冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2021年05月20日(木) ギリシャ神話アドベンチャーゲーム2 ミノス王の宮廷(P.パーカー他/社会思想社) その18

 ミノタウロスの住む迷宮に入った拙者じゃが、今まで過去の拙者たちが散々探索したのじゃ。すでに地図はしっかりつくられておる。
 ここで読者に、この迷宮の状況をご教授しんぜよう。
 この迷宮の構造は、2階へあがる階段があったり、炎の燃え盛る床や、方向感覚をみだすトラップなどがあって一見したところ複雑そうじゃが、実は立ち止まる箇所を1ブロックとすると、8×8ブロックの碁盤上に近い構造をしているシンプルな迷宮じゃ。迷宮内は全部で70ブロックくらいあるので正確な正方形ではないがな。
 とちゅうで遭遇する光景や迷宮に落ちている品物はほとんどが罠で、ヒントを使用したり品物を拾おうとすると、いたずらに名誉点を消耗したり恥辱点を増やす結果になるものが、ほとんどじゃ。いつぞやの時のように、ひどいときにはミノタウロスの不意打ちまでくらうこともある。しかし、それらを無視して移動するかぎりは、この迷宮はまったく安全なのだ。
 各通路にはヘラクレスやペルテウスなどの英雄物語を彩る壁画などもあるが、これも地図に書き出してみると、兄じゃテセウスの遺骸が眠っている部屋まで向かうヒントになっている。ほかにもNとかOとか記号の刻まれている箇所がいくつかあったが、これは意味があるのかわからなかったな。

 そんなわけで拙者はほどなく、テセウスの遺骸の眠る部屋にたどり着いた。ここで少しばかり拙者は迷った
 ここでテセウスの剣を拾うかどうかの選択肢があるのじゃが、拾うとその直後にミノタウロスの不意打ちをうけてしまい、“軽傷”の状態から戦闘を開始しなければならないのだ。これは痛い。戦闘で、もう一撃でもくらえば拙者は“重傷”状態となり、勝利はほぼ絶望的だからだ。
 テセウスの剣の威力はきわめて強力で魅力的じゃ。じゃが、今回は拙者は鍛冶屋の神ヘパイストスに賜った魔法の武具を装備しているのだ。そこで拙者はその剣を拾わずに、兄じゃの遺骸に一礼をすると通路側に向き直った。
 案の定、そこにはミノタウロスが待ち構えていた。
 守り神に勝利の祈りをささげると(名誉点1を得る)、拙者は剣を正眼にかまえて、ミノタウロスの凄まじい突進を迎え撃ったのだった。

 まずは先制攻撃じゃ!以前のように戦いの神アレスの加護を受けておらぬうえ、テセウスの剣を使わない拙者は攻撃力が不足気味じゃ。クリティカルヒット(攻撃のさいのサイコロで11・12の目がでたら自動的命中)以外ではミノタウロスに傷ひとつ負わせることができん。
 そこで攻撃のたびに名誉点を7点消耗して、確実にダメージを与えることを心がけた。この戦いで負ければ、名誉点など惜しんでも意味はないのだ。
 ミノタウロスの突進をかわしながら、斬りつける!じゃが、ミノタウロスは毛ほども痛みも感じぬとばかりに、猛烈なパンチを繰り出してきた!
 防御まで名誉点を流用する余裕など本当はないが、サイコロが7以下の目で攻撃を受けてしまう。とっさに1点だけ使用。これで傷を負うのは6以下の目となり防御が半分以上の成功率となる。
 かがみこむ拙者の頭上をミノタウロスの腕がうなりをあげて、通り越していく。次の攻撃も名誉点7点消耗して攻撃成功。しゃがんだ状態からバネのように体を伸ばして、刃でミノタウロスの厚い胸板を薙ぎ払った。これでミノタウロスは重傷状態のはず。
 が、なんたること!ミノタウロスは拙者の体を持ち上げ投げ飛ばしたではないか!(ミノタウロスの攻撃成功)
 悪魔のミノタウロスは最後の一撃を無効にしたのだ!(ミノタウロス戦に限り、もう一撃余分に攻撃を成功させる必要がある)
 壁に叩きつけられた拙者にミノタウロスが串刺しにせんとばかりに頭のツノを向けて突進して襲い掛かる!
 ぬぅぅ!ゼウスよ!守り神よ!兄じゃよ!このアルテウスの戦いをしかとごらんになれ!
 床を転がるように交わす拙者。振り返るミノタウロス。悪魔の背中に剣を突き立てる。吼えて暴れだすミノタウロス。振り落とされぬよう背中にしがみついて必死で剣をさらに深くえぐりこませた。
 戦いの決着はついた。3度の傷を負ったミノタウロスは今度こそ重傷となり、神の防具に身を固めた拙者にはダメージを与えられなくなったのだ。もう名誉点を消耗することもない。
 そのまましばらく戦闘が続き、やがて拙者の剣が(クリティカルヒット)ミノタウロスの首を切裂いた。ミノタウロスはしばらくもだえていたが、やがてどぅと倒れ、口から血を吐いた。
 それがミノタウロスの最後だった。(名誉点を15点得る)

 やったぞ!ついに拙者はミノタウロスを退治いたし、兄の仇を討ち取った!
 ここで迷宮内が大きく振動しはじめる。地震が治まると、ミノタウロスの骸は天井から落ちてきた瓦礫の山が埋めていた。奴にはふさわしい墓場となったわけだ。

 だがこれで困ったことになった。というのも、地震のために迷宮の様子が一転してしまい、出口への道がわからなくなったとの事でござる。
 史実では兄上テセウスは、アリアドネ姫からもらった毛糸の玉を使い、入り口から糸をたらして帰り道の道しるべとしたようだが、残念ながら今回の冒険ではそのような物をもらっておらんかった。
 仕方なくあてどもなく迷宮内をさ迷い歩く。(なお、帰りの迷宮は双方向システムではない)
 出口が見つからぬまま、どのくらい時間がたったろう。疲れ果てて、拙者は通路に腰をおろして休みをとっていると、ふいに目の前に青いドレスの女の姿が見えた。幻覚か?
 「アルテウス。私は出口を知っているわ。こっちよ!」
 幻覚ではなかった!なんとアリアドネ姫が拙者を探しに迷宮内に降りてきていたのだ。
 拙者はアリアドネ姫に引っ張られるように迷宮の中を進み、やがて陽光の差す出口へとたどりついた。礼をいう間もなく、アリアドネが拙者に抱きついた。
 「アルテウス。いとしい人!私をお嫁さんにして!」
 拙者は一にも二にもなく頷いた。アリアドネ姫の用意したボートに乗り込むと、拙者らは父上の船へと向かった。
 船長は拙者を見て大喜びしてくれた。すでに生贄となる予定だった14人の若者も脱出に成功したらしく、船の上で笑って歓迎してくれた。
 さあ、拙者は帰るのだ。王子として夫として、祖国に。

第二部 完

by銀斎


山口プリン |HomePage

My追加