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2003年03月31日(月) データ集 2002年度

ううむ。表タグの仕組みはよく分からん。そして、何故に文字の色が変わってるのかは、全く分からん。まあ、色が変わってても支障がないからいいか。

選手名時間採点失点アシスト(時間)(失点)被SH被枠SH
01 勝又
70
16 風間4595.176180242
21 海人13246.69972056630
味方計1577032
相手計502616391
選手名時間採点得点アシスト(時間)(得点)シュート枠内SHクロスC成功CKCK成功
02 真希5356.10217721173
03 上埜3865.173829515332
04 高柳2756.40106
05 篠田7105.62232721133
06 渡邊15246.31118991851
07 拓也14385.98656373148235
08 大瀧15116.0361177942011398318
09 獅子946.00228111
10 浩太11506.211542086104215
11 阿部13246.001426345311653
12 杉崎00
13 仁科12886.21866003231292
14 小林1345.501673
15 岡村4445.641238133156
17 天野15266.17788256
18 森安13455.9116001217
19 雄也824.002
20 高山16156.6328051522
22 田淵1005.507711152
23 村越905.5090
24 枝村14496.29418102189235132
25 望月00
26 真司8005.87315343148152
味方計196105.86503799002616391227526817
相手計15770328914264


まずは基本説明を。上記一覧表は、私が観戦した試合における「私が集計した記録」を、統計にしたものです。それ故に、公式記録と比較して誤りはあることでしょう。傾向を掴む程度に捉えて頂ければ、有り難く思います。
また、高円宮杯・仙台育英戦より詳しいスタッツを記録するよう試みました。シュート・クロス・CKに関する記録はそれ以降のものであり、(時間)(得点)は、スタッツ対象試合の累計です。これは、90分間当たりの記録を計算するため、別に取り分けたものです。

以下、用語説明。
・時間:出場時間
・採点:独断と偏見に伴う採点の平均値。私の好みの選手が分かる以外の意味はない。
・アシスト:原則として得点に至るラストパス。ドリブルなどが入ると記録しないことも。
・シュート:ゴール方向へ十分な威力をもって放たれたボールのこと。DFがブロックした場合、触れた後も威力が落ちずにゴール方向に向かっていった場合に限り、シュートとして数える。
・クロス:サイドからシュートを放てる位置に送り込むパスのこと。シュートを放てる位置とは、基本的にPA内。また、ベクトルが横方向に大きく、一定の距離(15M前後以上)があった場合のみ、クロスとして記録する。ロングフィードやPA内でのパス回しを排除するためだが、判断は非常に主観的。また、OPTAと異なり、セットプレーからのクロスは含んでいない。
・クロス成功:クロスが味方に繋がった場合。シュートに至る必要はない。但し、逆サイドに流れていったボールを、味方が追い掛けてキープした場合を除く。
・CK成功:同じくCKが味方に繋がった場合。但し、ショートコーナーは含まない。


▼出場時間
−−−−−仁科−−阿部−−−−−

−大瀧−−−−−−−−−−拓也−

−−−−−枝村−−浩太−−−−−

−森安−−高山−−渡邊−−天野−

−−−−−−−海人−−−−−−−

1.高山(1615)、2.天野(1526)、3.渡邊(1524)、4.大瀧(1511)、5.枝村(1449)、6.拓也(1438)、7.森安(1345)、8.阿部(1324)、8.海人(1324)、10.仁科(1288)、11.浩太(1150)
以下、12.真司(800)、13.篠田(710)、14.真希(535)、15.風間(459)、16.岡村(444)と続く。

上記図は上位11名による布陣。クラブ選手権決勝の布陣と全く同じである。行徳氏の采配は、かなり手堅い。左SBを除いてDFラインは不動で、高柳あたりは出場機会に恵まれなかった。1年生は枝村のみが上位入り。しかし、浩太がトップ合流で離れている間は、主に真司が左MFで起用され、大瀧が中央に回る事例が多かった。


▼採点
1.海人(6.69)、2.高山(6.63)、3.高柳(6.40)、4.渡邊(6.31)、5.枝村(6.29)

海人のプレーは、私のお気に入り。高山はプレーに殆ど波がなかった。枝村は新人という期待値込みだろう。ちなみに私の贔屓選手は、採点が甘くなるというより、良い時を知ってるだけに悪い時が随分と辛口となる。浩太の採点の標準偏差は、実に10.14(次点は渡邊の10.02)。


▼得点 ※対象:統計対象試合で通算2得点以上の選手
[90分間あたり得点率] 清水累計:2.53、相手累計:0.76
1.阿部(0.95)、2.仁科(0.56)、3.拓也(0.38)、4.大瀧(0.36)、5.真司(0.34)

[シュート決定率] 清水平均:16.0%、相手平均:10.0%
1.拓也(21.4%)、2.真司(21.4%)、3.大瀧(20.0%)、4.阿部(16.1%)、5.仁科(13.0%)

2得点以上は、阿部・仁科・大瀧・拓也・枝村・真司の6名。枝村が両方のデータで最低ということになるが、これは2得点以上を奪った選手の中で最低という意味なので、その得点力を評価すべき。シュート決定率からはシュートの質(威力)が伺える。昨年J1得点王の高原は、32.9%という高確率を残している。清水は平松の18.2%が最高(寂しいのう)。
1位は昨年に続いて阿部。マークが厳しくなる中、相変わらず1試合1得点という驚異的なペースを記録している。後述するが、シュートへの意欲が増した分、決定率は落ちた。
2位にセカンドFWの仁科、以下アウトサイドMFの選手が続く構図は、例年通り。FWよりアウトサイドMFの決定率が高いのは、FWが常にシュートを狙うのに対し、サイドMFは確率を考えてシュートとパスの選択を行うからだろうか。FWコンバートもあった拓也に対し、大瀧はボランチ起用も多かった中での記録であり、右の日高に頼りきりだった昨年に比べ、攻撃の幅が大いに広がったことを意味する。


▼アシスト ※対象:統計対象試合で通算2アシスト以上の選手
[90分間あたりアシスト数] 清水累計:1.87
1.大瀧(0.66)、2.仁科(0.42)、3.浩太(0.39)、4.真希(0.34)、5.拓也(0.31)

アシスト王は大瀧。同じく5傑に入った真希・拓也と共に、生命線であるサイド攻撃を支えた。大瀧は得点の方にも顔を出しており、ゴール前の密集を無に化す左足は魔法の如く、セットプレーでのアシストも非常に多い。昨年同様、ひ弱さを見せることもあったが、マークさえ外れれば試合を決められる存在。右サイドを浩太・仁科・拓也の3年生が連携で崩しながら、左の大瀧に余裕を与えるのが、一つの決めごとであった。
一方、仁科・浩太は中央の崩し、端的に言えばスルーパスでのアシストが非常に多い。2人とも独特の速いリズムに慣れきっており、清水のリズムになった時は異常な数のスルーパスが飛び交った。ゴール・アシスト共に二番手である仁科は、文字通りのセカンド・ストライカーとして、理想的な役割を果たしていたと言える。


▼シュート ※対象:統計対象試合で通算5本以上の選手
[90分間あたりシュート数] 清水累計:16.3、相手累計:7.0
1.阿部(4.40)、2.仁科(3.45)、3.真司(2.36)、4.大瀧(2.31)、5.上埜(2.12)

[枠内シュート率] 清水平均:55.8%、相手平均:45.7%
1.浩太(75.0%)、2.渡邊(62.5%)、3.拓也(57.1%)、4.真司(57.1%)、5.上埜(55.6%)

阿部が昨年、最も成長したのがここ。昨年もチーム1であったが、今年はさらに積極性を増し、昨年の1.5倍近い数字を残している。最近はゴールに対する意欲が、プレー以外のパフォーマンスにも溢れており、「気弱な大柄ストライカー」は過去のものになりつつある。隠れた要素として、浩太がタイミング的にシュート以外はありえないパスを出すという点もあり、仁科の数字も大きく向上。他では新入の上埜の積極性に注目。
枠内シュート率は浩太がトップ。しかし、浩太はこれだけ質の良いシュートを蹴れるのだから、もっと積極的に狙ってほしい。ユースでは、やや周囲を操る魅力に憑かれていた印象があった。また拓也・真司といった意外?な選手(どうも宇宙開発のイメージが…)に続いて、上埜がここでもランクイン。質と量を兼ねながらゴールが生まれなかったわけだが、シュートの軌跡が素直すぎるきらいがあるか。ニアを低く狙うミドルは、小柄な体格に似合わぬ迫力があるのだが。


▼クロス ※対象:統計対象試合で通算7本以上の選手
[90分間あたりクロス数] 清水累計:22.7、相手累計:8.9
1.真希(8.64)、2.岡村(5.67)、3.大瀧(4.51)、4.篠田(3.58)、5.上埜(3.53)

[クロス成功率] 清水平均:22.9%、相手平均:15.7%
1.岡村(40.0%)、2.浩太(40.0%)、3.天野(24.0%)、4.篠田(23.1)、5.仁科(22.2%)

圧倒的な数字を残したのは、まだ中学生だった真希。成功率こそ平均を下回ったが、ユースでばかり練習をしていたわけではないので、仕方あるまい。それにジュニアユースでは、別のポジション(FW)をしていたわけだし。ファーストタッチでマークの寄れないポジションにコントロール、瞬発力で抜け出て再び近づく前に少ないタッチで正確なキック。そのプレーは、既にユースの枠を越えていた。
絶対数では、抜きん出た数字を残した大瀧。案外に成功率は低く留まったが、アシスト数でも分かる通り、その質は非常に高かった。岡村・上埜と、やはりサイドMFに数は集中している。篠田もMFにコンバートされたことあり。
逆に成功率では、その篠田と天野とSBの選手が良い記録を残している。ただ、プロでは30%を越える選手も多いので、受け手の問題もあるが卓出した数字とまでは言えない。出場時間は短いが、岡村のキレのあるクロスに要注目か。浩太はこれだけ質の良い…(以下略)。もっとも、それ以上に質の良いスルーパスやサイドチェンジを蹴れるので、仕方ないのだが。


▼CK ※対象:統計対象試合で通算10本以上の選手
[CK成功率] 清水平均:25.0%、相手平均:15.4%
1.大瀧(25.8%)、2.浩太(23.8%)、3.枝村(15.4%)

