冒険記録日誌
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2002年08月27日(火) |
高飛びレイク 惑星カリブの罠 (多摩 豊/早川書房) その2 |
背景説明とプロローグを読んでみると高飛びレイクって、SFという舞台以外は、怪盗ものの王道というかルパン三世みたいな設定だなぁ。 ******************************************* 俺の名は「高飛びレイク」。 宇宙中の警察が、俺に血眼。ところが、これが捕まらないんだなぁ。 ま、自分で言うのはなんだけど、狙った獲物はかならず奪う、 神出鬼没の大泥棒。それが、この俺、高飛びレイクさ。テレポート能力だって持っているんだぜ。
俺の相棒「ジム」。コンピュータのハッキングなら何でもござれのプロフェッショナル。 そのうえ、義理堅く、頼りになる男。
謎の女、「ジェーン」女盗賊か、女スパイか、この俺にも 分からない謎の女。いつもひどい目にあうが、憎めないんだなぁ。 俺はカワイコちゃんに弱いからねぇ。
さて、さて、これら一癖も二癖もある連中に囲まれて、 どんな事件を巻き起こしてやろうかな。 ******************************************* みたいな。
ゲームブックは「カリブ」というリゾート惑星に現れたレイクの偽者を追って、レイク本人が「カリブ」の宇宙空港に到着するというところから話しは始まっていた。 ゲームに使う主人公の能力値は、交渉や鍵開けなどに使う「要領ポイント」と格闘のようなアクションシーンに使う「体力ポイント」の2種類。 「要領ポイント」のネーミングが、火浦功っぽい。 所々でサイコロを2個ふって、能力値以下か大きいかでチェックするようになっていた。 ゲーム中に能力値が増減するとルール説明には書いているけど、実際やってみると滅多に変更しなかった。 アイテムなども存在しないので、内容を記憶すれば電車の中で楽しむこともできるみたいだ。
それで、挑戦した感じはどうだったかと言うと、ゲームをしているというより、分岐小説を読んでいる感じ。 冒険中にはバットエンドもいくつか用意されているけど、特に難所というわけでもなく、わりと簡単にエピローグへ到達してしまいました。 じゃあ、ツマンナイかと言えばそんな事はありません。 分岐小説として考えるなら、かなり出来がいいのですよ。 どこがと言うと、どの行動をとっても話しの大筋は一緒なのですが、選択肢によって知る事のできる情報は全然変わってしまう点。“偽者レイク事件”の陰には、レイク以外にも軍や犯罪組織やら、計3つもの組織が関わっていて背景が複雑なのです。ゆえに一度のプレイでは、物語の全貌は見えてきません。何度も繰り替えし楽しめます。 それに簡単とは言っても“ニューコムの宝”を手に入れるという、もう一つの真のエンディングには一筋縄では進めないのです。 見せ場のアクションシーンとかも、サイコロ判定があるからと、端折らずにキチンと描写している。意地悪な選択肢がないことも個人的にポイント高い。 どうやら“高飛びレイク”はハードボイルド系みたいなので、火浦功独特のギャグは少なかったですけど、これは好きずきかな。 原作を知らなくても、ヒーロー気分でのびのびとプレイできました。
総論するとゲームブックというより、面白いSF小説として評価したい一作。
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