐらを長いタオル?でギコギコ引かれるチョーさんを見て、面白いんだけど、なんか物悲しくなってしまいました。
 サッカー中継以外では、あまりTVを見ない(ドラマとか皆無)私の場合、芸能人の死で悲しむのは、27年で初めての経験です。心からご冥福をお祈りします。オイッスー!!!


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 某N氏から、サテの練習試合を見る前に覗いたという、ユースの練習風景のレポをもらいました。

 別メニュー(ランニング): 雄也、佐野、晃太、長沢
 別メニュー後、ランニング: 枝村
 アップ後、別メニュー:   真希、池田、神田
 姿が見えなかった選手:   望月
 サテ合流(練習不参加):  真司、悠輔

 山崎晃が指に包帯を巻いていたように見えたほかは、大して問題なさそう、とのこと。雄也・佐野・晃太・長沢は全く合流せず、ひたすらピッチ周辺をランニング。真希・池田・神田は、ランニング・ダッシュから対面パス練習まで合流し、シュート練習やミニゲームを前に分かれたそうです。注目の枝村は、「澤野トレーナーとウォーキングの後、投げてもらったボールをバックステップしながら蹴り返す練習、その後グランド周辺をゆっっっくりランニング」とか。こちらは、少し時間が掛かりそう。
 明日22日に中日本U-18、26日からは清水フェスティバルがありますが、上記の選手が出場できないとすれば、

 −−−−−−町田− 篠田悠 −−−−−

 − 鈴木真 −−−−−−−−−柴田−−

 −−−−−−上埜−−谷野−−−−−−

 −−岡村−−村越−−石垣− 高野美 −

 −−−−−−−−前田−−−−−−−−

 こんなところでしょうか。まあ、まだ戦える面子かな。随分と層も厚くなったものだ。



2004年03月07日(日) 中日本スーパーリーグ U-18 名古屋グランパス戦 (寄稿)

 某N氏から寄稿を頂きました。有り難うございます。ちょっと辛口?

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04年03月07日14:00開始 トヨタスポーツセンター
 中日本ユーススーパーリーグ(U-18)
 対 名古屋グランパスエイトユース ※40分ハーフ

先発:                終了間際:

−−−−−−町田−−長沢−−−−−− −−−−− 山崎竜−篠田悠 −−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−−−小泉−− −−八木−−−−−−−−− 高野一 −

−−−−−−上埜−−池田−−−−−− −−−−−−柴田−−池田−−−−−−

− 桑原卓−高野美 −石垣−−谷野−− − 桑原卓−高野美 −石垣−−小泉−−

−−−−−−−−前田−−−−−−−− −−−−−−−−前田−−−−−−−−

交代:後半11分:長沢 →篠田悠(そのままFWに)
        谷野 →柴田 (そのまま右SBに)
   後半13分:鈴木真→八木 (そのまま左SHに)
   後半27分:町田 →山崎竜(そのままFWに)
        上埜 →高野一(柴田をCH、小泉を右SB、高野一を右SHに)

名古屋グランパスエイトユース:

−−−−−−津田−−遠藤−−−−−−

−−永芳−−−−高橋−−−−上原−−

−−−−−−福島−−稲垣−−−−−−

−−−−青山−−吉田−−唐沢−−−−

−−−−−−−− 森 −−−−−−−−

交代:後半00分:上原→上村


▼試合展開

 先発メンバーに町田、長沢、小泉、池田、卓哉の5人の1年生を起用した(最終的に6人が出場)清水。名古屋について私は詳しくないが、背番号を見る限り、ほぼレギュラーメンバーではないかと思われる(筆者注:最終ラインに、2年の唐沢に代わって3年の小寺が入れば、ベストメンバーでしょう。今回の先発は、3年生7人・2年生2人・1年生2人)。3月7日現在の中日本ユースリーグの途中経過を見ても、名古屋は好調の様子。多くの1年生を出場させ、尚且つ枝村・真希の「2枚看板」を欠く清水が、どこまで対抗できるかが焦点だろう。

