冒険記録日誌
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2002年12月24日(火) |
王たちの冠(スティーブ・ジャクソン/創元推理文庫) 冒険15日目─5ページ目 |
俺は再び大魔王と対峙した。チュンスは今しかない! 先手必勝とばかりに奴に鋭い一突きをかませる。 運任せに大ダメージを狙ったが失敗。かすり傷しかあたえられない。 次の一振りは外してしまう。逆にこちらが傷を負ったが、興奮した俺は痛みも感じることなく、もう一度斬り付けた。 そのとき大魔王が息を吸い込んだ。何かしかけてくる! そう思った次の瞬間、俺の体は無意識に反射し奴の胸元に潜り込んで剣を食い込ませた。 相手の動きが鈍ったところを、すぐに剣を抜く。 あらん限りの力をこめた一撃を脳天にくらわすと、恐るべき大魔王はついに床に倒れた。 きわどい勝負だった。 あの時、あと一撃でもミスをしていれば、今ごろ死んでいただろう。 しかし俺は任務を達成したのだ。大魔王は死に、この背負い袋には“王たちの冠”が入っている。 俺はバードマンにつかまって空を飛び、マンパン砦を脱出した。 そのまま高地ザメンの山々を越え故郷へ向う。 ───アナランドの人々がお祭り騒ぎになるのが、今から目に浮かぶようだ。 そう思うと久しぶりに心からの笑いが出て止まらなかった。 旅は終わったのだ。今はゆっくり休むことにしよう。 END
(編集者より蛇足後記) 15日目の日記は、冒険者がアナランドに戻ってから書いたと言う説が有力である。 そのためなのかマンパン砦の構造や大魔王との戦いは、はっきりと書かれていない。 これらの真相を知るためには、どうやら我々自らがマンパン砦に赴く冒険に出るしかないと、チャウベリーの賢者達は一様に指摘している。 赤い背をした古文書の発掘、もしくはソードカンパニーの動きを待ち、ぜひこの偉大な冒険の全ての真相を解明したいものである。
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