冒険記録日誌
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2002年12月23日(月) |
王たちの冠(スティーブ・ジャクソン/創元推理文庫) 冒険15日目─4ページ目 |
小さな窓一つしかない牢の中で、俺はため息をついた。 はたして魔法使いならぬ身でここを脱獄し、大魔王の部屋へ再び向かうことが可能だろうか? 気持ちを落ち着けて、荷物整理をする。なぜか背負い袋は取られなかったのは幸いだった。 槍が壊れ、先程使用した両刃の剣は奪われたので、予備の剣を取り出す。 この旅に出たときに携えた剣だ。刃先が鈍っていた(技量−1)ままだが、武器があるのは心強い。
次にここから脱出する道具がないか調べて見る。 銀の呼び子を吹いてバードマンに助けを求めるべきだろうか。 そう思ったときシーサチュロスからもらった精霊の瓶が目に付いた。力をこめて栓を抜くと、真っ白な煙が湧きあがる。 「人間か!」精霊は驚いたようだ。そして一度だけ願いをかなえてくれると言う。 俺の願いは「大魔王のいる場所へ戻してくれ」だ。 「本当にそれでいいんだな!」精霊はそう言ってなにやら呪文を唱え始めた。 なんだか気になる言い方だ。しかしそれ以上考える余裕はこの時の俺にはなかった。 ふわふわした煙は大きくなり、俺の全身を包み込み、そして何も見えなくなったからだ。
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