冒険記録日誌
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2008年08月07日(木) たけたろうの冒険 ──FF19・深海の悪魔編 その1──

(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)

 今日は厄日だ。
 何もなければ楽して当座の生活費が稼げると、私とたけたろう兄貴の2人が護衛として雇われ、商船サンセット号に乗り込んでポートブラッドサンドを出港したのが五日前。
 だけど運悪く私達の乗ったサンセット号は、トロール号という海賊船に襲われてしまったのだ。
 いくら戦っても多勢に無勢。海賊達はサンセット号の乗員を次々に切り殺していく。もはや任務ではなく生き残るため必死に私は応戦を続ける。しばらく前から兄貴の姿が見えないのが気にかかる。ひょっとして、すでに切り殺されたのだろうか?
 手前の海賊を切り捨てると、一時的に周辺の海賊がいなくなった。この間に兄貴の姿を探そうとすると、小さく兄貴の声が聞こえた。
 「ともみぃ…。こっちですよ…」
 「兄貴!生きてたんだね、よかった!でもどこにいるの?」
 「こっちこっちぃ…」
 耳を澄ますとすぐ横に並んだ大きな樽の一つから、かすかな声が聞こえてくる。たけたろう兄貴だ。思わず眉毛がピクピクと怒りに震える。
 「あ、兄貴ってばさぁ…。私が必死に海賊と戦っていた傍で、ずっと樽の中に隠れていたわけ?」
 「え!?だって、海賊って怖いですもの…」
 「アホかぁああああ!死にさらせ!」
 私が樽を蹴り上げると、「ギャン!」と悲鳴があがったあと、樽はコロコロと転がってボチャンと海に落ちた。船べりまで走ると、樽の蓋は閉まっていて、プカプカ浮いて海流に漂流しはじめているのが見えた。カメみたいな奴だ。
 「くっ、トドメを刺し損ねた!」
 「ドドメを刺されるのはお前だよ。無駄な抵抗は止めてもらおうか」
 気がつくと船べりの両端はすでに海賊に囲まれていた。他のサンセット号の船員は全滅したらしい。私は剣を落として両手を差し上げた。
 
 財宝と私はトロール号に移され、サンセット号は火をつけられて燃えていた。
 私は手首を縛られた状態で、十数人の海賊達に取り囲まれていた。 
 「手こずらせてくれたな。お前のせいでかなり手間取ったぞ」
 「でもラッキーだぜ。女だぞ!」
 「へへへっ、こりゃ楽しめそうだな」
 私は必死にこの場から逃げる方法を考えていた。頭のハゲあがった大男が、ピタリと私の前に立つ。まわりの海賊どもが静かになったところを見るとこいつが船長らしい。
 「おまえら、下品な物言いは止めやがれ!なんて野蛮なんだ!恥を知れ!このレディはな、一人で奮戦し、多くの手下を切り倒した勇敢なお方だぞ。もっと丁重に扱え」
 部下の不満げなつぶやき声を無視して、船長はわざとらしく片膝をついて畏まった。
 「部下の無作法をお許しください、レディ。私はトロール号の船長ブラッドアックスと申します。お望みのことがあれば、何なりとお申し付けください」
 「そう、ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて救命ボートと食料をいただけるかしら」
 「聞いたか皆!当座の食料を用意して差し上げろ!このレディを無傷で船から出してあげるのだ」
 嫌味まじりの軽口のつもりだったが、意外にもそれは本当に用意された。黒パンと塩漬け肉の食料が積み込まれた重そうな袋が、私の腰のベルトに結びつけられる。もっとも手首は縛られたままだが。
 「申し訳ありませんが、縄を解くのはご勘弁を。あなたは危険な方ですから!」
 船長は私を救命ボートのある船尾へと導いた。手下どもはニヤニヤ笑いながら、あとをついてくる。
 船尾の手すりがない箇所、私があと一歩で海に転落するというところまで来たとき、船長は足を止めて下品に笑った。ヘタな芝居よりこっちの方がましだ。
 「残念ですが、救命ボートは予備がありません。泳いでお帰りください」
 「それじゃあ、溺れてしまうわ。なんとかしてよ」
 「おい、聞いたか、皆。こちらのレディは、俺達になんでもしてくれと申し出たぞ!」
 「なんとかしてって言ったのよ!」
 私の怒鳴り声も手下どもの口笛やはやし声にかき消される。船長が床に落としていた私の剣を拾い上げ、私の服を切り裂こうとする。剣をかわそうとしたが、重い食料が腰についている状態では逃げ切れるものではない。たちまち上着は裂け、胸があらわになった。
 「ヒュー!いい体してるぜ、お嬢ちゃん!」
 船長が感嘆の声をあげたときに、一瞬スキができた。私が思いっきり体当たりをすると、船長は剣を落としてひっくり返った。落ちた剣は海に蹴り落としてやる。
 怒りに顔が赤黒く染まった船長が飛び掛ってくるのを避けようとしたが、間に合わない!私は勢いあまった船長の体に突き飛ばされ、海に落ちてしまった。

 海中で、必死に浮かび上がろうとしたが、腰の食料が重くて体は沈みこむ一方だ。下をみると、海底に都市の残骸が見えた。
 ほどなく海底の底に体がつくと、なんと自分の体が光り輝いたではないか。驚きのあまり、必死に息を止めていた貴重な空気を吐き出してしまう。
 だが、なんともない。海中でも呼吸ができる!
 あたりを見回すと、ここは都市の中庭のような空間になっていて、巨大な魔方陣が描かれていた。どうやらこの未知の魔力のおかげで、海中でも呼吸ができるようになったらしい。
 そばのサンゴの角で手首の縄を切ると、先ほど船から蹴落とした剣が海底に落ちているのを発見して拾い上げる。腰の食料を確認すると、これも魔力のためか水につかっても駄目になっていなかった。
 私はこの状況に笑顔になった。武器と食料、なにより海中の自由。どうやら、不思議な冒険が始まりそうな予感ね。

(ともみ)
技術点   7
体力点  14
運点    7
持ち物:剣、食料10食分


続く


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