冒険記録日誌
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2013年11月03日(日) |
ラジコンアドベンチャー(すがやみつる/小学館) |
漫画形式のラジコンを主題にしたゲームブックです。 すがやみつるさんは、ゲームセンターあらしを書いた漫画家さんですね。ご本人もラジコンやモータースポーツがかなりお好きらしく、インタビューページや、劇中のちょい役でそのことを説明しています。 漫画形式のゲームブックでは、企画もので依頼されたから書いたんだろうなって印象を受ける漫画が多いのですが、作者が楽しんで書いてるなら作品にとってもいいでしょうね。
大まかな内容は、おもちゃ屋の福引で一等のラジコンを当てた主人公の少年。「ラジコンのことなんか全然知らないよぉ」と慌てる少年に、「うちのお店が全部面倒みるよ」とおもちゃ屋の店主。 かくしてラジコン素人だった少年がラジコンレースに優勝するまでというサクセスストーリーです。
それにしても懐かしい……。 遊んでいる間はノスタルジックな感想ばかり湧いてきました。 なぜなら本書は3部構成で、そのうち第一部の部分は、私が小学生の頃買っていたコロコロコミックに掲載されていたものだったからです。 夏休みにおばあちゃんの家の縁側で、寝転んで読んでいた思い出がよみがえってきます。 当時のコロコロはラジコンとチョロQに力が入っていたものです。それにゲームブックなるものが流行りはじめたので、採用したというところでしょう。第一章は61ページあるので、月刊誌とはいえ力が入った特集扱いだったろうと思います。 この頃の私はまだゲームブックという言葉を知らず、最初は「話しがつながらない意味不明な漫画だな」と放りだした覚えがあります。 しかし、遊び方がわかると一転、こんなに面白い漫画はない!とばかりに何度も挑戦してました。 考えてみれば、私が最初に遊んだゲームブックとして認識していた「マリオを救え!」や「地獄の館」よりも前に遊んでいたわけで、これが本当の私の初ゲームブック体験ともいえるわけです。そう思うと、いっそう感慨深いものがあります。 今思うと、ゲームブックとしては単純な作りで、選択肢やマシンのセッティングの判断を間違うと、マシンがクラッシュして即ゲームオーバー、もしくはいずれゲームオーバーになるものばかりです。正解ルートは一つしかありません。そんな内容でも当時は複雑な気がしたのですよ。漫画としてもスピード感があって楽しかったし、もっと長いストーリーに感じていたけど、今読むと短編だったんだなぁ。 あと、すっかり忘れていたけど、ブラック・サンダーという、いかにも悪そうな小学生チームが主人公になぜか絡んでくるのが、いかにもコロコロ的なお約束展開で、読み返したときにニヤリとしてしまいました。 他にも、作ったばかりのラジコンを手にした主人公が、いきなり店主に今日のレースに出場するよう勧められる選択肢なんか、断って練習するを選ぶと「君のような臆病者は失格だ!」とゲームオーバーになるんですね。当時はそれが心構えなのかー、と素直に受け取ってましたが、いやいや、操作すらうまくできるか疑わしいのに実際無理だし他の参加者にも迷惑ですから。それって単にページの都合でしょ!って成長した今ならつっこみを入れられます。ああ、感慨深いなぁ。(笑)
第二部以降はコロコロに掲載されたものかは不明ですが、続きがあるとは本書を入手して初めて知ったので驚きました。両手を広げ、キーン!と言いながら走って登場する主人公がまた懐かしい。 第一部は初心者向けのオンロードのラジコンが主題だったのですが、第二部はバギーなどのオフロードラジコン、第三部は4WDと改造を施したラジコンを扱っていて、徐々に上級者向けとなっていきます。 ゲームセンターあらしとかファミコンロッキーみたいに、出っ歯で操作するとか胡散臭い裏ワザが出るとかはなく、あくまでも真っ当なラジコン操作とマシンのセッティングでレースの優勝を目指していく展開は第一部と同じです。まあ、クライマックスでトップのマシンを踏み台にして再ジャンプ!なんて展開もありましたが、それくらいは大目にみましょう。 あとブラック・サンダーも毎回出てきます。第三部で優勝すると、「お前には負けたぜ」っていってくれるのもお約束です。
思い出補正もあるでしょうが、初めてのラジコンをさわる少年が主人公とあって、あまり専門用語も使わず、わかりやすくラジコンの大まかな知識が身に着くようになっており、ラジコン入門書として優れていると思います。 古い本なので知識としては今の時代には通じないこともあるとは思いますが、ラジコンって楽しいよ、という気持ちが伝わってくる一冊です。
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