だからなに。
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2004年03月08日(月) しばらくしたある日に気づいてしまった

水道橋で待ち合わせをして、後楽園ゆうえんちに行った。
園内に入る前だったか出てからなのか忘れてしまったけれど、
見ているものが同じだったり、それを見て思うことが同じだったり、
そういうことが幾つもあった。
そしてその日に、
「こんな人なら結婚してもいいなぁ」と、自分が思っていたということを
数日してから「はっ!」と思い出してしまった。

当時、わたしは21歳。
同じ売場のアルバイトくんと同棲していた頃だった。
彼氏がいるのに違う男と遊びに行ったのは、
自分の中では友達だと認識していたことと
同棲相手に愛想が尽きかけていたからだった。

結婚という言葉が自分から出ていたことに驚いた。
そんなことは初めてで、だけどそれまでに
一緒に働いていた既婚の先輩から聞いたことや
よく言われることとして
「最初は嫌いだったのに、ピーンとくるものなのよ」というのがあって
あの日自分が感じた気持ちはこれなのか? と思い、
いてもたってもいられずに手紙を書くことにした。
しかしまだ同棲中で、ワンルームでそんなものを書くわけにはいかず、
通勤途中のモノレールに揺られながら
字もぐらぐらの手紙をせっせと書いて
とにかく自分の気持ちを仙人に伝えようとしていた。
その時の気持ちを伝えられれば、それでよかった。

いつもと同じように仙人のところに行って
「あのね、手紙書いたから読んでね」と笑顔で渡した。
その頃はもうターミナルが新しくなっていて、
わたしと仙人はそれぞれ、隣り合った別の店舗にいて
休憩時間は同じになることが多く、いつも一緒にお昼を食べていた。
みんなでわいわい、競馬の予想をしながらの昼休みだった。

何日か経って、クルマで通勤していた仙人に
家まで送ってもらった日だったか、手紙の返事を聞くことになった。
仙人は
「今は彼女はいらないんだよね」と言っていた。
でもわたしは別に彼女になりたかったわけではないから、
うんうん、と、にこにこしながら聞いていた。
それからも、今までと同じように、
とても仲良しで、いつも一緒にいる日々が続いた。
友達として付き合う仙人は、おもしろくて適度にやらしくて、
一緒にいると心地よかった。

そのうちに、なんとなく付き合うようになっていた。
仙人はどう思っていたのかわからないが、
「あたしは仙人夫人になってやるー」と思っていた。

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それからどのくらい経った頃だろうか、
とうとう仙人が「結婚しようか」と言った。
わたしは「ぃよっし!」と思った。
手紙で「結婚してもいいなぁと思った」と伝えてから
結婚を迫ったことは一度もなかった。
結婚したい、とも言っていなかった。

わたしはただ、結婚「してもいいなぁ」と思っていた。
振り向いてくれなくてもよかった人が、振り向いてしまった。




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