[前半]
 序盤から名古屋が攻勢。大柄でスピードもあるツートップは、足元で受けてボールが納まる、DFラインの裏で勝負しても走り勝てる。いきなり清水DFラインは揺さぶられるが、最初のビッグチャンスを得たのは清水。6分、ボールを持った谷野が小泉とのワンツーで右サイドを抜け出し、クロスと見せかけペナルティエリア内にカットイン。名古屋のDFが不用意に足を出すと、引っ掛かった谷野が転倒。微妙だったがPKの判定。これを蹴るのは、本日2人しかいない3年生のうちの1人であり、キャプテンでもある真司。落ち着いてゴール向かって右に蹴ったが、無情にも外れていく。
 続いて10分、なんでもないバックパスを、GK前田がキックミス。名古屋FW津田に当たってしまう。後ろを向いていた津田だったが、これを拾い直し、前に出てきた前田を右にかわす。しかし、このボールが長くなり、シュートコースが無くなったため、クロスを選択。だが、これは中央でCH池田が、体を張って阻止。その後も右SB谷野のボールを奪い、名古屋・左WG永芳がそのままシュートを狙うなど、左サイド(清水の右サイド)の組み立てと、DFの裏への走りこみを中心に、名古屋がゲームを支配。21分には、CB美臣がロングボールをカブってしまい、名古屋・津田がGK前田と1対1に。ファーへシャープなシュートが飛ぶが、ゴール左に外れる。

 一方の清水は、ほとんど攻め手が無かったが、30分、自陣右サイドのFKを谷野がゴール前に蹴りこむと、相手DFのクリアが小さくなる。これを左サイドで拾った左SH真司がキープし、その外から左SB卓哉が追い越していく。素直に卓哉を使う真司。卓哉の左クロスはGKとDFラインの間にきれいに通るが、ニアで町田は合わせきれず。しかしその後ろのDFが空振り。だが、長沢はそのボールに反応できない。
 33分、左サイドに出た名古屋のボランチ、福島がクロスをファーへ上げるが、CB石垣がヘッドでCKに逃れる。永芳の右CKは吉田に合うが、真上に上がってしまい、石垣がクリア。名古屋が再び拾うが、ここにプレッシャーを掛けた池田がボール奪取。同時に猛ダッシュで右サイドを走り出した小泉を、Jrユース以来の付き合いの池田が見逃すはずも無く、小泉の前方スペースにドンピシャのパスが出る。抜け出した小泉はGKと1対1に。しかし早めに打ったシュートはGKに弾き出されてしまい、その後の右CKもチャンスにはならない。
 その後も、石垣に競り勝った名古屋FW遠藤が独走し、放ったシュートをGK前田が弾き出すなど、名古屋ペースのまま前半を終了した。

名古屋       清水エスパルス
6(3) シュート 2(1) ×真司、○小泉
4(0) 右クロス 0(0)
4(0) 左クロス 1(0) ×桑卓
4(2) 左右CK 1(0) ×真司
1(−)  犯OS  0(−)

[後半]
 後半頭から名古屋は選手交代。上原に変えて上村を投入。
  −−−−−−津田−−上村−−−−−−
  −−永芳−−−−遠藤−−−−高橋−−
  −−−−−−福島−−稲垣−−−−−−
  −−−−青山−−吉田−−唐沢−−−−
  −−−−−−−− 森 −−−−−−−−

