冒険記録日誌
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2002年12月07日(土) |
魔法使いの丘(スティーブ・ジャクソン/創元推理文庫) 冒険6日目─1ページ目 |
朝になると、俺の前にスヴィンの酋長がやってきてプロセウスと名乗った。 彼は俺を拘束した非礼を詫びながら、召し使いにパンとミルクを運び込ませた。 夢中で朝食をとっている俺に、プロセウスが事情を説明する。
「私の唯一の跡継ぎである、年端もいかぬ娘がさらわれてしまった。略奪者は娘を、洞窟に住む恐るべき悪鬼の生け贄にするつもりなのだ。旅の人、あなたこそ我々の闘志たるお方。どうか、わが跡継ぎを救出してほしい」
これを聞いて俺は思わず躊躇する。まだ体調が万全ではないのだ。 しかし、プロセウスのお願いは一見丁重ではあったが、どうにも選択の余地はないようだ。村人がまわりを固めていて逃げられそうにない。 しかたなく俺は、村人たちに悪鬼の住むと言う洞窟まで案内され──というより連行され──真っ暗な洞窟の中へ入っていった。 隣のジャンを見れば、奴も緊張しているのかすっかり無口になっている。 村人から火口箱と松明を受け取ると、明かりをつけそろそろと進み出す。
しばし洞窟の中を歩くとすすり泣きが聞こえてきた。 みるとスヴィンの娘ではないか。 思ったより簡単に見つかった。軽い驚きと安堵を感じながら、娘になぐさめの言葉をかけると、娘は俺にしがみついてきた。 そのとき、背後から轟音が聞こえてくる。 あわてて振り替えると、なんと土砂崩れだ。通ってきた出口への道が塞がれてしまった。 もはや他の出口を期待して、さらに洞窟の先に進むしかしかたがない。
幸いそれから時間もたたぬうちに、前方に出口らしき光が見えた。 だが良いことばかりでもない。村人の言っていた悪鬼もそこで待ち構えていたのだ。 巨大なライオンの体に老人の顔、猛毒のサソリの尻尾をもつ化け物。マンティコアだ。 迷う暇も選択の余地もない。俺は剣を振りかざしてマンティコアに突進していった。
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