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■ <リアルワールド>
直木賞受賞作家である、桐野夏生さんが書いた小説ですな。
この方の本を読むのは初めてなんだけどにー。
さてさて、このリアルワールドとゆー作品。 カバーに惹かれて半年前に買ったものの、読まずに眠ってたのは内緒(ぉ
最近、ガッコで読書することが多いので掘り出してきて読みました。
(いつ読むか、ってそりゃあ講義ty(削除)
高校3年生の夏休みが舞台であります。
主人公の女の子と、隣に住んでいて母親を殺してしまう男の子。 それから主人公をとりまく3人の女の子たちも含めて、それぞれの視点で心理描写がされてまつ。
あぁなるほどなぁ、と親近感を覚える感情が描かれてて、動向に興味が沸くー。
変な話、殺人犯である男の子にも共感しちゃう部分があるのよねぃ。
登場する女の子たちも、それぞれクセのある性格で。
自分は同性愛者なんじゃないかと悩んでる子もいれば、 友人の前では純粋そうに振舞ってるけど、実は夜遊びしまくってる子とか。
それから、おちゃらけて振舞うことで本心を隠そうとする子。
それぞれが隠した部分を持ち合わせながらも、表面上は仲良しグループと言う。
その中でテラウチとゆー女の子(最終的には自殺しちゃう)が1番賢いというか、要領が良いんだけど。
彼女が「取り返しのつくこと」と「取り返しのつかない」の違いを述べてる部分があって。
「(殺人犯の男の子が)母親を憎みこそすれ、殺さなかったら、それが『取り返しのつかないこと』に至る道だったのに」
と、言っています。
「私は浮気する母を受け容れた。そう、母に屈服したのだ。 誰よりも深く母を愛しているから」
これが彼女の言う『取り返しのつかないこと』らしい。
んーと、つまり。
まだ運命に抗うほどの力がない時に、一方的にやってくる運命に従わざるを得ないこと。 それこそが『取り返しのつかない』ことで。
男の子のように、母親を殺すことで運命に抗ったとゆーことは、彼女にとっては『取り返しのつく』ことなんだと。
(勿論、死んだ人は生き返らないので、違う意味では取り返しつきませんが)
ははぁ、と妙に納得してしまって。
こういう考え方もあるのだな、と思っちゃった。
その他、キラリンという女の子(最終的には事故で死んじゃう)の元彼が言うには。
「仮定の話が無益だとは思えません。 (中略) もし、たら、だろう。 こんなことを考えてばかりいるのはやめろ、という人は負い目を持たない人です。
あるいは、『一瞬』を持たない人です」
だ、そうな。 なるほどなぁ、と納得したし、同時に割り切れないところもあったり。
ハッキリしているようで抽象的なようで。
さておき、なかなか衝撃的なラストでした。
うむり。
これもオススメしておこー。
2003年10月10日(金)
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