 となる。メンバーを変えてきた名古屋だが、相変わらず左サイドで優位に立つ。後半1分、左サイド深い位置でキープした永芳が戻すと、ボランチの福島がクロス。津田がヘッドで競り勝つが、またまたボールは真上に上がり、美臣に対し遅れて競りに行った上村が、ファウルをとられる。続いて2分、今度は中央に入ってきた名古屋・永芳が、小泉に引っ張られながら左足シュート。ブロックに行った石垣に当たりCKを得るが、これは直接ラインを割る。
 たまには清水も反撃。ハーフライン付近でのFK。石垣が相手PA左角付近にハイボールを上げると、真司が全身の力を込めて、驚異的ハイジャンプ!! その思わぬ高さに驚いたか、GKは真正面にパンチしてしまう。これをダイレクトで小泉が右足ボレーで叩くが、シュートは明々後日の方向へ飛び、タッチラインを割った。

 その後、再びほぼ一方的に攻め続けるは名古屋。前半同様、左の永芳の仕掛けからクロス、ファーにこぼれたボールを、逆からまたクロスという展開が続く。ここで思い出したように、築舘監督が動く。11分、長沢&谷野に代え、悠輔&柴田を投入。さらに13分には、キャプテン真司に代え、今リーグ初登場の八木。柴田には振り回される右サイドの立て直しを、悠輔には前線で「闘うこと」、八木には一発で左サイドの裏をとる動きを期待しての起用と思われる。
 しかし、流れは変わらない。相変わらずタッチライン沿いを、我が物顔で闊歩する名古屋11番、永芳卓磨。18分には、永芳の左クロスがファーの危険な位置に飛んだが、GK前田が何とか触り、左SB卓哉がゴールラインに逃れる。この右CKを、またまた永芳が蹴るが、これはファーに流れる。美臣にイエローカードが提示された後の22分には、なんでもないロングボールで津田が裏を取る。出るか出まいか悩んだ末、前に出ることを選択した前田だったが、こういう時は大概ダメなもので、見事、津田にかわされる。しかし、まるで前半10分のVTRの如く、ドリブルのタッチが大きくなってシュートコースが無くなった津田、今度はストライカーの意地に懸けて体をひねり、シュートに行くが、これはゴール上に外れていく。
 24分の名古屋。左サイドでボールを受けた津田が、中へ切り込む。応対するのは石垣。さらに中へカットインする津田の動きを完全に封じた石垣は、再度の縦への切り返しの際に体を入れ、完璧なるボール奪取。ピンチを救う。

 27分、再び築舘監督が動く。町田と上埜に代え、竜男と一也を起用。布陣は、冒頭の通り、こうなる。
  −−−−− 山崎竜−篠田悠 −−−−−
  −−八木−−−−−−−−− 高野一 −
  −−−−−−柴田−−池田−−−−−−
  − 桑原卓−高野美 −石垣−−小泉−−
  −−−−−−−−前田−−−−−−−−
  (3年生が一人もいない・・・。)

 それでも構わず名古屋は攻め続け29分、抉った永芳がDFとGKの間に、危険な速いクロスを入れると、ニアへ高橋が走りこむ、がコケる。「DFに引っ張られた!!」とアピールする高橋だったが、その間もプレーはさらに続き、クリアを再度左に展開し、左WG永芳・本日9本目のクロス。しかしこれもDFがクリアし、なんとか凌ぐ。
 引き分けの雰囲気が漂い始めた33分。突然均衡が破れる。左サイド深い位置でボールを持った名古屋・FW上村が、右足に持ち替えクロスを入れる。ニアポスト付近に飛んだボールに対し、詰める名古屋FWもなく、前田が難なくキャッチ、と思いきや、なぜか前田はフィスティングを選択。しかもあろうことかボールの下っ面を叩いてしまい、呆然とする清水DF、軌道に期待する名古屋FW、唖然とする観客の見守る中、ボールはファーサイドネットに静かに収まる。名古屋先制、0−1。

