冒険記録日誌
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2014年01月18日(土) |
もしもソーサリーがライトノベルだったら その6 |
さらわれた村長の娘を救出すべく、村人たちの案内であなたたち一行は鬼神の洞窟へと向かった。鬼神の洞窟への出入りは縦穴から籠を使って降りる必要があるらしい。 あなたたちは用意された籠に乗り込み、ロープを握った村人たちの手によって、鬼神の住むという洞窟へ続く縦穴の中をゆっくりと降ろされていく。ジャンがそのあとを羽ばたいて降りてこようとする。 籠が地面に触れると飛び降りる。空になった籠は引き上げられ、アナタは鬼神の洞窟に立っていた。あなたはほくち箱で火を起こし、松明で明かりを確保すると、洞窟を奥へと歩き始める。
ジャンがすぐ傍で羽ばたきながら、あなたの顔を覗き込む。 「がんばって。僕がついてるから!」 正直お前は引き返してくれた方が助かる、と率直に答える。 「何いってんだよ!君には僕が必要なんだから。そのうちわかるって!」 ジャンは胸をそらして言いきった。そのまま、梃子でも動かない、といった態度であなたの傍を羽ばたいている。いったい、この自信はどこからくるのだろう。 どちらにしてもジャンのいる限り魔法は使えない。このままではジャンが言う、”そのうち”とやらが来る前に鬼神に殺されかねない。戦士でないあなたにとって、かなり困難な状態になってしまったのは間違いないようだ。 あなたはアリアンナにも入口付近で待っているようにいった。 今回の冒険に無関係な彼女を危険な目にあわす理由はない。それにどのみちジャンがついてくるのだから、アリアンナの魔法の力は期待できない。 そう説明するあなたをアリアンナはジトリとした眼で見ていたが。 「ちっ、そんなお人好しぶりで鬼神とやらを相手にしようなんて笑わせるね。鬼神にしゃぶられて骨だけになったら、その丸みきった精神も少しは尖るだろ。あたいはあたいの好きにさせてもらうよ」 ぶつぶつと言いながらついてくる。どうあっても文句は言われるらしい。
いくつかの洞窟の枝分かれを通り過ぎると、いきなり足元に地割れができる。たちまち、地面がくずれて新たに発生した斜面をアリアンナとあなたはすべりおちる。 火も消えしまったのか、滑りきった先は真っ暗な空間だった。見上げると少し高い位置に、光が明滅する。さっきまでいた場所に落としてきた松明の明かりだろう。 何やら妙な気配がする。 徐々に目が慣れてくると、奥の方から無数のヘビがこちらを見ているのに気づく。何匹化は這いよってくるところだ。 アリアンナは無事かと見てみると、怪我はないようだが、ヘビたちの方を見て硬直している。 もしかして爬虫類が苦手なのだろうか? 「ば、ばかいえ!あたいに苦手なもんなんかあるものか。きゃ!」 アリアンナが意外にかわいい声をあげて、近づいてくるヘビから後すざった。 あなたは剣を振りかざし、アリアンナに近づくヘビに猛然と斬りつける。そのヘビが真っ二つになると、次々に彼女に近づくヘビに斬りつける。 少しの間、ヘビとの薄気味悪い戦いが続いた。やがて、なんとか目につく全てのヘビを退治すると、あなたは荒い息を吐きながら座り込んだ。 「毒蛇もいたかもしれないのに。幸運の女神が3度くらい微笑んだみたいだね」 さしものアリアンナも、言葉にいつもの強気が消え、あきらかに緊張感が解けたようすで座り込んだ。
「おーい、ここにいるのー?大丈夫かーい」 上の方から声がジャンの声が聞こえる。状況を知らないジャンが羽ばたきながらゆっくり降りてきた。 「ずいぶん真っ暗だね。2人ともどこ?」 「つかまえたっ」 アリアンナがまだ闇が目になれないジャンをすかさず掴み、握りしめた。ジャンが悲鳴をあげて必死でもがいていたが、アリアンナの手はしっかりと捕まえて離さない。 「放せー」 「うるせぇ!こっちはずっと捕まえるスキを狙ってたんだ。お前のキーキー声にあたいはイライラしてたんだよ」 あなたが仲裁しようとすると、アリアンナが一喝した。 「お人よしもいい加減にしろ!別に捻りつぶしたりしないから安心しな。あたいがここでこいつを押さえているから、とっとと鬼神だかなんだかを倒してこい!」 あなたは、なんとか登れそうな斜面を見つけ出すと、後で必ず迎えに来るとアリアンナに約束して這い上がり始めた。背中からアリアンナの声がかかる。 「わかってる。お人よしだかんな。……それとさっきはありがとな」 いつもと声の調子が違う気がして一瞬気になったが、すぐに背後からジャンとアリアンナの罵り合いが聞こえてきた。
続く
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