冒険記録日誌
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2015年03月22日(日) 奪われた竜の卵(ダグラス・ナイルズ/富士見文庫)

 ファンタジー小説「ドラゴンランス戦記」の外伝的なゲームブックです。ギルサナスというエルフ戦士兼魔法使いを主人公にした冒険談となっています。
 富士見のAD&Dゲームブックシリーズは、他にもいくつか「ドラゴンランス戦記」に絡んだエピソードの作品がありますが、本作品は特に原作を読んでいないと物語の背景がよくわからずにプロローグから話しにおいていかれる感じでした。なんとなくレベルで理解しながら遊びましたが、小説未読者のために、簡単な粗筋でいいから主人公の社会的立場とか過去エピソードについて補完して欲しかったところです。
 本作の重要な設定として、ヒロインはシルヴァラというエルフの女性ですが、その正体はドラゴンの化身というのがあります。2人は過去に共に冒険したこともあるようですが、本作のプロローグ時点で主人公は、あえて彼女から距離を置いている状態です。なぜなら主人公はシルヴァラに惹かれている一方、その正体を知ってからは嫌悪も感じて一緒にいると混乱してしまうからなのです。この二人の関係は冒険の内容とは直接関わりはないのですが、主人公の葛藤の様子が度々書かれるのでゲームブックには珍しいロマンティックな雰囲気が全体に漂っていますね。
 久しぶりにシルヴァラに出会った主人公は、暗黒の女王に人質にとられているシルヴァラの一族の子ども達、つまり竜の卵を敵の拠点から救出してほしいと頼まれます。なんだかんだ心ではいいつつ、彼女の頼みを断れないので冒険に旅立つわけですが、最初の陸路と海路とどちらを選ぶかで敵の拠点までの行程が全く変わりますし、拠点についてからも無事に潜入できたか捕虜として連行されたかでも展開が変わりますので、そこそこ繰り返しプレイも楽しめる内容です。
 主人公の能力値は、シリーズ定番の生命点(ヒットポイント)、経験値(消費してサイコロの目に修正できる効果)の他に、戦闘技術点(戦闘の強さ)、知覚技術点(何かを発見する能力)、魔力点(魔法の使用回数)の3つがあり、7点を自由に割り振って決めます。
 物語重視のためか難易度はそれほど高くないのですが、最初のプレイはゲームオーバーになりました。最初の冒険は魔力を最大の5点で割り振って、魔法が使えるシーンは惜しまず使う作戦だったのですが、わずか2回しか魔法を使える機会がないまま、経験値を使い果たした状態で最終戦に突入してしまい、詰みになってしまったんですね。能力は戦闘重視の方がいいのかもしれません。あと陸路ルートにバグがあったのがちょっとマイナスです。
 途中でフィズバンという、これまた過去に主人公らと一緒に冒険していたらしい老魔術師が登場しますが、イマイチ何の役にも立っていないような気が。
 魔法を使えばマウスとハウスを間違って戦闘中に家を突然登場させてしまうなど、大昔のアメリカンコメディドラマみたいなキャラで、ちょっと認知症でも入っているんじゃないか?といいたくなる性格ですが、小説版では重要な役でもあるのだろうか。主人公たちがみていない時に限って、いつの間にか敵を倒しているシーンがあるので、底が知れない老人ではあります。
 ラストのドラゴン対ドラゴンの戦いはもっと描写に力を入れてくれると、クラマックスが盛り上がったのにな。物語重視だけに惜しまれるところです。
 卵の救出に成功すればゲームクリアですが、暗黒の女王との戦いはまだまだこれから、もちろんギルサナスとシルヴァラの関係もこれからという感じで終わっています。やっぱり小説と合わせて楽しみたい作品です。

 最後に、AD&Dゲームブックシリーズは、この作品で全て冒険記録日誌に感想を書いたことになります。コンプリートです!
 発売当時はファミコンの代用としてゲームブックを求めていた私にとって、あまり興味のないシリーズでしたが、今は結構気に入っています。出来に当たり外れはありますが、シリーズの中でも「クォーラス城からの脱出」なんかは全ゲームブックの中でも上位のお気に入り作品です。
 これで富士見のゲームブックは結構遊び終わった感はありますが、スカイフォール・シリーズは未プレイなので、まだまだ楽しめそうです。


山口プリン |HomePage

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