冒険記録日誌
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2013年06月14日(金) |
魔女館からの脱出−キャット&チョコレート ゲームノベル−(秋口ぎぐる/新紀元社) |
前回のテキサス・ゾンビーズに続きまして、NEOゲーム文庫第一弾作品「魔女館からの脱出−キャット&チョコレート ゲームノベル−」の紹介です。 もともとはキャット&チョコレートという同名のカードゲームが原作として存在しているそうです。 内容は、学校で意地を張ったがために幽霊屋敷を探検することになった女の子が、友達の男の子を強引に巻き込んで屋敷に忍び込みます。すると屋敷に閉じ込められてしまい、怪しい3人組の男女や化け物がいる屋敷を脱出しようとするもの。 ちなみにテキサス・ゾンビーズは、キャット&チョコレートのカードゲームを海外販売向けに直したもので、そのとき生まれた世界観だそうです。日本人と外人の趣向の違いをここにもしみじみ感じますねぇ。そもそもテキサスとゾンビって意味不明な組み合わせのタイトルも、ラテン系のノーテンキさを感じますし。 もっともキャット&チョコレートというタイトルも、猫にチョコレートは食べさせたら死んじゃう組み合わせだから、意外に怖いけどね。
ルールはテキサス・ゾンビーズとほぼ同じで、能力値やアイテムの管理は必要なく、要所要所で6つの品物や情報の中から順番に2つを選んでパラグラフジャンプするというものです。 グループSNEのサイトにあるNEOゲーム文庫の解説では、「鉛筆もサイコロも使わない」のがモットーというこだわりがあるそうです。 確かにゲーム性を出しつつ遊ぶには良いルールかもしれません。ただシリーズの他作品にはトランプを使うものもあって、必ずしも「鉛筆もサイコロも使わない」=「手軽に遊べる」とは限りませんけどね。それでも遊びやすさを重視しているのは伺えます。確かに流行っているアプリゲームとかみてると、現代向けにはやり込みより手軽さが重視されるのかな、とは感じてます。 私としてはやり込み系も好きなのですが、自分自身も新旧作にかかわらず、ゲームブックは手軽な作品を遊ぶ方が最近多いのも事実なのですよね。それに、やり込み系の新作は創土社さんのレーベルがあるからまだいいか。
さて、本書の話しに戻りますと、ルールがテキサス・ゾンビーズと一緒とはいえ、ゲーム性はガラリと違います。 こちらは長編一本シナリオですし、基本は屋敷の見取り図をみながら、好きな部屋を探索していくという、グレイルクエストなどで見かけるような双方向システムを採用しています。 バッドエンドは基本的になし。先に化け物のいる部屋に入ってしまったとしても、6つから選ぶシーンでは失敗の展開がなく、正解がわからなければただ廊下に逃げ戻るだけですみます。一旦あきらめて他の部屋を探索していれば、いずれ攻略のヒントが入るようになりますのでちゃんと推理力を働かせていれば簡単です。それでもどうしても正解がわからない個所があれば全パラグラフ総当たりで続きを探さないと進めなくなりますが、パラグラフ総数が多くはないので大変でもないでしょう。 なんだかんだと結局すべての部屋を探索する必要があるので、探索順を選べるとはいえ、ある意味では展開はほぼ一本道といえます。繰り返し遊ぶ感じではありませんね。 あと世界観がテキサス・ゾンビーズと違ってとても可愛らしい。 途中で登場する幽霊の少女モニカをはじめ、3人の主要登場キャラはみな優しい性格で好感がもてますし、イラストもまたこの世界によく合っています。 大まかに言えば少年少女が悪い大人に立ち向かうというストーリーであることもあり、小学生のころよく読んだ児童向け冒険小説を連想しました。 子どもにゲームブックを初体験してもらうなら、こちらを紹介した方が、断然とっつきが良いでしょうね。 あと、パラグラフいちいち全部に、章タイトルがふっているのがまた無駄に凝ってますな。(笑)
エンディングは一応ハッピーエンドで事件も解決しているのですが、第一話完!という感じなので、続きがものすごく気になる内容です。 悪役も絶対このままでは引き下がらないだろうし、主人公達はそのときどうなる?どうする?その後のモニカはどうなった?ってハラハラ。 ゲームブック云々とかの問題じゃなく、続編は出して欲しいところです。
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