冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2013年11月04日(月) 霧の中の悪夢(小野寺紳/成美堂出版)

 本書の表紙にコミックアドベンチャーと銘打たれたゲームブックですが、漫画形式ではなく全パラグラフにイラストがついているタイプです。

 舞台は日本。フリーの雑誌ライターが、ある地方の地図の一部分が空白になっていたのに興味をかきたてられて、実際にその地に探索に赴くという出だしです。地元では先日も女子高生が植物観察に出かけて行方不明になったとか、村人がヒソヒソ噂しています。
 向かってみればそこは霧につつまれた地帯です。やがて突然の雷雨に追われ雨宿りできる場所を探していると、怪しげな洋館にたどり着いた。しかし、その屋敷には秘密が……という典型的なホラーシュチエーションのゲームブックとなっています。
 謎めいた館の女主人から食事のもてなしを受ける序盤や、悪魔の儀式や生贄のシーン、何を考えているのかわからない執事など、遊んでいるとファイティングファンタジーシリーズの「地獄の館」を思い出させてくれます。
 印象的なシーンとしては廊下を這いずっていく男女の2人組が怖いです。

 ゲーム本編で134ページで、1パラグラフが1ページ(たまに2ページ)なのでボリューム的にはたいしたことはなく、30分もあれば全て読み終わるでしょう。ルールも特になく単純な分岐小説です。
 しかし、シンプルゆえの楽しさがあるといいますか、オーソドックスなホラーものとして遊ぶにはよく合っています。表紙と本文イラストは好みではありませんが、ゲームブックのスタンダードな入門書としていいと思います。
 あと序盤に伏線のあった女子高生が、生贄にされそうになるヒロインとして登場します。ホラーと悲鳴を上げるレディの組み合わせはお約束ですが、展開によっては逆に主人公が生贄になりそうなところを助けてくれることもあり、頼れる仲間として描かれているのに好感が持てました。
 ボスはやはり館の女主人と思いますが、一度クリアしたあと他のバットエンドなどを見ていると、本当は違うかもしれないとも考えました。このあたりのスッキリ謎が解けないところ(単に作者が深く考えてないだけかもと思わないのがプラス思考です)はホラーならではですね。


山口プリン |HomePage

My追加