冒険記録日誌
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2024年01月21日(日) ミイラの地下墓地から大脱出 生死を決める130の分かれ道(フィリップ・スティール/ライツ社)

 本書は2022年4月と比較的新しく発売された児童向けゲームブックです。
 煽り文句は「日本初! おうちにいながら世界遺産で脱出ゲームができる本。世界10ヶ国で出版予定の話題作が、ついに日本語版で完成!」、帯には「むずかしすぎて7回、死にました。」とプレイした子どものコメントが載せられています。
 ストーリーは、古代エジプトの時代、うっかり穴から暗い地下墓地に落ちてしまった主人公が、出口を目指して彷徨うというもの。
 書店でこれらの文句に、パズル的な脱出ゲームを期待して購入する人は多かったようです。しかし、それが罠で、そう思ってプレイするとガッカリすること間違いなしなのです。本書にパズル的な要素などほとんどありません。ゲームブックとしても展開は一本道。正解ルートと違う選択肢を選んでもすぐに選択前に戻されるか、ゲームオーバーとなるという至ってシンプルな作りです。サソリや盗掘団に襲われたりするとゲームオーバーですが、そんなことは数えるほどの例外で、簡単にクリアできます。どうやったら本書で7回も死ねるのだ?と突っ込むことになるでしょう。
 実際、Amazonでのレビューも発売当初は、こういった理由で低評価のコメントがよくついていました。
 しかし、まあ悪い作品かというとそうは思いません。
 ゲーム性という点では物足りないのは確かですが、全ぺージカラーで、沢山のイラストの中に文章があるような紙面構成なので、絵本の感覚で読むと面白いです。イラストは薄暗い墓の中が舞台なので、さすがに華やかとはいいませんが綺麗ですし。
 想定読者年齢は、小学生高学年から大人までとされていますが、読んだ感じでは小学生低〜高学年向けくらいじゃないかな。物語のシーンに合わせて、エジプトの雑学が紹介されたりするので、学習本としても通用しそうです。
 本書の問題を一言で言えば、出版社の売り方が間違っている。無理矢理にでも脱出ゲームとして宣伝した方が売れるとでも思ったのでしょうかね。
 ちなみに今はAmazonのレビューでは、擁護する高評価レビューもあって、全体的な評価は持ち直しているようです。
 そんなわけで楽しくエジプトを学習できる本としてみれば良い作品。ゲームブックやパズルゲームを期待して遊べば肩透かし。というのが実際にプレイしての感想でした。


山口プリン |HomePage

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