ぐっどないとみゅうじっく
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夜からYBと逢う。YBの知り合いが働いている湯島駅の近くの店で呑もうと思ったが、値段も格調も高かったので店の前に来て引き返す。もう少し大人になったら…と言うことで、何度か行ったことのある仲町通りの『夢や』へ。以前、ふたりで地元柏の「訳ありの未亡人の美人女将がいる店」を散々探したこともある(結局、見付けられなかったけど…)。理想の女将ではなかったようだが、初めてのYBも気に入った様子。なんと言っても食べ物が旨い!そして何度行っても飽きない味。よく煮込んだ大根を頬張りながら話す。
YBがボクシングを離れてもう丸1年が経つ。去年の5月に網膜剥離が発覚してから選手生命を絶たれた。何度目かの手術で、ようやく完治したものの視力が元に戻るわけでもなかった。それでも今の何でもない生活を持て余すように、もう1試合だけ最後にやりたいと言う。このままでは引退できないと。網膜剥離になったボクサーは基本的に試合は出来ないのだが、誤魔化してそのままやっている選手も多い。上位にランキングされない限り、それが発覚することもない。それだけこの世界で知名度を上げることと、生活していくことの難しさが分かる。もちろん、試合をしてパンチをもらえば失明の可能性はかなり大きい。それでも「後悔しないために」と言う。僕なんか後悔しっぱなしだから、その気持ちは痛いほど分かる。そして、そうしてまでも望んだ試合を観てみたい。しかし、心からそう伝えられない僕が居る。だから、いつまで経っても僕は中途半端だから、掌から砂がこぼれ落ちるように何も手に入れられないのだろう。
散々食べた後、最後に支那そば屋で〆。YBは半チャーハンのセットも付けていた…。う〜ん、やっぱりもう1試合行けそうだ。
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