アシストの項でも述べたが、大瀧のキックの質は高い。速く鋭く巻く軌跡は、見ているだけでも美しい。浩太はシンプルに速い正確なボールを合わせる傾向が。ショートコーナーで、寄せてきた大瀧が入れるパターンもあり。そして枝村は、もっと頑張れよ、と。


▼GK
[90分間あたり失点数] 清水累計:0.76、相手累計:2.52
1.海人(0.61)、2.風間(1.18)

[セーブ率] 清水平均:90.0%、相手平均:84.0%
1.海人(92.4%)、2.風間(50.0%)

セーブ率は、失点/シュート数。風間は母数が少なすぎるので(4本中2失点)、参考記録と思って頂きたい。一方の海人は、90%を越えるという、とんでもない記録を残している。
あまりにとんでもないので、私の統計が間違えている気もするが、昨年・一昨年と比較しても飛び抜けているわけでもない(セーブ率:88.7%(昨年)89.5%(一昨年)、被セーブ率:82.0%(昨年)76.7%(一昨年))。Jリーグでは、ストライカーに外国人選手が多く、外国人GKが極めて希であるためかもしれない。※昨年や一昨年の数字は、公式記録を基にしている。
いずれにせよ、海人の数字が素晴らしいことに間違いはない。90分あたり失点数は、僅かに0.61。セーブ率は、統計対象から外れたクラブ選手権を含めれば、さらに跳ね上がるはずだ(無失点優勝)。来年度は、更なる精進を期待しよう。


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2003年03月28日(金) 清水フェス 埼玉栄戦(寄稿)

タナカさんより、またまた寄稿を頂きました。有り難うございます。もはや、どちらが管理人か分からない(爆)。

03年03月27日14:00開始 鈴与三保グラウンド
 第30回全国高校サッカー親善試合・清水フェスティバル
 対 埼玉栄高(埼玉)戦 ※30分ハーフ

▼布陣
−−−−−真司−−八木−−−−−

−岡村−−−−−−−−−−柴田−

−−−−−大瀧−−森安−−−−−

−高野−−村越−−石垣−−雄也−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半23分:高野→獅子内(岡村を左SB、真司を左MFに)


▼試合展開
[前半]

02分:試合開始から攻め込むエスパ。相手を押し込んだ状態で中央から右の柴田にボールが出ると、柴田はスピードに変化を付けたドリブルで縦に抜け、GKとDFの間に速いクロスを送る。GKもDFも触れないボールはファーに抜け、フリーの状態で八木がワンタッチゴール。1−0。

29分:中盤にボールを受けに引いてきた真司にボールが出ると、真司はダイレクトで右スペースへロブのパス。広大なスペースを得た柴田はスピードに乗り、その勢いのまま中へ1点目と同様の速い好クロス。ファーで岡村、右足ダイレクトで天井に突き刺す豪快なゴール。2−0。

埼玉栄       清水エスパルス
1(0) シュート 8(5) 八木3(2)、真司・大瀧・岡村1(1)、石垣・高野1(0)
1(−) 左右CK 2(−) 左2
1(−) ファール 3(−) 真司2、八木1
2(−)  犯OS  0(−)



[後半]

12分:相手エンドの右サイドで混戦を抜け出した雄也が、深くえぐる。ファーで待ち構えていた八木が、PA中央やや後ろにポジションを移動すると、雄也と視線が合う。雄也は余裕をもって八木にマイナスの折り返しを送ると、八木は落ち着いてゴールへ流し込む。3−1。

埼玉栄       清水エスパルス
3(3) シュート 7(2) 真司2(0)、八木・石垣1(1)、森安・獅子内・村越1(0)
0(−) 左右CK 4(−) 左1、右3
0(−) ファール 3(−) 柴田、高野、誰か
0(−)  犯OS  0(−)



▼試合結果
清水エスパルスユース 3−0 埼玉栄高校
 得点:前半02分:清水・八木和秀 (柴田和也・右クロス)
    前半29分:清水・岡村総一郎(柴田和也・右クロス)
    後半12分:清水・八木和秀 (杉山雄也・右クロス)



▼試合短評

前半、試合開始からエスパペース。サイドを大きく変える展開を多用しながら、両サイドを起点に攻め込む。ピンチらしいピンチもなくハーフタイムへ。後半も開始からエスパペース。前半見せたワイドな展開に加え、中央でのダイレクトプレーも増え、実に速い展開。後半、GKと最終ラインの意志疎通の問題から、3回ほどロングボールで裏を獲られかけピンチになった。しかし、その後持ち直し、それ以外ではほぼピンチもなく、相手エンドで試合を進めて試合終了。

鈴木真司:豊富な運動量と華麗なダイレクトプレーで、攻撃のリズムを生み出すことに成功。今大会は直接ゴールに絡むことは少ないですが、クサビを受ける役割に徹している感もあり、この試合では特にそれがチームとして機能していました。(※管理人注)チームとして、というのは良い傾向ですね。真司が昨年の仁科のように前線と中盤のリンクマンとなるのが理想。阿部は戻ってポストより、裏への走り込みをする方が怖い。清水のトップで言えば、阿部=トゥット、真司=アンというところ。

大瀧義史:持てる能力から考えると物足りなさもありますが、中盤で攻撃を造る事に関しては十分に役割は達成できていたと思います。

柴田和也:今日も活躍。中盤の良質なパスでスペースを活用できている事実はありますが、ボールを持って勝負する時はクロスに繋げる割合が高く、そのクロスも実に良質。

八木和秀:そのイメージとは違い、今日もセンターFW。中盤に引くことも殆んどなく、終始相手DFラインと並走し、裏を狙うプレーをしていました。特別に面白い動きをしている様には見えないのですが、あっさりと裏を獲ることに成功しており…相手側の不備なのか八木が良いのか良く判りません。(笑)。

注記:枝村は今日も別調整。阿部の姿は確認できず。そして風間は今日もフィールドプレイヤー。(※管理人注)つまり枝村は、U-17代表のサニックス杯は辞退したということですね(涙)。しかし、今年に入っても順調に成長を続けているので、この機会を逃したことを嘆く必要はないでしょう。



2003年03月27日(木) 清水フェス 草津東戦・南宇和戦(寄稿)

タナカさんより再び寄稿を頂きました。有り難うございます。しかし、タナカさんが現場で観戦している試合数は、私の倍を優に越してるのでは無かろうか。

03年03月27日10:45開始 鈴与三保グラウンド
 第30回全国高校サッカー親善試合・清水フェスティバル
 対 草津東高(滋賀)戦 ※30分ハーフ

▼布陣
−−−−−八木−−谷野−−−−−

−風間−−−−−−−−−−望月−

−−−−−上埜−−村越−−−−−

−高野−−田淵−−石垣−−小林−

−−−−−−−前田−−−−−−−

交代:なし

(※管理人注)この日はダブルヘッダー。草津東の方には下級生中心のメンバーで挑んだようですが、個人的には草津東がこの組で最も実力がある気がします。真っ正面からぶつかる対決が見たかった。それはともかく、風間がフィールドプレーヤーで登場!背番号は26。これは驚いた。確かにGKがプロに上がるには、身長は絶対的な判断材料になりますが。


▼試合展開
[前半]

草津東       清水エスパルス
9(4) シュート 3(1) 上埜1(1)、谷野・八木1(0)
0(−) 左右CK 1(−) 左1
3(−) ファール 4(−) 村越・小林・望月・誰か
1(−)  犯OS  1(−) 誰か



[後半]
24分:相手のスローインから繋がれ、中央をドリブルで崩される。そのまま相手にチェックに行けず、ほぼフリーのままPAの手前からシュートを打たれると、反応する前田も及ばず先制。0−1。結局これが決勝点となる。

草津東       清水エスパルス
6(2) シュート 3(0) 村越2(0)、谷野1(0)
1(−) 左右CK 2(−) 左2
4(−) ファール 5(−) 高野2、谷野・小林・八木1
2(−)  犯OS  3(−) 望月2、谷野1



▼試合結果
清水エスパルスユース 0−1 草津東高校
 得点:後半24分:草津東


▼試合短評

足元へ繋ぐことの多いエスパとは対照的に、草津東のスペースを意識した速い展開に圧倒され、前半は終始相手に押し込まれる展開。特に目立ったのは、田淵・石垣が高山や森安のように前に出て潰すことが出来ていないために(トップの試合の様に・・笑)、DFラインと中盤の間のスペースを自由に使われ、そこを起点として裏へのラストパス・サイドを走らせるパスなどが再三出されていました。
後半は五分五分に近い展開にまで持ち直しましたが、それでも相手ペース。結局決定的な形を造ることなく試合を終えることに。

前田陽平:失点はしたものの、果敢な飛び出しでピンチを未然に防ぐなど、まずまずの出来。ただ海人と比較すると、指示がイマイチはっきりしない事が多し。(※管理人注)セーブ率は83.3%。J1トップクラスのGKでも80%にも行きませんから(黒河は75.41%)、大したものです。無論、対戦相手を考える必要はありますが、前田自身が中学生ですからね。藤枝東戦から通算すると、81.8%。

谷野紘由:特に良かったわけではありませんが、エスパルス加入のご祝儀付きで。粘りのあるポストや、クサビのボールを受けて相手を背負ったままターン→シュートまで至った形など、光るプレーも。


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03年03月27日14:00開始 鈴与三保グラウンド
 第30回全国高校サッカー親善試合・清水フェスティバル
 対 南宇和高(愛媛)戦 ※30分ハーフ

▼布陣
−−−−−阿部−−真司−−−−−

−岡村−−−−−−−−−−柴田−

−−−−−大瀧−−高柳−−−−−

−篠田−−村越−−石垣−−雄也−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半00分:阿部→獅子内(そのままFWへ)


▼試合展開
[前半]

07分:ピッチの外をランニングしていた森安や枝村が、僕の前を通る。僕はつい其方に目を移し「枝村、代表の方は大丈夫かな?」などと考えた次の瞬間、ホイッスルが。慌てて確認するが出番を待つ他校の生徒に視界を遮られ、まったくピッチが見えん。やっと選手達が見えたと思ったら、既に試合再開の為に定位置に戻っていた所だった。よって海人以外の誰かが得点…ああ、情けない(恥)。1−0。(※管理人注)実は海人だったりして(笑)。まあ、よくあることです。気にしない。

