冒険記録日誌
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2013年08月06日(火) ミラクルタイムアドベンチャー2 忍者軍団と吸血鬼のなぞ(藤浪智之/ポプラ社)

 最新刊の児童向けゲームブック第二弾です。
 前作「白銀の騎士と恐竜のなぞ」でお馴染みの小学生(中学生かも?)3人組(主人公のユウキ、利発そうな女の子アスカ、ガキ大将タイプの男の子タケル)が、今度は日本の戦国時代にタイムスリップします。
 戦国時代というと、織田信長や徳川家康やらが登場して歴史の勉強のような展開になりそうですが、そんな教育漫画的要素はまったくなく、今回の使命は忍びの里(忍者の本拠地)の中で吸血鬼退治をするというもの。
 ドラゴンに続き、吸血鬼の登場です。今回登場する吸血鬼とは、未来にのみ存在するはずのVウィルスに感染した患者のことだそう。
 んー、ゾンビ映画とかバイオハザードみたいな展開でしょうか?

 到着早々、吸血鬼と戦っている忍者の頭領(正確には頭領代理)に遭遇した3人は、結果的にですが頭領を助けたことになり、忍者の里に歓迎してもらえます。
 この忍者の頭領というのが、美少女くノ一の風花。ここしばらく謎の吸血鬼達に忍者たちは襲われて、忍びの里は壊滅の危機と打ち明けてくれ、吸血鬼退治を条件に忍びの里を歩き回る許可をもらいます。
 他にも何かと喧嘩腰な火吹に、謎めいた水鏡、気さくで人のよい性格の土鬼と個性的な忍者が登場しますが、吸血鬼のなかには昼間は味方になりすましている奴がいるかもしれない!なんて書かれています。
 まるでこの中に混ざっている吸血鬼を探せと言わんばかりだなーと思いつつも捜索開始。
 ゲーム中は、忍びの里のマップがあるので、気になる場所に対応するパラグラフ番号に移動する双方向システムです。
 最初は昼の時間帯ですが、ゲームが進行すると夜の時間帯になり、忍びの里のマップがかわります。
 必要なアイテムを持っていないと吸血鬼に襲われてゲームオーバーという展開もあり、危険を無視して前作のようにマップ総当たりで調査しよう、などと考えているとクリアは不可能です。
 調査をしていると、いろんなアイテムや、謎の書きつけなどいろんな情報が出てきます。中には吸血鬼とは関係ないヒントもありますが、無実の証明にはなるので容疑者の絞り込みに有効。
 到着して3日目の夜までに、吸血鬼を発見できないと、これもまたゲームオーバーとなります。
 前作よりも個性的な登場人物達との会話が多いので、アドベンチャーゲームっぽくなっていますね。また今作は大半が双方向システムなので、少ないパラグラフ数でもボリューム感が出ています。
 クライマックスの戦闘は割とあっさり目ですが、気になるほどではありません。

 ただ、ネタバレに絡むので詳しく書けませんが、終盤の展開によって設定が変わってしまうのはどうかな。
 これは主人公の行動によって相手がどう動く、などという変化ではなく、そもそもの事実の前提が変わってしまう。例えばいかにもそれらしいヒントが、あるルートでは本物だが、別ルートでは敵の流した偽情報だったということにされてしまうというもの。
 前作でも展開により、登場する恐竜の種類が変わるという事実の変化はありましたが、あれは別々のストーリーとして楽しむだけでした。しかし、推理要素が高い今作では、その要素を壊してしまう結果になったのじゃないかなと思います。
 何度も楽しめるようにした工夫の結果なのでしょうが、それならゲームスタート時に犯人を固定するようにして、ヒントもそれによって変化させて欲しかったかな。例えば出発時に選んだアイテムで、どのシナリオになるかが決定するとか。クリアすれば、今度はもう一つの冒険も遊んでみようとか言ったりして。

 そんな欠点も感じる作品ですが、私は前作よりこちらの作品の方が好きです。登場人物が魅力的ですし、なによりゲーム性が上がっています。
 今回のエンディングからすると風花の再登場も期待できますし、藤浪さん、ぜひとも続編をお願いしますね。 


山口プリン |HomePage

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