冒険記録日誌
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2021年06月09日(水) ギリシャ神話アドベンチャーゲーム3 冒険者の帰還(P.パーカー他/社会思想社) その8

 「アルテウス。神のお告げにはすぐに従うものだよ」
 使者の神であるヘルメスが喋る声で拙者は目がさめた。
 「後何度あるのかわからないが、まあ頑張りなさい。リプレイ合計が第50話でキリよく終わるのもいいかもな」
 そう言うと、ヘルメスはクスクスを笑って姿を消した。第50話とはとんでもない。あと2・3話くらいでこの冒険も完了してやるわい。
 気を取り直して現在の拙者の情報をおさらいする。原攻撃力5、原防御力11、名誉点22、恥辱点10、情報点8、装備と所持品はどうせすぐなくなるので省略。

 さて、恋人のアリアドネを結婚式のために立ち寄った島へ置き去りにしたあと、ほどなく船は嵐に巻き込まれて、船員たちが反乱を起こすイベントになった。
「おれたちがこんな目にあうのも、神々がこいつを罰しようとしているからだ!」
「生贄だ!奴を生贄にしろ!」
 今回も断固戦うことにする。そして…(何人のアテネ人が味方をしてくれるか、サイコロを振る。名誉点を使ってサイコロの目に修正もできるが、今回もしない)3人のアテネ人が味方になった。たった3人?、アリアドネを置き去りにしたことを怒っているのか、アテネ人たちまでそっぱを向いてしまったではないか。あわれ拙者は船から大海へと放り込まれる。
 マルコスの船に救助されアテネにたどり着く。そこで黒い帆をかざして入港する船を見て、拙者が死んだと勘違いをして自害してしまった、あわてんぼ父上の話しを聞いた後(恥辱点8点を加える)、王の側近のイテコン将軍へ、クレタ島で体験した数々の出来事を報告(情報点を消して、名誉点16点を加える)した。

 この後は、何度も繰り返しているので要点だけ書いておこう。その後、拙者は船にのり、遭難して、流れ着いた岸でケンタウロスを助け、マルコスに再開してトロイに向かうことになり、その地で従兄弟のアグノステスに会い、翌朝ボート競技でうっかり彼を死なせてしまい、罪滅ぼしのためにオルビアの軍神アレスの神殿か、キルケの島へいくように神託を得る。そしてニンフのカリプソの島で4年半まったりとすごしたあと、アポロ神の忠告を聞いて再び船旅に出て、航海中の甘い妖怪サイレンの歌声の罠を無事切り抜けたのであった。

 罪滅ぼしのために、拙者は軍神アレスの神殿に向かうことにした。船旅を終えて神殿にやってきた拙者を神官たちは、すべてわかっているという風に出迎えた。
 そしてよくしなるムチを拙者に手渡してこう告げた。
 「このムチで自分自身を打ち付け、罪を罰するのだ。決して手を抜いてはならん!力の限りやるのだ」

 なんじゃと、このムチで一人SMをしろということか。ここで嫌だ断るという選択肢もあるがな。神の意向に逆らうとロクなことにならないのはわかっておる。
 しかたなく拙者はムチを手に取り、文字通りに自分自身をムチ打った。つまり戦闘ルールにしたがって、自分に4度攻撃を加えないといけない。当然、本気で攻撃するので死の可能性すらある。念のため以前に入手した薬草の白い花びらを(あれから5年近く経過しているのですっかり乾燥しているだろうが)口に含み、なんとかこの試練に耐え切った。神官が傷口に塩を塗り始め、拙者は思わず痛みに呻きながらぐったりする。しかし、これで罪の穢れを払えたのだ。ずいぶん回り道をしたが、これでやっと故郷に帰ることができる。
 「まだよ、アルテウス」
 突然、虹色の輝きとともに女が登場した。登場のしかたからして、彼女は女神らしい。
 「私は虹の神イリス。でもそんなことどうでもいいわ。あなたに言いたいことがあってきたの。あなたは従兄弟殺しの罪は清められたかもしれないけど、まだ父親を死なせた罪が残っているわ。あなたはその穢れを払わないと故郷に帰ることはできないのよ。ええ、あなたが不当におもう気持ちはわかるわ、
でもそれが神々のルールだから、まったくあなたって人は何をするか、天上の神々はハラハラしながら見届けているのよ。思わず仕事の手が止まっちゃうくらいにね。まずは罪の穢れを払う方法をさがさなくちゃね。それは……」
 女神は息もつかずに話しかけてくる。うむむ。この冒険が神々の娯楽にように見られていると思うと、ゲンナリでござるよ。


by銀斎


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