11分:南宇和のカウンター。ハーフラインを越え、中央から右サイドへ展開。ボールを受けた右サイドの選手に篠田が並走するが、足の速いこの選手を止められず、ゴールライン付近まで突進される。南宇和右サイド選手はスピードに乗ったまま、GKとDFの間に低く速いクロスを送ると、ニアで村越の前に入った相手FWが滑り込みながら合わせる。1−1。(※管理人注)南宇和といえば、愛媛FC・石橋総監督が率いて旋風を巻き起こしたことがありましたが(ユースの和泉監督は南宇和時代の教え子)、愛媛FCユースの西川には昨年、随分と苦しめられました。伝統的に、こういったドリブラーを輩出する素地があるのかもしれませんね。

14分:相手側のエンド中央で競り合いを制したエスパ。右に開いていた柴田にパスが出ると、柴田はクロスを選択。フワ〜と大きいクロスはファーに流れると阿部が頭で捕らえ、前に出ていたGKの頭上を越え、ゴールに吸い込まれる。2−1。

27分:中盤に引いてきた阿部が、大瀧からのクサビのボールを受けると高柳に落とす。高柳はしばしボールをキープすると、相手SBとCBの間に生じていたギャップを突いていた阿部にロブのパス。ボールを受けた阿部は、そのまま前を向き左足を一閃。ゴール右側に決まる。3−1。

29分:終了間際、守備に戻った阿部が相手と交錯、右足を痛めた様子でピッチの外へ自ら出る。

南宇和       清水エスパルス
3(1) シュート 6(5) 阿部3(3)、岡村・誰か1(1)、真司1(0)
4(−) 左右CK 0(−)
1(−) ファール 6(−) 阿部・真司・岡村・篠田・雄也・誰か1
0(−)  犯OS  1(−) 真司1


(※管理人注)目を引くのは、枠内シュート率の高さ。阿部は、やはり生来のストライカーだと実感させられる。大外れする場面も目に付きますが、彼は10M前後の距離のコントロールが非常に上手い。


[後半]
28分:右サイドを深くえぐろうとしていたエスパの選手と相手DFが競り合い、ボールがこぼれる。それを拾った柴田が、PAの中にスピードの乗った好クロスを送ると、PA内で獅子内が相手DFと1対2の状況。獅子内は胸でトラップ後、相手DFと競り合いながらも強引にシュートに持っていく。シュートは相手DFに当るが、上手い具合にコースが変わり、そのままゴールマウスへと吸い込まれる。4−1。(※管理人注)獅子内は精度が課題ですが、こうした積極性が最大の美点ですね。

南宇和       清水エスパルス
3(2) シュート 2(1) 獅子内1(1)、誰か1(0)
1(−) 左右CK 1(−) 右1
2(−) ファール 4(−) 高野2、岡村・誰か1
1(−)  犯OS  0(−)



▼試合結果
清水エスパルスユース 4−1 南宇和高校
 得点:前半07分:清水
    前半11分:南宇和
    前半14分:清水・阿部文一朗(柴田和也・右クロス)
    前半27分:清水・阿部文一朗(高柳亮太・スルーパス)
    後半28分:清水・獅子内善雄(柴田和也・右クロス)



▼試合短評

前半は両チーム共良くプレスがかかり緊迫した展開だったが、少しづづエスパが支配率を高める。そしてチャンスを効率良くものにしたエスパが得点を重ねる。後半、阿部の抜けた後はやや決め手を欠き、両者中盤での潰し合いに終始。やや南宇和のペースだったが崩すまでには至らず、結局両チーム共チャンスの数も少なく、傍観者にとっては暇な展開だった…。

篠田大輔:失点場面にも顔は出しましたが、全体的には良い出来でした。ポジショニングなどを含め守備はソツなくこなし、安定感十分。またタイミングの良い攻め上がりで攻撃にアクセントをつけることに成功。

柴田和也:“新1年生で”ということも含まれてはいますが、そのプレーは今後の成長次第で、お家芸であるサイドアタックの強力な武器になる可能性があると思わせるのに、十分な内容でした。

注記:枝村・森安・杉崎は別調整。



2003年03月26日(水) 清水フェス 名張西高校戦(寄稿)

タナカさんより寄稿を頂きました。有り難うございます。

03年03月26日14:00開始 鈴与三保グラウンド
 第30回全国高校サッカー親善試合・清水フェスティバル
 対 名張西高(三重)戦 ※30分ハーフ

▼布陣
−−−−−真司−−柴田−−−−−

−岡村−−−−−−−−−−谷野−

−−−−−高柳−−上埜−−−−−

−篠田−−森安−−村越−−雄也−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半00分:谷野→八木(柴田を右MF、八木をFWに)
   後半00分:村越→石垣(そのままCBへ)
   後半00分:雄也→小林(そのまま右SBへ)
   後半17分:真司→望月(柴田をFW、望月を右MFに)


▼試合展開
[前半]

16分:左サイドで岡村と真司がワン・ツー。抜け出した岡村はそのままスピードに乗り、PA角付近で相手を1人交わしてエリアに進入。その勢いのままシュート。1−0。

名張西       清水エスパルス
2(2) シュート 8(1) 岡村2(1)、村越2(0)、谷野・真司・高柳・上埜1(0)
0(−) 左右CK 3(−) 左2、右1
3(−) ファール 4(−) 岡村1、上埜1、篠田1、村越1
1(−)  犯OS  3(−) 谷野2、柴田1



[後半]
01分:中央やや右でボールをキープした真司から、右スペースを突いていた柴田を走らせるパスが出る。柴田はPA角付近で相手DFと対面すると、素早い切り返し×2でDFを抜き去り中へ球足の速いクロス。相手GKがキャッチに行くがファンブル。詰めていた真司が非常に厳しい体勢ながら僅かに頭に当て、押し込む。2−0。

13分:真司が中盤でボールをキープ(こういえば聞こえは良いですが、本質は無駄なドリブルで選択肢が無くなり…)。相手のチェックに圧され、たまらず背後に居た高柳に預ける。高柳が真司からのボールをダイレクトでDFラインの裏に蹴ると、そこには巧く抜け出した八木が。GKと1対1を左足で冷静に決める。3−0。

17分:相手PA近くで柴田がボールを奪うと、すぐさまDFラインの背後にスルーパス。DFの間を巧く抜け出した八木がまたもやGKと1対1。右足で狙いすましたシュートは相手GKの腕に当るが勢いをそのままにゴールへ吸い込まれる。4−0。

名張西       清水エスパルス
1(1) シュート 9(5) 八木3(2)、村越・柴田2(1)、真司1(1)、森安1(0)
0(−) 左右CK 1(−) 右1
3(−) ファール 2(−) 岡村1、柴田1
0(−)  犯OS  4(−) 柴田2、真司・八木1



▼試合結果
清水エスパルスユース 4−0 名張西高校
 得点:前半16分:岡村総一郎(なし)
    後半01分:鈴木真司 (なし)
    後半13分:八木和秀 (高柳亮太・スルーパス)
    後半17分:八木和秀 (柴田和也・スルーパス)



▼試合短評

前半はほぼ五分五分の内容。ややエスパが攻め込む場面が多かったが、高柳を除いて中盤より前の選手が皆ドリブラー化し、中々有機的な攻撃が出来ず。対して名張西も後方からのロングボールを起点として両サイドを攻め込むが決定機までには至らず。
後半、エスパは村越を中盤に上げ、しっかりと潰してシンプルにサイドという形を徹底。完全に相手を押し込む時間が多くなり、右サイドを起点としてチャンスを作り得点に繋げる。対して名張西は断続的にサイドを使ったカウンターを試みるが、シュートまでには至らずに潰されることが多かった。

谷野紘由:初参戦。確認できたプレーから察するにドリブラーの模様。下半身などがかなりガッチリとしている選手で、岡村や真司などのドリブルとは違い、獅子や真希などに近いパワフルな印象を受けるドリブルでした。

岡村総一郎:前半に限ってのことですが、スピード・切れのあるドリブルを武器に左サイドを蹂躙。相手を抜き去る際に腕などを巧みに使い体を入れ替えるなど、軽さが目立っていた中に強引なプレーも。後半は相手を押し込む時間が多くなったため、スペースが無く消化不良。

柴田和也:この日の攻撃陣のMVP。豊富な運動量とキレのある動きで相手を翻弄。特に右サイドに入った後半は光っており、岡村とは違い縦に抜けるだけではなく、中に入るプレーからFWへのラストパス、或いはSBを使うパスを送るなど選択できるプレーの種類が多く、周囲を巧みに使ながら、攻撃の核になっていました。

八木和秀:30分の時間での2得点を評価。Jrユースの時の緩急を使ったドリブルからシュート…などの印象が強いですが、足元で受けることは少なく、裏を狙うような動きが多かったです。(※管理人注)清水のFWは中盤に戻ってボールに絡もうとする傾向が強いため、前線に残って常に裏へ抜け出す機会を伺っている八木が、重要な役割を果たす機会が増えている気がします。ユーヴェのディ・バイオの役割。

高柳亮太:やはり守備面。再三中盤で相手の攻撃の芽を摘み取ると、両サイドへシンプルに展開。派手さはないですがその貢献は高し。

森安洋文:無難なプレーが多かったですが、前に出る守備だけではなくカバーリングも的確、また攻守が切り替わる時などの対応は、DFライン随一。

注記:試合中、前日まで県選抜の合宿に参加していた阿部と大瀧はランニングで調整。枝村も怪我の影響か同じくランニング。そして風間は、なぜかフィールドプレイヤーと同じ格好でアップ。(※管理人注)次回、衝撃の結末が明らかに!(笑)



2003年03月25日(火) 東海プリンスリーグ 日程

○JFAプリンスリーグU-18・東海 2003 参加チームと日程

JFA(日本サッカー協会)、及び清水エスパルスのHPにて正式に発表されました。ちなみに正式名称は、「JFA プリンスリーグ U-18 東海 2003」となったようですね。しかし、本当にプリンスリーグが正式名称になろうとは。

▼参加チーム(10チーム)
01.静岡:静岡学園高校
02.静岡:藤枝東高校
03.静岡:ジュビロ磐田ユース
04.静岡:清水エスパルスユース
05.愛知:東邦高校
06.愛知:名古屋グランパスエイト
07.三重:四日市中央工業高校
08.三重:日生学園第二高校
09.岐阜:岐阜工業高校
10.岐阜:各務原高校


※JFAのHPでは磐田・清水・名古屋の枠は(クラブ)となってますが、東海リーグは当初より高校・クラブ枠の垣根なく、共通で静岡4、愛知・三重・岐阜2と決まっていたはずです。


