冒険記録日誌
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2013年12月03日(火) 魔界の滅亡入手しました。ついでにゲームブックについて考えてみました。

 「魔界の滅亡」を入手しました。
 鈴木直人さんの現在の後書きは、たぶん購入したほとんどの方が真っ先に読んだであろう箇所でしょうね。
 読むとゲームブックという存在について、いろいろ感慨深いものが湧いてきました。

 特に「ある意味、“ゲームの隙間の時代”に少し流行したゲームブック」という文中の言葉は確かに理解できるのですよね。ゲームブックブーム当時の私や私のまわりにとって、ゲームブックはファミコンの代用品という存在でしたから。
 最近の私は、ゲームブックをゲーム機のハードの一種と見立てて考えることが多いのですが、例えばゲームブックブーム初期時点での携帯ゲーム機は、ゲームウォッチでした。私も「マンホール」や「タートルブリッジ」あたりは遊んでいましたが、さすがにゲームウォッチならスペック的にも勝てそうです。
 ブーム最盛期に重なる頃の、初期のファミコンやパソコンソフトでは、まだまだバックアップはパスワードでしたし、パソコンは読み込みが遅かった。アドベンチャーやRPGといった、表現力などゲームブックが得意とする内容でなら負けない勝負ができていたと思います。値段だって一冊とゲームソフト一本では、当時は圧倒的にゲームブックが安かった。
 そしてスーパーファミコンやゲームボーイが出たあたりから、ゲームブックの人気が徐々に衰えたのも、ゲームブックが古いハードになってしまったということではないかな。

 他に後書きにあった中で「すでに読んだことがある人しか手にとらないだろうという確信がある」のくだりは、そのとおりとは思うけど、まったく本屋でみかけないなら「みんな知らないから知っている人しか買えない」とも言えると思うぞ。
 もしも「都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 修学旅行においで」とか「バニラのお菓子配達便!」みたいに店頭で普通に並べられるなら、ドルアーガの塔という有名な原作ものでもあるわけで、人気とまではいかなくても新規の方の興味を引くことも多少は期待できそうです。昔のように「遊ぶものが手元になかった時代」ではないので、みんながが手に取ることはないでしょうが、趣味趣向が広がっている現代だからこそ、ゲームブックそのものを気に入る人が中にはいてもおかしくはないでしょう。鈴木直人作品なら質は問題なし。ある意味、アナログソロゲーム究極の作品ですよ。
 ただ、最終巻まで出していただけただけでも感謝すべきというか、田舎の本屋では創土社さんの本を注文することすら苦労する経験をしたばかりなので、仕方ないかもしれません。
 都市部の本屋なら、平積みなんてしてくれる店もあるのだろうか?
 もっとも、新規に読む方向けのメッセージも鈴木直人さんは書かれています。やっとシリーズが揃ったことですし、新規の方も手に取られるといいですね。

 さてさて、後書きの次に大半の人が確認したのは、創元推理文庫版に比べ「魔界の滅亡」がパラグラフ数が大増量されていることで、どこがどう変わっているのかのチェックと、虎井安夫さんの新規イラストがあるのかでしょう。
 私は旧版を未プレイですし、私が書かなくても、そういった比較はどこかのサイトさんが取り上げるだろうと思うので、予定通り正月休みにゆっくり遊ぶことにします。
 ただ、「魔界の滅亡」発売に備えて、数年前の入院中に創土社版の1・2巻をクリアしていたのに、そのときのアドベンチャーシートを紛失してしまいました。また1階からしっかりサイコロを振って遊ぼうかな。私は鈴木直人さんの言う3パターンに当てはまらない、稀有な現役ゲームブックプレイヤーですからね。(笑)

 最後に一つ。今年はファミコン誕生30周年だそうですが、来年は日本発売のゲームブック30周年です。※1
 そして現在でもゲームブックの新作や復刊が出ていることは、さっきのゲーム機に見立てる話しならば、ある意味ファミコンより凄いハードですよ。※2
 確かにゲームの隙間に生まれたけど、ひょろひょろ結構しぶとく生きてるじゃないですか。このままベテランハードとして、堂々と長生きして欲しいものです。




※1 朝日ソノラマの「出発!スターへの道」が、日本初のゲームブック単行本と見立てての話しです。

※2 そうなると現在、携帯アプリや電子書籍にゲームブック作品が移植されるのは、最新のゲーム機で昔のゲームソフトが遊べる3DSのバーチャルコンソールみたいな感覚でしょうか。


山口プリン |HomePage

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