 攻めるしかなくなった清水。すごい勢いで、築舘監督が檄を送り始める。まるでその様は安達さん(横浜FMユース→日本協会)のようだ(笑)。その檄に応えてか、先制し安心した名古屋を、遅ればせながら押し込む。そして36分、最後のビッグチャンスが訪れる。ハイボールに両手をうまく使い、競り勝った悠輔。そのこぼれを走りこんだ柴田が拾い、DFラインへドリブルで突っかける。すると右CBが絞ってきたため、PA内左に侵入してきた八木が「どフリー」に。冷静にその八木を見ていた柴田が、優しいパスを流す。八木はダイレクトで、我々5時に起きてやってきた(ボクだけか?)清水サポの、希望を乗せた右足を振り抜く・・・、が見事なまでにダフったシュートは、弱々しくGKの元へ。
 清水サポあちこちで呟く。「なんじゃ、それは・・・」。

名古屋       清水エスパルス
8(2) シュート 2(1) ×池田、○八木
3(1) 右クロス 2(0) ×池田、×柴田
10(3) 左クロス 1(0) ×柴田
5(1) 左右CK 0(0)
2(−)  犯OS  0(−)

 見ての通りの完敗・・・。1年生を大量起用したとはいえ、仕上がり度の差は歴然。プリンスリーグでの対戦まで、あと3ヶ月半。どこまでこの差を埋められるだろうか・・・。


▼試合結果
清水エスパルスユース 0−1 名古屋グランパスエイトユース
 得点:前半33分:名古屋・上村公太
 警告:清水:高野美臣、名古屋:稲垣順


▼選手寸評

[素人目MVP]
●池田康彦(1年)
 中盤で大奮闘。今日のヤスのプレーは、まるで島田の先輩である真希を、思わせるものだった。真希に比べると、自身の「前へのスピード」で劣るが、展開面、思考面での「前へのスピード」では、上回っている。しかも、この日最も光っていた体を張った守りも出来るとあれば、使わない手は無いのではないでしょうか、築舘さん?

[素人目優秀選手]
●石垣勝矢(2年)
 相変わらずのストロングヘッダー。Jrユース時代からの僚友、美臣とのコンビはやりやすかったか? 後半24分のボール奪取など、1対1で頑張っていた。しかし、前へのアプローチは早いが、相変わらず裏への対応が遅くなるのが気になる。

●篠田悠輔(2年)
 27分間出場。途中出場で体を張ったキープ、粘り強いポストプレーで貢献。清水FC時代の「テクニカルで華麗なドリブラー」は「シンプルで激しく泥臭いストライカー」に変身した。シュートへの意識の高さも合わせ、まさに「ザ・ストライカー」である。しかし、この「ザ・ストライカー」を合流当初、右サイドハーフで起用していた築舘采配・・・。うーん、マジックだ。


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▼その他の結果
中京大中京高校 0−4 ジュビロ磐田ユース
 得点:岡本2、中村、石神

 ジュビロ磐田ユース:
 −−−−−藤井−−−−岡本−−−−−
 −−増田−−−−中村−−−−宮本−−
 −−−−−−上田−−徳増−−−−−−
 −−−−萩原−−森下−−和田−−−−
 −−−−−−−−八田−−−−−−−−

神戸弘陵高校 3−0 清水東高校



2004年03月01日(月) 今年度的清水エスパルスユース 2004年度版

▼予想布陣

−−−−−−−−−− 長沢駿1 −−−篠田悠輔2−−−−−−−−−−
         (鈴木真司3)
−−鈴木真司3−−−−−−−−−−−−−−−−−−−谷野由紘2−−
 (岡村総一郎3)                  (柴田和也2)
−−−−−−−−−−山本真希2−−−枝村匠馬3−−−−−−−−−−
          (池田康彦1)
− 岡村総一郎3 −−村越大三3−−−石垣勝矢2−−−高野美臣2−−
  (佐野克彦1)           (岩本大1)   (村越大三3)
−−−−−−−−−−−−−−前田陽平2−−−−−−−−−−−−−−

