冒険記録日誌
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2016年01月11日(月) 魂斗羅(一本橋わたる、水木令子、上原尚子/コナミ出版)

 双葉ゲームブックに近い装丁と内容のゲームブックレーベルの一冊です。
 本ゲームの内容は、地球を侵略にきたエイリアンの基地を、筋肉ムキムキの海兵隊の主人公が、重火器を撃ちまくりながら破壊の限りをつくすという、頭の悪いアメリカ映画みたいな感じとなっています。
 これは原作がアクションシューティングゲームなので、しょうがないといえばしょうがないのです。同レーベルの「メタルギア」や、創元推理文庫の「ゼビウス」みたいに、ゲームの世界観を生かしてストーリーを凝った作品にしようにも、魂斗羅は世界観も適当そう。一本橋わたる氏の後書きでも、どうゲームブックにするべきか苦労したような事が書かれていますし。
 この無茶ぶりともいえるゲームブック化の企画に対して、本作は主人公が記憶喪失というベタな設定を持ち込んできました。見覚えのない蒸し暑い南国のジャングルで意識を取り戻した主人公は、意味もわからないまま島の探索を開始するところからスタート。
 最初から自動小銃を抱え、筋肉質の体、自分の名前と海兵隊であることは持ち物からすぐに判明、戦闘のコツは体が覚えているということで、記憶喪失である必然性は低いような気もします。任務も忘れてしまったため、自分を攻撃してくる敵の正体もわからず、序盤は戸惑うシーンもあるのですが、敵の正体といっても、もともと相手は謎のエイリアンですから、わかっても結局同じですし。ゲーム中に敵以外に何度か出会う謎の男の正体を隠すための処置でしょうか?これもイラストがネタバレに近い状態なので、正体はすぐに推測がつきますけどねぇ。
 ゲームルールは双葉ゲームブックによくあるバトルポイント表(A〜Jの数字に1〜10の数字を当てはめておき、サイコロ代わりにするもの)を使用した戦闘です。あとバトルポイント、経験値、バリアポイント、アルファベットによるフラグ管理、ラピッドビレットという強力な弾丸の弾薬数、アイテムの管理があります。
 さすがに原作通りだとお話しにならないせいか、序盤は無謀な特攻攻撃は控えた行動をしており、主人公と同じくエイリアンと戦闘しているレジスタンスグループが登場するなどオリジナル要素を加えているものの、やはり戦闘は多めです。
 選択ミスによるデットエンドの展開もありますが気にするほどはなく、バトルポイントや経験値を逃すような形のペナルティになり、戦闘に勝ちにくくなります。戦闘に負けてもバリアポイントを減らしながらも先に進むことはできますが、まずい選択肢が多いと次第に戦闘に負ける事が増え、途中でバリアが尽きてENDというわけです。
 レジスタンスの少女との邂逅とか、謎の男の存在で、なんとかストーリーにメリハリをつけようと苦心しているようなのですが、それでも全体的に展開が単調に感じてしまいました。記憶喪失という設定を使うなら、相手はエイリアンだし、スタート地点周辺では仲間の海兵隊員の死体がゴロゴロしているしで、序盤はホラーの味付けをすると面白かったのでは?とも思うのですが、それだと魂斗羅らしくなくなるのかな。
 ゲーム難易度としては、標準的な双葉ゲームブックレベルで、何度かバリアがつきてやり直しのうえクリアしましたが、理不尽な展開はなく、FFシリーズによくある死んで覚えろというゲームに比べれば楽でした。
 問題点もないけど、本書ならではの特徴も特別なし。なんだか締めのコメントが書きづらいゲームブックでした。


山口プリン |HomePage

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