■日程(日程等は変更になる可能性がありますので、あらかじめご了承下さい)
04月05日(土) 14:00 対 日生学園高校 磐田スポーツ交流の里ゆめりあ
04月12日(土) 14:00 対 名古屋グラン 鈴鹿スポーツガーデンB
04月19日(土) 14:00 対 東邦高校   豊田市運動公園陸上競技場
04月26日(土) 14:00 対 四日市中工高 草薙総合運動場球技場
04月29日(祝) 12:00 対 岐阜工業高校 大垣赤坂スポーツガーデンA
06月25日(水) 19:00 対 静岡学園高校 草薙総合運動場陸上競技場
07月05日(土) 14:00 対 藤枝東高校  磐田市安久路運動公園
07月16日(水) 19:00 対 ジュビロ磐田 磐田スポーツ交流の里ゆめりあ
07月19日(土) 14:00 対 各務原高校  磐田市安久路運動公園


※ユースヤクザ的には、静岡の2チームとの対戦が平日夜になってしまったのが、実に悩ましい。


関連記事 「東海プリンスリーグ 参加決定」



2003年03月22日(土) 中日本スーパーリーグ U-17 奈良育英高校戦

03年03月22日14:46開始 清水市営競技場
 第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-17)
 対 奈良育英高校 ※40分ハーフ

▼布陣
−−−−−八木−−獅子内−−−−

−岡村−−−−−−−−−−柴田−

−−−−−上埜−−高柳−−−−−

−高野−−村越−−石垣−−雄也−

−−−−−−−前田−−−−−−−

交代:後半06分:八木→望月(柴田をFW、望月を右MFに)
   後半18分:雄也→小林(そのまま右SBへ)
   後半18分:高野→田淵(そのまま左SBへ)

奈良育英高校:

−−−−−18−−63−−−−−

−−−−−−−71−−−−−−−

−76−−50−−35−−43−

−−−88−−15−−33−−−

−−−−−−−12−−−−−−−

交代:後半05分:35→73、後半09分:12→16、後半19分:63→70

 ※Aチームは、大垣フェスティバルに行っていたようだ。


▼試合展開
清水駅到着。PCをコインロッカーに預けようとするが、…見あたらない。駅の改築工事とやらで、撤去されてしまったようだ(涙)。遠方からの旅行客は、どうするんだよぉ。エスパルスが日本平を使わないうちは、日帰りの観光客は来ないのか? そうなのか?
仕方なく重い荷物を肩掛けて、新清水駅に。…ここにもない。探すと、あった。駅の構内に(苦笑)。少しせこいぞ、静鉄。頼んで、とりあえずロッカーだけ使わせてもらう。これで帰りは静鉄を使うことを約束されてしまった(笑)。
その後、オフィシャルショップに寄って、イヤーブックを貰ってこようとしたが、引替はセレッソ戦以降になるらしい。うーん、まあ草薙で貰えばいいか。でも、混みそうなんだよなあ。

藤枝東−星稜戦の後半から観戦。雨も降って、風も吹いて、実に寒い。本気で寒い。普通に風邪をひきそうだ。夜のJリーグは、屋根と人混みの分だけマシだろうか(結局、大して雨は降らなかったが)。相変わらず芝は綺麗で、グラウンドコンディションは問題なし。
前日の松商学園戦で、前半15分で篠田退場、後半25分で森安退場、その後PKで先制点献上と、審判の独壇場を許した清水。これで篠田・森安は累積警告で出場停止、真希もこの試合で負傷退場。また阿部・大瀧は昨日に続き静岡選抜の合宿、枝村は藤枝東戦で怪我(U-17代表は大丈夫だろうか)と、主力が悉く出場できない清水。しかし、奈良育英も大垣フェス出場で、大幅メンバー落ち。清水もさらに海人と真司を休ませ、試合に臨んだ。

[前半]
試合時間が押し気味で、前の試合から間髪置かず、慌ただしく試合が始まるが、試合展開も慌ただしく動く。開始数十秒、高柳の斜めのパスでいきなり抜け出した岡村が、早速左サイドからクロスを入れるが、これはDFに引っ掛かる。しかし、このクリアボールを右サイドでプレス、ルーズボールを拾った中央右よりの柴田がサイドチェンジ。残っていた岡村が最終ラインの外でフリーとなり、ワントラップから低くて速いボールをファーサイドネットに突き刺した。1−0。
早々に主導権を握った清水は、以後も優勢。前の藤枝東−星稜戦とは明らかに異なる、センターライン近くまで上げる高い最終ラインと激しいプレスを展開する。だが、奈良育英も中央PA内は厚く、清水は岡村の左を中心にサイドを崩すも、辛抱強く跳ね返される。逆に奈良育英は12分、中盤から素早くサイドに散らし、43番が高野と1対1に。縦をケアした高野の逆を突き、軽く横にスライドして右45度25Mほどからミドル。大きくファーサイドに流れて、タッチラインを割る。奈良育英は最終ラインを押し込めない上に、ロングボールの精度が無く、前田に脅威を与えることができなかった。

一方の清水は、厚い人の壁に個人技で対抗。16分、高柳からの縦パスから獅子内。マークを背負った状態から強引にターンすると、そのままクイックネスで抜け出てし、最終ラインに割り込む。そのままPA内、1対1となってドリブルシュートを放つが、ファーに外れる。
28分、上埜の20M級対角線フィードで柴田が右サイドを抜け出し、右クロス。これはDFに引っ掛かるが、すかさず岡村がフォロー。速く鋭く曲がるクロスに、ファーポスト至近距離で八木が頭で合わせるが、これをふかしてしまう。しかし、両サイドの崩しが、組織で繋がるようになってきた。
そして30分、右サイドから雄也がスローイン。ここで再度個人技炸裂。前方に投げたボールをタッチライン沿いで柴田が受けると、後ろ向きの姿勢から急速ターン。マークは完全に出遅れ、PA内に突入する柴田に、否応なくCBもう一人が寄せたところで、センタリング。八木がきっちりCBの間にポジションを取り、後は右足インサイドで合わせるだけで良かった。2−0。

その後、左右から連続でCKを得るが、3本目で跳ね返した奈良育英、センターライン右寄りでFKを得る。時間は34分。一気にPA内に蹴り込み、頭で合わせて前に送るが、前田がジャンプ一番、がっちりキャッチ。すかさず前田は20Mロングスロー、柴田が飛び出してカウンター。右サイドを直進、センターライン付近で中央へ戻すと、受けたのは高柳。さらに10M程突き進み、PA手前20M程でミドル砲炸裂。カン!と響き渡ったのは、ファーサイドネット下のバー。低く鋭いボールをブチ込んだ。3−0。トリプルカウンターアタックのようだ(笑)。

さらに36分、雄也の右サイドからのアーリークロスに対し、PAボックス角の浅い位置で柴田が受け、トラップからすかさず左にパス、岡村が斜めにフリーで走り込む。これも決定的だったが、シュートはゴール左へ外れる。
その後も岡村や高柳が、前後左右にボールを動かして相手を翻弄するが、得点は動かずロスタイム。ハイボールに岡村が相手と競って潰れたボールを、獅子内が拾う。反転して軽く突っ掛けながら溜めると、岡村が敏活に立ち上がってフォロー。その岡村に獅子内が叩くと、左のオープンスペースからクロス。沈み込んだボールを柴田がファーで軽く合わせて折り返すと、またも八木が中央至近距離でフリー。小さく右足を合わせて、丁寧にゴールへ押し込んだ。4−0。
試合全体を支配しただけでなく、開始直後と終了直前に得点を奪う効率の良い攻撃で、前半を終えた。

奈良育英      清水エスパルス
2(0) シュート 9(4) ◎岡村、×獅子、×八木、◎八木、×石垣、◎高柳、×岡村
               ×高柳、◎八木
3(0) 右クロス 6(2) ×雄也、×柴田、×柴田、◎柴田、○雄也、×雄也
0(0) 左クロス 7(3) ×岡村、×岡村、×八木、○岡村、×高野、○岡村、○岡村
2(0) 左右CK 6(2) ×岡村、×岡村、×岡村、○上埜、○上埜、×岡村


[後半]

前半に良い時間に得点を奪った清水だが、後半も開始3分、石垣のロングフィードを、中央寄りで受けた岡村が突破。PA内に一気に侵入するが、タッチライン際で潰され、CKに。左CKを上埜が蹴り込むと、鋭く巻いて中央で村越がダイビングヘッド。自らもゴール中に飛び込む豪快なシュートが決まる。5−0。筆者は開始まもなくで、「こりゃ5点は獲れるな」と思っていたのだが、早くも予想達成。後は、どこまでいくか。

しかし、奈良育英も集中を切らさない。これに対し、清水も当然ながら焦ることなく、上埜・高柳の巧みに散らし、鍵を握る岡村は突破とサイドチェンジを使い分け、狙いを絞らせない。さらに高野の岡村との縦のポジションチェンジ、雄也のアーリークロスが、サイド攻撃に厚みを加える。
11分には、中央からの展開で高野が持ち上がり、さらに左外の岡村へパス。岡村は大きくチェンジサイド、望月がPA手前右寄りで受けて、それをなおも右へ流す。サイドにポジションを変えた柴田が受けるが、付いてきたマークに苦しんで再び望月へ。望月が今度は縦に送ると、柴田の空けたスペースに上埜が飛び込み、後方からの浮き球をテクニカルなボレーシュート。しかし、GK正面。
14分、相手ゴールキックに対し、高柳が頭でクリア。これを上埜が拾うと呼ぶ声に反応、すかさず左斜めに正確に捌く。岡村が抜け出して最終ラインを押し込むと、バックパス。駆け寄った上埜が25Mミドルを放つが、これはポスト横に外れる。