 名前の横は学年。
 昨年の3年生の内、主力と言えるのがFW阿部、GK山本海、MF大瀧、DF森安。レギュラークラスがDF高柳、準レギュラーにDF篠田大といったところである。彼らの穴埋めが誰になるかが、注目点になるだろう。実のところ、久々の黄金世代である昨年Jrユースから、大量13人が昇格したため、候補には事欠かない。だが一方で、今年の3年生は、赤星・滝田・原田・町田健ら主力が、流出した学年でもある。そのため、上級生と下級生の差が小さく、絶対的と言える選手が少なくなっている。これが切磋琢磨に昇華されれば期待も大きいが、求心力を失い、組織力が向上されない可能性も否定できない。枝村には、プレーだけでなく、精神面でもチームの大黒柱となる自覚が求められる。
 それでは、今年もポジションごとに、戦力をチェックしてみよう。


▼FW
1st ◎悠輔、○町田、△長沢、×八木
2nd ○長沢、○真司、△悠輔、△竜男、△上埜、△八木、×雄也

 昨年と少し意味を変え、PA内で勝負するストライカーを1st、その周囲で衛星的に繋ぎ役になるのが、2ndと捉えて頂きたい。清水のスタイルは、どちらかと言えば、イングランド型の4−4−1−1に近い。そのFW陣、歴代最強の陣容と言ってよいだろう。とにかく、駒が豊富で、タイプも多様。長沼・仁科・阿部と、各学年ごとにエースのいた01年も強力だったが、駒の数で大きな開きがある。
 1stに、篠田悠(2年)。布先生の言う「ゴールを盗む感覚」を持つ、生粋のストライカーである。最小の労力で確実に得点する決定力は、日本人離れしている。ひたすら派手な昨年のエース・阿部とは、対極的な存在だ。対抗に、昨年Jrユースのエース町田(1年・U-15代表)。ゴールへの飢えは、悠輔並みに日本人離れしているが、効率が悪く、外して外して最後に決めるスタイルが、悠輔と大きく異なる。さらに、かつての清水FCのエース長沢、悠輔同様、ゴール前の駆け引きに長ける八木(2年)らが続く。
 長沢(1年・U-15代表)には、むしろセカンドトップの役割を期待したい。まだまだ体が細く、サイドからのセンタリングからPA内で勝負するには、物足りない。だが、185cmの長身を活かした懐の深いキープと、ボランチ時代に培った広角度の視野は、既にユース水準に達している。もう一人の有力候補に、鈴木真(3年・元U-14NTC)。人並み外れたセンスを持つ真司は、全く計算できないが、だからこそ、どんな膠着状態でも打破できる意外性がある。この場合、4−4−1+真司システム、といった感じになるだろうか。実務性の高い悠輔と組ませれば、結構活きるのでは、と思っている。山崎竜(1年)は、もう一枚剥ける必要はあるが、相方の得点力を引き出せるタイプ。上埜はシュートの巧い繋ぎ役。杉山雄は、現時点では終盤のパワープレー用だが、この1年で本格的なコンバートはあるのだろうか。


▼MF(ハーフ)

中央 ◎枝村、○真希、○池田、△上埜、△神田、×谷野、×岩本
右  ○谷野、○一也、○柴田、○真希、△上埜、△小泉、×田村
左  ○真司、○岡村、△小出、×風間、×杉和

