冒険記録日誌
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2013年06月15日(土) スペイン屋敷の恐怖−ゴーストハンター13 ゲームノベル−(安田均・柘殖めぐみ/新紀元社)

 NEOゲーム文庫3つ目の紹介です。
 ルールは前の2作と基本同じ、さらにホラーな屋敷を探索するという内容なので、「キャット&チョコレート」とコンセンプトがかぶっているようにも見えますが、もちろんまったく同じということはありません。そもそも世界観のベクトルが真反対でこちらはホラー色が強いです。
 まず原作として、本作には「ラプラスの魔」というゲームや山本弘さんの小説などがあります。その後もゴーストハンターシリーズとしてTRPGを始め、沢山の作品が出ているとのことです。私も「ラプラスの魔」という作品は聞いたことがあります。ジャンルが私の苦手なホラーなので関心はなかったのですけど。
 本書にはそういった原作で登場したキャラがメインです。舞台は現代、美人記者で気の強いモーガンという女性が主人公です。さらに恋人である私立探偵アレックス、クールでカッコいい系霊能力者の草壁、他が美男美女キャラばかりのせいか1人だけ三枚目扱いで気の毒な気もする心霊学者のビンセントが登場。
 初っ端からつぎはぎだらけの人造少女に食べられそうになるとか、不条理かつ気持ち悪い系のホラーの世界であり、私にとっては苦手なホラーの中でもさらに嫌いなタイプなのでやっぱり楽しめなかったかも。このあたりは好みの問題なので仕方ないですね。

 さて、ルールや構成の話しですが、本書はストーリーのつながった短編ゲームブックが3つ収録されており、どれも屋敷などの屋内探索がメインとなっています。
 最初にも書きましたが、6つのアイテムや情報の中から2つを順に選んでパラグラフ移動するというのもこのレーベルお馴染みのものです。さらに建物の見取り図を見ながら探索していくのや、部屋の捜索順を選べるといっても結局はほぼ一本道シナリオである点。アイテム選択で正解が判らない場合はゲームの進行が止まってしまうので、パラグラフ総当たりで探さないといけないのも、「キャット&チョコレート」と同じです。
 ただ、前の2作に比べると難しい謎解きが多かったので、パラグラフを総当たりする羽目になる回数が多くて少々面倒でした。
 
 本書だけのルールとしてはメンタルポイントというものが存在します。
 これは主人公が恐ろしい目に会うとだんだん恐怖が募っていき、限界を超えると発狂してゲームオーバーになるというシステムで、ホラー系ゲームブックによくあるものです。
 ただし、メンタルポイントは数値管理ではなくなぜかトランプを利用して管理します。細かいルールは書きませんが、ハイ・アンド・ローというトランプゲームがベースで、ゲーム中に「恐怖判定」をする指示が出るたびに挑戦しないといけません。
 私としては遊ぶのに負担のかかるトランプを使うより、普通に能力値1つくらい暗記させるルールにした方が簡単だったと思いますね。しかもストーリーがほぼ一本道である以上、もしこのルールでゲームオーバーになった時、繰り返して遊ぶのが苦痛なだけな気がします。
 ルール説明では、面倒ならメンタルポイントのルールは使わなくてもいいと書かれていますので、それに甘えた方がよさそうです。 
 せめてこの部屋を避ければ「恐怖判定」をしなくて良いとか、この選択肢を選べばメンタルポイントを減らせるとか、攻略できる要素をもっと出せばゲーム的な意義がでたと思うのですが残念です。

 ただ女性主人公のモーガンというキャラはベタだけど嫌いじゃないかな。
 恋人のアレックスとの新居にしようとノコノコ幽霊屋敷に出かけるノー天気さや、適度に健全なお色気があったかと思うと、最後のボスとの1対1の対決は読みごたえがありましたし。今回は黒幕にいいように利用されるだけの結末だった気もしますが、戦いはまだ続いており、TRPG専門誌「Role&Roll」に続編が掲載されているようです。なんだかんだ言いつつ、続編も文庫化されたら買うと思います。
 最後に本書はゴーストハンターシリーズのファン向けという気もしますが、ストーリーは独立しているので、原作を知らない人でも問題なく遊べます。その点はご安心を。


山口プリン |HomePage

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