高い最終ラインが攻撃を支えるが、18分、中央右よりの狭いゾーンで数的不利になった石垣、細かいワンツーで半身抜けた相手を後ろから押してしまい、FK。距離は30M弱、角度左40度。奈良育英の狙い澄ましたキックは、ニアの壁の外を巻いて抜け、だがゴール左上角を直撃。それでも最初に反応したのは奈良育英。リバウンドに詰めて、至近距離からシュートを放つが、何とこれを大きく外に外してしまう。唯一にて最大の決定機であった。
この決定機逸は少なからず動揺を与えたのか、20分には相手PA直前で高柳がカット、そのまま右のオープンスペースに流れてクロスを送る。これはニアの獅子内に僅かに合わず、DFクリア。だが、これもPA手前で上埜が遮断、そのトラップから次の瞬間、20M弱ミドル。低く鋭いシュートが決まり、6−0。
声は出ているが、完全に精神的・肉体的に疲弊した相手に対し、清水のラインはさらに高く。相手が自陣奥で前を向いたぐらいでは、自陣には一人が残るだけ。さらに不敵なのは、2列目のライン。6点目に見る通り、攻撃時はPA手前まで迫り、攻撃の連続性をもたらした。
暫く途中交代の望月・小林にボールを回して馴染ませながら、2人に攻撃を任せ、周囲はサポートに回る。

31分、左に流れた獅子内が、ポストプレーから強引なターンでマークを振り切り、サイドスペースに抜けてセンタリング。DFが跳ね返すが、これもPA手前で拾ったのは高柳。そのまま中央突破を仕掛け、最終ラインの2人の間に割り込むと、3人目がカバーに来たところで横に叩く。あとは柴田が押し込むだけ。GK、シュートに触れるも、ネットに吸い込まれる。7−0。
後は個人技で相手を混乱させながら、得点だけには絡めない獅子内の出番か。37分、中央で奪った上埜が声に応えて、即座に左に捌く。受けた岡村も素早く縦パス。左に流れた獅子内が、トラップから一瞬のダッシュでマークを置き去りにし、左サイド突破。カバーのDFが迫るが、左30度弱角度のないところから強シュート。ニアポスト直撃。
39分にも上埜から、またも素晴らしいサイドチェンジがホットラインで岡村へ。溜める岡村の外を田淵が駆け上がると、奈良育英DF、最早付いていけない。十分にサイドを抉ってクロスを入れると、中央で獅子内が頭で合わせてゴール。2人は抱き合って喜ぶが、無情にもこれは、微妙なオフサイド。7点獲ってるから、文句も言わないが。
そして、そのままホイッスル。主力8人を欠いた試合、しかし、それ以上にメンバーを落とした相手に大勝を果たした。

奈良育英      清水エスパルス
3(0) シュート 14(5) ×八木、◎村越、×獅子、○上埜、○上埜、×獅子、×上埜
               ◎上埜、×望月、×岡村、×柴田、◎柴田、×獅子、×獅子
0(0) 右クロス 7(3) ○柴田、×柴田、○柴田、×高柳、○望月、×望月、×望月
0(0) 左クロス 4(2) ×高野、○岡村、○岡村、×獅子
0(0) 左右CK 5(2) ◎上埜、×上埜、×上埜、○岡村、×上埜


▼試合結果
清水エスパルスユース 7−0 奈良育英高校
 得点:前半00分:清水・岡村総一郎(柴田和也・左方ミドルパス)
    前半30分:清水・八木和秀 (柴田和也・右クロス)
    前半34分:清水・高柳亮太 (柴田和也・前方ミドルパス)
    前半39分:清水・八木和秀 (柴田和也・ショートパス)
    後半03分:清水・村越大三 (上埜健太・左CK)
    後半20分:清水・上埜健太 (なし)
    後半31分:清水・柴田和也 (高柳亮太・ショートパス)



▼選手寸評
前田陽平  6.0 出番なし。若いメンバーということもあり、遠慮無くコーチングしていた。

杉山雄也  6.0 右サイドを無難に封鎖していたが、中央のカバーや前線の突破も求めたい。
石垣勝矢  5.5 対地・対空共に強さを見せたが、ポジショニングとクリアの質に課題あり。
村越大三  6.5 体を投げ出して飛び出す守備で、ラインの間を埋める。フィード精度も良。
高野美臣  5.5 縦のポジションチェンジで攻めたが、確度悪し。戻りの位置取りも要改善。

柴田和也  6.5 リスクを意識し、ここぞの突破で貢献。裏を雄也に守られ、自由に動いた。
高柳亮太  7.0 2列目に最終ラインがあったが如く。空中戦も含め手堅く攻撃を切断した。
上埜健太  7.5 広い視野と正確かつ巧妙なキック、判断の速さで中盤の王様に。守備も良。
岡村総一郎 7.0 圧倒的な突破力は期待通り。視野とキレのあるロングパスに成長の跡あり。

獅子内善雄 5.5 戻ってのポストとドリブルは脅威だが、フィニッシュだけが精度を欠いた。
八木和秀  6.0 突破は抑えられたが、ウェーブの消える動きで2得点。分からないものだ。

望月祐甫  6.0 機を捉えた飛び出しでラストパスと得点を狙ったが、精度が問題。
小林拓矢  6.0 カバーと飛び出しの双方で積極的だったが、ミスも多かった。
田淵将天  6.0 攻め上がりは自重気味で、守備の着実なプレーで役割を全う。


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藤枝東高校−星稜高校(中日本ユーススーパーリーグ U-18)

[後半]
藤枝東       星稜
0(−)  得点  1(−)
4(2) シュート 9(2)
3(0) 右クロス 2(0)
2(0) 左クロス 4(1)
2(0) 左右CK 4(2)


試合自体は前半1−3、通算1−4で星稜が勝利したらしい。星稜の10番、本田は素晴らしかった。殆ど奪われず、確実に溜めて左右に散らす。あと、3バックの左の3番(今村?)も高さと速さを兼ねた好選手。


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名古屋グランパスエイト−清水エスパルス
[前半]
名古屋       清水
2(−)  得点  0(−)
5(2) シュート 2(2) ×アン ○アン
3(0) 右クロス 5(1) ×鶴見 ×ツト ×平松 ○平松 ×鶴見
3(0) 左クロス 4(1) ×鶴見 ○村松 ×アレ ×アレ
2(0) 左右CK 3(0) △平松 ×平松 ×平松
10(−) ファウル 5(−)
1(−)  犯OS  2(−)
 49.5%  支配率  50.5%


[後半]
名古屋       清水
0(−)  得点  2(−) ◎ツト ◎アン
10(3) シュート 5(3) ×ツト ○ツト ◎ツト ◎アン ×アレ
7(3) 右クロス 3(1) ◎伊東 ×森岡 ×森岡
7(2) 左クロス 5(0) ×村松 ×村松 ×ツト ×アレ ×村松
3(0) 左右CK 2(0) ×アレ ×アレ
4(−) ファウル 10(−)
1(−)  犯OS  3(−)
 60.6%  支配率  39.4%


得点は後半、シュートはほぼ同率、他のデータは前半の方が、相手と比較してマシな数字になっている。非常に興味深いデータである。後半は決定機の点でも、シュート以外にトゥットや伊東がフリーで抜け出す場面があり、これも後半が上回っていたように思う。アンや鶴見、森岡のロングボールが主体だった。一方、ポゼッションサッカーを目指すなら、前半のシステムの方が良いのではないか。



2003年03月21日(金) 中日本スーパーリーグ U-17 松商学園高校戦(寄稿)

ゆうさんより情報提供頂きました。有り難うございます。

03年03月21日12:30開始 御殿場サッカー場
 第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-17)
 対 松商学園高校 ※40分ハーフ

▼布陣
−−−−−真司−−獅子内−−−−

−岡村−−−−−−−−−−真希−

−−−−−森安−−上埜−−−−−

−篠田−−高柳−−村越−−雄也−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代他:前半10分頃:真希 →柴田(負傷交代、そのまま右MFへ)
    前半15分頃:篠田 →退場(一発退場、岡村を左SB、真司を左MFに)
    後半10分頃:獅子内→八木(通常交代、そのままFWへ)
    後半25分頃:森安 →退場(警告2枚、4−3−1に)
控え: 前田、石垣、小林、望月、田淵、柴田、八木


※(管理人注)阿部・大瀧は静岡選抜の合宿中。枝村は藤枝東戦で負傷。


▼試合結果
清水エスパルスユース 0−2 松商学園高校


※(管理人注)森安退場で9人になった直後にPKを奪われ、海人が一度弾き返したものの、リバウンドを詰められて失点。その後は果敢に攻める姿勢を見せるが、一方的な展開となり、前掛かりになったところを速攻で決められたらしい。
 審判はかなり偏っていたとのことだが、前にも書いたが清水ユースの守備は、攻撃を読んで体を相手の前に入れることで奪うプレー(アンティシペーション)を主体にしている。そこには当然、能動的・積極的な接触プレーがあるわけだが、審判の中にはこれをラフプレーを見る方がいる。改めて強調するが、相手の前に激しく体を入れても、自らが後ろから倒される危険はあっても、相手を怪我させることはない。世界を戦う上で、避けては通れないプレーだと思う。
 ただ、本番は中日本ではなく、あくまで4月から始まる東海プリンスリーグである。こうした厳しい試合や、9対11という状況を経験しておくことは、良いことだと思う。



2003年03月19日(水) Jユース杯 大会概要 Group of 「D」eath

○Jユースカップ 大会概要

■大会名称  第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権

■予選リーグ
▼参加クラブ J1、J2の28クラブ
▼大会方式  7グループによる、ホーム&アウェイ方式による2回戦総当たりリーグ戦
▼日程    2003年8月10日(日)〜11月16日(日)
▼グループ分け
 Aグループ:札幌 ・大宮 ・東京V・川崎
 Bグループ:水戸 ・山形 ・浦和 ・新潟
 Cグループ:仙台 ・鹿島 ・市原 ・横浜C
 Dグループ:柏  ・横浜M・湘南 ・清水
 Eグループ:F東京・甲府 ・磐田 ・G大阪
 Fグループ:名古屋・京都 ・C大阪・広島
 Gグループ:神戸 ・福岡 ・鳥栖 ・大分

■決勝トーナメント
▼大会方式
 以下の16チームによるトーナメント戦
  ●予選リーグ各グループ1位7チーム
  ●予選リーグ各グループ2位のうち成績上位5チーム
   予選リーグ各グループ2位には次の順序により順位をつける
   (1)勝点、(2)得失点差、(3)総得点、(4)抽選
  ●日本クラブユースサッカー連盟代表の4チーム

▼日程    2003年12月
▼試合方式
  ●1回戦〜準決勝:90分間(前後半各45分)+PK方式
  ●決勝     :90分間(前後半各45分)
           +20分間の延長戦(前後半各10分+Vゴール方式)+PK方式

■入場料   原則として無料


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なんなのさ、これはあ。昨年と引き続き、間違いなく最大の激戦区となった「死のグループ」。しかも、今年は2位になっても勝ち抜けが決まるわけではない。悪い冗談だ。

