冒険記録日誌
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2003年02月05日(水) セイキュウの冒険

 「セイキュウの冒険」とは一応ゲームブックなのだが、はっきり言って書き物と呼ぶのも恥ずかしい最低レベルの作品である。と言うのも当たり前で、私が小学校のときに初めて書いた自作ゲームブックなのだ。
 みなさんは小学校の頃、週に一時間ばかり“クラブ活動”という授業がなかっただろうか。その授業時間だけはクラス単位ではなく、サッカー部とかイラスト部とか自分達が選んでいた活動部に参加するのである。
 私は文芸クラブなるものに一学年の間参加しており、その時にこの作品を書いていた。

 この作品の内容を紹介すると総パラグラフは130くらい。
 江戸時代を舞台に石川五右衛門のような大泥棒を主人公とした冒険談となっている。第一部が終わり、第二部の始めのところで執筆が中断している。
 せイキュウは主人公の名前で、本当は漢字で書いていたと思うが原稿を紛失した為に、どんな当て字だったかよく思い出せない。
 ルールはアイテム管理と所持金管理のみ、サイコロも使わなかった記憶がある。
 ゲームの流れは一方向システムで、選択を間違えると即死亡と言うもの。内容はとんでもなく理不尽で今思うとあまりの展開に笑えてくる。
 例えば道中で立ち寄った店屋に“わらじ”と“ぞうり”と“ゲタ”を売っているシーンがある。ここで買い物をして“ぞうり”を履いておかないと、後で 必ずゲームオーバーになるのだ。もちろん事前にヒントなどない。
 なぜゲームオーバーになるかと言うと、しばらくして暗殺者と戦闘になる強制イベントがあるのだが、“わらじ”だと長旅の為に足をすっかり傷めて敵に遅れをとってしまうからなのだ。さらに“ゲタ”に至っては戦闘中になぜか鼻緒が切れてこけてしまい、そのスキに惨殺というオチがついている。
 他にも茶店でソバ大食い大会が開催されていて、見事優勝すると魔法の回復薬がプレゼントされることになっている。
 ここで以前に蛇から奪った謎の消化薬を使うと、ソバではなく体が溶けてしまうというスプラッタな展開もあった。これは落語のネタをそのまま使ったのだろう。
 それでも当時の私は大真面目だったようで、江戸の小説や本を読んで、宿賃や交通費など物価については史実に基づいて作成している。今思うと努力するところが違っていたと気づかされて泣ける苦労である。
 ストーリーは、序盤から金持ちの商家に潜入して1000両箱を盗み出したあとは、何処から沸いたかわからない刺客たちから逃げつづける内容。
 こう書くと普通だが、例え道端でも侍に出会ったら彼らは必ず攻撃してくる。(昔のファミコンソフト、「たけしの挑戦状」で街中の警官が通り過ぎただけで襲ってくるのを想像してもらえれば良い)
 特に“絶対無敵最強ウルトラスーパー侍”というキャラ(本当にこんな名前だった)がきわ目付けで、彼に出会うとどんなアイテムを駆使しても絶対勝てないという存在だった。分岐点で主人公に選んで欲しくない選択肢の先には、大概このキャラに出会うことになっており、ここでゲームオーバーにしたり、アイテムを奪い取ったりしてゲームバランスを取っているつもりだったのだから恐ろしい。

 まあ、このようにとんでもない作品であったのだが、当時は友人達に意外と好評であった。
 特に“絶対無敵最強ウルトラスーパー侍”は人気があった記憶がある。
さらに友人達には「(創元推理文庫の)ゼビウスだと、こんな風に工夫していたぞ」と助言までもらうなど話題のネタになった。現在でも日記のネタになるのだから、案外私はこの作品に感謝しなくてはいけないのかもしれない。


山口プリン |HomePage

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