独り言
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2004年11月29日(月) 『空想科学の終わりとシュールレアリズム・ワンダーランド』の途中で

超現実を鮮やかに浮かび上がらせるには、対となる現実をいかに鮮やかに描きだすかにかかっている
木の板をある根拠に基づいて削っていけばレリーフとして浮かび上がる
その対比が鮮明になればなる程より強い表現力を手に出来る

空想科学と超現実のシンクロによって世界を描き、そこにどんな哲学を彼は添付しようというのか?


ハリウッド資本で映画化すべきだ
きっととんでもない駄作になる

彼等は繊細な模様など眼中に無く
どれだけ大きな袈裟を仕立てあげるかという事にしか興味がないのだから
壁を越えられないのは僕等だけじゃない


2004年11月27日(土) 放課後

陽だまりの中で子等は笑い
木漏れ日の裾で老人は根をはる
僕は空気になろうと努めてみたけど
その努力は報われはしなかった

太陽に透かされた木の葉は風に吹かれて
それなりの音を奏でている

僕は僕を見下ろし
「とても大切な何かを間違って生きている」
と推測する

単純に思える事が
実は何より難しく重要なんだと
もっと大きく書いておくべきだった


あの色褪せた木の葉が
地面に落ち着いたら
僕も家へ帰ろう
そこはきっとここより寒いけど
それでいいんだ




その幸せは僕の笑顔になり
その悲しみは僕の涙になる


2004年11月23日(火) 休日の昼下がり。『自然』とは呼び難い草木が溢れる、何処かから切り取ってきた様な公園のベンチにて。

僕の隣で
その老婆は
陽だまりの中で交錯する無数の物語を眺めている

子が投げたボールを親はうまく掴めなかった
親が飛ばした紙飛行機に子は決して乗ろうとはしない

恋人達は品定めの途中であることをひた隠し
「次の休日は大学時代の友達とディスカウントショップに行く」と嘘をつく

そんな景色を眺め
それでも老婆は
「愛が降りそそいでいるわ」
とささやき
微笑みを添える

気が付けば僕は
落ち葉に埋もれて
今まですれ違った人達の顔を必死で思い出そうとしていた



やがて夕暮れが包み
そこには誰も居ない事に気付く


2004年11月15日(月) I don't wanna turn into "SCRAP"... I don't wanna be made into "SCRAP"...

Somebody told me "You gotta take it"
I'm screamin' "I can take it"
If you suffer you'll be rewarded
They're just empty words
I took a good look at what I got
It wasn't what I expected
No use holdin' on to it
I don't even want it
I wrote down my future dreams
I wrote 'em when I was a kid
Keep those dream forever
Even if they laugh at you
Don't forget 'em
No use feeling depressed
No use feeling nervous
I'll just laugh it off today
And I'll open the door and leave



I just wanna be myself


2004年11月11日(木) 異邦人は酒に酔うと決まってこの話をする。しかしその口振りは、大物政治家の家族サービス並に熱意が感じられない。

俺はゴミ溜めに足を突っ込んで
回収業者が来るのを待ってたんだ

もちろん可燃
埋め立てたり再利用されるなんて後免だからね

しばらくして業者の連中が来たんだけど
…俺を回収しようとしないんだ

何故か聞いたら
奴等お互いに顔を見合わせてやれやれって感じで困ってたよ

挙げ句の果てに出てきた答えが
「君は回収するには大きすぎる」だと
ガキを諭すみたいにやさしく言いやがった

がっかりだったよ
あんなに他人に失望した事は無いな

だから今度は首だけになって奴等を待つつもり


今度はどうやって俺を言いくるめる?


2004年11月07日(日) 異邦人は「太陽を描かなかったのは、絵の具が足りなかったからだ」と嘘をつく

女王蜂は柵を越える

そこには王冠も王座も無く
彼女は自由を知り
そして謳歌する

一際大きく輝く羽をはばたかせて
限界点など無いと信じる彼女を
百年に一度の上昇気流が奪い
空高く舞い上げた

太陽に最も近い季節の中で
いづれ堕ちていく事を知りながら
それでも彼女は得意気に
世界の女王を
気取ってみせる


やがて彼女は熱病に犯され失墜し
かつての様に小さな王国で
売春婦として生きていく事になる

彼女の側近達は口々に
「女王様は全てを太陽のせいにするんだ」
と嘆いてばかりいる

雲はまだまだ大きくなる


2004年11月05日(金) その異邦人が切り取った風景画には、何故か太陽が描かれていない

大空の下
大地に腰を据え
その老人は
大海原に釣り糸を垂らす

それは驚く程静かな休日で
太陽が照りつける音さえ
はっきりと聞き取れそうだ



…どれだけの時間が経ったのだろう? 身じろぎ一つせず
釣り糸を垂らし続ける陰影が一つ
魚は…未だ釣れない


問いただす私を
振り返る事も無く
老人は石を打つ水の様に
そっとつぶやく

「魚を釣る事が目的とは限らない」と


その時
私の視界を一匹のスズメバチが横切った
彼女はきっと女王様で
今は亡き王国を探しているのだろう

遠くには雲が生まれ始めている


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