横浜は3点差を逆転した3年前の激闘の印象が強いが、一昨年にも決勝トーナメントで対決、深澤の退場を招き0−3の完敗を喫した。フリューゲルスとの合併以来、Jユースカップでは2位、3位、ベスト8、ベスト8という安定した成績を収めており、ガンバと並ぶ東の雄である。
谷口・鈴木・今田の02年U-17代表選手に荒井が組む中盤は、テクニカル&スピーディー。だが、攻撃陣はFW杉山以外は背丈がないので、清水としては高柳・森安の読みと高さで我慢しながら、隙を見て枝村が一気に局面転換。真司の突破で得たPKを、大瀧がゴール正面に気合いでぶち込んで逃げ切る展開を期待したい。

柏は、今年も仲良く死のグループに御一緒。昨年はアウェイで6−0で大勝した後、ホームでも激戦を3−2で逃げ切り、予選敗退の引導を渡している。しかし、その前の年はガンバを倒してベスト4に名乗りを上げており、実力は侮れない。
だが、柏は比較的、与しやすいと見る。順調に行けば、今年はクラブ選手権(U-15)を制した船山・柳沢・福地・中台といった有望選手が昇格してくるが、彼らに過度に期待するようなら、昨年の磐田同様に「死のグループ」では勝ち抜けないだろう。菅沼がトップに引き上げられてる可能性もある。若い素材の宝庫だがチームとしてはまとまっていない、ナイジェリアのような状態を清水サポとしては望みたいところ。

湘南は正直、怖い。経営危機を機に本来の意味でのリストラ(組織の再構築)を迫られながら、平塚から湘南となった00年以後も、昨年以外は決勝トーナメント進出を逃していない。その昨年もクラブ選手権関東大会敗退を受けて、早めに1・2年生主体に切り替えてのことであり、それでも最後まで札幌と予選突破を争った。FW永里・MF藤田・DF川口など満遍なく好選手を揃えており、チームとしてまとまったスウェーデンを思わせる存在である。

何はともあれ、予選リーグから気の抜けない試合が6試合も戦えるのは、何事にも代えられない経験になるだろう、と負け惜しみを言って締めの言葉にしておこう。来年からは、ポイント制なり第一シードなりを決めて、組み分けしてほしいなあ。



2003年03月16日(日) 中日本スーパーリーグ U-17 藤枝東高校戦

03年03月16日11:02開始 草薙球技場
 第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-17)
 対 藤枝東高校 ※40分ハーフ

▼布陣
−−−−−阿部−−真司−−−−−

−岡村−−−−−−−−−−真希−

−−−−−大瀧−−枝村−−−−−

−高野−−高柳−−森安−−雄也−

−−−−−−−前田−−−−−−−

交代:後半13分:枝村→村越(森安をボランチ、村越をCBに)

藤枝東高校:

−−−−−柴田−−閨谷−−−−−

−−−立田−−赤星−−佐々木−−

−−−−−−−木村−−−−−−−

−新庄−−小関−−北村−鈴木大−

−−−−−−−高橋−−−−−−−

交代:前半36分:鈴木大→滝田
   (新庄を右SB、立田を左SB、柴田を左MF、佐々木をFW、滝田を右MFに)


▼試合展開

期末に出張が重なり、ここ数週間は非常に忙しいのだが、会場が草薙と聞いて翻意。前日の浜名戦も観戦したいところではあったが、土曜は残務を片づけ、早朝の電車に乗り込む。前日、切符を買えなかった(みどりの窓口が開いてる時間内に帰れなかった)こともあり、色々と焦ったが、無事に会場到着。
しかし、門が開いていない!(正面だけが開いていたようだ) ここで引き返せるほど、筆者は金銭的余裕も時間的余力も精神的教養も持っていない。乗り越える。その際に、錆びた金網で指を流血。もし自分が破傷風で死んだら、この時の愚行が原因だと思い起こして頂きたい(苦笑)。
さて、清水・藤枝というサッカーの町同士の静岡ダービーである。それだけでなく、藤枝東には赤星・滝田というエスパルスジュニアユース出身選手が、エスパルスには阿部・枝村・真司・真希という志多榛原地区出身者(藤枝出身は真司だけだが)が在籍。中盤中央では枝村−赤星、清水の左サイドでは途中から真司・岡村−滝田という因縁の同期対決となった。天気は曇天ながら時折光も差し、風もない穏やかな春の兆し。芝の状態も良好で、好コンディションが舞台を彩った。

[前半]
試合は探り合いの様相から落ち着いてきたと思われた5分、いきなり動く。中盤の底で枝村が奪うと、簡単に右へ流す。受けた真希も、正確なダイレクトミドルパスで、左の岡村にチェンジサイド。さらに岡村も軽く前へボールを流すと、そこに起点となった枝村が走り込み、フリーで左クロスを上げる。中央でマークを外した阿部が、右足でファーに流し込むと、不器用なループは、しかしGKが触っても軌跡を変えず、ネットに吸い込まれた。1−0。
清水は意図のないパスミスも多く、コンビネーションの点では、まだまだ未成熟だが、1ヶ月前とは比べようがないぐらい、システムとして役割分担が整理されている。元々攻守の切替の速い真希だけでなく、岡村も精力的な守備を見せ、2列目がバランスを保ちながら攻撃していた。だが、特筆すべきは最終ライン。昨年のように相手の前に出て中盤に参画する、積極的な守備を披露。相手の藤枝東の最終ラインが、守勢の時にはかなり深く下がっていることもあり、圧倒的な中盤支配を得て、そのまま試合の趨勢を掴んだ。

8分、枝村が散らしたボールを受けた真希が、マークの寄り切れない早いタイミングで大きくチェンジサイド。左の岡村がドリブルを仕掛け、CKを奪う。続く枝村のキックは、ニアで合わずにDFがクリア。枝村はパスミスもあり、棒立ちになる時間も長く感覚で動けていない印象だが、それでもボールを集められ、その後も試合を創り続けた。
13分にも枝村が、中盤やや左で奪ってドリブル。相手マークに詰まって後ろに戻すと、大瀧が枝村の裏のスペースに精密なループパス。受けた岡村がターンして再び大瀧に戻すが、さらに大瀧が後ろに下げたボールがミス。しかし、これも枝村がタックル、こぼれたボールをライン際の巧みなトラップで前方スペースへと抜け出して、クロス。阿部が胸で受ると、右前方へ流した先に真希が駆け込むが、一歩早くGKキャッチ。
16分、ゴールキックの競り合いでこぼれたボールを真司が拾うと、軽く仕掛けて戻した先はやはり枝村。そこから右サイドに散らすと、真希は2タッチ目で素早くクロスを入れる。ピンポイントで合わせたボールを、前向きの姿勢のまま真司がダイレクトで後ろに戻すが、誰にも合わず。
20分、またも枝村が中盤中央で奪って、速攻。右に流すと、早いタイミングで真希が低く球足の速い横パスを中央へ。このボールを大瀧が跨いでスルー。受けた枝村が短く前に繋ぎ、ここで受けた大瀧がループパス。これを阿部が再び右に流すと、勢いよく真希がボレーシュートを放ったが、ボールは大きくファーへ外れた。

その後、大瀧のミドルや、真司のファンタジーア(前を向いたまま、右からのパスを跨いで左足インサイドでトラップ、直後に股間のボールを右足インサイドでバックパス)などが飛び出すが、清水が綻びを見せたのは、意志疎通の不足から来る単純なミスから。26分、右に流れてポストした阿部がバックパスを相手に渡してしまう。一気に突破を許すと、サイドチェンジから藤枝東の右クロス。これは流れたかに見えたが、クロスバーを直撃。雄也のカバーが遅れてリバウンドを拾われるが、上手く中を切ってボールはタッチラインを割る。
続いて32分、中盤で奪った藤枝東の速攻。清水の左サイドから仕掛けると、森安がボールに寄ったのを見て横パス。雄也の戻りが遅れており、全くのフリー。15M弱の距離からミドルを放たれるが、前田が素晴らしい横っ飛びを見せて阻止。こぼれたボールはDFクリア。時間がだいぶ経ってからの藤枝東のファーストシュートだったが、前田はブランクを感じさせず、見事な集中力を持続していた。
藤枝東がやや流れを取り戻した38分、FWにクサビを入れる縦パスに対し、高柳が相手の前に出てクリア。これをハーフライン付近の枝村に渡して、フリー。枝村は振り向いてドリブル開始。藤枝東のDFは十分後ろに残っていたが、枝村の選択は30Mミドル。強烈なボールだったが、バーの上に1M弱外れた。
その後、終了間際の嫌な時間にCKを奪われたが、DFが着実に跳ね返し、前半終了。

藤枝東       清水エスパルス
1(1) シュート 4(2) ◎阿部、×真希、○大瀧、×枝村
2(0) 右クロス 2(1) ○真希、×雄也
1(0) 左クロス 3(2) ◎枝村、○枝村、×岡村
1(0) 左右CK 1(0) ×枝村



[後半]
開始早々1分、高柳が奪取から、大瀧の足下へ縦パス。大瀧はボールを持って左へ流れると、短く戻す。受けた岡村はトラップから一度切り返し、一息に縦へ。左クロスはDFが阻止、CKに逃れる。枝村の左CKは、前半のミドルを思わせる速いボール。これに中央の阿部が頭二つは抜け出して、ドンピシャでヘッド。強烈なシュートがニアサイドネットに突き刺さった。2−0。

これで一気に試合のギアは上昇。3分にも右サイドの展開で失ったボールを、枝村が奪い返して、真司に当てる。ワンツーのタイミングだったが、枝村は逆に真司のさらに右へと走る。真司が折り返したのは枝村でなく、3人目の動きでフリーになった中央の阿部。10M弱の絶好の位置でフリーになったが、上手く力を抜いたシュートはサイドへ外れてしまう。「あ゛あぁ」という悔恨の叫び、やはりブンは考えてシュートを撃っちゃいけない(苦笑)。
4分には藤枝東が反撃。滝田の突破を高野が縦を切り、CKへ。赤星のキックは前田がフィスティングでクリアするが、エリア外で拾って20Mミドル。キレのあるシュートだったが、曲がりすぎて横に外れる。
清水も阿部のポストから大瀧のミドルと、攻勢を緩めない。9分には、真希の早めの右クロスはやや浅すぎて、阿部が後ろ向きでトラップ。マークに寄られて振り向けずにファーに流れるが、岡村がフォロー。左クロスに対し、ファーで真希が頭で合わせたが、今度は深すぎて角度なく、ニアサイドに外れる。

