冒険記録日誌
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2015年02月25日(水) 烈拳カンフー大冒険(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店) その6

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないでください)

 3度目のプレイ。
 最初の木人との戦いは9勝9敗で、やっぱり辛くも試練突破の結果だった。
 町では太極拳の子どもと酔拳の爺さんに合う順番が逆になったくらいで、1回目と大体似たような展開で進む。[太極拳と酔拳の技を入手]ちなみに今回の展開だと爺さんは死ななかった。よかったよかった。

 最初のプレイでは無視した鎖鎌使いからの果し合いにも、今回は応じてあっけなく勝利する。すると鎖鎌使いは拳王の敵らしく、君に拳王の根城周辺の地図を渡してくれた。根城は西は草原、東は谷、南は沼地、北は山岳に囲まれているらしい。西と東は過去に挑戦済み。南は正面の門に続いているので目立つだろう。残るは北で、北には門はなく、ただ天然の山岳地帯という要塞に守られているだけだ。山登りは危険だが、その分、油断されて北の警備は手薄かもしれない。
 よし、北からの潜入をこころみることにしよう。

 山岳では、墨絵の世界のような濃淡と霧がかった空気が漂っていた。墨絵の世界というと、これまた定番、狼より恐ろしい人食い虎の群れが襲ってくる。
 もちろんこれも難なく退治完了。
 山を一度上り詰めてから、拳王の根城への長い階段を下り始める。根城の後宮を階段の途中で見かけたので、ちょっと寄り道する。武器や財宝でも入っているかと思ったが、思ったより質素で興味を引いたのは陰陽の竜の置物だけだった。[陰陽の竜を入手]
 根城にたどり着くと、そこは最初のプレイで死亡した鏡の迷宮だった。
 初回のプレイと同じく、鏡に紛れて攻撃してくる男に何度かダメージを受けたが、今回は体力を温存できているので、男を引きずり出し、サイコロを使った戦闘に持ち込むことに成功。こうなったらもう楽勝で、余裕で勝利。

 その先をずんずん進むと奥の部屋には、琵琶を優雅につま弾く青年がいた。女性のように繊細な顔つきをしている。君が入ってきてもチラリと目を向けたあとは、琵琶の演奏に戻ってしまった。なんとなくじゃまをしずらい雰囲気だったが、拳王はどこにいる?と問いかけると、青年は落ち着いた声で返答した。
「世間では、私のことをそう呼ぶものもあるらしい」
 こいつが拳王!?証拠はあるのかと思わず問いかけると、「信じる信じないは、あなたの自由にすればいいことです」とあっさり返された。
 この後、何を言っても青年はまともに君を相手にしようとしない。
 こうなったらと強引に連続攻撃を仕掛けると、妙な靄につつまれた気がした。いつの間にか師匠の元で厳しい修行をしていた頃に戻っているではないか。
「あと千回繰り返すのじゃ、休んではならぬ」
 師匠の言葉にうなずくと、無心に拳をつきだし、ノルマを達成すると床にへたり込む。気が付くと、拳王の部屋の中で座り込んでいる自分がいた。目の前の壁が無残に打ち砕かれている。
「すごいのぉ、まともに食らったら私でもたまらぬ」
 青年が背後で感心したように言うのが聞こえ、慌てて振り返り対峙した。おのれ、バカにしやがって。
 
 ここで今まで入手した武器を選べる選択肢があったので、陰陽の竜を取り出す。すると竜の掴んでいる珠に、座禅を組み瞑想にふける拳王の姿が見えた。
 目の前に立っている拳王もまた幻だったのだ。
 君は部屋の隅にいる拳王に飛び蹴りを食らわせる。瞑想状態からすぐに脱却できない拳王は今度こそ見事に吹っ飛んだ。
 まだまだ、立ち直れない拳王の襟を掴むと胸元が大きく開き、胸のふくらみが見えた。
 なんと拳王は女だったのだ!
 一瞬、力が抜けたが、拳王への貢物に苦しむ人々を思えば、心を鬼にするしかない。背負い投げの要領で投げ飛ばすと、拳王は首を折って壁にもたれかかるように倒れたのだった。
 やったぞ!ふたたび、町や村に平和が戻るのだ。





 3回目のプレイルートは戦闘の少ないベストルートだったようですが、他のルートでもクリアは可能です。陰陽の竜の置物がない場合は、拳王と真っ向勝負となり、サイコロの戦闘で勝利する必要がありますが、主人公が強すぎてやっぱり楽勝な感じ。
 とにかくサイコロを使った戦闘では主人公はまず負けません。本来のルール通りに遊んでも同じだったでしょう。
 例え最初の能力が低くても、戦闘に勝つたびにスピードとパワーが2・3点ずつ上昇するので、中盤以降はやはり楽勝です。サイコロが最低のゾロ目でも勝ててしまうようになっていたので、サイコロを振る必要がなく、戦闘は全て勝ったことにして遊んでいるのと大差ないプレイになってしまいました。
 ここまで主人公が無敵なゲームブックは、他には林友彦のネバーランドシリーズ(ゲーム序盤は弱いが、成長すると後半は無敵)か、「1999年のドラキュラ伯爵」(2009年10月09日の冒険記録日誌で紹介)くらいじゃないかと思います。まあ、ドラキュラの方は同じスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品ですけど。
 世界観はスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品の中では比較的まともな方です。これでゲームバランスが良ければ、自由度の高い普通に遊べる作品になっていたとは思うのですが。あと、拳王の正体についてはもっと掘り下げて欲しかった。「女だったのか→首をコキッ」じゃ後味が悪いだけじゃないか。
 ただ、リプレイでは遭遇しませんでしたが、女剣士を相手に奇をてらった攻撃と称して下半身丸出しで戦うとか、ところどころ妙なシーンがあるのは、さすがは平凡な作品など作らないスーパー頭脳集団アイデアファクトリーというところです。
 それにしても、このシリーズの他の未読作品も見たいと思う私は、この謎の製作集団の魅力に中毒してきたのかもしれません。認めたくはないけどな。



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