冒険記録日誌
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2021年07月04日(日) |
マルサの女 国税局査察部珍道中(高木成一/双葉文庫) |
有名映画をファミコンゲーム化したものをゲームブック化したという、ちょっとややこしいゲームブック。 映画やファミコン版の事は知らないので、ゲームブックのことだけで感想を書きますが、ストーリーは、ある脱税疑惑のある実業家の家を家宅捜索して、証拠を発見するというもの。主人公は映画の主人公のやり手女性査察官ではなく、その部下にあたる新米査察官ということになっています。 ゲーム的には大きな屋敷の中を、双方向システムで自由に動き回って、ヒントを見つけては謎を解いていき、最終目的の脱税の証拠(多額の現金もしくは金塊など)を見つけるというものです。 この屋敷は間取りは変わっているし、地下に溶鉱炉はあるし、使用人たちは変人揃いだし、そんなへんちくりんな所もあってか、査察官というピリピリしたイメージとは違って、どことなくのんびりとした雰囲気で捜査は行われていきます。実際、ゲームオーバーは存在しないので、ゲームとしても気楽に進めることができます。ゲームシステムとしては、入手したアイテムや謎解きのための数字などをメモしていくだけで簡単です。 とはいっても、最近ゲームブックは、メモなしで遊べる軽めのものばかり遊んでいた私は、この本にある屋敷の見取り図をコンビニでコピーして書き込んでいくという手間をかけ、久しぶりにがっつりとゲームブックで遊んだ気持ちでした。(汗) 謎解きはすごく難しいというわけではないのですが、自分のプレイでは、必要なアイテムであるカセットテープを入手するための赤いボタンを押す回数がどうしてもわからず、仕方なくここだけ入手したことにしてクリアしました。クリア後にページを総ざらいして、どこにその手がかりがあったかを探したのですが、これが見つからない。誰か知っている人がいたら教えてくださいな。 あと、クリアに必要な謎解きばかりでなく、怪しげなうめき声がする錠のかかった部屋、鍵をやっと見つけたと思えば、中はただのトイレで用を足している人がいるだけって笑える脱線ネタなんかがあるところがいい。本書カバー下の表紙にヒントが隠されてあるという変わった仕掛けや、中盤ではどんでん返し的な展開もあったりして、単調にならない工夫もされています。 終盤は、証拠を押さえられて海外へ逃亡しようとする実業家を追いかけるアクション映画みたいな展開になりますが、ここでも特にゲームオーバーというものはありません。好きに選択して多彩な展開を楽しめばいいという、クリアしたプレイヤーに対するボーナスステージみたいな内容で楽しかったです。
作者は後書きで宝さがしゲームと呼んでいましたが、「脱税の証拠」が「出口の鍵」であれば、今で言う脱出ゲームとなるわけで、あまり古さを感じませんでした。今はSCRAPが脱出ゲームブックを出していますが、それとはまた違う魅力があるというか(もっともSCRAPの方はあまり知らないのですが)、こんなまったりした作品もありだなぁと思いました。
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