冒険記録日誌
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2021年06月02日(水) ギリシャ神話アドベンチャーゲーム3 冒険者の帰還(P.パーカー他/社会思想社) その1

 ミノタウロスを倒す快挙を成し遂げ、クレタ島から脱出してからというもの、穏やかな航海が続いた。気温は下がり始め、季節はもう秋の気配を感じさせている。
 甲板に座り、ぼんやりと船を見渡すと、辛くも生贄の運命を免れたアテネの少女とアリアドネ姫が談笑していた。姫のほがらかな笑顔をみると心がなごみ、あの恐ろしいミノタウロスとの戦いの記憶もしだいに過去のものへと変わっているのを拙者は感じ始めていた。
 さあ、気をひきしめよう!なんというても、これからは最終巻の冒険なのじゃからな!
 とはいえ、ミノタウロスを退治するという、冒険当初の目的は達成した今、これ以上の困難が待ち受けているとも思えないのだがな。
 船長がこちらへやってきて笑顔で言った。
「午前中にはナクソスの島へ到着できるでしょう。そこのアルテミスの神殿の神官は私の友人でしてね。あなたとアリアドネ姫の結婚を万事うまくとりしきってくれるでしょう」
 そうなのだ。最終巻はアリアドネ姫との結婚式のシーンからはじまるのだった。少々照れるでござるな。

 結婚式は滞りなく進行していった。船員たちが祝福してくれる神殿の中で、拙者は神官の言葉も、うわの空でアリアドネ姫の姿ばかり見つめていた。美しい。
 「誓います」
 アリアドネ姫の言葉でわれに返る。拙者も慌てて「誓いもうす!」と叫んで彼女の体を抱き寄せた。

 突然、周囲の人々がコウモリに姿をかえ飛び立った。驚いてアリアドネ姫を見つめると彼女の体から、無数の蛇がはえ始めた。
 な、なんだこれは!
 みると、神官も船長も姿を変えて、復習の三姉妹の老婆達の姿になった。
 「お前は兄殺しだ」
 「ミノタウロスは、アリアドネの兄じゃった」
 「お前はアリアドネと結婚した。ゆえに親族殺しの罰を受けるのじゃ」
 復習の女神達はいっせいに笑う。拙者が混乱する中、突如足元の崖の端がくずれ、遥か下の海岸の岩に体を叩きつけられ、拙者は破滅した。




 そんな酷い理屈があるかー!まだ1パラグラフしか進んでおらんというのに!
 
 (ゲーム開始と同時に結婚して破滅という衝撃の結末から回避するには、パラグラフ1でヒントを使って下のように展開を変えるしかない)

 改めて、3巻の冒険を開始する。
 アリアドネ姫が婚礼の準備のため、一足先にナクソスの島に入ると、拙者は船長にすぐ船を出発させると告げた。船長は最初、拙者が冗談を言っていると思ったようだが、船長の喉元に剣を突きつけると、息を呑んだ。
 「アルテウスさん!あなたはアリアドネ姫をお見捨てになるのですか」
 「しかたがないのだ、さあすぐに出航しろ!さもないとお前を斬るぞ」
 船は未練たっぷりといった様子で、のろのろと港を離れていった。拙者はアリアドネが残されたナクソスの島が消えるまで甲板で眺める。そして島影が消えると、船室に戻りベットで泣いた。
 ふと気がつくと使者の神ヘルメスが傍にいた。
 「これでいい。お前は自分の役割を演じた。これは裏切りとともに始まった旅だ。だからお前は恥辱のうちに旅をしなければならないのだ」
 そういってヘルメスは消える。
 よろよろと再び甲板に出ると、海面から一人の人間が飛び上がってきた。いや、違う。人間ではない、わが守り神のポセイドンだ。彼は不思議そうに拙者を見つめ、ぼやくように告げた。
 「テセウスですら失敗したことをお前がやり遂げるとは、信じられん。とにかくお前はアテネに帰らねばならん。お前の父は、この船がお前の死を告げる合図の黒帆を揚げて戻ってこないかとビクビクしながら待っているぞ。もうこんな英雄ごっこはやめにしろよ。お前はそんな器ではないんだ」
 ポセイドンの姿は海面へ溶けて消えた。
 拙者は心からの大きなため息をついて、甲板の上で大の字になって寝転がる。なんとも意気のあがらぬ冒険の始まりじゃな。


原攻撃点  5  ヘパイストスの剣(攻撃力+4)
原防御点 11  ヘパイストスの胸当て(防御力+4)、ヘパイストスの盾(防御力+4)
名誉点  22
恥辱点  10
情報点   8
所持品  母の宝石、メダル(戦闘時に攻撃力か防御力のどちらかに+2の効果)、ブローチ
(注1)ヘパイストスの武具は、神々やそれに属する生き物との戦闘では、ポイントが6に増える。
(注2)ミノタウロスを倒した経験により、アルテウスの原攻撃点と原防御点は前作より1点ずつのボーナスがついた。


by銀斎


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