 今年のチームは、名実共に、枝村(3年・U-18/17代表)のチームである。労働者の真希、必殺仕事人の悠輔、ファンタジスタの真司、久々の黄金世代である新1年生、良い選手は多々いるが、とかく攻撃に際して、試合を創り、決める能力において、枝村は異なる次元にある。現在、怪我で離脱しているが、出場した試合では周囲が枝村に頼りすぎる部分があり、不安を感じた程であった。その枝村、中盤の底から広角度対角線ロングフィードで左右に散らす舵取り役だが、同時に自らも盛んに前線に飛び出して得点に絡むプレースタイルのため、中盤の守備に負担が大きい。となると、よく動く枝村の穴を的確に、かつ精力的に埋め、更に競り合いにも強い山本真(2年・U-16代表)は、やはり絶好の補完関係にある。が、育成面を考えれば、2年連続して同じ組み合わせにする意義は、あまりない。となると、個人的に推すのは、齢14(当時)にて「好きなサッカー選手:マケレレ」な男、池田(1年・U-15代表)。体は小柄ながら競り合いにも強く、よく走り、粘りもある。他では、CHの経験は少ないものの、体の強い谷野や、読みの鋭い岩本が候補になる。枝村に代わって司令塔役を置きたい場合には、大きな展開が少ない代わりに、即興性と意外性に溢れたパスを出せる、上埜(3年)や神田(1年)が使われるだろう。
 右サイドだが、候補は非常に多いものの、決め手を欠くのが現状。個人的な一押しは、昨年も途中までは先発の座を掴んでいた谷野(1年・元U-14NTC)だ。他の候補が多かれ少なかれ、守備面に脆さがあるのに対し、谷野は競り合いに強く、プレスの厳しい時間帯でも忠実に職分を果たせる。スペースが出てきたところで、スピードのある柴田(2年)、高野一(2年)、小泉(1年)らを投入すれば、効果的だろう。チームの核である枝村のスペースへのパスを活かせるかという点において、司令塔型の上埜は一歩遅れた格好。真希がボランチからコンバートされれば、中3で既にこのポジションを確保した彼が、最有力候補になるだろう。
 左サイドでは、鈴木真と岡村(3年)の3年生両名が、ポジションを争う。共にスピードがあり、自ら切り崩すドリブルがあり、突破口として必要な向こう意気の強さもあり、パスの供給源である枝村との相性も良い。但し、真司はFW、岡村は左SBで起用される可能性もあり、その場合には小出(1年・U-14NTC)だろうか。その小出と、昨年のJrユースで激しくポジションを競った杉山和(中3・U-14NTC)は、今年の飛び級の最有力候補である。


▼DF

中央 ○村越、○石垣、○岩本、△佐野、×雄也
右  ○美臣、○雄也、○柴田、△村越、△望月、△谷野、×渥美、×桑彬
左  ○岡村、○美臣、○佐野、△桑卓、×雄也

 CBは間違いなく、歴代最「高」である。堅守で思い浮かぶのは、池田昇・佐野裕の組んだ99年のチームだが、FW同様、当時に比べて駒の数がまるで違う。しばしば、176cmの身長登録をネタにさせてもらっている村越(3年)だが、彼が180cm台のFWにも対抗できる征空力の持ち主なのは事実。観戦する限り、岩本(1年・U-15代表)と佐野(1年・U-15代表)は180cm以上、石垣(2年)・杉山雄は185cm近くまで伸びているように見える。これだけの高身長選手を揃えるチームは、ユース年代にそうあるものではない。ただ、村越・石垣・佐野は、前に出ての守備には強いものの、潰しきれず裏にこぼれた時の対応に、不安がある。その点で、卓越したカバーリング能力を持つ岩本は、早い段階でポジションを確保するかもしれない。リーダーシップのある村越は、CBからコンバートされることはあれ、最終ラインには不可欠。チーム内空中戦最強の石垣が次点か。佐野・雄也はスピードがあり、SBの経験も豊富である。
 そのSB、まず右サイドは、多士済々と言えば聞こえが良いが、右SH同様、絶対的な選手のいないポジションである。攻撃力のある柴田、サイズとスピードを兼ねた素質を持つ雄也(3年)は、共にマークを外しがちで、裏を取られやすい。CBが前に強いタイプが多い以上、サイドから裏を突かれるのは避けたいところだ。となると、ポジショニングに秀でた高野美(2年)の存在が、クローズアップされる。昨年も含め、左で起用されることが多いが、利き足は右。比較的、左は充実しているだけに、右に移ってもおかしくない。また、CBに岩本を入れた場合、右SBの経験がある村越がこちらに回る可能性もある。他に、このポジションを得意とする望月(3年)、渥美(1年)、桑原彬(1年)に加え、谷野も盛んにコンバートされている。
 一方の左サイドだが、前述の美臣が第一候補。昨年終盤戦では、篠田大から定位置を掴んでいる。が、彼が右に回ることになれば、その美臣が中3の時に、Jrユースで左SBレギュラーだった佐野か、昨年からコンバートに挑戦している岡村の出番になる。2人とも走力は十分だが、岡村は突破力が高いものの、DFの経験に不足しており、逆に佐野は相手の突破を封じる1対1の強さはあるが、スペースに抜けてクロス、といった形は持っていない。となれば、昨年1年で佐野に譲られたJrユースの左SBを、完全に自分のものとした桑原卓(1年)にも、出番はあるだろう。既に中日本で、合格点の付けられる出来を披露している。Jrユース時代、ここを主戦場にしていた雄也にも、チャンスがないはずがない。