10分の藤枝東。右から速攻は、滝田が早めに中央の閨谷に預ける。高柳が縦を切るが、後方から佐々木が斜め右に走り込み、そこへスルーパス。高柳は出し手をマークし、スルーパスの処理をカバーに来ていた森安に任せる判断をしたが、森安はマークの受け渡しをすると考えていたのか、反応が遅れてボールを見送ってしまう。これで佐々木が独走。前田との1対1に冷静にサイドネットへ流し込む。2−1。
試合の優勢を支えていた最終ラインの犯したミスである。チーム全体が浮き足立った。11分、高野のハンドから、赤星がクイックリスタート。ノーマークの滝田が低い右クロスを送ると、足下に入って威力は弱いが、しかし至近距離のシュート。だが、前田がこれに反応、前方にこぼすが即座にパンチングで味方に渡し、難を逃れる。
この後、枝村が村越に交代、森安が中盤に上がるが、あまり改善は見られなかった。森安が前掛かりだったこともあるが、両チーム共に前日にも試合があったこともあり、中盤がぽっかり空いてしまった。サイドから速攻の撃ち合いとなり、逃げ切りたい清水としては嫌な展開。

24分、左サイド30M程の距離から大瀧のFK。これはDFにクリアされるが、岡村が拾うと左のオープンスペースへ。大瀧が走り込み、鋭く曲がって落ちるクロスを、森安がスライディングボレーで合わせたが、威力無くGK正面でセーブ。
その後、高野が最終ラインで横パスをミスしてシュートを許す場面もあったが、チームが落ち着いてくる。サイドから遅攻と単独突破でFKを誘い、或いは阿部の単独突破一本に頼るなど、リスクを犯さない。ただ、当の阿部は、大瀧FKからの至近距離ヘッドを外したり、突破から巧くサイドに流れてCKを奪ったはずがゴールキックと判定されたり、岡村の新境地を開く40Mロングフィードで裏に抜け出しながらバテたのかDFに跳ね飛ばされたりと、苛立ちを募らせた様子(ラフタックルで警告頂戴致しました)。何はともあれ、巧みに時間を費やして、最後の10分余りは満足な攻撃を許さず、勝利を手中にした。

藤枝東       清水エスパルス
5(4) シュート 8(3) ◎阿部、×阿部、×大瀧、×真希、×真希、○森安、×阿部
               ○岡村
3(1) 右クロス 3(1) ○真希、×雄也、×真希
0(0) 左クロス 6(3) ×岡村、○岡村、×岡村、×岡村、○岡村、○大瀧
1(0) 左右CK 2(1) ◎枝村、×大瀧


名古屋戦でも感じたが、今年のチームは、なかなかプレーが汚い。タックルは激しいし、判定に不服があれば文句も言う。倒されれば叫喚してアピールするし、時間稼ぎもする。ただ、これは良いことだと思う。昨年のチームのような「大人のプレー」も結構だが、やはり勝利への意欲は大前提。去年の対戦では淡々と藤枝東を下した印象だったが、今年は声の大きさでも上回っていたと思う。
勿論、相手を怪我させるのは論外。だが、それと球際の激しさは別。それが分かっていれば、少々やんちゃでも構わないのではないか。今年の3年生が中3の時、内容は酷評されたが高円宮杯を制した。その理由が、少し分かった気がした。


▼試合結果
清水エスパルスユース 2−1 藤枝東高校
 得点:前半05分:清水 ・阿部文一朗(枝村匠馬・左クロス)
    後半02分:清水 ・阿部文一朗(枝村匠馬・左CK)
    後半10分:藤枝東・佐々木太朗(なし)



▼選手寸評
前田陽平  6.5 中学生だと思えば+1.0してもいい。後はキャッチの握力とコーチング。

杉山雄也  6.0 ポジショニングが曖昧な部分があるが、概ね相手左サイドの攻撃を遮断。
森安洋文  5.5 一度のミス以外は総じて安定していたのだが。ボランチでは前掛かり過ぎ。
高柳亮太  7.0 森安にない自然なポジショニングは経験の差か。渋く守備陣を繕い続ける。
高野美臣  6.0 強引な突破に危うさもあったが、質の良い位置取りとクリアで攻守に貢献。

山本真希  6.0 真希へのパスはやたら長すぎたのだが、相当速い選手と思われてるのか?
枝村匠馬  6.0 相手の攻撃を棒立ちで見ること多し。赤星との対決は、互いに消化不良。
大瀧義史  6.5 左足の魔法でゴール前に変化を与えた。守備も精力的で赤星を封じ切る。
岡村総一郎 6.5 真司と絡む技巧的かつ素早い攻撃で、昔の僚友・滝田をイジメ続けた。

鈴木真司  5.5 ファンタジーは堪能させてもらったが、シュート0はFWとしては不可。
阿部文一朗 5.5 ポストなどで強さと高さは使えたが、まだ速さを活かすパスが出てこない。

村越大三  6.0 高柳のカバーに後押しされ、積極的な競り合いを披露。よく声が出てる。



2003年03月15日(土) 中日本スーパーリーグ U-18 浜名高校戦(寄稿)

某タナカさんより、観戦記を戴きました。有り難うございます。タナカと聞いて魚頭の校長を思い浮かべる人間は、何人いるのだろうか?(笑)
えすぱっ子では、皆様からの寄稿をお待ちしております!


03年03月15日15:00開始 安久路公園グラウンド
 第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-18)
 対 浜名高校 ※40分ハーフ

▼布陣

−−−−−真司−−阿部−−−−−

−岡村−−−−−−−−−−真希−

−−−−−大瀧−−枝村−−−−−

−田淵−−高柳−−森安−−小林−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:前半35分:小林→雄也 (そのまま右SBに)
   後半00分:田淵→高野 (そのまま左SBに)
   後半31分:岡村→獅子内(真司を左MF、獅子内をFWへ)
   後半38分:真司→村越 (大瀧を左MF、森安をボランチ、村越がCBへ)

浜名高校:

−−−−−奥村−−佐藤−−−−−

−−−−−−−稲垣−−−−−−−

−松本−−寺田−−山本−−村上−

−−−萩原−−倉橋−−平山−−−

−−−−−−−大島−−−−−−−

交代:後半22分:奥村→野末、後半30分:松本→村田

(※管理人注)大島は県西部選抜。同じく選抜のCB、小栗・南は外れていたようだ。


▼試合統計
[前半]
浜名       清水エスパルス
1(0) 放SH 7(0) 岡村3(0)、枝村2(0)、阿部2(0)
1(−) 得CK 3(−)
3(−) 与FK 4(−) 阿部3、小林
1(−) 犯OS 0(−)


[後半]
浜名       清水エスパルス
4(0) 放SH 12(6) 枝村6(4)、阿部2(1)、大瀧2(0)
              岡村1(0)、獅子1(1)
0(−) 得CK 4(−)
3(−) 与FK 4(−) 阿部、大瀧、雄也、高柳
3(−) 犯OS 1(−)


(※管理人注)枝村が最多シュート(8本!)というのは、如何なものか。そしてブンは、ファールするより、ファールされるポジションだろうに。シュート(枠内・総数)・CKなどで相手を上回っており、優勢だったと伺えるが、シュート枠内率31.6%は、かなり低い。このあたりが、苦戦の理由か。


▼試合結果
清水エスパルスユース 1−0 浜名高校
 得点:後半39分:枝村匠馬(なし)



▼短評
快勝といっても過言ではない内容でした。ゲームは完全に支配し、チャンスの数でも完全に上回っていました。藤枝東戦を“6.5(及第点6)”と捉えると、7.5くらいだと思います。浜名は試合を通じて中盤を清水に握られているため、攻撃といえばカウンター一辺倒(結構怖かったりもしましたが)。

枝村匠馬:この日のMVP。前半は大瀧が前に出ていたので、自然とDFラインとの間のケアなど守備的な動きが多く、攻撃面ではロングボールをさばいて起点になるくらいでしたが、後半に入ると覚醒(笑)。相手の潰しから攻撃の起点・ビルドアップ、前線への飛び出し+フィニッシュまでを1人でやってのけました。
得点は、右サイドで溜めた真希のパスを中央で受けると、ドリブルを開始。20Mほどドリブルすると、PA手前で相手を半身左にかわしてシュートコースを空ける→相手DFとのコンタクトをものともせず、左足で低く強烈なシュートをゴール右隅に。(※管理人注)タナカさんは真希のアシストとしてましたが、これは枝村の個人技なのでは? ジュニアユース時代の赤星を思わせる「アメージング」なプレーですね。

山本真希:前半はスペースも無く、やや膠着状態を打開できずにいましたが、後半は左サイドから真希の前のスペースを有効に使う、球足の速いチェンジサイドから再三裏を取り、相手にとって脅威に。

高柳亮太:個人的な裏MVP。内容は藤枝東と同じと思っていただければ。(※管理人注)藤枝東戦では冷静な判断で、縦パスをカットする動きと激しくマークをする動きを使い分けてました。

阿部文一朗:裏に抜け出せるボールが少なく、藤枝東戦よりも悪い出来でした。(※管理人注)藤枝東戦は2点を奪いましたが、裏に抜け出す機会がなく、ミスもあって低調でした。尤も、スペースもない中でしたので、見方を変えれば良く動いてはいたかな?と。



2003年03月01日(土) 今年度的清水エスパルスユース 2003年度版

▼予想布陣

−−−−−−−−−−鈴木真司2−− 阿部文一朗3 −−−−−−−−−
          (山本真希1)
− 岡村総一郎2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−上埜健太2−−
  (鈴木真司2)                  (獅子内善雄3)
−−−−−−−−−−大瀧義史3−−−枝村匠馬2−−−−−−−−−−

−−篠田大輔3−−−高柳亮太3−−−森安洋文3−−−杉山雄也2−−
                          (小林拓矢3)
−−−−−−−−−−−−−−山本海人3−−−−−−−−−−−−−−

 名前の横は学年。
 例によって中日本スーパーリーグのパンフには予想布陣が載っているのだが、そちらは最終ラインが左から、篠田−高柳−雄也(村越)−森安、となっている他は上記の通り。エスパユースの布陣はフラット4−4−2と言われることが多かったが、昨年来、アウトサイドMFこそ大きくワイドに広がるものの、ボランチは下がり目でボックス型に近くなっている。


