冒険記録日誌
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2014年11月29日(土) 闇と炎の狩人 魔法使いディノン2(門倉直人/新紀元社)

 ディノンシリーズ2巻にして完結編が無事復刊されました。とはいえ、私はもともと早川書房のバージョンで遊んでいたので、ここの感想は当時遊んでいた時の記憶が中心になりますけどね。

 本作は前作(2014年9月17日の冒険記録日誌参照)のエンディング直後の時点から物語が始まっています。
 ゲームデータはそのまま、そっくり引き継ぎます。私は普通にクリアしたデータで遊びましたが、世界が滅んでしまったというどう見てもバッドエンドの展開からでも続きができるというのはビックリ。冒頭に登場するスィーラという者たちのおかげですが、ペンペン草一つ生えないほど破壊された世界を復元できる程の力を持つのですから、なんでもありな存在です。スィーラは本作では物語の隅っこにに登場する程度ですが、ディノンシリーズと共通する世界のRPG「ローズ・トゥ・ロード」を遊んでいれば彼らの事がもっとわかるのかもしれません。

 さて、ディノンシリーズというと独特の趣が特徴ですが、本作は前作に比べ結構そこが変わっています。
 冒険の目的がザーゴンという化け物を倒すという、○○退治という王道パターンであることや、普通の活気のある街とか俗っぽい登場人物が多く登場するので、幻想的な雰囲気はやや減退し、前作よりは普通のゲームブックに近づいた印象です。もっとも竪琴を入手する不思議な夢のようなくだりとかは、やはりディノンならではですかね。
 またイメージで成り立っている特徴的な魔法システムは健在なものの扱いは小さくなり、代わりに魔法の竪琴を入手した主人公は、今度は吟遊詩人という職業を手に入れて別人のようになっています。(まあ、前作は謎の魔法使いに体を乗っ取られていたので、体は実際に別人になっているわけですが。)

 倒すべき化け物のザーゴンは、不定形で建物の隙間からも忍び込めるJOJOで言えば水のスタンドみたいな奴で、また普段は人に取りついて人間達に交じって正体を隠しているような存在です。
 主人公はある貴族の屋敷にお抱えの吟遊詩人として忍び込み、ザーゴンを探し出そうとします。
 なので、化け物退治とはいっても、屋敷で何日か生活しながら捜索をし、関係者全員が集まったところで、ザーゴンに取りつかれている者を当てるのがクライマックスという、なんだかミステリーみたいな展開。
 初プレイでは、屋敷に雇われる前に立ち寄った街で、寝ている所を泥棒に襲われて死亡。二度目のプレイでは屋敷に雇われてから、怪しまれないように普通の吟遊詩人として振る舞っていたら、正体がわからないまま時間が来てしまい犯人が半分しか当てられなくてゲームオーバー。三度目は屋敷内を積極的に調べようとしたら、捕まって地下牢で無駄に時間が過ぎてしまい犯人が当てられなくてゲームオーバー。4度目も同様。5度目でやっとザーゴンを発見したものの、その後の戦いに負けてゲームオーバー。といった調子で、確か7・8回目くらいでクリアできたと思います。証拠の品とか情報がなくてもあてずっぽうでも、犯人さえ当たりさえすれば先に進めるので、ゲーム中の行動の自由度は高い方だと思います。
 あと、終盤に仲間が2人できるのですが、展開次第では事前に親しくなる事がなかったりするので、唐突にこいつら誰よ?って感じがしてしまったなぁ。

 エンディングは前作との絡みも含めて、結構感動的なのですが、実は隠されたもう一つのエンディングが存在します。
 早川書房版のときから、後書きでその存在がほのめかされていたのですが、当時は全然わからなかったです。それが復刊した新紀元社版では「復刊に寄せて」の後書きで、さらに具体的なヒントが載っていたおかげで、今回ついに私も読むことができました。「ローズ・トゥ・ロード」でユルセルームの歴史を読んでいれば、もっと感動できるのかな?という感じ。

 どうでもいいシーンで個人的に好きなのは、街の闘技大会で勝利した展開で、死亡した対戦相手の仲間達が主人公に逆恨みして詰め寄ってきた時のセリフ。
 「あいつは今年の格闘試合を楽しみにしていたんだぞ!優勝できたら、結婚するんだと、いつも俺たちに言っていたんだ」
 そんな死亡フラグたてる方が悪いって!


山口プリン |HomePage

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