▼GK

GK ◎前田、△晃太、×風間

 あまり入れ替えをしないポジションであり、基本的に前田(U-16代表)でいくだろう。コーチングにやや経験不足を感じさせるが、セービング・キック・スローイング・飛び出しの全てに穴がなく、サイズも十分な本格派。ただ、昨年の山本海ほどフィルダーの能力に絶対の自信を持ってはいないので、その点でも、最終ラインの裏のケアは、要注意ポイントである。控えには、風間(3年)が本格的にフィールドプレーヤーに転向しているため、山崎晃(U-15GKキャンプ)が回る。能力の高い選手であり、継続的に試されるだろうが、前田が特に欠点の見つからないGKのため、彼に代わるだけの特長を出すのは、難しいかもしれない。


▼筆者私案


−−−−−−−−−− 長沢駿1 −−−篠田悠輔2−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−−鈴木真司3−−−−−−−−−−−−−−

− 岡村総一郎3 −−池田康彦1−−−枝村匠馬3−−−山本真希2−−

−−−−−−村越大三3−−− 岩本大1 −−−石垣勝矢2−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−−前田陽平2−−−−−−−−−−−−−−

 基本的に、今年は伝統の4−4−2で良いと思っている。盛んに前線に飛び出す枝村、周囲の関係を巧く利用して得点を決める悠輔という、2人のキープレーヤーの特性を考えると、2トップと2ボランチは必須だと考えている。上記は私案であり、試案だとお断りしておきたい。
 3−4−2+真司システム。真司はフリーマン、計算に入れない(笑)。彼に自由を与えて、ゴール前に混乱をもたらしてもらう。どんなに混乱しても、悠輔ならば一人冷静にボールをゴールに流し込んでくれるはずだ。ビルドアップは中盤の底から枝村の対角線フィードと、前線から長沢のポストプレーで巧みに散らし、突破力のある岡村・真希が左右から執拗なサイドアタックを仕掛ける。さらに枝村が、盛んに前線まで飛び出すため、池田の精力的なサポートに加え、真希がポジションチェンジで支援に回る。
 3バックは、その横のサイドスペースに構造的欠陥を抱えるが、機動力のある村越はともかく、1対1に強い石垣に、それをカバーさせるのは不向きというもの。そこで、真希にお任せ。こうしてサイドの守備の経験を積むことで、筆者がくどいほど説く、真希の右SBコンバートへの布石になるはずだ(笑)。岩本がそのカバーリングセンスとコーチングで相手をフリーにしなければ、そう易々と前田がゴールを割らせることはあるまい。
 う〜ん、書いているうちに、意外に機能しそうな気がしてきた(笑)。ま、私としては、たまには4−4−2以外のシステムをやらせる経験も、必要だと思っている。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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