だからなに。
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世の中がとってもバブルだった頃、わたしは高校を卒業して就職した。
自分で選んだ就職先の候補には仏壇屋もあって、それはなぜかというと 自分は長女で、将来役に立つのかもしれないと思ったからだった。 担任には、 さんよーって知ってるか、コートの会社だけど とか ヨックモッ●はどうだ とか いくつか勧められていたけど、コート屋に興味はなくて ●ックモックは求人が来ていない。 スーパーでサミットというのがあるが、 そこは社長が「さみ」という名字だからサミットなんだ、とか 謎がひとつ解けた求人情報。
商業高校に入りたくて入ったくせに、 就職の時に考えたのは販売の仕事で 学校で勉強したことはあまり役に立っていなかった。
高校進学の時と同じように、就職の時も 一緒にそこを目指す子はいなくて わたしはまたひとりで行くことになった。
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無事に就職が決まったその年の同期はたくさんいた。 そういうものなんだと思っていたけど、 景気がいい頃だったからあんなにたくさんいたのだろう。 数年後に自分の高校から後輩がひとり入社して 彼女に聞いたら同期は数人しかいないと言っていた。
お菓子の製造と販売をしている会社だったから まずは工場と売場の研修がある。 最初の希望が売場での販売でも、研修の後に配属が決まると 工場になっている子もいたが わたしは希望どおりに販売ができることになった。
最初の正式配属は、会社がある最寄駅下車の店舗だった。 店長は厳しい人で、わたしが入った頃には もうかなり丸くなっていたそうだが、 昔はよく雑巾とかを投げるような人だったらしい。 思えば研修でも、 年配で入院していたからそこにいなかったとはいえ 社内でも屈指の厳しい方がいる店舗だった。 その方とは後に、会社の新年会で初めて会うことができた。 聞いていたとおりに、かなりおばあちゃんだった。 19やそこらの小娘はものすごく緊張していた。
そんな厳しい上がいるところで 初歩からきちんと教わることができてよかったと思う。
最初の店舗で1年半くらい経った頃、わたしに異動の話がやってきた。 担当営業は、他にも候補はいるようなことを言っていたけど たぶんわたしだけだったのだろうと思う。 ちょっと考えておいて、と言われていた。 その数ヵ月後から、退職するまでいることになった某空港勤務が始まった。
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空港では出発ロビーにあるお菓子売場の担当になった。 まだ旧ターミナルの頃。 朝から晩まで、切れ間なく人が入ってくる。 忙しくて楽しかった。 前の配属先でのバレンタインの忙しさが毎日続いているような感じ。
そこで仙人様と知り合うことになる。
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