冒険記録日誌
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2002年12月21日(土) |
王たちの冠(スティーブ・ジャクソン/創元推理文庫) 冒険15日目─2ページ目 |
人気を避けながら歩いていると、ある部屋でバードマン達に出会った。 まずい。バードマンと言えば“王たちの冠”をアナランドから盗み出した種族ではないか。 彼らは俺を見て「何者だ?」とでもいった表情をしていた。 ここは得意のギャクでも言ってその場をごまかすべきだろうか?だが、先程ギャグが滑ってブラックエルフといらぬ戦闘になった事を思い出した。さりげなく世間話でもすることに決める。 「や、やあ。こんにちは。君たちの母親は元気かい」 バードマンは唖然とした。しまった、全然さりげなくない!不自然すぎる! しかし意外にも彼らの機嫌は良かった。 実は彼らはバードマンの中でも、マンパンの大魔王に不満をもっている一派だったのだ。 彼らは“銀の呼び子”をプレゼントしてくれた。助けが欲しかったら、これを吹けばいいと言う。 思わぬ幸運な出会いを喜びながら、彼らと一旦別れを告げ先に進む。
第3のスローベンドアを通過し、暗闇回廊の罠もくぐり抜け、衛兵隊長とも斬りあって砦の深部へと踏み込んでいく。 次の部屋に入ると、広々としたホールの向こうに最後のスローベンドアが見えた。 薄暗いのでよく見えないが真ん中に大理石でできた羊の像がポツンとある。妙に不自然な光景だ。 そのとき頭の中に蘇るものがあった。 ──眠れぬラム(=羊)を眠らすためには、シャムを探し出すがよい── 像から距離をおきながら歩いていく。耳を澄ませているとかすかに像のあたりから物音がした。 いや気がついたら、すでに羊は恐るべき加速をつけ、こっちに向かって突進してくるではないか! 運良く突進をかわすと、羊は大音響をたてながら壁に激突した。そして、くるりとまた俺の方を向く。おいおい、あんな突進をまともにくらったら命はないぞ。 軽いパニックに襲われながらも、俺は必死にシャムにもらった小さなガラス瓶を羊に投げつけた。 瓶は羊に当たって砕け、中味が降りかかると羊はよろめいて次の突進を止める。 だが効果は一瞬だ。羊はすぐに体制を整え始める。急がなくては! 夢中でスローベンドアに飛びつき、扉をくぐるとバタンと閉める。助かった。
さあ、これで最後の障害も乗り越えた。大魔王はもう目の前だ。
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