冒険記録日誌
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2002年12月27日(金) ファイティング・ファンタジー(スティーブ・ジャクソン/創元推理文庫) その3

本書にはルールの説明のあとに、見本として2つのシナリオが収録されています。
これらはゲームマスターの手間を省くために、予め冒険の舞台の設定を定めたものでゲームマスターだけがこれを読んでゲームを進行するのに使うのです。
一つ一つの場所にイラストが添えられているので、この部分はまだゲームに慣れていないプレイヤーにも見せるのもいいでしょう。イメージを共有化するのに役立ちます。
内容はどちらも洞窟の中を探索して宝を発掘するという、割と典型的なもの。とにかくわかりやすさ重視と言った感じです。
面白いところでは、“ソーサリー”に登場した小道具(ボンバの実や氷でできた宝石など)が登場するので、元ネタを知っている人は度々ニヤリとさせられます。
ゲームブックファンでTRPGを知らない方、ちょっとこの“ファイティング・ファンタジー”を読んでみませんか?お勧めしますよ。


<雑記>
この本には不満な点が一つあり。
それは後書きで訳者が「ゲームブックはTRPGの初心者向けの存在」と言う書き方をしていること。
確かにゲームブックは、ゲームマスターの役割を本に任せた「一人用TRPG」といった考えで誕生したと聞くけど、ゲームブックもTRPGには味わえない面白さがあるんだよ、と言いたい。

それから私が他のTRPGと違うなぁと思った部分が、ルール説明の部分で「ゲームマスターは、いわば神様の役なのですべて思いどおりに決めて良い」という説明があること。
見本のシナリオでも、ゾンビが次々と出現する地帯とか(どこからなぜ発生するの?)、いきなり赤ちゃんが寝ている部屋とか(誰がなんの為に?)不条理な展開が多くて、ゲーム中はかなりゲームマスターの権限が強い気がします。
実際はゲームマスターと言えども、ある程度の制限は存在するという考えが一般的と思います。新しいシナリオを自分で考えるゲームマスターは、プレイヤーも納得できるような内容を考えて欲しいものです。
ただ“ファイティング・ファンタジー”はルールが曖昧な分だけ、ゲームマスターの判断が多く求められるのも事実です。
そういう意味では神様のごとく設定を創造できる余地は確かにあります。慣れてきたゲームマスターは、ゲームバランスを考えながら、ソーサリーやバルサスの魔法システムを導入したり、新しい怪物を創造してみるのも楽しいと思います。


山口プリン |HomePage

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