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◇◇サイ・セイ◇◇
りえ



 マスターベーションとは。

誰にも言えないことなのだけれど
最近、前の夫や生活のことを非常によく思い出すのだ。

無意識に思い出しているわけではなく
思い出そうとして思い出している。なぜなのかはわからない。

わからないなりに思うことは
少しずつ、生の感情ではなく、理性的にまとめようと整理している
といったところか。



最近、門野晴子という作家を知った。
確かエッセイストだったと思う。
もう還暦を過ぎた女性なのに、感性が非常に若い。
こういう人がこの世代にもいるということは
還暦を過ぎてもわたしはわたしでいられるということだ。



その人の本には、こんなことが書いてあった。

『マスターベーションは、セックスの代替的なものではなく
一つのセックスの形なのだ』



この一文を読んだとき、わたしの中から大きな重荷が消えた。
あれほどわたしが惨めだったのは、
マスターベーションをセックスの代替だと思っていたからだ。
本当は夫に抱いて欲しいのに、それが叶わず仕方なくする処理。
こんな目にあわせる夫を酷いを思っていたし
思いやりのなさの表れだと感じ、それが不信へとつながっていった。



わたしは今、妊娠中の身体だから
夫とセックスのペースが合わないことももちろんある。
夫が我慢するときもあれば、タイミングを逃してわたしが我慢することも。



それでもわたしはもう、以前のような気持ちになることはなくなった。
ゆうさんと暮らすようになってからは
惨めな気持ちになることなんか一度もないのだけど
彼とでさえ多少はあった義務的な気持ちになることもない。
たとえば彼がオナニーしても、まったくなんとも思わない。
大切なのは、ペースを無理にあわせることではなく
セックスに依存しすぎないことなんだろう。



あの頃この一文に出会っていたら、また違ったのだろうか。
もう少し、夫に優しくできただろうか。



2005年11月11日(金)
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