▼FW

1st ◎阿部 △田淵 △真希 ×獅子 ×長沢
2nd ○真司 ○真希 △獅子 ×大瀧 ×岡村 ×谷野

 大まかに分ければ、ボックス内のポストと得点を決める役割の1stFWに、その周囲から突破とパスで決定機を演出する2ndFW。勿論、役割は明確に分かれるわけではないが。

 1stFWは阿部(U-17日本代表)が絶対的だろう。動きの質が良いとは言えないが、兎角ゴールへの最短距離を突き進むことには完成された自分の形がある。一定水準以下を相手にすれば、身体能力だけで何とかしてしまう。
阿部の控えには田淵を推す。上背は普通だが、体を張ることを厭わず、足腰に粘りのある選手で、ポストの質に優れる。真希(U-15日本選抜)の場合、さほど体を張るのが得意ではないのだが、元来の身体能力は高いので、代役程度なら任せられるだろう。獅子内(元U-14NT・東北)も運動能力は高いのだが、最近はサイズの面で苦戦している。もう一人、ジュニアユースから長沢(元U-12NT・東海)の名前を挙げておく。

 2ndFWは、実は今年の課題の一つ。個人技が高い選手は多いのだが、その個人技を細かく有機的に結びつけることのできる選手に欠いているのだ。真司(元U-14NT・東海)は突破力・創造性、共に全国でも有数のものがあるが、変化をしない阿部と変化しかしない真司の相性は、決して良くはない。真希の場合、身体能力と判断の速さを活かしたシンプルでオーソドックスなプレーをするため、相性は悪くないが、今度はチーム全体が直線的になりすぎる。他にも獅子内・岡村・八木・柴田と、突破力自慢の選手には事欠かないのだが…。外部新入の谷野(U-14NT・中国)が起用されるとしたら、ここのポジションか。
 そこで個人的な意見は、大瀧(U-17NT・東海)のコンバート。無論、前線で体を張る役目は期待できないし、突破するスピードもないが、決定機を演出することにおいて、大瀧以上に期待できる選手はいない。突出した得点力も備えた大瀧は、ゴールに近い位置でこそ起用すべきではないか。だが、この場合、もはや2トップではなく、4−4−1−1と言えよう。


▼MF

中央 ◎枝村 ◎大瀧 △上埜 △森安 △真希 ×池田
右  ○上埜 ○獅子 △真希 ×柴田 ×田淵 ×望月 ×杉崎
左  ○岡村 ○真司 ○大瀧 △篠田 ×八木

 最初に述べた通り、セントラルMFが守備に重心を置くボックス型に近い布陣を採るならば、中盤の4人で確定といえるのは枝村(U-17日本代表)のみ。2ndFWの項でも述べたが、今年のチームはラストパスを出せる選手が少ない。枝村にしても、最後の攻撃の仕上げをするより、潰しからの大きな展開で試合全体を創る選手。チームは構造的欠陥を抱えている。
 勿論、大瀧はいる。キックの質と種類は浩太すら上回る稀代の司令塔だ。だが、セントラルMFとしての大瀧は、精力的だが守備に追われて良さを出せていない印象が強い。枝村と攻守分担してダイヤモンド型の中盤にした方が、機能すると思うのだが…。一方、潰しの仕事を重視するなら、森安や真希と組ませて、枝村の前線への飛び出しを促す考えもある。試合を創るなら上埜か、或いはジュニアユースから池田(U-14NT・東海)を抜擢するか。

 左右のアウトサイドには、エスパルスらしいウィング型選手が揃う。だが、昨年は大瀧が左に回って様々な球種を配給しアクセントを付けていたが、今年はこのポジションもFW的。突破力こそ歴代と比しても見劣りはしないものの、MF的センスに欠け、攻撃が単調になりがちなのが気がかり。
 右は上埜に期待したい。昨年はスピードと体のキレに頼っていた感じだが、元より足下の技術は柔らかく、エスパルス2年目でチームに慣れてくればビルドアップでも魅せてくれるはず。逆に直線的だが、獅子内のミドル砲と逆サイドのクロスへの飛び込みは面白い。昨年、このポジションで実績のある真希・田淵のほか、ジュニアユースでの経験のある柴田・望月、そして杉崎も使われるなら、ここか。
 左は大瀧が中央MF、真司がFWに入ることを考えれば、岡村が有力。怯まず突破を挑み続ける闘争心の持ち主だが、体ができたことで強引さが増してきた。その突破と切り返しは小気味が良いが、視野の狭さは玉に瑕。篠田が一列上がることも考えられる。単独突破はないが、クロスの質は右サイドの選手も含めてチーム1だろう。岡村に似たタイプでは、ジュニアユースで実績のある八木もいる。


▼DF

中央 ◎森安 ◎高柳 ○石垣 △村越 △雄也 ×枝村 ×岩本
右  ○雄也 ○小林 △森安 △望月 ×真希
左  ◎篠田 ○高野 △雄也 ×森安 ×佐野

 3年間、チームの守備の要であった高山・渡邊が抜けた最終ラインだが、ずば抜けた選手こそいないものの、好プレイヤーを多く揃えている。特に昨年、著しく成長した森安は、元来の運動能力と当たりの強さに加え、今年になってからは考えられたカバーリングも披露。2年間出場機会に恵まれなかった高柳だが、背丈があり、冷静沈着なポジショニングは十分に計算できる。互いにフィードの質も高く、不足しているものがあるとすれば「自信」だろう。
 控えも充実している。石垣の激しい当たりは、ユースレベルでも十分に通用しそうだ。積極性を示す村越に、最近体ができてきた雄也がCBに回ることもあるだろう。緊急事態には、高野・真希と経験のある選手もいるが、個人的には枝村のCBを一度見ておきたい。3年間ボランチを務めるよりも、確実に良い経験になると思う。ジュニアユースから岩本(U-14日本代表)の抜擢はあるか。

 右SBは、雄也と小林の争いか。180cmを越える身長と、それに似つかわぬスピードのある雄也は、しかし時に判断が消極的になることがある。逆に小林は、身体能力的には平均的なものの、プレーは真面目で計算できる。だが、2人ともユースレベルでの実績に乏しいだけに、場合によっては森安が回ることもあるか。このポジションには経験のある望月もいるが、個人的に真希をここで見てみたい。身体の強さに正確なキック、何より素早い攻守の切替は、サイドバックでこそ活きるのではないか。
 左SBには篠田。体は小さいが、基本に忠実な守備ができ、前方の状況を視て攻撃参加するのが上手い。だが、今年の場合、岡村にしても真司にしても、左MFが後方の攻め上がりを引き出す動きが上手くない。そのため専守防衛で考えれば、読みと正確なクリアに長ける高野や、或いは雄也・森安を左に回すことも考えられるだろう。ここにもジュニアユースから、佐野(U-14NT・東海)の名前を挙げておく。


▼GK

GK ◎海人 △風間 △前田

 GKは海人(元U-16代表)で決まり。長身にも関わらず、果敢な飛び出しと派手な横っ飛びで観る者を魅入らせる選手だが、シュートを正面で捉える基本的なポジショニングの良さにも注目してほしい。また、そのコーチングは戦術的にも精神的にもチームに不可欠。
控えも問題ない。風間は身長はないが、フィールダー的な能力よりもセービングの技術に優れたオーソドックスなタイプ。前田(U-15日本選抜)も、反射速度とステップワークに秀で、安定したパフォーマンスが期待できる。共に海人とは異なるタイプなだけに、出場機会に恵まれることがあるかもしれない。


▼総論

 昨年、全国を制したチームは、浩太が奏でるハイテンポのリズムと、それに対応する周囲の判断とポジショニングが魅力であった。相手を 自分たちのリズムに巻き込み、次第に試合全体を支配した。だが、それは今年のチームには望むべくはないだろう。散々述べてきたが、選手を有機的に結びつけることのできる選手に欠いている。浩太と仁科の代わりはいない。
 だが、だからといって、今年が昨年に比べて落ちるとは思わない。確かに中盤の構成力は足りない。相手に試合を支配されることも増えるだろう。だが、今年は支配されても、一瞬の隙で結果を残せる個人の力がある。阿部・真司・岡村・上埜・真希の突破力。そして、正確なロングフィードを蹴る枝村・森安・高柳らが、後方にいる。さらに、大瀧から阿部へのセットプレーは、シンクロ率150%だ。
 率直に言って、カウンター主体のリアクションサッカーになる時間帯は増えるだろう。内容的に面白い展開ではないかもしれない。だが、ユース年代のサッカーは、凄いFWとGK、それからセットプレーのあるチームが強いのだ。今年も応援していきたい。


▼筆者私案


−−−−−−−−−−−−− 阿部文一朗3 −−−−−−−−−−−−−

− 岡村総一郎2 −−大瀧義史3−−−上埜健太2−−−鈴木真司2−−

−−−−−−−−−−−−−−枝村匠馬2−−−−−−−−−−−−−−

−−篠田大輔3−−−高柳亮太3−−−森安洋文3−−−山本真希1−−

−−−−−−−−−−−−−−山本海人3−−−−−−−−−−−−−−

 東福岡型4−1−4−1。枝村1ボランチの3−5−2(上記から篠田と真司を1列上げて岡村を右へ)も考えたが、トップも4バックのようだし、こちらの方が良いだろう。トップに沿うなら、大瀧か上埜をボランチに加える4−2−3−1でも良い。
 コンセプトはいくつかあるが、まず真の意味のセントラルMFが枝村しかいないのならば、思い切って彼に全てを任せてしまおうということ。3年間(ユースへの飛び級参加を除けば、ジュニアユースの2年から同じポジションを務めている)ドイスボランチの一角をするより、守備に奔走する経験を積んだ方が良いだろう。
 2つ目に、岡村と真司を守備の負担から解放すること。2人とも盛んに走るのだが、守備は正直、計算できない。真司はFWの時に右に流れることも多く、意外に右足の技術も確かなので、十分にこなせると思う。
 最後に、大瀧をゴールの近くでプレーさせること。高い得点力もある上に、阿部に決定的なパスを出せる選手は大瀧に勝る者なし。体格的に必ずしも粘り強いキープがあるわけではないので上埜をフォローに付けたが、プレースタイルの似た上埜が学ぶところも多いだろう。


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